ネタバレ解説『ムーンナイト』第6話のレイラについて製作陣とキャストが想いを語る「私は一人目」 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『ムーンナイト』第6話のレイラについて製作陣とキャストが想いを語る「私は一人目」

© 2022 Marvel

『ムーンナイト』全6話完結

MCUドラマ『ムーンナイト』の第6話が配信され、全6話を予定していた本作の全エピソードが出揃った。ミステリアスな展開とサプライズが続いてきた本作だが、最終回は見事に着地し、物語は一旦の終わりを迎えた。

今回は、第2話から登場した『ムーンナイト』のメインキャラクターの一人、レイラの第6話での展開について見ていきたい。製作陣と演じたメイ・カラマウィは、レイラにどのような思いを込めたのだろうか。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ムーンナイト』第6話の内容に関するネタバレを含みます。

最終回のサプライズ

『ムーンナイト』第6話のサプライズの一つが、レイラ・エル=フォーリーがタウエレトと“一時的に”契約し、新ヒーローのスカーレット・スカラベへと変身したことだった。スカーレット・スカラベは、原作コミックでアブドゥル・ファウルというキャラクターが変身するエジプトのヒーロー。レイラの父アブドゥラ・エル=フーリーは、この原作キャラの名前をもじったものだったのだ。

レイラのフルネームも、第3話で映ったパスポートで「レイラ・アブダラ・エル・ファウリー」と表記されており、第4話ではレイラは父から「小さなスカラベ」と呼ばれていたことが明かされていた。そして第5話では胸に巨大なスカラベを付けたタウエレトがマークとスティーヴンからレイラへのメッセージを託されており、振り返れば第三の人格のジェイクの伏線に気を取られている間に、周到にスカーレット・スカラベ登場の舞台は整えられていたように思える。

「緋色(深紅)」を意味する「スカーレット」に、「黄金虫」を意味する「スカラベ」を名前に冠したスカーレット・スカラベは、原作コミックでエジプトを守る守護者として登場。一方でナショナリストであるため、アメリカなど海外から来たヒーロー達と対立することもあった。原作ではどちらかと言うと緋色の方が強かったが、MCU版のスカーレット・スカラベは両脇腹の部分だけが緋色になっており、あとはスカラベを思わせる金色が中心のコスチュームになっている。

スカーレット・スカラベはアーサー・ハロウに追い込まれたムーンナイトを助けると、ファルコンを思わせる翼を駆使したアクションを見せた。その活躍に、居合わせたエジプト人少女が「エジプト人のスーパーヒーロー?」とアラビア語で聞くと、レイラは「そう」と答えるのだった。

演じたメイ・カラマウィはバーレーン生まれでエジプト人の父を持つ。レイラはカイロが故郷という設定であり、エジプト系俳優がMCUで初のエジプト人のスーパーヒーローを演じることになったのだ。『ムーンナイト』製作陣は、どのようにしてMCU初のエジプト人ヒーロー、スカーレット・スカラベ誕生を実現したのだろうか。

自分を重ね合わせられる存在を

マーベル公式では、マーク/スティーヴンと対照になる女性キャラクターの登場は、最初期から計画されていたという。監督を務めたモハメド・ディアブとコンサルティング・プロデューサーのサラ・ゴーヘルは、本シリーズのピッチをまとめていた時からメイ・カラマウィを同役に起用することを念頭に置いていたそうだ。

サラ・ゴーヘルは、『ムーンナイト』が男性中心のキャストになっていることを知っており、レイラを重要な役へと導いていくためにクリエイティブ・チームをサポートしたという。サラ・ゴーヘル自身もエジプト系アメリカ人であり、レイラのキャラ設定について、以下のように語っている。

私もエジプト系の女の子で、カールヘアなんです。多くの女の子が何年も費やしてアイロンで髪を焼き、化学製品で髪をストレートにしてきたことを知っています。その理由は、カールした髪の(人物の)リプレゼンテーションがスクリーン上で見られないからです。カールした髪から彼女自身のストーリー、そして彼女の強さに至るまで、全てが彼女のキャラクターを表現するために重要な要素でした。

観ている人がスクリーンの中に自分の姿を重ね合わせることができるか、というリプレゼンテーションの課題に、MCU4はフェーズ4から積極的に取り組んできた。映画『ドクター・ストレンジ・マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) ではラテン系のセクシュアルマイノリティのアメリカ・チャベスが、映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) ではアメリカにおけるフィリピン系の家族が、映画『ホークアイ』(2021) ではネイティブ・アメリカンでろう者のマヤ・ロペスが登場し、それぞれのコミュニティをレペゼンした。

レイラ/スカーレット・スカラベも間違いなくそのリプレゼンテーションを実現したキャラクターの一人だ。ステレオタイプな描き方を排し、ドラマの前半からマークやスティーヴンを助ける強いヒーローとして描くことで、多くの子ども達にとって憧れの存在になったはずだ。

サラ・ゴーヘルはこう続ける。

(マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが)彼がどのようにしてマーベル・スタジオを作り上げ、本当の意味で進歩的な思想とアイデアに向けて方向づけを行っているのかという内容のインタビューを読んだことがあります。マーベル・スタジオは本当に後押ししてくれて、協力的なんです。私たちの心の内側では、(こうしたキャラクター達は)子どもの頃の夢のような存在なんだと思います。

また、エジプト人の少女がスカーレット・スカラベに「エジプト人のスーパーヒーロー?」と聞き、レイラがはっきりと「そう」と答えるシーンについては、こう話している。

世界中の多くの人にとって、魔法のような瞬間になるでしょう。誰もが自分の居場所があると感じられるように、マーベルがこの規模のムーブメントの舵取りをしているというのは素晴らしいことです。

「私は一人目」

そして、レイラを演じたメイ・カラマウィは、この役を演じるにあたっての想いをこう話している。

私はしっかり腰を据えて、こう考える必要がありました。私が全てのアラブ系の女性やエジプト人の女性を代表することはできない、と。ただ、全てのアラブ系の女性がこのドラマを観て、スーパーヒーローになったように感じることができ、このような大きな規模の作品に居場所を持てるようになればと思っています。

レイラに共感できる人には、自分が見られていると思ってワクワクしてほしいですが、そうでなくても大丈夫です。人それぞれの居場所があるべきですから。私はその一人目。もっと多くしていくこともできる。それは名誉なことですよ。中東系をレペゼンできること、あるいは中東系であることで、その地域に光を当てられることは名誉なことです。

タウエレトを演じたアントニア・サリブもまた、エジプト系の俳優だ。

『ムーンナイト』ではコンビを組むことになった二人だが、レイラがタウエレトと交渉するシーンでは、レイラ役のメイ・カラマウィはタウエレトが憑依したレイラの演技も見せている。

この場面は、アントニア・サリブの協力のもと、メイ・カラマウィがアントニア・サリブの演技を“完コピ”したという。仕草から表情、イントネーションに至るまで変えてしまい、一人三役を演じたオスカー・アイザック顔負けの演技を披露した。

今後も登場する?

一方で、『ムーンナイト』ではタウエレトとレイラは一時的な契約とされており、米Deadlineではモハメド・ディアブ監督は「スカーレット・スカラベの物語は完成しきっていない」と述べている。

私たちがその物語を描きたいと望めば、彼女はスカーレット・スカラベになるでしょう。なぜなら、彼女はタウエレトといるのは一時的なことで、他のものにもなりうるからです。どうなるかは分かりませんが、私は二人が一緒にいるのは好きですよ。タウエレトが彼女の頭の中で喋って、おかしくなりそうになる描写もいいですよね。

二人が旅に出るのもいいですね。ぜひ見てみたいです。撮影現場では彼女のことを「スカーレット・スカラベ」と読んでいました。この先どうなるか分からないので、可能性はオープンにしておきたいです。それは、彼女のためにです。

モハメド・ディアブ監督が指揮をとった第3話では、レイラは盗品を取り戻して手数料を得るタフなビジネスで生計を立てていることが明かされた。ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) に登場した犯罪都市マドリプールに出入りしていることにも触れられ、アントン・モガートの部下のベックを首飾りの武器で圧倒する姿も。スカーレット・スカラベに変身しなくても魅力的なキャラクターであることは確かだ。

それでも、マーク&スティーヴンのことも助けてくれた「カバちゃん」ことタウエレトとのコンビももう少し観てみたいかも。こちらの記事では、今後マーク&スティーヴンがロンドンを拠点にしていく可能性を考察したが、スカーレット・スカラベがエジプトの神々が眠るカイロの街を守ってくれるのであれば、これ以上に安心なことはない。今後の活躍にも期待しよう。

ドラマ『ムーンナイト』はDisney+で独占配信中。

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Source
Marvel.com 1 / Marvel.com 2 / Deadline

『ムーンナイト』第6話のネタバレ解説はこちらから。

ポストクレジットシーンに登場したジェイクについて製作陣が語った内容はこちらから。

最終話後に残された9の疑問はこちらから。

 

ネタバレ注意!映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』ラストの解説はこちらから。必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

6月8日(水)からはドラマ『ミズ・マーベル』の配信が始まる。予告編の解説はこちらから。

 

『ムーンナイト』第5話のネタバレ解説はこちらから。

第5話で描かれたマークの過去について監督らが解説した内容はこちらの記事で。

第4話のネタバレ解説はこちらから。

第4話のラスト15分についての製作陣による解説はこちらから。

第4話で登場したアレキサンダー大王と映画『ソー:ラブ&サンダー』の繋がりはこちらから。

第3話のネタバレ解説はこちらから。

『ムーンナイト』に征服者カーンが絡んでいる可能性についての考察はこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

第2話のMr.ナイト登場シーンの裏側はこちらの記事で。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

アーサー・ハロウを演じたイーサン・ホークのこだわりはこちらの記事で。

アーサー・ハロウの設定変更について製作陣が語ったエピソードはこちらから。

『ムーンナイト』シーズン2の可能性についての情報はこちらから。

 

映画『ソー:ラブ&サンダー』特報映像の解説&考察はこちらから。

ネタバレ注意! 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ラストのネタバレ解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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