アメリカ・チャベスはなぜ重要か『ドクター・ストレンジ MoM』で演じたソーチー・ゴメスと製作総指揮が語る | VG+ (バゴプラ)

アメリカ・チャベスはなぜ重要か『ドクター・ストレンジ MoM』で演じたソーチー・ゴメスと製作総指揮が語る

© 2022 Marvel

『マルチバース・オブ・マッドネス』アメリカ・チャベスに注目

MCU映画第28作目『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』がいよいよ2022年5月4日(水・祝) より日本の劇場で公開。『ドクター・ストレンジ』(2016) の6年ぶりの続編で、MCU映画としては『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) 以来の最新作となる。

『マルチバース・オブ・マッドネス』では、ベネディクト・カンバーバッチ演じるドクター・ストレンジに加え、エリザベス・オルセン演じるワンダ・マキシモフもメインキャラクターとして描かれる。ドラマ『ワンダヴィジョン』(2021) でワンダに降りかかった悲劇のその後にも注目が集まる。

一方で、期待が高まるのはソーチー・ゴメス演じる新キャラのアメリカ・チャベスの存在だ。コミック版では異次元のユートピア・パラレルからやって来るキャラクターで、ユニバース間を移動する力を持っている。スパイダーマンに続き、またもドクター・ストレンジの前に現れるティーネイジャーのスーパーヒーローは一体どんな活躍を見せるのだろうか。

マーベル公式は、『マルチバース・オブ・マッドネス』の公開前にアメリカ・チャベスを演じるソーチー・ゴメスの独占インタビューを公開。オーディションの裏側やアメリカ・チャベスというキャラクターの重要性について、ソーチー・ゴメスとプロデューサーが語っている。

オーディションの裏側

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』への出演までは無名だったソーチー・ゴメスは、オーディションを経て本作への出演を果たしている。

2006年4月29日生まれ、『マルチバース・オブ・マッドネス』公開時点で16歳を迎えるソーチー・ゴメスがオーディションを受けたのは2020年2月のことで、当時はまだ13歳だったという。秘密主義を貫くマーベルからはどの作品のオーディションかは聞かされずにオーディションを受けていた。

世界がパンデミックに見舞われる中、その半年後に二度目のオーディションが行われた。その時の台本に「sorcerer(魔術師)」という言葉を見つけ、ドクター・ストレンジ関連の作品だと察しがついたのだそうだ。

『マルチバース・オブ・マッドネス』でMCUに参戦することになったソーチー・ゴメスが、それを伝えられたのはイギリスでのテストからアメリカに戻って2日後のこと。Zoomで結果を知らされたことを振り返ってこう語っている。

ログインしたら、(エージェントの)ステラが電話で(キャスティング・ディレクターの)サラ・フィンと電話してたんです。彼女は私に伝えたい大事なことがあるって言うと、「ソーチー、ようこそMCUへ! あなたがアメリカ・チャベスです!」と言ったんです。本当にショックを受けて固まってしまいました。このニュースを処理するのに2週間くらいはかかりましたよ。

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の製作総指揮を務めるビクトリア・アロンソは、アメリカ・チャベスを演じられる俳優を見つけるために膨大な数の若い女性と面会したという。結果、ソーチー・ゴメスが最も相応しいと判断されたのだ。

MCUでスパイダーマンことピーター・パーカーを演じたトム・ホランドも、MCUに参戦したのは18〜19歳の頃だった。今後も長い付き合いになる若手俳優、将来のスター候補を慎重に選んだのだろう。ビクトリア・アロンソは、ソーチー・ゴメスの魅力を「生意気なところがあること」とし、「目の中に火花が見えました。彼女の中に、アメリカ・チャベスの反抗心を見たんです」と話している。

MCU版アメリカ・チャベスは14歳

2011年の『Vengeance #1』でコミック初登場を果たしたアメリカ・チャベスは、その後ヤングアベンジャーズに合流。また、ケイト・ビショップが率いるウエストコースト・アベンジャーズにも参加し、2017年からは単独シリーズが刊行されている。

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コミック『アメリカ・チャベス』は、マーベルで初めてのラテン系のセクシュアルマイノリティが主人公の作品になり、アメリカ・チャベスはより多くの人々が自分自身を投影できるヒーローになった。

映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』におけるアメリカ・チャベスは、原作コミックよりも若い14歳に設定されている。ソーチー・ゴメスはアメリカ・チャベスについて知ったときの感想を、「すぐに惚れ込んだ」としている。また、映画では原作のキャラクターに忠実でありながら、より若い設定にした新たな切り口でアメリカ・チャベスをファンに紹介するというアイデアを称賛している。

未来のアメリカ(・チャベス)がどんな姿になるのか、その最初のステージを見ることができます。コミックの要素を取り入れつつ、まだ(若くて)経験が浅いため、少し明るめに演じました。コミックに登場するどのバージョンの彼女よりも若いので、見ていただければ分かりますよ。

若くて経験の浅いアメリカをどのように演じるかを探ることは楽しい挑戦でしたが、やがて彼女が真剣なリーダーになることを暗示する演技でもありました。子どものようなエネルギーと「なりたい自分になれるまで、なったフリをする」の精神で少し自信があるように演じたいと思っていました。

「他者を信頼することを学ぶ旅」

アメリカ・チャベスが『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』で見せる活躍については、マーベル公式は「アメリカは星型の穴を開けてマルチバースを通り抜け、別の現実に移動する能力がある。そのために追われているのだ」としている。加えて、ソーチー・ゴメスはこう話している。

ドクター・ストレンジと一緒にユニバースとユニバースの間の空間を文字通り命がけで走り抜けます。

アメリカの旅は、他者を信頼することを学ぶ旅です。私の考えでは、アメリカはとても長い間孤独だったため、常に自分自身を信頼することはできます。彼女はサバイバーです。彼女の旅は、自分の中にある能力を発揮できるように、他者に助けてもらえるようになるための旅なんです。

ファンの皆さんがこのような大きな物語の中で若い人の姿を見ること、そして子どもの頃に起きることが歳をとって大人になった時にどんな人間になるかの基礎になるということを知れるのは、とてもクールなことです。

今後、アメリカのために更に物語が展開されるかもしれないと思うとワクワクします。

アメリカ・チャベスが重要である理由

なお、ソーチー・ゴメス自身がメキシコ系のルーツを持っていることから、MCU版のアメリカ・チャベスにはメキシコの要素も取り入れられているという。4月上旬にはアメリカ・チャベスがMCUでも原作通りにセクシュアルマイノリティとして描かれるという報道もあった。この点について、製作総指揮のビクトリア・アロンソは、以下のように話している。

このキャラクターは、多くの個人的な理由で私にとっても重要でしたが、私たちのユニバースでこの世界のすべての子ども達をレペゼンできるよう努力するという観点においても重要です。彼女はLGBTQ+コミュニティとラテン系コミュニティの両方を代表しているからです。

2008年に『アイアンマン』でこの旅を始めて以来、このようなキャラクターが登場することを待ち望んでいました。彼女がMCUファミリーの一員になることをとても嬉しく思います。彼女は素晴らしい人物になりますよ。

(アメリカは)LGBTQ+コミュニティの一員であり、大きな力を持っている若いラテン系の人物です。子ども達は自分たちの姿が表現されているのを見たいのです。思春期においては、アイデンティティに関する非常に重要な瞬間が訪れます。それは、自分自身の姿を見ること、透明な存在にならないことです。

MCUフェーズ4以降、マーベル・スタジオは見ている人がスクリーンの中に自分のことを重ね合わせられる“リプレゼンテーション”を更に推進してきた。『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021) や『エターナルズ』(2021) の公開時には、製作陣・出演者らが“多様性”の意味「ありのままの世界を反映すること」と表現した。

14歳のアメリカ・チャベスはティーネイジャーの新ヒーローとして、新しい世代のより多くの人々を代表するキャラクターになっていくだろう。

なお、マーベル公式とソーチー・ゴメスは、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』がアメリカ・チャベスのオリジンストーリーではないことを明言している。今回触れられるのはアメリカ・チャベスの一面に過ぎず、この先の物語でアメリカ・チャベスがどのような人物であるのかを更に示していくことを望んでいるという。

ソーチー・ゴメスは「アメリカは最高の人生を送っている」とコメント。何かと苦難に晒されがちなのがMCUヒーローだが、アメリカ・チャベスの明るい未来が描かれることを期待しよう。

ソーチー・ゴメスがワンダ役のエリザベス・オルセンから受けた助言はこちらの記事で。

Z世代のソーチー・ゴメスは、MCU俳優がほとんど参入していないTikTokでも活躍している。詳しくはこちらから。

映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は5月4日(祝・水)より劇場公開。

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』公式サイト

Source
Marvel.com

『マルチバース・オブ・マッドネス』に登場するイルミナティについての解説はこちらの記事で。

プロフェッサーXの登場を示唆した特別映像の解説&考察はこちらの記事で。

『ドクター・ストレンジ MoM』の予告を含む、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ラストからポストクレジットの解説はこちらから。

ドラマ『ムーンナイト』最終回は「満足いく結末」になっていると第6話監督が語っている。詳しくはこちらから。

『ソー:ラブ&サンダー』にロキは登場するかという質問に対するトム・ヒドルストンの回答はこちらの記事で。

『ソー:ラブ&サンダー』の予告解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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