『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』にイルミナティ?
日本で2022年1月7日(金) より劇場公開された映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に続くMCU映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に大きな注目が集まっている。ドクター・ストレンジとワンダ・マキシモフを中心に据えた本作では、二人以外にも様々なクロスオーバーが予定されている。
日本時間の2月14日(月)に公開された特別映像では、「X-MEN」シリーズのパトリック・スチュワート演じるプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアの登場を示唆するシーンが挿入されていた。そしてその登場シーンでマーベルファンの期待を集めているのが、“イルミナティ”の登場だ。
イルミナティとは
イルミナティはマーベルの原作コミックに登場する各界のリーダー達による秘密結社。2006年に刊行された『ニューアベンジャーズ:イルミナティ』でその歴史が詳しく描かれた。名前の元ネタはもちろん現実に存在したとされる秘密結社の“イルミナティ”だ。
イルミナティは各界のリーダーによるいわば「首脳会議」であり、結成メンバーは以下の6人だ。
・ネイモア(アトランティス代表)
・ミスター・ファンタスティックことリード・リチャーズ(ファンタスティック4と科学者の代表)
・ブラックボルト(インヒューマンズ代表)
・プロフェッサーXことチャールズ・エグゼビア(X-MEN/ミュータント代表)
・ドクター・ストレンジことスティーヴン・ストレンジ(魔術師代表)
大規模な宇宙戦争に発展したクリー/スクラル・ウォーの後、トニー・スタークはリーダー達が情報を共有していれば避けられた戦争や重大な事件があったとして、各界のリーダーに国連のような機関を設けることを提案する。ワカンダ代表のブラックパンサーことティ・チャラもこの“企画会議”には出席していたが、この首脳による秘密会議の危険性を指摘してイルミナティには参加しなかった。
その後、イルミナティはティ・チャラが危惧した通り、“潜在的な脅威”に対処するようになり、力をコントロールできないハルクを脅威とみなして地球を追放し、市民を巻き込む戦争(ワールド・ウォー・ハルク)を引き起こすきっかけになる。なお、ハルクの惑星外追放には反対するイルミナティメンバーもおり、立場によって利害が異なるためほとんど意見が一致することがないというのがイルミナティの特徴だ。
『ドクター・ストレンジ/MoM』に登場?
そんなイルミナティが『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に登場すると囁かれている理由は、原作コミックでドクター・ストレンジがイルミナティのメンバーになっていることと、もう一人のメンバーであるプロフェッサーXの登場が示唆されているためだ。加えて、プロフェッサーXの登場が示唆されるシーンでは施設内に6つほど椅子が置かれている様子が見える。
また、不確定情報だが、米ScreenGeekはABCのマーベルドラマ『インヒューマンズ』(2017) に登場したアンソン・マウント演じるブラックボルトが『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に登場すると報じている。ドラマ『ロキ』(2021-) で採用された“変異体(別の次元/時間軸の同一人物)”として登場するとされている。
先述の通り、ブラックボルトはインヒューマンズのリーダーであり、原作コミックではイルミナティに加わる。また、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギがイルミナティをMCUに登場させることを構想しているということはかねてより報じられていた。
ディズニーによる20世紀フォックス買収により「X-MEN」のMCU合流が実現可能になった今、プロフェッサーXの登場と共にイルミナティ計画がスタートする可能性は大いにあるだろう。
『アイアンマン2』に登場していた?
そして、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』でイルミナティ登場が示唆されたことで、マーベルファンの間で再び注目されているのが『アイアンマン2』(2010) だ。トニー・スタークが公聴会に召喚される場面で、トニーの手元のデバイスの右上に「ILLUMINATI(イルミナティ」と書かれているように見えるアイコンが登場する。
このシーンは静止していないためアイコンはぼやけてしか見えないのだが、その形状は明らかにコミック版『ニューアベンジャーズ:イルミナティ』のロゴと一致している。これは、単なるお遊びの小ネタと考えることもできるが、アイアンマンことトニー・スタークのデバイスにイルミナティのデータが入っていたとすれば、2010年の時点でイルミナティはまさに“秘密裏”に動き出していたことになる。
考察:どうなるMCUのイルミナティ
しかし気になるのは、各界首脳のイルミナティが結成されていたとして、MCUにおいてはどのような存在になるのかということだ。原作コミックにおけるオリジナルのイルミナティは互いの利害がぶつかり合うリスキーな集団だった。『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の予告編に登場した集団がイルミナティだとすれば、マルチバースの扉を開いたドクター・ストレンジとワンダに対峙することになるため、純粋なヒーローチームにならないということは明らかだ。
特に『マルチバース・オブ・マッドネス』の予告動画では、ワンダがルールを破ったストレンジとワンダの扱いの違いについて訴えかけるシーンが登場する。また、別バースのアイアンマンとも考えられる光をまとった相手とワンダが交戦するシーンも見られた。原作のイルミナティは種族は様々だが男性中心の編成になっており、イルミナティがドクター・ストレンジの懐柔を試みる一方でワンダを排除しようとする線も考えられる。
ワンダは自身の子どもであるトミーとビリーを助けようとマルチバースの扉を開こうとした。一方でドクター・ストレンジからはピーター・パーカーの記憶が消えており、マルチバースの扉を開いた事件についてストレンジには主体的な動機がないということもポイントになるだろう。
もう一つ気になる点は、フェーズ4に入ってからはTVA(時間変異取締局)やエターナルズなど、“ずっと世界を見守ってきた存在”が次々と紹介されていることだ。イルミナティが既に結成されていたとすれば、やはり「あの時なにしてたの問題」が浮上することになるだろう。
あるいは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) におけるサノスの指パッチンや、『ロキ』におけるタイムライン解放、『エターナルズ』(2021) でのティアマトの《出現》未遂と、次々と起きる大事件を受けてイルミナティが結成されようとしているという展開になるのだろうか。不安定な社会で“誰が世界を見守るのか”という問題は現実社会にも通じるテーマだ。
なお、原作コミックのイルミナティメンバーは、姿を変えられるスクラル人による密かな侵略“シークレット・インベージョン”によって疑心暗鬼に陥ってしまう。誰がスクラルによって成り変わられているかが分からず、互いを信頼できなくなってしまうのだ。
そして、ニック・フューリーを中心に据えたドラマ『シークレット・インベージョン(原題)』は、2021年11月のDisney+ Dayで配信が正式発表された。『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』でイルミナティが登場するとすれば、『シークレット・インベージョン』と接続していく可能性もあるだろう。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の興奮冷めやらぬ中、考察が尽きないMCU。まずはドラマ『ムーンナイト』の配信、映画映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の公開を楽しみに待とう。
追記:『マルチバース・オブ・マッドネス』の予告映像でイルミナティの名前に言及があり、登場が確定した。詳細はこちらから。
映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は5月4日(祝・水)より劇場公開。
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』公式サイト
これまでのドクター・ストレンジとワンダについての振り返りはこちらから。
本作で登場するアメリカ・チャベスを演じるソーチー・ゴメスがエリザベス・オルセンから受けた助言はこちらから。
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の特別予告の解説はこちらから。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のポストクレジットシーン解説はこちらの記事で。
『ノー・ウェイ・ホーム』の終わり方を受けたスパイダーマン達とその他のキャラクターの今後については、こちらの記事で考察している。
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