プロフェッサーXにキャプテン・カーターも!?『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』特別映像 解説&考察 | VG+ (バゴプラ)

プロフェッサーXにキャプテン・カーターも!?『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』特別映像 解説&考察

© 2022 Marvel

『ドクター・ストレンジ MOM』特別映像公開

MCU最新作となる映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』より、2022年2月14日(月)に特別映像が公開された。日本では世界最速となる5月4日(祝・水)の劇場公開を控えている本作。映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の興奮冷めやらぬ中、『マルチバース・オブ・マッドネス』の予告編でもにも見逃せない描写が次々登場している。

今回は、新たに公開された映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』特別映像の各シーンの解説と考察をお届けしよう。

なお、以下の内容は映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の結末についてのネタバレを含むため、『ノー・ウェイ・ホーム』を鑑賞してから読むようにしていただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の結末に関するネタバレを含みます。

『ドクター・ストレンジ MOM』特別映像 解説

「毎晩同じ夢を見る」というドクター・ストレンジ。夢の中では、アメリカ・チャベスが巨大な敵に襲われている姿も映し出されている。目を覚ましたドクター・ストレンジだが、「本当の悪夢が始まる」と、これから始まる事件を予期させる言葉を吐く。

ドクター・ストレンジの「この世界を守るために やるべきことをした」というセリフは、先の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』での一件を指しているのだろう。『ノー・ウェイ・ホーム』のラストでは、ドクター・ストレンジはマルチバースの扉を閉じることに成功したが、その代償は世界中の人々がピーター・パーカーのことを忘れるというものだった。ドクター・ストレンジは、マルチバースの扉が開いた直接の原因となったピーターのことは覚えていないが、マルチバースの扉が開き、それを閉じたという記憶だけが残っているはずだ。

続いて登場したウォンはドクター・ストレンジに「ユニバース間の扉が開いた」と言っているが、英語では「You open the doorway between universes.(君がユニバース間の扉を開いた)」となっており、ドクター・ストレンジの責任が問われていることが分かる。

街では人々が逃げ回り、マルチバースの扉が閉じ切っていない、または新たに開かれたことが示される。結婚式を挙げているストレンジの元恋人クリスティーンもこの事態に巻き込まれているようだ。そして、公式のあらすじに「盟友の魔術師ウォン、そしてアベンジャーズ屈指の強大な力を誇るスカーレット・ウィッチことワンダにも助けを求める」とある通り、ドクター・ストレンジはウォンとワンダと共にこの事態を収拾しようと試みるようだ。

また、前作『ドクター・ストレンジ』(2016) のラストで魔術師を狩るヴィランとなってしまったモルドも登場。モルドが「現実を冒涜したものには報いが必要」と言い放つと、ドクター・ストレンジは捕らえられ、謎の施設に連行される。この時、映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015) やアニメ『ホワット・イフ…?』(2021-) に登場したウルトロンの兵隊であるウルトロン・セントリーのようなアンドロイドがストレンジを護送している。

プロフェッサーX登場!?

そして、登場したのが「真実を教えよう」と話す謎の人物。これの声は20世紀フォックス版の「X-MEN」シリーズでパトリック・スチュワートが演じたプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアではないだろうか。姿こそ明かされなかったが、声はパトリック・スチュワートそっくりで、若干映った後頭部も肌色になっており、プロフェッサーXの特徴であるスキンヘッドの可能性が高くなっている。また、肩を揺らさずスムーズに前進するその動き方も車椅子に乗っていることが示唆されている。

映画「X-MEN」シリーズは、マーベルが当時の20世紀フォックスに映画化の権利を売却して映像化されたもので、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンを中心にしたシリーズと、若き日のプロフェッサーX&マグニートーを中心に据えた新シリーズが大ヒットを記録した。2019年にはマーベルの親会社であるディズニーによる20世紀フォックス買収が完了し、20世紀スタジオに改名。同時に「X-MEN」シリーズのMCU参戦が可能になっていた。

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ドクター・ストレンジが通された部屋には、6〜7つの椅子が置かれているが、これは原作コミックのイルミナティではないだろうか。イルミナティはスーパーヒーローによる秘密結社で、『ニューアベンジャーズ:イルミナティ』(2006) というコミックシリーズが発売されている。

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コミック版では、イルミナティはアイアンマンミスター・ファンタスティックネイモアブラックボルトプロフェッサーX、そしてドクター・ストレンジによって結成される。そして、イルミナティが数々の事件に秘密裏に関わってきたことが明かされる。MCUでもドクター・ストレンジがイルミナティに加わるということになるのだろうか。

問われる「不公平」

次に前回のトレーラーでも登場した『ホワット・イフ…?』版のドクター・ストレンジを想起させるもう一人のドクター・ストレンジが登場。そしてキャプテン・マーベルのような人物がワンダと交戦するシーンも。

ドラマ『ワンダヴィジョン』(2021) ではモニカ・ランボーがスーパーパワーを手に入れてワンダと対峙した過去がある。モニカは『キャプテン・マーベル』(2019) 続編の『ザ・マーベルズ(原題)』(2023) に登場する予定となっており、原作コミックで二代目キャプテン・マーベルになるモニカが『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に登場する可能性もある。あるいは、別バースのキャプテン・マーベルや、イルミナティのメンバー(別バースのアイアンマン)という線もあるだろう。

そして、ワンダによる重要な問いかけがなされる。ワンダが「ルールを破ることで、あなたはヒーローに」と言うと、ニューヨークの街に建てられたドクター・ストレンジの銅像が映し出される。周囲の建物は植物に覆われており、別バースの物とも考えられる。一方のスカーレット・ウィッチの姿をしたワンダは「私は悪役に」と、不公平な現実を指摘する。

これは長らくMCUに対して指摘されてきたことであり、トニー・スタークとブラック・ウィドウの死に際しての扱いの違いをはじめ、『ワンダヴィジョン』におけるワンダもパブリック・エネミーに堕ちてしまうなど、女性キャラクターの扱いが物語の中で“不遇”にされがちな事実が指摘されている。

スカーレット・ウィッチの格好をしたワンダは泣きながら『ワンダヴィジョン』の舞台となったウエストビューの家に座り込んでいる。周囲には子どものおもちゃが見られ、自身の子どもであり、ウエストビューの消滅と共に消え去ったビリーとトミーを失った経験がワンダに深い傷を残していることを示している。

もう一方にはもう一人のワンダの姿が。『ワンダヴィジョン』のラストでは私服のワンダと、魔導書のダークホールドと共にビリー&トミーを助けようとするスカーレット・ウィッチの姿が描かれていた。スカーレット・ウィッチはマルチバースでもビリー&トミーを助けられなかったということだろうか。

ラストではウォンやモルド、アメリカ・チャベスのド派手なファイトシーンも描かれる一方で、ゾンビ化したような人物の姿も。ゾンビといえばアニメ『ホワット・イフ…?』で描かれたゾンビアポカリプスの世界だ。MCUのアニメシリーズ『マーベル・ゾンビーズ(原題)』の制作も決定しており、正史に組み込まれている『ホワット・イフ…?』が闇堕ちドクター・ストレンジと共に『マルチバース・オブ・マッドネス』で一気に実写版に流れ込む可能性もある。

キャプテン・カーター登場か

なお、同時に公開された新たなポスターには、複数のワンダやドクター・ストレンジの顔の他、イギリス国旗が描かれた盾が右側のガラスの破片に写り込んでいる。これは明らかにアニメ『ホワット・イフ…?』第1話に登場し、その後もシリーズで中心的な役割を担ったキャプテン・カーターのものだろう。

© 2022 Marvel

キャプテン・カーターは、スティーブ・ロジャースではなくペギー・カーターが超人血清を打った世界線の人物で、スティーブに代わってキャプテン・カーターとしてヒドラと戦いを繰り広げた。『ホワット・イフ…?』で監督を務めたブライアン・アンドリュースは、キャプテン・カーターの実写化を希望しており、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』で実写デビューを果たす可能性は大いにある。

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』特別映像考察

あまりに語ることが多すぎる映像で、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のポストクレジットとして挿入された予告編とは全く違った角度で新要素が紹介されることになった。なんと言っても、映画「X-MEN」シリーズからプロフェッサーXの登場を示唆したことが今回の最大のサプライズだろう。

ドラマ『ワンダヴィジョン』では同じく「X-MEN」シリーズで登場したエヴァン・ピーターズのシルバークイックがMCUに参戦……と思いきや、全くの別人という“スカし”をくらわされた。一方で、『MARVEL デアデビル』(2015-2018) からデアデビルやキングピンのMCU参戦は実現しており、マーベル・スタジオは徐々に地ならしを進めているとも考えられる。

マーベル・スタジオのDisney+作品の総指揮を担当するブラッド・ウィンダーバウムは、『ホワット・イフ…?』シーズン1が配信された時点で、「X-MEN」の登場について「権利の問題はない」と語っていた

MCUでイルミナティを描くことは、以前より計画があると報じられており、X-MENの参戦に先んじてプロフェッサーXを参戦させるために『マルチバース・オブ・マッドネス』でイルミナティを登場させたいのだとすれば合点はいく。一方で強力なキャラクターが揃うイルミナティをMCU世界にどのようにマッチさせるのかという点は課題にもなるだろう。

そして、イルミナティが登場するとして、イルミナティはワンダを追うことになるのだろうか。ドクター・ストレンジの前に現れた集団がイルミナティでないとしても、マルチバースの扉を開いた人間を裁く集団であることは事実だ。それはドラマ『ロキ』(2021-) に登場したTVA(時間変異取締局)とは異なる団体なのか、それともシルヴィが神聖時間軸を解き放ったことで新たに生まれた集団なのだろうか。

イルミナティについての解説と考察はこちらの記事で。

時間軸の分岐とマルチバースの存在については、その違いや関係性など、説明されていないことが多い。征服者カーンはこの一件に絡んでくるのか、そしてピーター・パーカーの記憶を持たない一同が今回の事件にどう対処するのか、そして、「真実」を知っている素振りを見せたあの人物はピーター・パーカーのことも知っているのかなど、気になる点が多すぎる。

しかし何より、ワンダが今回の予告編で「不公平」だと訴えた通り、ワンダに平穏がもたらされるのかということにも注目したい。

映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は、2022年5月4日(祝・水)より劇場公開。

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』公式サイト

本作で登場するアメリカ・チャベスを演じるソーチー・ゴメスがエリザベス・オルセンから受けた助言はこちらから。

ドラマ『ロキ』シーズン2は2022年夏から撮影を開始すると報道されている

『ノー・ウェイ・ホーム』のエンディングからミッドクレジット、ポストクレジットの解説はこちらの記事で。

『ノー・ウェイ・ホーム』の終わり方を受けたスパイダーマン達とその他のキャラクターの今後については、こちらの記事で考察している。

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齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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