アメリカ・チャベスは原作通りに
2022年5月4日(水・祝) より日本で世界最速公開される映画『ドクター・ストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス』では、新たなメインキャラクターとしてアメリカ・チャベスが紹介される。『マルチバース・オブ・マッドネス』においては、ドクター・ストレンジ、ワンダに続く重要な人物であり、マルチバース間を移動できる能力にも注目が集まっている。
アメリカ・チャベスはキャプテン・マーベルに似たパワーを持つヒーローで、原作コミックでは2011年に登場。ホークアイことケイト・ビショップと共にヤングアベンジャーズとウエストコースト・アベンジャーズに加わっている。『マルチバース・オブ・マッドネス』では15歳のソーチー・ゴメスがアメリカ・チャベス役を演じる。
米The Hollywood Reporterは、このアメリカ・チャベスのクリエイターの声を取り上げる記事を掲載。その中で、複数の情報源による情報として、『ドクター・ストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス』では、アメリカ・チャベスは原作コミックと同じくセクシュアルマイノリティとして描かれるとしている。
MCUの姿勢は
MCUを手がけるマーベル・スタジオの親会社である米ディズニーは、検閲で作品内の同性愛表現をカットしたとして、2022年3月に傘下のピクサーから告発を受けていた。ディズニー・ワールド・リゾートが位置する米フロリダ州では、小学校教員が性自認について話すことを事実上禁じる「ゲイと言うな (Don’t say gay)」法案が、異性愛以外を嫌い差別する保守派によって提案され可決。ディズニーはこの法案に反対の姿勢を示さなかったこと、法案を提案した議員へ献金していたことなどが強く批判された。これを受け、ディズニーCEOのボブ・チャペックは全社員への謝罪と同法への反対を表明した。
一方のマーベル・スタジオでは、ドラマ『ロキ』(2021) で初めて主人公のロキがジェンダー・フルイドであることに触れられた。映画『エターナルズ』』(2021) では、MCUで初めてゲイのスーパーヒーローであるファストスが登場している。映画『ドクター・ストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス』では、ドラマ『ワンダヴィジョン』(2021) で初登場のトミーとビリーも登場する予定で、原作コミックではトミーはバイセクシャルで、ビリーはゲイである。
MCUでは、多様性を「世界のありのままの姿を映し出すこと」と捉え、より多くの人がスクリーン上のキャラクターに自分の姿を重ね合わせられるようにリプレゼンテーションを推し進めてきた。アメリカ・チャベスについては、予告映像で胸にレインボーのピンバッジが付いていたことから、原作と同じ設定になるのではないかと予想されていた。
一方で、近年のハリウッドでは、登場人物がクィアであることを匂わせながら、作中では実際に描写しない“クィア・ベイティング”が批判を集めている。クィア・ベイティングは、保守派からの批判を避けながら広く集客を見込むためのマーケティング手法である。MCUでも『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017) で初登場のヴァルキリーはバイセクシャルという公式設定だったが、作中で描写されることはなかった。
『ドクター・ストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス』のアメリカ・チャベスについては、『エターナルズ』のファストス同様、設定だけでなく作中でもセクシュアルマイノリティであることが示されると報道されている。今回の報道が事実であれば、マーベル・スタジオは保守派のバックラッシュに屈しない作品作りを続けていくという姿勢を改めて示すことになるが、果たして。
映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は2022年5月4日(水・祝) より日本全国の劇場で世界最速公開。
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』公式サイト
なお、原作コミックでのアメリカ・チャベスは、マーベルで初めてのラテン系でレズビアンのヒーローでもある。アメリカ・チャベスを演じるソーチー・ゴメスは、『エターナルズ』(2021) でエイジャックを演じたサルマ・ハエックと同じくメキシコにルーツを持つ俳優だ。
ソーチー・ゴメスとプロデューサーが語ったアメリカ・チャベスが重要である理由はこちらの記事で。
TikTokで人気を集めるソーチー・ゴメスについてはこちらの記事で紹介している。
ソーチー・ゴメスがワンダ役のエリザベス・オルセンから受けた助言はこちらの記事で。
Source
The Hollywood Reporter
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