映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』でクィア・ベイティング? 『スター・ウォーズ』も批判されたマーケティング手法とは【BIRDS OF PREY】 | VG+ (バゴプラ)

映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』でクィア・ベイティング? 『スター・ウォーズ』も批判されたマーケティング手法とは【BIRDS OF PREY】

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『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』プレミアが話題に

映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』が2020年3月20日(金)より日本で公開される。アメリカでは一足先に2月7日(金)に公開される予定で、1月23日(木)には米ハリウッドでプレミア上映が開催された。主人公のハーレイ・クインを演じるマーゴット・ロビーや、本作のヴィランであるブラックマスクことローマン・シオニスを演じたユアン・マクレガーらが登場。ここでの俳優の発言がきっかけで、ある騒動が起きている。

ブラックマスクとザーズはゲイ?

ことの発端は、ユアン・マクレガーと、「バットマン」シリーズでおなじみのヴィランであるヴィクター・ザーズを演じたクリス・メッシーナが受けたインタビュー。レポーターのマーク・マルキンから、“ブラックマスクとザーズはゲイである”というインターネット上での噂について聞かれた二人は、しどろもどろの回答に終始した。

ユアン・マクレガーは、「非常に複雑なんです。二人の関係は非常に……確かなことは、そこに欲求と必要が存在しているということです」と曖昧な回答。クリス・メッシーナは「その、あの、その、アナーキーを愛しているんです」と言葉を濁した。「つまり、えっと、私が思うに……」と次の言葉に窮するメッシーナを見かねたマクレガーは、「おそらくそうでしょう」と割って入り、その場を収めた。

“クィア・ベイティング”との批判

この様子をVariety等のメディアが「映画『ハーレイ・クイン』のヴィランたちはおそらくゲイ」などと報じ、SNS上で話題に。一連の対応が“クィア・ベイティング”ではないかと批判を集めたのだ。クィア・ベイティング=Queerbaitingとは、作中ではロマンスが描かれないにもかかわらず、セクシャルマイノリティ同士のロマンスが描かれることを匂わせてファンを誘導するマーケティングの手法である。baitは“餌”を意味しており、セクシャルマイノリティを食い物にしているというニュアンスが込められている。

直近の例では「スター・ウォーズ」続三部作がクィア・ベイティングを行なっているとの批判を受けた。作中に登場するフィンとポーについて、長らくロマンスの発展を期待させながらも、J・J・エイブラムス監督が最終的に「二人の関係は、ロマンス (恋愛関係) よりも深いものです」と語ったことは、一部ファンからの強い批判を呼んだ。詳細は以下の記事をご覧いただきたい。

クィア・ベイティングに「疲れた」

今回の『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』を巡るユアン・マクレガーとクリス・メッシーナの対応は、ゲイのキャラクター同士のロマンスを「匂わせているだけではないか」との批判を呼んでいる。クィア・ベイティングのマーケティング手法に「疲れた」とする声も多い。自分の姿を重ね合わせられるロマンスを期待して映画を観に行っても、実際にはその様子は描かれておらず、結局作品の中に自分の姿が見出せないということを繰り返し経験してきたのだ。

また、「マーケティング部門はこの手の質問が出ることを想定していなかったのか」と、ユアン・マクレガーとクリス・メッシーナの二人が回答に窮した時点で製作側の失態だと見る向きもある。一方で、映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』で実際にブラックマスクとザーズのジェンダーがどのように描かれているかということは、作品を観てみないことには分からない (その状況こそがクィア・ベイティングだとも言えるのだが)。マクレガーとメッシーナの二人が回答に窮した理由が、そこにはあるのだろうか。

映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』は、「バットマン」シリーズに登場するヴィランであるハーレイ・クインを主役に据えたDC映画最新作。2019年に公開された映画『ジョーカー』に続くヒットが期待されている。今回の件で話題となったユアン・マクレガーは、映画『ハーレイ・クイン』について、仏Premiere誌で「フェミニスト映画」「ミソジニーを捉えた映画」とその内容を称賛している。

映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』は2020年3月20日(金) より公開。

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』

VG+編集部

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