『ザ・フラッシュ』 バットマンたちは誰?ネタバレ解説&考察 | VG+ (バゴプラ)

『ザ・フラッシュ』 バットマンたちは誰?ネタバレ解説&考察

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DCUの幕開け

DCEU(DCエクステンデッドユニバース)を再構築(リランチ)し、DCU(DCユニバース)の幕開けとなる『ザ・フラッシュ』が2023年6月16日に全国公開された。主演のエズラ・ミラーの相次ぐ不祥事で公開が危ぶまれた『ザ・フラッシュ』だが、ティム・バートン監督作『バットマン』(1989)と『バットマン リターンズ』(1992)からマイケル・キートンがバットマン/ブルース・ウェインを再演するなど、高い注目度を誇っている。『ザ・フラッシュ』は2024年3月6日にはNetflixでも配信される。

そのような『ザ・フラッシュ』の目玉にもなっているバットマン/ブルース・ウェインだが、『ザ・フラッシュ』ではどのようなバットマン/ブルース・ウェインが登場するのだろうか。本記事ではそこに注目し、解説と考察をしていきたい。

なお、本記事は『ザ・フラッシュ』のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ザ・フラッシュ』の内容に関するネタバレを含みます。

DCEUのバットマン/ブルース・ウェイン

『ザ・フラッシュ』の冒頭より登場し、ジャスティス・リーグの戦略家という参謀を務めるのが、ベン・アフレックが演じるバットマン/ブルース・ウェインだ。ベン・アフレックはお蔵入りした『スーパーマン・リヴス』で脚本を担当したケヴィン・スミスがスーパーマン/クラーク・ケント役の候補に挙げたほど体格が良く、白髪交じりの50代ということも相まって長年戦ってきたバットマン像を巧く表現している。

本編中では『ジャスティス・リーグ』(2017)で登場したフライング・フォックスと思わしき飛行機からバットサイクルに乗って現れ、病院からウィルスを盗み出したファルコーネファミリーを追っている。このバットサイクルはアンディ・ムスキエティ監督のオファーにより、戦車や破城槌をモチーフにした重装備のものとなっている。

また、ファルコーネファミリーは『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022)にも登場する「バットマン」シリーズではお馴染みのマフィアで、DCEUの世界でも相変わらずゴッサムを根城にしていることがわかる。

ベン・アフレックは『ザ・フラッシュ』を最後にバットマン/ブルース・ウェインの卒業を発表しており、インタビューで最後にバットマンの心情を語れてよかったと話した。そのため作中ではガル・ガドット演じるワンダーウーマン/ダイアナ・プリンスのヘスティアの真実の縄で「マスクをつけるのは過去のトラウマが原因」と話してしまい、エズラ・ミラー演じるフラッシュ/バリー・アレンとの会話の中では「過去の痛みが今の自分を作った」と説いている。

アース-89のバットマン/ブルース・ウェイン

エズラ・ミラー演じるフラッシュ/バリー・アレンが時間改変をしてしまった世界のバットマン/ブルース・ウェインが、ティム・バートン監督作『バットマン』と『バットマン リターンズ』でマイケル・キートンが演じたバットマン/ブルース・ウェインだ。『ザ・フラッシュ』の世界ではジョーカーとペンギンの犯罪を食い止めた後、ゴッサムシティは世界一安全な街になったと語っており、それに伴い世捨て人のように暮らしている。

筋骨隆々なベン・アフレック版バットマン/ブルース・ウェインとは異なり、マイケル・キートン版バットマン/ブルース・ウェインは1989年のキャスティング時点でティム・バートン監督の要望により、細身でゴシックな印象を受けるようになっている。ティム・バートン監督は筋骨隆々ならばそもそもバットマンなどにならないと考えており、アース-89と定義される『バットマン』と『バットマン リターンズ』の世界のバットマン/ブルース・ウェインをゴシック調のキャラクターと印象づけた。

スーツのデザインもゴシック調になっており、フラッシュ/バリー・アレンも軽くネタにしているが、頭から首、肩にかけての流線型のデザインと防弾としての構造を両立させるため、スーツは首が曲げられないのが特徴だ。

『ザ・フラッシュ』では特徴的なバットモービルとバットウィングが登場している。バットモービルは1960年代のシボレー・コルベット・スティングレイをモデルにしたデザインで、当時の制作費は3億円近くかかり、かのマイケル・ジャクソンも欲しがったと言われる。バットウィングは胸のシンボルマークに似たデザインで、こちらもティム・バートン監督作品らしさのあるデザインだ。他にもバットケイブにはジョーカーとの戦いでの戦利品として、笑い袋が残されている。

また、台詞でもティム・バートン監督作品の影響が見て取れ、スーパーガール/カーラ・ゾー=エル救出時に体重を聞くのは『バットマン』でカメラマンのヴィッキー・ベールを助け出す場面から来ており、電気椅子でスピードスターに再びなろうとするフラッシュ/バリー・アレンに対して「ヤバいだろ? もっとだ(Now you wanna get nuts? Come on! Let’s get nuts)」という台詞は、同じく『バットマン』でジョーカーに対してブルース・ウェインとして発した台詞で、海外ではネットミームにもなっている。

クライシスの世界のバットマン/ブルース・ウェイン

エズラ・ミラー演じる二人のフラッシュ/バリー・アレンがクロノボウルで過去に遡る中、宇宙同士が衝突(クライシス)が発生。そこでジョーカーと戦っているのは『怪鳥人間バットマン』(1966-1968)のアダム・ウェストが演じるバットマンだ。この世界はアース-66と定義づけられている。

この世界のバットマン/ブルース・ウェインはバート・ウォード演じるロビン/ディック・グレイソンやイヴォンヌ・クレイグ演じるバットガールと共に犯罪と戦っている。『ザ・フラッシュ』の中でフラッシュ/バリー・アレンが「バットなんたらでどうにかしよう」と言うような「バットなんたら」が多く登場するのも特徴だ。

アダム・ウェスト版バットマン/ブルース・ウェインとバート・ウォード版ロビン/ディック・グレイソンが乗るリンカーン・フューチュラは車のファンにとっては垂涎のもので、コンセプトカーであるため、この世に一台しか存在していない。

変わってしまったバットマン/ブルース・ウェイン

時間改変を食い止め、すべてを解決したと思っていたエズラ・ミラー演じるフラッシュ/バリー・アレンの目の前に現れたのが、ジョエル・シュマッカー監督作『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』でバットマン/ブルース・ウェインを演じたジョージ・クルーニーだ。『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』ではバットマン/ブルース・ウェインはクリス・オドネル演じるロビン/ディック・グレイソンとアリシア・シルヴァーストーン演じるバットガール/バーバラ・ウィルソンと共に犯罪と戦っている。

ジョージ・クルーニーは『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』に批判的なことで知られ、公開当時は『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』そのものが「玩具のCM」「同性愛の暗示が多い」と批判の対象となってしまった。

『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』にはファンの間では悪名高い乳首の付いたスーツが登場し、それに対してもジョージ・クルーニーは批判的なコメントをしたとされる。この乳首付きのデザインはジョエル・シュマッカー監督がギリシャ彫刻をイメージしてオファーしたとされるが、その装着場面で股間や臀部のアップになる演出も批判の的になった。

また、アーノルド・シュワルツネッガー演じるMr.フリーズの専用車にバットモービル、バットウィングにバットボート、更には氷上専用のバットハマーなど玩具のCMと批判された通り、グッズ展開を意識した部分が見受けられる。

そのような多くの批判にさらされ、続編の制作も頓挫したため、ジョージ・クルーニーとしては苦い思い出になっていると考えられていたが、今回は奇跡的に再演してくれることになった。しかし、ジェームズ・ガン共同CEO曰く、これは正式にベン・アフレックの後任がジョージ・クルーニーになったわけではないらしく、同じくアンディ・ムスキエティが監督に就任することが決定した『バットマン ブレイブ・アンド・ザ・ボールド(原題:Batman Brave and the Bold)』で誰がバットマン/ブルース・ウェインを演じるかは未定だ。

『ザ・フラッシュ』の時間改変によってキャスティングを変えたわけだが、今後どのようにバットマン/ブルース・ウェインのキャスティングの理由付けをするのか。DCUの今後に注目していきたい。

『ザ・フラッシュ』は2024年3月6日よりNetflixにて配信開始。

ザ・フラッシュ公式サイト

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『ザ・フラッシュ』ポストクレジット記事解説はこちらから。

『ザ・フラッシュ』におけるマルチバースの解説&考察記事はこちらから。

スピードスターに関する解説記事はこちらから。

『ザ・フラッシュ』を取り巻く問題と続編制作に関する記事はこちらから。

『ザ・フラッシュ』のヴィランとスーパーガールについての解説&考察はこちらの記事で。

DCU最初の映画となる『ブルービートル』予告の解説&考察はこちらから。

『ザ・フラッシュ』公開までの経緯のまとめはこちらから。

DCU10年計画『神々と怪物』の全作品の紹介はこちらから。

ヘンリー・カヴィルのスーパーマン降板に関する経緯はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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