『ザ・フラッシュ』続編は製作される?エズラ・ミラーとスタジオを取り巻く環境と問題を解説 ネタバレ考察 | VG+ (バゴプラ)

『ザ・フラッシュ』続編は製作される?エズラ・ミラーとスタジオを取り巻く環境と問題を解説 ネタバレ考察

©2023 WBEI TM & ©DC

2023年6月16日全世界同時公開

主演のエズラ・ミラーの相次ぐ不祥事にDCEU(DCエクステンデッドユニバース)からDCU(DCユニバース)への再構築(リランチ)に伴うお家騒動、さらにはジェームズ・ガン共同CEOが新しく就任したことで新体制が発足するなど様々な騒動の中で全世界公開された『ザ・フラッシュ』。その『ザ・フラッシュ』が2024年3月6日にNetflixより配信が開始された。

本記事の公開時点で公開されて日も浅いが、誰もが気になっているのが「『ザ・フラッシュ』に続編があるのかどうか」という点だろう。本記事ではそれらの点から『ザ・フラッシュ』を取り巻く状況を解説と考察していこう。

初週興行成績はどうか

続編の計画については海外メディアの情報によると『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022)の興行成績に到達すれば、第2弾は決定するとのことだ。『THE BATMAN-ザ・バットマン-』は全世界で約7億7000万ドルの興行成績を出しているため、それを超える必要があるとされている。

そうなると問題になるのが、初週興行成績だ。『ザ・フラッシュ』の全米初日興行成績は約2450万ドルで初登場首位スタートとなった。しかし、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』は全米初週日行成績が約5660万ドル、興行的に失敗したと言われる『ブラックアダム』(2022)の全米初日興行成績が約2668万ドルであるため、首位とはいえかなり厳しいスタートを切ったと言えるだろう。

製作費が2億ドルと言われていることも考えると、『ザ・バットマン』を超える7億ドル強の興行成績を出すにはなかなか難しい初週日行成績となったと考えられる。ここから初週興行収入を伸ばせるかどうかが勝負どころとなるが、それも想定を下回る約5510万ドルとなった。同じ6月公開のライバルとなる映画たちの初週興行成績と比較してみよう。同じくマルチバースを題材にした『スパイダーマン :アクロス・ザ・スパイダーバース』(2022)は全米初週興行成績が約1億2050万ドルと前作の4倍近い数字でスタートし、今年の映画では『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2022)に次ぐ2位の結果を叩き出している。

また、スパイダーマンたちが首位を守っていた全米の映画ランキングで、その『スパイダーマン :アクロス・ザ・スパイダーバース』を破り、その週の1位になったのが『トランスフォーマー/ビースト覚醒』(2022)だ。その全米初週興行成績は約6050万ドルで、製作陣の想定の1.5倍という成績となった。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』は米映画評論サイトロッテントマトで評論家53%、観客91%という評価を獲得しており、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』と同じく評論家と観客の評価が分かれた形となっている。

『ザ・フラッシュ』のロッテントマトでの評価は評論家67%、観客86%と、評論家と観客の評価が双方とも高い『スパイダーマン :アクロス・ザ・スパイダーバース』と意見が真っ二つに割れた『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』や『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の中間点となっている。

アンディ・ムスキエティ監督「キャスト変更はない」

この初週興行成績に響いていると思われるのが4年かけて製作された『ザ・フラッシュ』の主演のエズラ・ミラーの相次ぐ不祥事だ。暴行や強盗での二度の逮捕、大麻と銃まみれの農場という不適切な環境に子供3人を住まわせる、少女へのグルーミング(子供からの信頼を得て関係性を操る行為のこと。主に未成年への性犯罪で用いられる)で接近禁止命令や告発を受ける、そして不法侵入での有罪判決など、あまりにも多すぎる不祥事が続いた。

そこにエズラ・ミラーがこのような状況なのをワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー上層部が問題行動が報じられていながら逮捕されるまで放置していたこと、そして有罪判決後にエズラ・ミラーがワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーらスタジオに謝罪し、エズラの逮捕後にワーナーがサポートしていくことを表明、スタジオらが資金援助してエズラ・ミラーに精神科での治療を受けさせるという事態まで重なった。それが予算や利益を理由にワーナーが映画をお蔵入りにしてきたことなどと組み合わさり、映画外からの大きなノイズとなって、マイケル・キートンのバットマン復帰といった目玉企画を用意しても客足が遠のいてしまった原因の一つだと考えられる。

これに関して、ファンたちはエズラ・ミラーのリキャストがあるのではないかと考えたが、アンディ・ムスキエティ監督はそれを否定。そしてエズラ・ミラー以上にフラッシュ/バリー・アレンをうまく演じられる俳優はいないとコメントした。これに憤慨したのが9年間「フラッシュ」というキャラクターを支え続けたアローバースのドラマ『THE FLASH/フラッシュ』(2014-2023)のファンたちだ。

 

これまでグラント・ガスティンがフラッシュ/バリー・アレンを演じ続けたが、DCとワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーとThe CWの予算問題や方針転換なども相まって終了となった『THE FLASH/フラッシュ』。『ザ・フラッシュ』よりも先に様々な映画作品とクロスオーバーを果たし、「スターウォーズ」シリーズでお馴染みのマーク・ハミルがトリックスターというヴィランとして出演した『超音速ヒーロー ザ・フラッシュ』(1990-1991)とも共演するなど、積極的にマルチバースの演出に取り組んできたこともあってアローバース版フラッシュは根強いファンを獲得していた。

「エズラ・ミラー以上にフラッシュ/バリー・アレンをうまく演じられる俳優はいない」という無意識ながらその神経を逆なでするような失言をアンディ・ムスキエティ監督してしまったのは、このタイミングでは痛いところだ。また、元々グラント・ガスティンがエズラ・ミラーに代わって映画版でもフラッシュ/バリー・アレンを演じるという噂もあったため、この発言は『ザ・フラッシュ』を取り巻く炎上に油を注ぐ形となってしまった。

エズラ・ミラーを取り巻く環境

海外の評論家の中ではグルーミングをしていると告発されたエズラ・ミラーを起用し続けるスタジオに対し、「ハリウッドは#Metoo運動をもう忘れてしまったようだ」と手厳しいコメントをする評論家もいた。このようにエズラ・ミラーのキャスティングに関しては映画の内容だけではなく、映画外での行動、特にグルーミングという未成年に対する性犯罪に繋がりかねないことをしたと告発されていることを考慮すべきだという批判が多くあがった。

報道されるまでこれらを放置していたスタジオの問題と、精神科での治療をはじめたばかりのエズラ・ミラーをまたすぐに映画などの世界に駆出すことは不適切だと考えられる。何故ならば、これらの問題は解決にかなりの時間を要するからだ。

特に精神科での治療は一朝一夕で解決するものではなく、逮捕や有罪判決まで出ているほどのものならば数年かけての治療なども考えられる。それをすぐに続編のために出演させるのは適切とは思えない。

結局どうなるのか

様々な問題を抱えながら走り続ける『ザ・フラッシュ』。特に興行成績的に失敗作として扱われた『ブラックアダム』よりも初週興行成績を下回ってしまったのは痛いだろう。また、『ブラックアダム』ではブラックアダムを演じた主演のドウェイン・ジョンソンが興行的失敗の責任を押し付けられて降板させられたという噂も流れたこともあり、そのような「興行成績の失敗はすべて主演の責任。だから主演を降板させる」というモデルケースにならないことを祈るばかりだ。

エズラ・ミラーの不祥事は有罪判決も出ており、簡単に許されるべきものではないものも多い。しかし、その一方でそれらの不祥事を知りながら報道されるまで放置してきたスタジオ側にも責任があり、興行成績などの責任問題はスタジオも含めた上層部など多数にあると考えられる。それを踏まえると続編計画はかなり不透明なものになっていると考えられる。単純に映画外のノイズを無視して期待だけを向けるメディアと観客も襟を正さなければならない映画でもあるだろう。そのような意味では『ザ・フラッシュ』はキャッチコピー通り、映画とメディアや観客の付き合い方という世界を変えた映画と言える。

ジェームズ・ガン共同CEOのもとでDC10年計画第1章「神々と怪物」がはじまったばかりのDCU。その行く先に注目していきたい。

『ザ・フラッシュ』は2024年3月6日よりNetflixにて配信開始。

ザ・フラッシュ公式サイト

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『ザ・フラッシュ』ポストクレジット記事解説はこちらから。

『ザ・フラッシュ』におけるマルチバースの解説&考察記事はこちらから。

『ザ・フラッシュ』に登場するバットマンについての記事はこちらから。

スピードスターに関する解説記事はこちらから。

『ザ・フラッシュ』のヴィランとスーパーガールについての解説&考察はこちらの記事で。

DCU最初の映画となる『ブルービートル』予告の解説&考察はこちらから。

『ザ・フラッシュ』公開までの経緯のまとめはこちらから。

DCU10年計画『神々と怪物』の全作品の紹介はこちらから。

ヘンリー・カヴィルのスーパーマン降板に関する経緯はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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