橋本愛が演じる スーパーガールは何者?『ザ・フラッシュ』新予告考察&解説 | VG+ (バゴプラ)

橋本愛が演じる スーパーガールは何者?『ザ・フラッシュ』新予告考察&解説

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世界同時公開決定、ワーナー・ブラザーズ100周年記念『ザ・フラッシュ』

ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーが100周年記念動画のラストシーンに持ってくるなど、DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)からDCU(DCユニバース)への再構築(リランチ)以上に大きな意味を持つようになった『ザ・フラッシュ』(2023)。その日本語吹替キャストが2023年5月19日に発表された

エズラ・ミラー演じるフラッシュことバリー・アレンの吹替声優は『ジャスティス・リーグ』でもフラッシュの吹替声優を務めた細谷佳正、ベン・アフレック演じるバットマンことブルース・ウェインは小原雅人が続投することが発表されている。

『バットマン』(1989)からの復帰となるマイケル・キートン演じるバットマンの声優は七色の声を持つと言われる山寺宏一に決定した。そして物語の鍵を握るスーパーガールの声優はオーディションの末に橋本愛に決定した。日本語吹替声優が揃うなど、多くの情報が公開されたが、それでもなお、謎は残っている。その中でも特に注目すべきはゾッド将軍たちヴィランたちの存在だろう。

コミックの『フラッシュ・ポイント』を下敷きとした『ザ・フラッシュ』はエズラ・ミラー演じるバリー・アレン/フラッシュが母親のノラ・アレンの死とそれによって無実の罪で服役することになった父親のヘンリー・アレンを救うべく、過去に戻って時間改変してしまう物語だ。

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しかし、それによって歴史全体が変わり始め、スーパーマンは消失してしまう。世界は鋼の男、スーパーマンを失った状況にもかかわらず、『マン・オブ・スティール』(2013)で発生したゾッド将軍たち過激派のクリプト人の襲来とジェネシス・チェンバーとワールド・エンジンによる人類滅亡計画が起きてしまう。

本記事では『ザ・フラッシュ』新予告からクリプト人たちを含めたヴィランに関する考察を行なっていこう。なお、本記事の内容は公式から発表されている範囲のキャラクターの設定に関する情報を含むので、コミックなどの情報を含めて最低限の情報を以外をいれたくないと思われている方は注意していただきたい。

クリプト人たちに何が起きたのか

ゾッド将軍の復活

前述の通り、予告編の中ではバリー・アレン/フラッシュの時間改変により、『マン・オブ・スティール』(2013)でクラーク・ケント/カル=エル/スーパーマンに倒されたはずのゾッド将軍が復活し、『マン・オブ・スティール』と同じくクリプトン復興のためにジェネシス・チェンバーとワールド・エンジンによって地球を滅ぼそうとする様子や、人類側についた一人のクリプト人を引き渡すように電波ジャックする様子が描写されている。

おそらく、歴史改変の余波により『マン・オブ・スティール』で発生した事件の発生時期がずれてしまったのだと考えられる。しかし、バリー・アレンの時間改変とメタ的な理由によって鋼の男ことスーパーマンは存在しない。原作の『フラッシュ・ポイント』では時間改変後のアメリカの鋼の男はヴィクター・ストーン/サイボーグが担い、クラーク・ケント/カル=エル/スーパーマンは政府の地下施設に長年監禁され続けていた。

“鋼の男たち”の去ったユニバース

しかし、DCEUのサイボーグはレイ・フィッシャーがスタジオの差別問題とパワハラを告発して去っているため登場しないものと思われる。また、ヘンリー・カヴィル版スーパーマンも『ブラックアダム』(2023)で一時復帰したが、ジェームズ・ガン共同CEOが脚本を執筆する『スーパーマン:レガシー(原題:Superman:Legacy)』にはマッチしないということでリキャストされている。

なお、このタイミングでブラックアダムを演じたドウェイン・ジョンソンの頼みもあってスーパーマン復帰のためにシーズン3以降の降板を発表したと言われている『ウィッチャー』(2019-)のシーズン3の予告編が公開されるという皮肉なことが起きている。

ヘンリー・カヴィルは「ウィッチャー」シリーズの大ファンであり、それを降板してスーパーマンに復帰した噂されていただけに『ブラックアダム』のエンドクレジットに一瞬登場して、『スーパーマン:レガシー』に合わないとリキャストされたことにファンたちは騒然となった。

しかし、クラーク・ケント/カル=エル/スーパーマンの役割はサッシャ・カジェ演じるリンダ・リー・ダンバース/カーラ・ゾー=エル/スーパーガールが担うことが発表されていたため、DC全体では大きな騒動になったが『ザ・フラッシュ』単体ではそこまでの反発は起きていない印象だ。それでも一つの謎が生まれる。それは新予告内でのスーパーガールのコスチュームとゾッド将軍との関係だ。

スーパーガールは何者なのか

故郷を知らないクリプトン人

橋本愛が吹替声優を務めることになったリンダ・リー・ダンバース/カーラ・ゾー=エル/スーパーガールは『ザ・フラッシュ』では長年地下施設に監禁されていたため、外界を知らない様子だったが、スーパーガールはコミックなどではスーパーマンの従姉妹である。崩壊するクリプトンから脱出する際はスーパーガールの方が年上だったが、宇宙を漂流する中でスーパーマンと年齢が逆転してしまったことになっている設定が多い。ドラマシリーズで小松未可子が吹替声優を務めたアローバース版『SUPERGIRL/スーパーガール』(2015-2021)ではそれが強調されている。

アローバース版『SUPERGIRL/スーパーガール』では惑星クリプトンから脱出するときは、スーパーガールは13歳の少女、スーパーマンは赤ん坊で別々の脱出ポットで飛び立つも、スーパーガールは時間が停止した宇宙空間のファントム・ゾーンに迷い込み、スーパーガールが地球にたどり着いた際にはスーパーマンは成人してヒーロー活動を始めているという設定だった。

『ザ・フラッシュ』ではそもそもスーパーマンの存在がバリー・アレン/フラッシュの歴史改変によって概念ごとまとめて消滅し、時間改変以前の記憶を持つバリー・アレンしかスーパーマンの存在を知らないかのような演出がなされている。

地下施設に赤ん坊の頃から幽閉されていたという『フラッシュ・ポイント』でのスーパーマンの設定がスーパーガールにも適用されているのか、初登場時は入院着のような恰好で、スーパーガールのコスチュームになってからは胸の「S」の字に似たエル家の紋章を知らず、バリー・アレンから「それは希望の象徴だよ (It means hope, right?)」だと教わっている。

そのように地球のことはおろか、故郷である惑星クリプトンのことも知らないような状況にもかかわらずゾッド将軍との戦いに協力し、「何をした!」と叫ぶような描写があるなどゾッド将軍との間に因縁があるかのような演出もされている。そもそも、監禁され続けてきたスーパーガールにとって地球を守るために戦う理屈があるとは思えない。更に言えばスーパーガールとアース-89出身と思われるマイケル・キートン版ブルース・ウェイン/バットマンと協力関係にある理由も不明だ。

そうなると惑星クリプトンで罪に問われてファントム・ゾーンに送られていたゾッド将軍と、自身の家であるエル家の紋章を知らない故郷を知らないクリプトン人のスーパーガールの間に何があったのか、より一層謎は深まる。

メインヴィランは誰なのか

そして『ザ・フラッシュ』新予告の最大の謎が「『ザ・フラッシュ』のメインヴィランは誰なのか」という点だ。現時点で登場しているヴィランはゾッド将軍率いる過激派のクリプトン人だが、スーパーガール、二人のフラッシュ、二人のバットマンでゾッド将軍たちと戦うとすればヒーロー側が過剰戦力になってしまうように思える。

ここに現時点でDCEUに残留しているジャスティス・リーグのメンバーのアクアマンやワンダーウーマンも参戦したならば過剰戦力だ。原作の『フラッシュ・ポイント』ではアクアマン率いるアトランティスとワンダーウーマン率いるアマゾネスの戦争によってヨーロッパが沈むなど二人は重要な役どころにあり、なおかつベン・アフレックがインタビューの中でワンダーウーマンの登場を匂わせる発言もしている。しかし、日本語版公式から「ワンダーウーマンやアクアマンは消えた」旨の発言もされているため、ヒーローがどれだけ残っているのかはわからない。それであっても、バットマンとスーパーガール、そしてフラッシュたちヒーローチームにゾッド将軍たちは勝てるのだろうか。

更には、ゾッド将軍はあくまでもフラッシュの起こした時間改変の副産物であり、物語の核となるバリー・アレンの母親のノラ・アレンの殺害犯ではないという点も、ゾッド将軍がメインヴィランではない可能性として挙げられるだろう。それを踏まえると、コミックなどでノラ・アレンを殺害したリバース・フラッシュか、時間改変に伴って現れるブラック・フラッシュ(ダーク・フラッシュ)などがメインヴィランになる可能性が高いのではないだろうか。

宿敵のスピードスターたちの存在

リバース・フラッシュが登場か

リバース・フラッシュは赤い稲妻マークのついた黄色いスーツで赤い稲妻を放つという、黄色い稲妻マークのついた赤いスーツで黄色い稲妻を放つフラッシュと正反対の姿をしたスピードスター(超高速移動できるキャラクターたちの総称)で、イオバード・ソーンやハンター・ゾロモンといったキャラクターがリバース・フラッシュとなることが多い。リバース・フラッシュは未来においてフラッシュの宿敵であり、フラッシュを倒すために過去に戻り、バリー・アレンの母親であるノラ・アレンを殺害した設定となっていることが多い。

そういった意味ではリバース・フラッシュは原作やアローバース版の『フラッシュ・ポイント』のきっかけであり、アロ-バース版『THE FLASH/フラッシュ』では幼いバリー・アレンに赤い閃光と黄色い閃光、つまりは未来のバリーアレン/フラッシュとリバース・フラッシュがノラ・アレンを巡って戦う姿が過去の自分自身に目撃されている。

リバース・フラッシュは原作コミックでも幾度となくフラッシュと戦い、なおかつアローバースにおいては様々な局面で裏からかかわっていた。歴史改変も厭わないリバース・フラッシュならば、フラッシュたちヒーローはおろか宇宙規模で影響を及ぼしてもおかしくはない。

歴史の修正力の可能性

もう一つの可能性として考えられるのが、歴史の修正力の存在だ。フラッシュたちスピードスターは運動エネルギーの世界であるスピードフォースから力を得ているとされている。そして、スピードフォースには生き物のような性質が存在し、歴史が改変される、もしくは時間軸から外れた存在であるスピードスターなどが歴史改変を行なおうとするとそれを修正しようとする設定が多い。

スピードフォースがスピードスターの歴史改変を食い止めるために送った存在にブラック・フラッシュ(ダーク・フラッシュ)が存在する。ブラック・フラッシュ(ダーク・フラッシュ)はアローバースにおいて登場し、複数の作品で物語の核になったこともあった

ブラック・フラッシュ(ダーク・フラッシュ)は文字通り黒いコスチュームを身にまとったフラッシュに似たスピードスターだが、その中身はリバース・フラッシュのような人間のヴィランではなく一種の死神に近い存在とされる。破けたスーツから見える肉体は爛れたゾンビのようで、時間軸を乱し、そこから外れた存在で文字通り死から逃げることのできるスピードスターを追う存在だ。

ブラック・フラッシュ(ダーク・フラッシュ)と同様の存在にスキー板に乗った黒いフラッシュのような死神のブラック・レーサーが存在している。ブラック・レーサーは“神々の死神”の顔も併せ持ち、コミックの「ジャスティス・リーグ:ダークサイド・ウォー」シリーズでは惑星アポコリプスの暴君にしてニューゴッズという種族(一種の神々)のダークサイド反物質宇宙の支配者のアンチモニターの神々の戦いに登場し、ダークサイドが対アンチモニターの切り札として利用している。

しかし、アンチモニターがそれを逆手に取り、フラッシュにブラック・レーサーをぶつけることでフラッシュを神々の死神へと変貌させた。映画『ザ・フラッシュ』でバリー・アレン/フラッシュが宇宙規模の歴史改変をした事実を考えると、ブラック・レーサーが現れ、そしてどちらか片方のフラッシュを取り込み“神々の死神”になる展開も考えられる。

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DCUの明日はどっちだ

『ザ・フラッシュ』によってDCEUをリセットし、DCUへと生まれ変わることが決まっているDC映画。DCエルスワールズという名称で一部の作品はDCUへの改変の波に飲み込まれずに存続することが決定しているが、現時点で確定しているのはマット・リーヴス監督作、ロバート・パティンソン主演の『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022)と続編映画『ザ・バットマン Part Ⅱ(原題: The Batman Part II)』やドラマ『ザ・ペンギン(原題:The Penguin)』などのバットバースと、トッド・フィリップ監督作、ホアキン・フェニックス主演の映画「JOKER」シリーズの2シリーズだ。

それだけではなく、このリセットによってどの作品が存続し、どの作品が残されないのかも不明瞭な点が多い。例をあげればジェームズ・ガン共同CEO曰く、ヘンリー・カヴィルはジェームズ・ガン共同CEOが脚本を務める『スーパーマン:レガシー』に合わないので降板は確定しているが、ワンダーウーマンとしてのガル・ガドットは続投するとのことだ。

そのためDC10年計画第1章『神々と怪物』で制作が決定している『スーパーガール ウーマン・オブ・トゥモロー(原題:Supergirl Woman of Tomorrow』でも、『ザ・フラッシュ』で初のコロンビア系のスーパーガールを演じたサッシャ・カジェと吹替声優として橋本愛が続投するのかはわからないのが現状だ。

バリー・アレン役のエズラ・ミラーの相次ぐの不祥事や逮捕、ビリー・バットソン/シャザム役ザッカリー・リーヴァイ氏の不謹慎発言など問題児を抱えた状況のDCEU。それをDCUへとリセットする大任をワーナー・ブラザーズ100周年記念と共に背負った『ザ・フラッシュ』でスーパーガールはどのような活躍をし、そしてDCEU最後のヴィランを務めるのは誰なのか。注目していきたい。

映画『ザ・フラッシュ』は2023年6月16日(金) 世界同時公開。

映画『ザ・フラッシュ』公式サイト

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DCU最初の映画となる『ブルービートル』予告の解説&考察はこちらから。

『ザ・フラッシュ』公開までの経緯のまとめはこちらから。

DCU10年計画『神々と怪物』の全作品の紹介はこちらから。

ヘンリー・カヴィルのスーパーマン降板に関する経緯はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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