『ザ・フラッシュ』 登場マルチバース解説 ネタバレ考察 | VG+ (バゴプラ)

『ザ・フラッシュ』 登場マルチバース解説 ネタバレ考察

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ワーナー・ブラザーズ100周年を記念する映画公開

ワーナー・ブラザーズ100周年を記念し、DCU(DCユニバース)の幕開けを記念する映画『ザ・フラッシュ』が2023年6月16日に公開された。公開前からエズラ・ミラーの相次ぐ不祥事やアンディ・ムスキエティ監督の失言など、トラブル続きの『ザ・フラッシュ』。トラブルに見舞われながらも、2024年3月6日にはNetflixで配信開始されることが決定した。

そのような『ザ・フラッシュ』だが、DCEU(DCエクステンデッドユニバース)からDCUへのリランチ(再構築)になるタイムループアドベンチャーと称し、マルチバースが題材となった注目作だ。では、『ザ・フラッシュ』で描かれるマルチバースとはどのようなものなのだろうか。本記事では解説と考察をしていこう。

なお、本記事は『ザ・フラッシュ』のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ザ・フラッシュ』の内容に関するネタバレを含みます。

起きてしまったクライシス

『ザ・フラッシュ』ではエズラ・ミラー演じるフラッシュ/バリー・アレンが何度も時間改変を行ったことで宇宙が崩壊し、宇宙同士が衝突するというクライシスが発生してしまっている。その中でDCの礎を築いた様々な宇宙と作品群を見ることができる。

最初のスーパーマンとフラッシュ

モノクロの世界で「鳥だ!飛行機だ!いや、スーパーマンだ!(It’s a bird! It’s a plane! It’s Superman!)」という大衆の声の中で立っているのが、ジョージ・リーヴスがスーパーマン/クラーク・ケントを演じた『スーパーマンの冒険』(1951-1958)の世界だ。

ジョージ・リーヴスはスーパーマン/クラーク・ケント役で一躍大スターになるも、そのイメージが強すぎてスランプに陥り、1959年に不可解な死を遂げる。これが今でも語り草になっている「スーパーマンを演じた人間は不幸になる」と言われる「スーパーマンの呪い」のきっかけだ。

その世界の中心で走っているのは、父親譲りの軍のヘルメットに翼をつけたギリシャ神話のヘルメスをモチーフとするデザインの初代フラッシュのジェイ・ギャリックだが、初代フラッシュはこの頃に映像化されていないオリジナルキャラクターだ。

また、初代フラッシュというが元々2代目フラッシュ/バリー・アレンとの関わりはなく、コミックを読んだバリー・アレンがフラッシュと勝手に名乗っているだけであり、共演したが、以降の設定ではバリー・アレンはアース-1、ジェイ・ギャリックはアース-2という設定になっている。

スーパーマンとスーパーガール

カラーの世界でクライシスを見つめるのが1978年から1987年に公開された「スーパーマン4部作」で主人公のスーパーマン/クラーク・ケントを演じたクリストファー・リーヴによるスーパーマンだ。クリストファー・リーヴもジョージ・リーヴスと同じくスーパーマンの呪いの犠牲者として語られることが多く、クリストファー・リーヴは1995年に落馬事故で首から下が麻痺をする大怪我を負っている。

しかし、1997年にはナレーションで俳優業に復帰し、『裏窓』(1999)で車椅子の主人公を演じてみせた。クリストファー・リーヴは「クリストファー・アンド・ディナ・リーヴ麻痺資源センター」を開設し、自分と同じ障がいを抱える人を支援するなど、公私ともにスーパーマンのような人であった。

『スーパーマンII/冒険篇』(1980)の続編としてブランドン・ラウスがスーパーマン/クラーク・ケントを演じた『スーパーマン リターンズ』(2006)が公開されているが、そちらの世界とこちらの世界が同じものかは不明である。また、ブランドン・ラウスはアローバースで小さくなれるヒーローのアトム/レイ・パーマーを演じたほか、同じくアローバースのクロスオーバー『クライシス・オン・インフィニット・アース』(2019-2020)で再びスーパーマンを演じた。

クリストファー・リーヴ版スーパーマンの横にいるのが、ヘレン・スレイターが演じた『スーパーガール』(1984)のスーパーガール/リンダ・リーである。『スーパーガール』は3部作の予定だったが興行不振で1作で終わった。ジョン・ウィリアムズの「スーパーマンのテーマ」が流れ、スーパーマンの同僚のジミー・オルセンは登場するものの、同時期に制作された「スーパーマン4部作」との関係性は曖昧になっている。

ヘレン・スレイターはアローバース版『SUPERGIRL/スーパーガール』(2015-2021)でスーパーガール/カーラ・ダンバースの養母のイライザ・ダンバースを演じている。

巨大ロボット蜘蛛とスーパーマン

巨大なロボット蜘蛛と戦う長髪のニコラス・ケイジ演じるスーパーマンはティム・バートン監督やケヴィン・スミスらが脚本として心血を注ぎながらも日の目を浴びることのなかった『スーパーマン・リヴス』だ。ニコラス・ケイジは息子にスーパーマンの本名であるカル=エルと名付けるなど、熱烈なコミックファンで知られる。

『スーパーマン・リヴス』はお蔵入りとなってしまったが、ニコラス・ケイジの夢であったスーパーマンを演じることは、長編アニメーション『ティーン・タイタンズ・GO! トゥ・ザ・ムービーズ』(2019)で声優として夢が叶ったが、CGとはいえ実写ではこれが初となった。

また、巨大ロボット蜘蛛と戦っている理由と言えば、プロデューサーの“癖”としか言いようがない。ティム・バートン版「バットマン」シリーズや『スーパーマン リターンズ』の映画プロデューサーも務めたジョン・ピーターズは何かと巨大ロボット蜘蛛を出したがることで有名だ。

事実、Netflix制作『サンドマン』(2022)の以前に企画された実写版「サンドマン」ではモルフェウス、ルシファー、コリント人を三つ子にして最後は巨大ロボット蜘蛛と戦う脚本を提出した。その出来を見た原作者のニール・ゲイマンは最悪だと言い切り、自ら脚本をリークすることで企画を没にさせたほどだ。その後、ジョン・ピーターズは『ワイルド・ワイルド・ウエスト』(1999)で巨大ロボット蜘蛛を登場させている。

しかし、このサプライズをアンディ・ムスキエティ監督がインタビューで漏らしてしまい、20数年のサプライズを棒に振ったと非難されることもあった。

唯一無二のバットモービルに乗るバットマン

ジョーカーと戦うバットマンの宇宙も映し出されるが、これはアダム・ウェストがバットマン/ブルース・ウェインを演じたドラマシリーズ『怪鳥人間バットマン』(1966-1968)だ。作中でエズラ・ミラー演じるフラッシュ/バリー・アレンが語る「バットなんとか」が大量に登場する「バットマン」シリーズの一つだろう。

また、作中で登場するバットモービルは印象的で、このバットモービルは世界に一台しかない。これは比喩でもなんでもなく、コンセプトカーとして制作された1955年製リンカーン・フューチュラを改造したため、改造のもとになった車がそもそも一台しか存在しないのだ。リンカーン・フューチュラは『それはキッスで始まった』(1959)の撮影後取り壊される予定だったが、カスタムカー製作者のジョージ・バリスが1ドルで購入し、バットモービルへと改造した。

現在、リンカーン・フューチュラを手に入れるには実車からボブ・バッツが取った貴重な金型でつくられたレプリカしか手に入れる方法がなく、それであってもリンカーン・フューチュラのレプリカは10万ドルを優に超える。

オリジナルキャストなきクライシス

しかし、残念なことにオリジナルキャストが登場せず、すべてがのぺっとしたCGなのが引っかかる。アンディ・ムスキエティ監督はこれを時間軸を越える際のクロノボウルから見た、水中から覗き込むような演出としている。

アローバースではクライシスでオリジナルキャストを可能な限り集めたため、映画『ザ・フラッシュ』の潤沢な予算でそれができなかったのかと悔やまれる。今後のDCUではこのような展開はあるのだろうか。そこにも注目していきたい。

『ザ・フラッシュ』は2024年3月6日よりNetflixにて配信開始。

ザ・フラッシュ公式サイト

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『ザ・フラッシュ』ポストクレジット記事解説はこちらから。

『ザ・フラッシュ』に登場するバットマンについての記事はこちらから。

スピードスターに関する解説記事はこちらから。

『ザ・フラッシュ』を取り巻く問題と続編制作に関する記事はこちらから。

『ザ・フラッシュ』のヴィランとスーパーガールについての解説&考察はこちらの記事で。

DCU最初の映画となる『ブルービートル』予告の解説&考察はこちらから。

『ザ・フラッシュ』公開までの経緯のまとめはこちらから。

DCU10年計画『神々と怪物』の全作品の紹介はこちらから。

ヘンリー・カヴィルのスーパーマン降板に関する経緯はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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