『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が公開
映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が2019年12月20日(金) に公開され、週末の三日間で国内の興行収入は15億円を記録、全世界では約410億円を記録している。「エピソード9」を迎えた「スター・ウォーズ」シリーズは、『スカイウォーカーの夜明け』で42年にわたって紡がれてきたスカイウォーカー家の物語に終止符が打たれる。
「はるかな歴史が君の中に」
『#SWスカイウォーカーの夜明け』物語の完結は、劇場で!
大ヒット上映中🎬#ありがとうスターウォーズ pic.twitter.com/SYB7qN60uO
— スター・ウォーズ公式 (@starwarsjapan) December 22, 2019
“フィンポー”が人気に
一方で、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の公開を受けて、ファンの間ではキャラクター同士の関係性についても大きな話題になっている。レイとカイロ・レンのロマンスを指す“レイロ”、フィンとポーのロマンスを指す“フィンポー”という言葉は、ファンの間でもすっかり定着。これまでにも様々な二次創作作品が制作されてきた。
ポーを演じたオスカー・アイザックとフィンを演じたジョン・ボイエガも、劇中における二人の関係について繰り返し発言している。ボイエガは二人の関係について、「一線を越えてもおかしくないような愛情がある」と話している他、12月21日(土)に公開されたMTVのインタビューでは、「“レイロ”と“フィンポー”どちらの関係性がより強力か」という質問に、アイザックとボイエガの二人は「フィンポーに決まってる」と回答している。
The #StarWars saga ends with #TheRiseOfSkywalker, but that doesn’t mean we don’t have some burning questions! 🔥 Oscar Isaac, Daisy Ridley, @JohnBoyega, & @jjabrams weighed in on the more powerful relationship: Reylo or FinnPoe? 😂
Our full interview here: https://t.co/oYg6BFDJBs pic.twitter.com/6eIRGbAb3J— MTV NEWS (@MTVNEWS) December 20, 2019
「ロマンスよりも深い関係」発言に批判
これに対して、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の指揮をとったJ・J・エイブラムス監督は、「二人の関係は、ロマンス (恋愛関係) よりも深いものです」とVariety誌に語っている。フィンポーの関係は強固だとは認めながらも、劇中にロマンスを描かずに済むどこか都合のいい発言にも聞こえる。
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の公開後、このJ・J・エイブラムス監督の発言を批判したのは、作家で編集者のアンドリュー・ウィーラーだ。ウィーラーは自身のTwitterで以下のように投稿している。
JJ Abrams said Finn and Poe’s relationship is “far deeper than a romantic one”, and I can finally articulate why that bothered me so much.
What limit is he imposing here on romantic relationships between men?
What “depth” is denied them if their relationship is romantic?
— Andrew Wheeler (@Wheeler) December 24, 2019
J・J・エイブラムスはフィンとポーの関係を「ロマンスよりもはるかに深い関係」と発言しましたが、私がなぜこの発言が苦痛に感じるのかをようやくはっきり説明できそうです。彼 (J・J・エイブラムス監督) は男性間のロマンスに対して、どのような制約を課しているのでしょうか。もし二人の関係がロマンチックなものだった場合、どのような“深さ”が否定されるというのでしょうか。
アンドリュー・ウィーラーのこのツイートは、3,600以上の“いいね”を集めている。J・J・エイブラムス監督のフィンポーに対する「二人の関係はロマンスよりも深い」という発言は、二人のロマンスを認めないという姿勢の表明でもある。それが決められた設定なのであれば、二人のロマンスを認める必要はないが、二人の関係について「ロマンスよりも深い」とわざわざ“深さ”を設定する必要もないはずだ。
根底にホモフォビアはないか
J・J・エイブラムス監督は単にファンの間で人気になっているフィンポーの関係を否定することなく、設定上も無理のない表現を選んだのかもしれない。アンドリュー・ウィーラーは、そうした事情にも理解を示した上で、同監督を「臆病」と批判する。このような表現をすることで、男性同士が恋愛関係に至ることは質の低い関係だという表現の裏返しになってしまうことを危惧しているのだ。
Whatever deep bond Finn and Poe share, it is not undermined, diluted, mitigated, or debased if they are lovers.
If you think it is, you need to reflect on the homophobic attitudes that have been ground into your soul.
— Andrew Wheeler (@Wheeler) December 24, 2019
フィンとポーが恋人同士なのであれば、二人がどのような類の深い絆を共有しているとしても、それが損なわれたり、希釈されたり、緩和されたり、質が落ちたりすることはありません。
そうであり得ると思うのであれば、あなたは自分の魂に根付いたホモフォビア (同性愛嫌悪) 的な態度と向き合う必要があります。
J・K・ローリングにも批判
SFファンタジーの世界では、「ハリー・ポッター」シリーズの作者であるJ・K・ローリングが、ネット上でトランスフォビアの発言を繰り返し職を失った人物を擁護するツイートを投稿し、強い批判を浴びていた。「スター・ウォーズ」シリーズでルーク・スカイウォーカー役を演じたマーク・ハミルも、このJ・K・ローリングのツイートを“いいね”したことを釈明するツイートを投稿している。
Ignorance is no excuse, but I liked the tweet without understanding what the last line or hashtags meant. It was the 1st 4 lines I liked & I didn’t realize it had any transphobic connotation. https://t.co/vefcuZEQF9
— Mark HoHoHoHamill (@HamillHimself) December 20, 2019
フィンポーを巡る議論が活性化するのも、映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の盛り上がりとキャラクターへの愛情あってのこと。ファンの声援を受けて公式がそこに“乗っかる”ことも、近年では珍しいことではなくなった。だが、その表現によって生まれる眼差しが、誰にとってどのような意味を持つのかということは、常に省みる必要がある。
映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は、2019年12月20日 (金) より全国公開。