ネタバレ解説「新スースク」ハーレイ・クインはどう変わったか『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説「新スースク」ハーレイ・クインはどう変わったか『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』

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「新スースク」でハーレイ・クインはどう変わったか

映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』が2021年8月13日(金) より日本で公開された。「新スースク」の愛称で呼ばれる本作は、DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)の第10作目として製作され、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズで知られるジェームズ・ガン監督が指揮をとった。

R-15指定の過激な描写も織り交ぜつつ、“ヴィラン”と呼ばれてきた多様なキャラクターの内面を描き出す演出は、それぞれのキャラクターに魅力的な物語をもたらした。ラットキャッチャー2やブラッドスポート、ポルカドットマンにキングシャークら、新キャラの活躍も目立ったが、なんといってもDCEUのベテラン選手として存在感を発揮したのはマーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインだ。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』及び『スーサイド・スクワッド』(2016) の内容に関するネタバレを含みます。

DCEUでは3度目の登場

今ではすっかり“ハーレイ・クインといえばマーゴット・ロビー”という印象だが、DCEUでのハーレイ・クイン登場は「新スースク」で3度目。2016年公開の『スーサイド・スクワッド』と2020年に公開された『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』に続く登場だ。

「新スースク」では、これまでのハーレイとは違い、顔に入っていた「Rotten(腐敗した、不健全な)」という文字のタトゥーがなくなっている。その理由は米ScreenRantが実施したInstagramのストーリー機能を使ったジェームズ・ガン監督へのQ&A企画で、ジェームズ・ガン監督とハーレイを演じるマーゴット・ロビーの双方がこのタトゥーを「好きじゃなかったから」だと明かされている。

マーゴット・ロビーの意向もあり、その見た目から変化が現れた「新スースク」のハーレイ。では、マーゴット・ロビーとジェームズ・ガン監督は、その中身については、ハーレイにどのような変化をもたらしたのだろうか。

ジョーカーの呪縛

最大の変化は、ハーレイ・クインがようやく“ジョーカーの呪縛”から解き放たれたことだろう。2016年の『スーサイド・スクワッド』では、ハーリーン・クインゼル博士はジョーカーの手によってハーレイ・クインというキャラクターに生まれ変わり、最後にはジョーカーによって救われるという結末が待っていた。

映画『ハーレイ・クイン』では、ジョーカーと別れたことがストーリーの発端に。マーゴット・ロビーは同作に「ジョーカーが参加しないという前提が重要だった」と語っているが、一方で、実は21曲も使用された楽曲の中では、かなりジョーカーを意識した歌詞が歌われている。

各曲の歌詞の詳細はこちらに詳しいが、エンディングの「Diamonds」では「あんたとはもう終わり、いらないんだから離れるのは簡単」、「Smile」では「私の暗殺リストに入っている私の道化師」、「Bad Memory」では「あんたはただの悪い思い出」「バイバイ、私は自由」といった歌詞が登場する。ストーリー上はジョーカーのことを振り切ったハーレイの姿が描かれていたが、その心情を描写する音楽には最後までジョーカーの存在がチラついていた。

もちろん映画『ハーレイ・クイン』は、ハーレイがジョーカー/恋愛の呪縛から解き放たれ、自由になっていくプロセスを描いたものだったし、“ジョーカーありき”ではない新たなハーレイを描くには必要なプロセスだったと言える。そしてそのプロセスを経て、ようやくジョーカーとセットで語られないバージョンのハーレイ・クインが登場したのが「新スースク」だった。

「新スースク」で描かれたハーレイ

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』では、車で銀行に突っ込んだことで刑務所に入れられていたハーレイ・クインがスーサイド・スクワッドの“捨て駒チーム”に配置される。本作でのハーレイについて、マーゴット・ロビーは米ComicBookに以下のように話している。

もちろん、これらの映画(『スーサイド・スクワッド』『ハーレイ・クイン』『ザ・スーサイド・スクワッド』)は直接繋がっているわけではありません。しかし、俳優としては時系列で位置付けることができます。数年前にミスターJ(ジョーカー)といた時の彼女はどんな感じだったのか? 別れた後の彼女はどんな感じだったのか? そして、また少し経った後の彼女はどうなっているのか? 私は人生の様々なステージにいる彼女を見るのが好きなんです。

マーゴット・ロビーが話すように、「新スースク」のハーレイは新しいステージにいる。そこにジョーカーの影はなく、クーデターを起こしたルナ将軍との新たなロマンスも描かれる。

極め付けは、子どもまで殺すと言い放った将軍を躊躇なく葬ったシーンだ。好きになった相手が地雷を踏んだら即コロス。その後もハーレイはそのロマンスを全く引きずることはない。ジョーカーから強い影響を受けていた前二作とは違う、新しい姿のハーレイが映し出されている。

それを証明しているのが、ハーレイの背中にあるタトゥーだ。2016年の『スーサイド・スクワッド』で見られた背中のタトゥーは「Property of Joker(ジョーカーのモノ)」という文字が彫られている。しかし、今回の「新スースク」ではその文字が「Property of No One(誰のモノでもない)」に変わっているのだ。このタトゥーは、ハーレイがロス将軍と向き合うシーンでも映り込んでいる。

そして、「新スースク」のハーレイはとにかく自由だ。2016年版『スーサイド・スクワッド』へのアンサーのように捕まっても助けに来られる前に自力で脱出するし、圧巻のガンアクションに槍アクションで敵を圧倒する。脱走シーンで流れる曲の歌詞は「私はどこへでもいくただのジゴロ」「自分のいない人生なんてありえない」「私には誰もいない」と歌われている。“ジョーカーありき”だった『ハーレイ・クイン』の時の歌詞とは全く異なる。

この曲の詳細はこちらで紹介している。

ロマンスが描かれ、伝説っぽい槍でラスボスにとどめをさしたハーレイ・クイン。その様は、オールドスクールな冒険ものの主人公的なポジションを思わせる。人生の新しいステージに立ったハーレイは、DCEUで存在感を失っていくジョーカーとは対照的に、“自由”という確固たるポジションを築きつつある。

タトゥーも変わり、あっけらかんと自由に生きるハーレイ・クイン。「新スースク」で見せた新境地が、今後のDCEUでも更新されていくことに期待しよう。

映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』は2021年8月13日(金・祝)より全国で公開。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』公式サイト

 

なお、2017年公開の『ジャスティス・リーグ』の“完全版”で、2021年に公開された『ジャスティス・リーグ: ザック・スナイダーカット』においても、ハーレイ・クインの名前は登場している。しかし、その内容は2017年当時のハーレイの扱いを反映させたものになっている。詳細はこちらの記事で。

ラットキャッチャー2を演じたダニエラ・メルシオールについてはこちらの記事で紹介している。

「新スースク」で使用された全17曲はこちらの記事で詳しく紹介している。

ポストクレジットシーンとスピンオフについての解説はこちらから。

ジェームズ・ガン監督がネズミに込めた思いはこちらから。

 

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。 お問い合わせはコチラから
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