『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』ネズミに注目
DCが展開するDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)最新作『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』が2021年8月13日(金) より日本で劇場公開された。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズで知られるジェームズ・ガン監督作品とあって、ポップでユーモア溢れる作品に仕上がっていることはもちろん、R-15に設定された本作は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」では抑えられていた過激な演出も。「スーパーマン」や「バットマン」でお馴染みのDCコミックスのヴィランたちによる大暴れが存分に楽しめる内容となっている。
そして、動物好きのジェームズ・ガン監督が『ザ・スーサイド・スクワッド』に登場させ、印象的な姿を見せたのはネズミだ。ネズミを操るラットキャッチャー2がメインキャラクターの一人ということもあり、たっぷり見せ場が用意されていた。
それにしても、なぜネズミなのか。今回はジェームズ・ガン監督の発言からその理由を紐解いてみよう。
以下の内容は、映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』の内容に関するネタバレを含みます。
ガン監督が語ったネズミ愛
ジェームズ・ガン監督が『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』でネズミを重用した理由、それはジェームズ・ガン監督がネズミ好きだからに他ならない。2021年4月にファンの一人がTwitterでラットキャッチャー2の肩に乗るセバスチャンの姿を見つけた時、ガン監督は以下のようにツイートしている。
I had many pet rats growing up. They are much more intelligent & affectionate than gerbils, hamsters, guinea pigs & other small animals. I’m not a proponent of raccoons being pets, which we sadly popularized with GotG. But I’ll be happy if #TheSuicideSquad inspires more pet rats. https://t.co/Xpf1OXrUgj
— James Gunn (@JamesGunn) April 27, 2021
私は子どもの頃にペットとしてネズミを何匹も飼っていました。ネズミはスナネズミやハムスター、モルモットといった小動物よりも知的で愛情深い動物です。私はアライグマをペットにすることは推奨していません。不幸にも「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」で人気になってしまいましたがね。しかし、『ザ・スーサイド・スクワッド」をきっかけに、ネズミをペットとしてを飼う人が増えれば嬉しいです。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」で人気キャラクターとなったロケットを引き合いに出し、アライグマを飼うのは推奨しないが、ネズミをペットとして飼うことは推奨すると述べている。
日本ではアライグマはアニメ『あらいぐまラスカル』(1977) が広く知られ、動物園でも人気だが、アメリカでは都市部に住みついてゴミを荒らす凶暴な“害獣”として扱われている。故に「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のロケットがアライグマの印象を“不幸にも”変えてしまったとガン監督は話しているのだ。
つまり、ジェームズ・ガン監督がやろうとしたのは、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の逆バージョン。本当は心優しい小動物としてネズミを映画ファンに紹介しようとしていたのだ。
ラットキャッチャー2にも関係
そして、ジェームズ・ガン監督のネズミ好きは、ラットキャッチャー2の登場自体にも関わっていたようだ。2021年7月、米人気トーク番組の『ジミー・キンメル・ライブ!』(2003-) にハーレイ・クイン役のマーゴット・ロビー、ピースメイカー役のジョン・シナと共に出演したガン監督は、以下のように語っている。
ネズミは最高なものの一つです。私がラットキャッチャー2——ポルトガル出身の若手俳優ダニエラ・メルシオールが演じています——をこの映画に登場させたいと思ったのには理由があります。
私が「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を作ったときにロケットを登場させると、突然世界中から「アライグマをペットにしました」という人から連絡が来るようになったんです。しかし、アライグマはペットとしては良くありません。
ネズミはペットにするには世界最高の小動物なんです。スナネズミよりも良いですし、ハムスターのように噛みませんし、喧嘩もしない、モルモットのようにおバカでもありません。馬と同じくらい賢いんです。小動物を飼いたいと思っている方には、ネズミがお勧めです。
Twitterで語っていたのと同じように、ラットキャッチャー2を登場させたかった理由の一つとして、ネズミへの愛を語っている。
※ここでジェームズ・ガン監督が話しているのは「マウス」ではなく「ラット」のこと。日本語にすると両方「ネズミ」だが、「ラット」の方が人に懐きやすいという特徴がある。ネズミをペットにしたいと思った方は、飼育に向いている種類かどうかを確認の上、責任を持って飼育していただきたい。
ネズミの数は30万匹
ジェームズ・ガン監督は同番組で、ネズミのセバスチャン役として『ザ・スーサイド・スクワッド』に出演した二匹のネズミの名前を“ジョーズ”と“クリスプ・ラット”と紹介(もちろんジョーズはあのサメ映画から、クリスプ・ラットは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」でクイルを演じるクリス・プラットから名前を取っている)。そして、「それに加えて30万匹のネズミ」が本作に登場していると話している。もちろんそれらのネズミはCGによって描かれているわけだが、確かに映画のクライマックスではその量で巨大な敵を圧倒していた。
劇中には、幼い頃のラットキャッチャー2が父に「なんでネズミなの?」と問いかけ、父のラットキャッチャーが「ネズミはこの世の底辺にいて最も嫌われてるけど、ちゃんと生きてる。私たちと同じだ」と答えるシーンが登場する。「ガーディアンズ・ギャラクシー」シリーズ、そしてそれ以前から底辺の者たちの物語を描いてきたジェームズ・ガン監督らしいメッセージが、『ザ・スーサイド・スクワッド』では”心優しいのに嫌われがち”であるネズミの存在を通して描かれた。
『ザ・スーサイド・スクワッド』のネズミは、ジェームズ・ガン監督にとって最も重要なキャラクターのひとりだったことは間違いない。この新たな出発をDCEUはどのように受け継ぐのか、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3(原題)』でMCUに戻るガン監督はどのようにそれを更新していくのか。引き続き楽しみに見守ろう。
映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』は2021年8月13日(金・祝)より全国で公開。
ネズミを操るラットキャッチャー2の今後についてはこちらの記事で。
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