ネタバレ! 脚本家がラストを語る『ドクター・ストレンジ MoM』と『ワンダヴィジョン』は矛盾してない? | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ! 脚本家がラストを語る『ドクター・ストレンジ MoM』と『ワンダヴィジョン』は矛盾してない?

© 2022 Marvel

『ドクター・ストレンジ MoM』大ヒット公開中

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が大ヒット公開中。MCU映画の第28弾でありつつ、MCUドラマ第1弾の『ワンダヴィジョン』(2021) から直接つながる本作は、サム・ライミ監督が手掛けたということもあり、MCU作品でも異色の仕上がりになっている。

「ドクター・ストレンジ」シリーズの6年ぶりの新作でもある『マルチバース・オブ・マッドネス』だが、今回注目したいのはワンダの物語。公開直後からファンの間では様々な感想と意見が飛び交っているが、脚本家はどのような意図で本作のワンダを描いたのだろうか。

以下の内容は映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』とドラマ『ワンダヴィジョン』の結末に関するネタバレを含むため、本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ映画『作品タイトル』の内容に関するネタバレを含みます。

ワンダの最後?

ドラマ『ワンダヴィジョン』のラストでは、ワンダは理想の家庭を築くために一般市民を巻き込んだことを後悔し、ヘックスと呼ばれるエネルギーフィールドを解除する。これに伴い、ワンダの魔法が作り出したヴィジョンと双子のビリーとトミーは消えてしまうが、ワンダはその事実も受け入れて前へ進もうとする。

しかし、ポストクレジットシーンでは、アガサ・ハークネスから禁断の書ダークホールドを手に入れていたワンダがそれを使いビリーとトミーの声を聞いている姿が映し出された。『マルチバース・オブ・マッドネス』では、このワンダが別のユニバースにいるビリーとトミーの元へ行くために、ユニバース間を移動できるアメリカ・チャベスの力を奪おうとする姿が描かれた。

最後には、そのアメリカ・チャベスによってアース838のビリーとトミーの前に姿を晒されると、怯える子ども達と「私が守る」という別のワンダの言葉に、強硬策に出ることをやめる。自ら各ユニバースにあるダークホールドを燃やし、ワンダゴアの“玉座”ごと沈んでいくワンダは死んだのかとファンの間では話題になった。

脚本家が語る

まず、『ワンダヴィジョン』で一旦全てを受け入れてビリーとトミーとの別れを選んだワンダが、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』でまた同じような道を選んだことには少々違和感も感じる。この点について、『マルチバース・オブ・マッドネス』の脚本を手掛けたマイケル・ウォルドロンは、米Varietyのインタビューでこんな質問を受けている。

インタビュアー:『ワンダヴィジョン』での出来事と『マルチバース・オブ・マッドネス』をつなげることはトリッキーではなかったですか? ファンの中には、彼女がこんなに早く悪に染まるというのは信じられないという人もいますよね。『ワンダヴィジョン』がワンダが暗い方向に向かっていくようなよりダークな終わり方をしていればと思ったことはありませんか?

なかなかストレートな質問である。マルチバース展開の起点であるドラマ『ロキ』(2021-) ではマイケル・ウォルドロンが脚本を手掛けたが、ドラマ『ワンダヴィジョン』ではジャック・シェイファーが脚本を手掛けている。マルチバース要素については自分でコントロールできたが、ワンダについてはそうではなかったのではないかという問いだ。マイケル・ウォルドロンはこう答えている。

いいえ、『ワンダヴィジョン』がもっとこうなっていれば、と思ったことはありませんし、(自分が手掛けても)何一つ変えることはありません。私の解釈では、『ワンダヴィジョン』は彼女が悲しみと向き合い、自分のコントロール下に置いていた人々を解放するというお話です。しかし、あの作品で必ずしも彼女の悲しみが消えたとも思えませんし、怒りがなくなったわけでもありません。

おそらく彼女はヴィジョンには別れを告げることはできたかもしれません。しかし、あの子ども達のことを本当に愛するようになってしまったんだと思います。それらが連綿とつながり、彼女がアガサからダークホールドを手に入れたときにダークホールドに飲み込まれたのだと思います。

『ワンダヴィジョン』のラストシーンでは、ワンダはダークホールドを開いてしまうという失敗を犯しています。(ダークホールドを)読み始め、あの子たちを欲しいという願いに(ダークホールドが)取り憑き、今度(『マルチバース・オブ・マッドネス』では)は本当にあの子たちを手に入れようとするんです。それが私が本作に辿り着いた道です。私にとっても、私たちのチームにとっても、納得のいくストーリーでした。

『マルチバース・オブ・マッドネス』でのワンダの行動は、あくまでダークホールドが取り憑いたことで起きているということのようだ。故にワンダは最後にダークホールドを燃やしたということだろう。であればこそ、最後にワンダが犠牲になるのはどうなのだろうか。

『マルチバース・オブ・マッドネス』のラストについて、「ワンダは死んだのか」という問いに、マイケル・ウォルドロンはこう語っている。

それは解釈次第だと思います。彼女は何らかの犠牲を払って全てのユニバースのダークホールドを破壊し、全てのユニバースのワンダがダークホールドに誘惑されないように守ったのだと思います。彼女が死んだかどうかはまだ分かりません。キャラクターを愛し、死んでほしくない、悪いことが起こってほしくないと願う気持ちは分かります。しかし、作品を観て、それに振り回されるのも楽しみの一部なのです。

ワンダ役を演じたエリザベス・オルセン同様、最後にワンダが死んだかどうかは明かすことはしていない。一方で、全てのユニバースのダークホールドを焼き払ったことによって何らかの代償を払ったことは示唆されている。

同時に、あの行動がワンダがダークホールドから他のユニバースのワンダを守るための行動であったことも明かされている。それは様々なユニバースのビリーとトミーを守ることにも繋がるのだろう。

なお、エリザベス・オルセンはワンダの今後について、ファンの反応次第であることを明言している。

マイケル・ウォルドロンの意見を踏まえ、皆さんはどう感じられただろうか。“次のワンダ”を早期に実現するためにも、声を発信していこう。

映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は、2022年5月4日(祝・水)より劇場公開。

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』公式サイト

Source
Variety

ベネディクト・カンバーバッチが今後について語った内容と次作についての考察はこちらから。

パトリック・スチュワートがプロフェッサーXの再演と今後について語った内容はこちらから。

『マルチバース・オブ・マッドネス』ラストとポストクレジットシーンのネタバレ解説はこちらの記事で。

アース838におけるイルミナティのメンバー6名の紹介はこちらから。

侵略者カーンが登場しなかった理由について脚本家が語った内容はこちらの記事で。

『マルチバース・オブ・マッドネス』のプロデューサーが話したマルチバースのルールに関する重要設定はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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