『ドクター・ストレンジ MoM』公開
MCU映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が2022年5月4日(水・祝)より、日本で世界最速公開となり、その週末からは米国での劇場公開もスタートした。米時間の公開日である5月6日(金) の時点で、世界で興行収入約229億ドル(約299億円)の大ヒットを記録。本格化するマルチバース展開に大きな注目が集まっている。
別ユニバースからの様々なキャラクターの登場に期待がかかった本作だが、当然、登場しなかったキャラクターも存在する。特に注目が集まっていたある人物の“不在”について、『マルチバース・オブ・マッドネス』の脚本家が口を開いた。
以下の内容は、映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の内容に関するネタバレを含みます。
侵略者カーンが登場しなかった理由
映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の脚本を手掛けたマイケル・ウォルドロンが語ったのは、侵略者カーンの不在についてだ。マイケル・ウォルドロンはドラマ『ロキ』(2021-) の脚本を手掛けた人物で、MCUのマルチバース化のキーパーソンとなったカーンの登場を最初に描いた脚本家だ。
『ロキ』との繋がりも注目ポイントの一つだったが、結局カーンは現れることなく『マルチバース・オブ・マッドネス』は幕を閉じた。アベンジャーズや地球の人々がカーンの存在を知り、ドラマでしか登場していなかったカーンが映画デビューを飾るいいチャンスだったようにも思えるが、カーンの登場はなぜ見送られたのだろうか。
米DeadlineのHero Nation Podcastに登場したマイケル・ウォルドロンは、マルチバース設定を共有する『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) の脚本家クリス・マッケナとエリック・ソマーズともコミュニケーションを取り続けていたこと、『ノー・ウェイ・ホーム』と『マルチバース・オブ・マッドネス』の公開順が入れ替わったことで「厄介になった」ことなどを明かしている。
この映画はほとんど『ノー・ウェイ・ホーム』の前に公開されるつもりで作ったんです。私たちがマルチバースの蓋を吹き飛ばすつもりでね。公開時期が変更になると、観客は慣れてしまうものです。ドクター・ストレンジは(『ノー・ウェイ・ホームで』)既にマルチバースを経験しているはずで、それが全てに連鎖反応を起こすのです。
一方で、カーンを登場させなかった理由についてはこう明かしている。
私にとっては、最大で最高の弾丸はワンダでした。
サム(・ライミ監督)と作業をした時、私は本作でワンダを敵役にする決断を下すべきだと言いました。他の映画にその楽しみを譲れない、彼女はすごい存在になるから、って。
(演じた)ジョナサン・メジャースと同じくらい偉大なカーンを登場させ、彼(メジャース)がこのキャラクターを演じてしまうと、この映画が詰め込み過ぎになってしまうリスクがあったんです。
『ロキ』最終話でカーンの変異体である“在り続ける者”が語った通り、カーンはマルチバースの存在を発見した31世紀の科学者だ。カーンの中から別のユニバースを侵略しようとする者が現れ、マルチバース間の戦争が引き起こされた過去がある。
まともに見える在り続ける者も神聖時間軸を作り出し、TVA(時間変異管理局)を使ってカオスをもたらすであろう者を“虚無”へと飛ばしていた独裁者。マルチバース展開においてカーンが重要な人物になることは間違いない。
だが、マイケル・ウォルドロンは、カーンが巨大な存在であるからこそ、ワンダの物語でもある『マルチバース・オブ・マッドネス』でのカーン登場を見送ったようだ。カーンの活躍の場は現在製作が進む『ロキ』シーズン2と2023年2月17日(金) 全米公開を予定している『アントマン&ワスプ:クアントゥマニア(原題)』で見られることになる。
MCUドラマ初の続編となる『ロキ』シーズン2でも脚本を手がけるマイケル・ウォルドロンはこう話している。
そもそもこの作品(『ロキ』)を作るにあたって価値があると考えていたのは、このキャラクターで語るべき新しい物語を見つけられるいうことだけです。ロキにも感情移入できる領域があるように感じられた。それがシーズン2への唯一の道です。その道は間違いなく見つけました。シーズン1とは異なる感じがする素晴らしい続編になっていて、予想を裏切ることができればと思っています。
『ロキ』シーズン2はシーズン1とは異なる雰囲気になることを予告しながらも、確かにシーズン1で辿り着いたものがシーズン2への原動力となっていることを明かしている。なお、『ロキ』シーズン2はまもなく撮影が始まるという。
ドラマ『ロキ』、映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』と脚本を手掛けてきたマイケル・ウォルドロンは、2021年1月にマーベル・スタジオの親会社であるディズニーと契約を結んでいる。マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが手がけるタイトル未定の「スター・ウォーズ」映画でも脚本を手がける予定だ。
マルチバース化を仕掛けた脚本家マイケル・ウォルドロンは、MCUをどこへ導いていくのだろうか。
映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は、2022年5月4日(祝・水)より劇場公開。
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』公式サイト
マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは、このMCUのマルチバース化はドラマ『ロキ』におけるロキとシルヴィが招いた結果だと話している。詳しくはこちらから。
Source
Deadline
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