第4話ネタバレ解説『シークレット・インベージョン』「X-MEN」との繋がりも? まさかの展開、次はどうなる? 徹底考察 | VG+ (バゴプラ)

第4話ネタバレ解説『シークレット・インベージョン』「X-MEN」との繋がりも? まさかの展開、次はどうなる? 徹底考察

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『シークレット・インベージョン』第4話はどうなった?

ドラマ『シークレット・インベージョン』は、『シー・ハルク:ザ・アトーニー』(2022) 以来、約1年ぶりとなるMCUドラマ最新作。映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023) で幕を開けたフェーズ5では初のドラマ作品になる。

元S.H.I.E.L.D.長官のニック・フューリーを主人公に据えた本作では、地球がスクラルによる侵略の脅威に晒される。映画『キャプテン・マーベル』(2019) から共闘するタロスと共に、フューリーはこの困難に立ち向かっていくことになる。

そんな『シークレット・インベージョン』も、早くも後半戦へ。今回は第4話の各シーンをネタバレ有りで解説していう。以下の内容は本編のネタバレを含むので、必ずディズニープラスで第4話を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『シークレット・インベージョン』第4話の内容に関するネタバレを含みます。

『シークレット・インベージョン』第4話「愛された者」ネタバレ解説

ガイアが得た力は

『シークレット・インベージョン』第4話は38分とこれまでで最も短いエピソードに。これまでのMCUドラマでは第4話に大きな転機が待っていたこともあり、注目のエピソードとなったが、どんな展開が待っていたのだろうか。第3話では、グラヴィクがスーパースクラル人構想を明かし、裏切ったガイアがグラヴィクに撃たれてしまった。ラストではフューリーのパートナーのプリシラがローディに似た声の人物から指示を受けて幕を閉じた。

ここまで衝撃の展開が続いていたが、第4話の冒頭も意外な展開から幕を開ける。グラヴィクに撃たれて死んだかに思われたガイアが生き返ったのである。ガイアは博士の記憶を盗み出し、完成していたスーパースクラル生成の技術を自分に施してエクストリミスの力を手に入れていたのだ。

エクストリミスとは『アイアンマン3』(2013) に登場した技術で、生体電位をコントロールすることで人体を再生することもできる。第3話では、タロスに手のひらをナイフで突き刺されたグラヴィクがエクストリミスの力を使って手を治癒していたが、これは伏線だったようだ。

やはりエミリア・クラークの演じるガイアがシリーズの前半で退場するということはなかった。一方で、MCUとしてはなかなか厄介な力が一般化されたことにもなる。エクストリミスの力を得たエクストリミス・ソルジャーは『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021) にもカメオ出演している。

スクラルだけでなく人類も恩恵を受けられるこのパワーは、ほとんど不死の力を得るも同然だ。ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) ではスーパーソルジャーの血清を再現して普通の人々にパワーを与える計画もあった。スーパーパワーの“民主化”を、MCUがどうバランスをとりながら扱っていくのかに注目したい。

詩と歌の意味

そして舞台は2012年のパリへ。2012年といえば映画『アベンジャーズ』の時期であり、ニック・フューリーも当時のロングコートの格好をしている。アベンジャーズがチタウリとロキの侵略を阻止した“ニューヨークの戦い”の後で、プリシラとフューリーはプライベートの時間を過ごしていたようだ。それにしても黒の上下に眼帯でレストランにいるフューリーはめちゃくちゃ目立っている気がする……。

プリシラはアベンジャーズを束ねたのがニック・フューリーだということに気づいていた。『キャプテン・マーベル』の時に宇宙からの脅威を知り、そのために計画されたのがアベンジャーズ計画であり、「故郷のために戦い、弱きを守る」はフューリーがスクラルのためにやったことだった。

プリシラが読んでいるのはアメリカの小説家で詩人のレイモンド・カーヴァーの詩集。紹介されている「おしまいの断片」は、カーヴァー自身の墓石にも刻まれている詩だ。交代で詩を読むロマンチックな二人だが、“望み”として「自分を愛された者と呼び、愛されたと感じること。この土の上で」という詩が読み上げられると、舞台は現在に戻る。

フューリーがこの土地を離れて、自分が愛されたと感じられなくなったこと……逆説的にプリセラには裏切りの十分な動機が与えられている。また、「土の上で」の部分は英語では「on the earth.」となっており、宇宙から故郷を失って地球にやってきたスクラルの状況が投影されている。

また、教会で歌われている「ディープ・リヴァー(深い河)」は黒人霊歌(Black spiritual)の一つで、ヨルダン川を渡った向こう岸の故郷に平和が待っていると歌われている。故郷を失ったスクラル人の状況が、奴隷制の中で黒人たちが自由と故郷を求めた歌と重ね合わせられている。

ここまでで、プリシラ/ヴァーラは盲目にフューリーを愛していたわけではなく、自分が愛されていると感じたかったこと、そしてプリシラもまた多くのスクラル人と同じく故郷を求めていたことが示されている。

土地を求めること

そしてプリシラの前に登場したのは、やはりローディだった。あの電話の声はローディの声だったのだ。ジョークでフューローを「DDTで仕留めた」と言っているが、DDTとはプロレス技の一種で、相手の頭を脇に抱えて後ろに倒れ込み頭部を攻撃する技で、殺虫剤としても使われる農薬のDDTが名前の由来となっている。「アンダーテイカー並みに見事に決めた」とは、アメリカの人気レスラー、ジ・アンダーテイカーのことだ。

そして、プリシラは「フューリーをクビにしたのがあなたなら」と言ってから、「グラヴィクなら、なぜ私が必要?」と言い直す。このローディはやはりグラヴィクと繋がっていることを改めて示しているのだ。

ローディからの指示はフューリー抹殺。これを外から聞いているニック・フューリーはやはり一枚上手ではある。それでも、今のフューリーに力はない、「疲れと敗北でじきに死ぬ」と主張することでフューリーを守ろうとするプリシラの言葉を前に、憐みをかけられる老人の寂しさがフューリーから感じられる。

ガイアを始末したと思っているグラヴィクは、着実に計画を実行しようとしている。一方のタロスはガイアと会っていたが、どうも二人の考えは噛み合わない。ガイアはタロスの存在を「自分が何者なのかの答え」と尊重するが、グラヴィクから地球を救って地球人から土地を分けてもらうというタロスの計画に対しては呆れた表情を見せる。

だが、「民族の土地を得る」という考えは、現代史と照らし合わせても突拍子もない話ではない。黒人開放運動家のマルコムXはアメリカの土地に黒人の国家を建立することを主張したし、現在のイスラエルはアメリカの援助を得て建国されたものだ。しかし、前者は実現しなかったもののグラヴィク的な強硬路線であったし、ガイアにとって大事なのは民族としてのプライドだ。

グラヴィクが地球の征服という形で“故郷問題”を解決しようとする一方で、暴動を抑えてアメリカ大統領に認めてもらうという隷属的な手法を取ろうとする父タロスに、ガイアは苛立ちを隠せない。米国では、“白人に媚を売る黒人”のことを、白人奴隷主と黒人奴隷の友情を描いた小説『アンクル・トムの小屋』(1853) からとって“アンクル・トム”と呼ぶ。タロスの立ち振る舞いは、歴史的な経緯は違えど、まさにアンクル・トム的な態度に見えるのだ。

地球の厚意に預かるしかないという状況に、「まず現実を見ないと」と諭すタロスに対し、ガイアは貢献し続ければ分かってもらえるなどというのは「幻」だと切り捨てる。「偽って生きたくない。昔の私とは違う」と言い残して去ったガイアは、グラヴィクともタロスとも違う第三の道を行こうとしている。

フューリーとヴァーラの最後

帰宅したプリシラは、フューリーが結婚指輪を外して玄関に置いていることに気づく。第2話のラストで久しぶりに家に帰ったフューリーは、指輪をつけるようプリシラから注意されていた。お茶を出しながらも、「呼び出しを受けた」と家を出ていくことを告げたフューリーは、重い口を開く。

フューリーはプリシラのことを「人生の中で最大で最悪の間違い」と言い、自分を殺そうとしていることを知っていると告げる。それでも、「やり直せるとしても同じ道を選ぶかも」と変わらぬ愛情を見せている。行く道が分かれても、自分が知っていることや思っていることを隠すことなく、正々堂々と向き合うことが長年連れ添った相手に対する誠意であり敬意であると考えたのだろう。

二人は互いにピストルをテーブルの上に出した上で、フューリーはプリシラに「なぜ彼女を選んだ?」と、ヴァーラがプリシラの姿を選んだ理由を聞く。第3話の回想では、1998年に初めてヴァーラがプリシラの姿でフューリーの前に姿を現した時に、フューリーは元の人物は誰かと尋ねたが、ヴァーラは答えていなかった。

ヴァーラが選んだのは、心臓の病気を患っていたが周囲にそれを隠していたプリシラ・デイヴィス博士という人物で、ヴァーラは彼女の死後に代わりの人生を生きることを約束したのだという。その条件は、①遺灰を海にまく、②両親の娘であり続ける、③フューリー(恋をする相手)を傷つけない、という三つの約束を守ること。しかし、今プリシラは三つ目の約束を破るかどうかの岐路に立たされている。

二人は、冒頭に登場したレイモンド・カーヴァーの詩を口ずさみ始める。最後の一節の「地=Earth」を互いに言った瞬間、二人は銃を撃ち合う。こんなにもロマンチックな一騎打ちがかつてあっただろうか。しかし、二人は共にわざと外して撃っており、互いに無事だった。フューリーとヴァーラは死を覚悟してこのテーブルについていたのだろう。二人は自分が手を下すつもりはなく、殺されることを選んだ結果、共に生き残ることになったのだ。

ヴァーラにはフューリーに対する想いもあるだろうが、プリシラ・デイヴィス博士との約束を守ったということでもある。ジョン・ロールズの正義論では、様々な価値観はあるが、正義とは当事者同士が合意した契約を果たすことだと考える。その意味では、ヴァーラは命を賭してプリシラとの約束を守るという“正義”を果たしたとも言える。

二人はそれぞれの道を行くが、最後にヴァーラは「元の姿のままでも愛した?」と聞く。フューリーは、それに対して「一生分からないな」と、これもまた正直に答える。色々なことを隠して、黙って、誠意を欠く向き合い方を続けてきたフューリーの、せめてもの贖罪なのだろう。

対ローディ

そして、ニック・フューリーはスクラル人が擬態しているローディのもとへと赴く。シャワーを浴びるときだけ本来の姿でいられるスクラル人は、ローディの姿に擬態するとウンザリした表情を見せる。ガイアがそうであるように、姿を偽って生きることに疲れた若いスクラル人であることが見てとれる。

ここでようやくはっきりとローディがスクラル人の擬態であることが示された。こちらの記事で考察した通り、やはり前回のローディが会話の中で一度だけフューリーのことを「ニック」と呼んだことがヒントとなっていたようだ。

ローディはドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』にも登場したが、いつからスクラル人の擬態だったのだろうか。フューリーはこの偽ローディに23年もののバーボンウイスキー、パピー・ヴァン・ウィンクルを差し出す。これに対するローディの「毒の心配は?」という反応は、第2話でフューリーが言ったことの反復だ。さりげなく第2話のローディと第4話のローディが同一人物であることを示しているのである。

フューリーは「ナノテクだ」と答えるが、二人にとって共通の友人だったトニー・スタークがアイアンマンのスーツに途中からナノテクを使っていたことを想起させる。フューリーは、スクラル人がアメリカ政府に入り込んでいる、それも大統領のすぐ近くにいると話し、口外されたくなければ復職させろと迫るが、もちろんこれは芝居だ。

それに対して偽ローディも、第1話でグラヴィクが擬態したフューリーがマリア・ヒルを撃つ映像を流して脅し返す。用意周到だ。この場でフューリーを殺すこともできただろうが、証拠が残ると何かとややこしい。だからパートナーのヴァーラにフューリーを自宅で殺させようとしたのだろう。偽ローディはここでもフューリーを追い返して余裕の表情を見せるのだった。

「X-MEN」から繋がる要素

しかし、ここでもフューリーが一枚上手だった。フューリーとタロスは、酒に仕込んでいた液体型のナノテク追跡装置でホテルを離れた偽ローディを追跡。毒ではないため酒はフューリーも飲んでいたが、偽ローディはこれに油断したことと、5,000ドルという高級酒に釣られてほいほいとナノテク追跡装置を飲んでしまったのだ。

アメリカからの大使であるローディに戦争反対を訴えるデモ隊に囲まれる中、偽ローディはホテルを出発。ついに交渉に訪れたリットソン大統領と合流する。字幕ではカットされているが、偽ローディは「Welcome to England」と言っており、この場所がイングランドであることが示されている。

リットソン大統領は「キューバ危機以来の交渉」と言っているが、キューバ危機とは1962年に起きた冷戦史上最大の危機である。ソ連が“アメリカの裏庭”であるキューバに核ミサイル基地を建設したことで核ミサイルを持つ米ソが一触即発の危機となり、核戦争を防ぐための交渉が行われた。実は、映画『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011) では、キューバ危機を起こしたのはミュータントであり、核戦争の危機を防いだのもプロフェッサーXらミュータントであったという物語が描かれた。

『ファースト・ジェネレーション』では、虐げられてきた歴史から人類を排除してミュータントのための世界を作ろうとするミュータントと、人類との共存を目指すミュータントたちの戦いが描かれている。『シークレット・インベージョン』もスクラル人を通して近いテーマを描いており、「キューバ危機以来」を印象付けることは、旧20世紀フォックス制作の『ファースト・ジェネレーション』を想起させる演出になっている。

スクラル vs アメリカ

酒を飲んで饒舌になった偽ローディは「レノンではなくレーニンの引用を」とジョーク混じりのアドバイスをするが、これは歌手のジョン・レノンと、ロシア革命の指導者ウラジミール・レーニンの名前の発音が似ていることをかけている。続く「肉なら進め、鉄なら止まれ」は、「肉(fresh)なら進め(push)、鉄(steel)なら(stop)」と、脚韻と頭韻で踏んでいる言葉遊びだ。

ジョークが行き過ぎたのか、酒臭かったのか、バーボンをがぶ飲みしたことが大統領にバレた偽ローディ。SPにミントを頼むが、このSPが右腕を骨折しているのは、第2話でフューリーにやられたからである。

車両が一列になって移動する様は、映画『ブラック・ウィドウ』(2021) でサンダーボルト・ロス将軍の部隊がロシアにやってきた時のことを思い出す。ジ・アメリカという感じのオーガナイズされた威圧感だ。

偽ローディはグラヴィク陣営に情報を流すと、大統領車両はヘリによるミサイル攻撃で横転。グラヴィクのスクラル部隊が米大統領護衛部隊を襲撃するハチャメチャな展開が幕を開ける。グラヴィクが準備の際に「騒がしくしろ」と言っていた通り、ロシア語を聞かせてアメリカ側にはこれがロシア人だと認識させることに成功している。一方で、アメリカ側も対空ミサイルを用意しており、ヘリを迎撃しているのは流石だ。

凶行みたび

大統領の危機にフューリーは独自に対空ミサイルを放ってヘリを撃墜。映画顔負けのアクションシーンが続く。フューリーがいることを認識したグラヴィクはその方向に向かうと腕を木に変えて敵を締め上げる。グルートのパワーだ。エクストリミスだけでなく、グルートの能力もコピーできるようになっていたのである。しかも、一人のスクラルが複数の能力を持つことも可能だということも同時に示されている。

フューリーとタロスは護衛されながら大統領車両に到着。人間より強い力を持つスクラル人のタロスが素手で防弾ガラスを割ろうとするが、タロスは被弾して擬態が解けそうになってしまう。それを見た米側の隊員はエイリアンであるタロスを撃とうとするが、ここでフューリーが「俺の連れだ」と主張することで難を逃れる。

タロスは命懸けで人類を守ろうと自分にしかできないことをやろうとしているし、フューリーはそのタロスを守ることで、世界でこのたった二人だけがスクラルと地球人の架け橋になっている。二人が互いにしかできないことをやることで、リットソン大統領の救出に成功。タロスが重傷を負う中、フューリーは大統領を自分の車両に運ぶ。

この時、「私の車に」とフューリーに声をかけてきた隊員はグラヴィクの擬態である。大統領をこのまま拐おうとしていたのだろうが、ここもフューリーが相手を信用しないことによって難を逃れている。だがグラヴィクが擬態した隊員はタロスに肩を貸して運ぶと、フューリーの目の前でタロスの左胸を刺してしまう。ガイアは生きていたが、第1話と第3話に続く凶行だ。

怒れるフューリーはグラヴィクの顔を撃つが、エクストリミスの力を得たグラヴィクはすぐに回復。フューリーが衝撃を受ける中、米側の応援ヘリが到着したところでグラヴィクはその場を離れる。

なおも戦闘が続く中、フューリーは倒れたタロスをその場に残して大統領を連れて車両を発進させたところで『シークレット・インベージョン』第4話は幕を閉じる。毎週誰かが死ぬ展開。状況が悪化していく中、フューリーは戦争を止めることはできるのだろうか。

『シークレット・インベージョン』第4話ネタバレ考察

タロスは死んだ?

タロス、お前もか、と言いたくなる第4話のラスト。第1話のマリア・ヒル、第3話のガイアに続いてグラヴィクが手にかけた人物がタロスだった。ガイアは生きていたが、グラヴィクはヴィランとしては相当なワルである。サノスのような大物でなくとも、こうして誰かにとっての大事な個人を一人ずつ殺していくヴィランにはまた違ったキツさがある。

だが、ガイアがスーパースクラルの力を得て生きていたとなると、やはりマリア・ヒルもタロスも本当に死んだのかどうかを疑わなければならない。特にタロスは直前にガイアと会っており、喧嘩別れしたようにも見えるが、あの後にガイアを呼び止めて和解した可能性はないだろうか。

ニュー・スクラロスがあるロシアからイングラインドまで相当な距離があるが、ガイアはそもそもニュー・スクラロスにいたわけで、タロスとガイアはニュー・スクラロスの近くで話をしていた可能性もある。二人のスキルなら、ニュー・スクラロスに擬態して忍び込み、タロスにエクストリミスの力を与えるために装置を使うことは不可能ではないだろう。

それでもちょっと無理やり感はあるし、ガイアのパターンの二番煎じになることは否めない。であれば、スーパースクラルを開発していたダルトン博士は元々実験に成功しており、タロスは評議会から追放される前に力を得ていたのではないだろうか。なぜなら、第4話の冒頭でガイアは捕えられているオリジナルのダルトン博士の記憶を読み取った後、装置を使うことができていたからだ。

もちろん、タロスは胸を刺されはしたが、普通に死んでいない可能性もある。マリアの時もそうだったが、頭を撃たれるなど決定的な傷ではないとも考えられる。ただ、「死んでませんでした」は濫用してしまうと冷めてしまうので、使い所に注目したい。

どうなるフューリー?

リットソン大統領を連れて二人で走り出したフューリーだが、状況は一層複雑になった。客観的に見れば、フューリーはアメリカ大統領を誘拐したようにも見える。フューリーが米政府職員のマリアを撃った映像もあるため、フューリーがロシアに寝返ったという風説は立てやすい。今度はロシア政府が無実を主張する番だが、大統領の右腕である偽ローディがロシアに宣戦布告をすれば一気に戦争に発展する可能性がある。

大統領不在の中で、サンダーボルト・ロス将軍が登場する展開もあり得るかもしれない。2024年公開の映画『キャプテン・アメリカ:ブレイヴ・ニュー・ワールド(原題)』では、ハリソン・フォード演じるロス将軍は米国の大統領になっているとされているが、『シークレット・インベージョン』での出来事によって、軍人出身の大統領が誕生するのだろうか。

一方で、フューリーも米国大統領という切り札を持っていることは事実。スクラルによる侵略を理解させることができれば心強いが、大統領は気を失っていて何が起きたのかは確かではないだろう。ローディがスクラル人の擬態であるということから理解させることができるかどうかが鍵になる。

また、もしタロスが生きているとすれば、タロスはフューリーのもとにたどり着くことができるかもしれない。なぜなら、フューリーもローディと共にナノテク追跡装置が入った酒を飲んでいるからだ。その事実を知っているのはタロスだけなので、タロスが一命を取り留めたとすれば、米政府に協力してフューリーと大統領の元へ導き、タロスの言う通り、「貢献して分かってもらう」ことができるかもしれない。

加えて、気になるのは本物のローディの居所だ。生きているとすれば、本物のローディを助け出すことがフューリーにとっては無実を証明するための材料になる。偽ローディが大統領代行として発言を始めた後に、フューリーが本物のローディと共にメディアの前に現れれば、スクラルによる侵略を明らかにすることができる。とりわけ米政府で働いてきたアベンジャーズの二人ならば説得力があるというものだ。

あっという間に残り2話となったドラマ『シークレット・インベージョン』。本当にあと2話で物語をたたむことはできるのかと心配になるくらいの怒涛の展開が続く。次はどんなサプライズが待っているのか、第5話の配信を楽しみに待とう。

ドラマ『シークレット・インベージョン』は2023年6月21日(水)より、ディズニープラスで独占配信。

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第5話のネタバレ解説はこちらから。

第3話のネタバレ解説はこちらから。

ローディが偽者であることを示していたヒントはこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

第2話で見えた米国の孤立とソコヴィア協定廃止との関係に関する考察はこちらの記事で。

エミリア・クラークが演じるガイアの原作での設定はこちらから。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

マリア・ヒル役のコビー・スマルダーズは第1話ラストの展開についてメディアに語った。詳しくはこちらから。

 

『シークレット・インベージョン』では、ローディは「大統領の右腕」として登場するとされている。詳しくはこちらから。

サミュエル・L・ジャクソンが語ったニック・フューリーが消えた理由についてはこちらの記事で。

『シークレット・インベージョン』は映画『アーマー・ウォーズ』に繋がっていく要素もあるという。詳しくはこちらから。

 

『シー・ハルク:ザ・アトーニー』ラストに残された9つの謎はこちらから。

【ネタバレ注意!】『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』にあったMCU要素の解説はこちらから。

ドラマ『ロキ』シーズン2は2023年10月6日(金)より配信開始予定。詳しくはこちらの記事で。

映画『マーベルズ』のヴィランについてはこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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