『ジュピターズ・レガシー』配信開始
2021年5月7日(金)より、Netflixオリジナルドラマ『ジュピターズ・レガシー』の配信がスタートした。大恐慌時に誕生したスーパーヒーロー第一世代と、90年が経過した2021年に現代社会を生きる第二世代の世代交代を描く物語で、『ザ・ボーイズ』(2019-) に続く“マーベル・DC後”の新たなスーパーヒーロードラマとして注目を集めている。
『ジュピターズ・レガシー』の原作を手掛けたのは『キック・アス』(2008-2010) などで知られるレジェンド作家のマーク・ミラー。自身が設立したミラーワールド社から刊行した同名コミックシリーズとそのスピンオフである『ジュピターズ・サークル(原題)』を原作に、スーパーヒーローたちの新たな側面を描き出した。
『ジュピターズ・レガシー』のあらすじとみどころはこちらの記事で。
クロエ役を演じたエレナ・カンプーリス
『ジュピターズ・レガシー』には多くのスーパーヒーローが登場するが、その中でも注目の演技を見せたのはクロエ役を演じたエレナ・カンプーリスだ。ニューヨーク出身、1997年生まれの23歳で、ギリシャ人の父を持つ。ドラマでは『American Odyssey』(2015) や『Sacred Lies』(2018-) にレギュラー出演し、映画では2020年に『Children of the Corn』で主演を務めている。
エレナ・カンプーリスが『ジュピターズ・レガシー』で演じたクロエは、スーパーヒーローの両親を持ちその力を引き継いだものの、自身はヒーローとしての座を継ぐ気がない。セレブとして奔放な生活を送るクロエが登場するシーンには、性的な描写も多くなっている。そうした表現について、エレナ・カンプーリスはRefinery29にクロエの振る舞いと撮影の裏側を話している。
クロエにとっての“性”
エレナ・カンプーリスは、一見奔放に見えるクロエの振る舞いについて、以下のように話している。
クロエは間違いなくセクシャルな存在です。性的なものを通して自分を表現しているんです。クロエの表現方法であるだけでなく、武器として使っている側面もありますね。それは歴史上、女性達が生き延びるために仕方なく学んできたことでもあります。
クロエにとって性的な表現は自己表現の一つでありると同時に、歴史上多くの女性が強いられてきたのと同様に、武器としても使っていると語るエレナ・カンプーリス。スーパーヒーローの娘であっても、クロエは私たちと同様に性と多面的な付き合い方をしているのだ。
インティマシー・コーディネーターがサポート
そうした事情からベッドシーンが多いクロエだが、エレナ・カンプーリスは「ボーイフレンドがいたことがないから、クロエを演じるのが好きなんです」と語る。「キスも(ドラッグの)吸引も、カメラの前でやったのが初めて」というエレナ・カンプーリスをサポートしたのは、ハリウッドでは当たり前になったインティマシー・コーディネーターの存在だ。
インティマシー・コーディネーターとは、キスシーンやベッドシーンで俳優が安心して演技に臨めるようサポートする専門家のことだ。性的なシーンを撮影するという合意があっても、一方の俳優や監督によって望んでいない領域に踏み込まれることがあってはならない。『ジュピターズ・レガシー』でも、性的なシーンの撮影にはインティマシー・コーディネーターとしてリンゼイ・サマーズが立ち会っている。
一線を超えていないか確認
エレナ・カンプーリスによると、インティマシー・コーディネーターのリンゼイ・サマーズは、安心できる領域を超えていないか定期的に対話を持ち、性的なシーンに登場する全ての俳優がクリエイティブな可能性を最大限に発揮できるようサポートしてくれたという。
また、ハッチを演じたイアン・クインランとの情熱的なキスシーンは、本来とは異なるアプローチのものが撮れたという。このシーンでは、カットがかかった瞬間にクインラインが「一線を超えてませんでしたか?」とクロエ役のカンプーリスに確認。カンプーリスは「大丈夫ですよ。本当のハッチを見つけたんじゃないかな!」と返答したという。
当然のことだが、『ジュピターズ・レガシー』のようなNetflixならではの激しい描写が見られる作品でも、撮影の現場では徹底したサポートと管理が行われている。エレナ・カンプーリスにとっても、インティマシー・コーディネーターの援助や共演者同士の気配りが、クロエというキャラクターをクリエイティブに演じるための力になったのではないだろうか。
ドラマ『ジュピターズ・レガシー』は2021年5月7日(金)よりNetflixで独占配信。
Source
Refinery29
『ジュピターズ・レガシー』シーズン2についての情報はこちらの記事で。
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