ネタバレ!『ムーンナイト』最終回のその後は? 製作陣は「続く」 ロンドンにも注目 解説&考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ!『ムーンナイト』最終回のその後は? 製作陣は「続く」 ロンドンにも注目 解説&考察

© 2022 Marvel

『ムーンナイト』全6話配信

MCUドラマ第5弾『ムーンナイト』が2022年6月4日(水・祝) に最終話となる第6話の配信を迎えた。日本ではマルチバース要素がふんだんに取り入れられた映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の公開日と重なったが、『ムーンナイト』はMCU作品が初めての人でも楽しめる作りになっていたのが印象的だった。

気になるのは、『ムーンナイト』はシーズン2のないリミテッド・シリーズとして作られており、続編の計画も現段階では発表されていないということ。だが、あのシーズン1の終わり方を見せられたら、“その後”にも期待したくなるというもの。

今回は、『ムーンナイト』が今後MCU内でどのような展開を見せるのか、製作陣のコメントを紹介した後に考察していきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ムーンナイト』第6話の結末に関するネタバレを含みます。

『ムーンナイト』のラストは?

ドラマ『ムーンナイト』最終話の第6話では、マークとスティーヴンはスカーレット・スカラベに返信したレイラと共闘し、アメミットをアーサー・ハロウの中に封印することに成功した。マークとスティーヴンは共存することになり、スティーヴンが住んでいたロンドンのアパートで生活を共にするのだった。

この結末について、脚本家のジェレミー・スレイター米マーベル公式にこう語っている。

この二人の未来は“共存”でなければならないというのが常に私たちの考えでした。スティーヴンが自分の人生を送り、マークが箱の中に閉じ込められ、誰とも交流できないような展開では、本当に満足することはできないでしょう。

また、スティーヴンとこの素晴らしい旅をした後に、「OK、もうアイツはいないんだ」となり、マークだけが残るのは完全に間違っていると思ったんです。

はじめから二人が共存する以外の道はないと考えていたようだ。スレイターは「あのベッドの上にいるのは、マークとスティーヴンの両方です」と話している。

『ムーンナイト』の今後は?

では、二人の今後はどうなっていくのだろうか。スレイターはこう話している。

人生と身体、そして記憶をどのように共有していくか、という混乱が次のムーンナイトの物語の原動力になっていくでしょう。語られるべき肥沃なストーリーテリングの土台がありますよね。身体と人生を共有するという選択は分かった、けれど、実際にはどんな風になるの? それはどういう意味を持つの? ってね。

ゴールは常に、この人物が精神疾患と共に生き、そこから強さを得てエンパワーされる道を見つけ、バランスと統合を達成できるようにするか、という点にあります。

また、コンサルティング・プロデューサーのサラ・ゴーヘルは、マークとスティーヴンの旅は、終わりを見つけるためのものではないと話す。最終話の第6話が「終わりのない物語」という歌詞が登場するアール・グラントの「The End」(1958) から始まることからも、それは明らかだ。

この曲は、「物語の終わりには、終わりのない物語がある」と歌っています。このドラマにふさわしいですよね。続いていくんです。これが正しい終わり方だったと思います。まだ表面を削ったに過ぎないのです。

このドラマは、終わることよりも旅そのものの方がずっと重要なんです。ムーンナイトやマーク・スペクターのことが好きになり、彼のこともスティーヴンのことも気になって、ジェイクのことすらも気になり出したら、このエンディングはうまくいったと言えます。どんなエンディングもこのようなストーリーを表現する事はできません。このエンディングはまさに「続く」なんです。

『ムーンナイト』製作陣は、明らかに“この先”があることを想定して本作を作っていたようだ。

脚本家のジェレミー・スレイターは「次のムーンナイトの物語」を英語で「the next group of Moon Knight stories」という言い方をしており、次の物語がムーンナイトの単独作品ではない可能性も含ませている。それでも二つの人格の共存という大きなテーマを描く姿勢を見れば、それなりの規模の作品になりそうだが、果たして。

続きはロンドンで?

ここからは、ムーンナイトのこの先について、少し考察してみよう。興味深いのは、マークがオリジナルだと分かった上で、二人はそれでもロンドンのスティーヴンの家に住むことにしたという点だ。ロンドン出身という設定でイギリス英語を喋るスティーヴンに、“お兄さん”のマークが譲歩したようにも思える。レイラもロンドンに住んでいるのかどうかは不明だが、スティーヴンはロンドンの博物館で働き続けるのだろうか。

他のMCU作品との関わりで考えると、マークとスティーヴンがロンドンにいるヒーローの戦いに巻き込まれるか、ジェイクがヒーローに追われる展開になる可能性が考えられる。最新作が公開されている「ドクター・ストレンジ」シリーズでお馴染みの魔術師の拠点サンクタム・サンクトラムは、『ドクター・ストレンジ』(2016) の舞台になったニューヨーク、香港に加えてロンドンにもある。

魔術師、というか組織とは相性が悪そうなムーンナイトだが、コンスを含むエジプトの神々に対処するには魔術師達の力を借りた方がいいかも? また、映画『ブラックパンサー』(2018) ではワカンダ王国の諜報機関であるウォードッグは、香港、ニューヨークに加えロンドンにも潜伏していることが明かされている。同作では冒頭でキルモンガーが大英博物館を訪れている。

建築物という観点で言うと、映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019) では、ロンドンはミステリオとスパイダーマンの戦場になった。映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) では、破損したタワーブリッジの修復作業が行われていることが明かされている。映画『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011) では、ロンドンキング・チャールズ・ストリートの地下に、S.H.I.E.L.D.の前身であるSSR(戦略科学予備軍)の秘密基地があった。

アニメ『ホワット・イフ…?』(2021-) でキャプテン・カーターになるペギー・カーターはロンドン出身だ。別の時間軸のお話ではあるが、キャプテン・カーターはMCUで唯一イギリス国旗を身にまとうキャラクターでもある。キャプテン・カーターがこのユニバースに来ることがあれば、ムーンナイトとの共闘に期待したい。

映画『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013) では、ジェーン・フォスターがロンドンを拠点にしていることが明らかになった。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015) では世界的な知名度を得ているが、その後どうなっているのかは明らかになっていない。

2022年7月8日(金) 公開の映画『ソー:ラブ&サンダー』の予告編では、ソーと同じ力を得てムジョルニアを操るジェーン・フォスターの姿が見られた。このジェーンがまたロンドンを拠点にするのであれば、マーク&スティーヴンとの出会うこともあり得る。

本命は『ブレイド』か

このように、これまでのMCUでもロンドンの要素は少なくないのだが、直近でロンドンが舞台になった作品が『エターナルズ』(2021) だ。10人のエターナルズの内、セルシとスプライトはロンドンに住んでおり、セルシは恋人のデイン・ウィットマンと共にロンドン自然史博物館で働いていた。『エターナルズ』のラストでは、スプライトは人間として生きることを選んでおり、まだロンドンにいると思われる。

『エターナルズ』のポストクレジットシーンでは、セルシがセレスティアルズに連れ去られた後、デイン・ウィットマンがロンドン自然史博物館の一室で魔剣エボニー・ブレイドと思われる剣と向き合う姿が映し出された。そして、そのデインに「いいのか、ウィットマン」と話しかけるのがMCU版『ブレイド(原題)』で主演を務めるマハーシャラ・アリの声なのだ

つまり、原作コミックでブラック・ナイトになるデイン・ウィットマンの物語が、映画『ブレイド』につながっていくことが示唆されたということだ。そして、ブラック・ナイトがロンドンの家系であり、マハーシャラ・アリ演じるブレイドがロンドンに来ているのならば、『ブレイド』もまたロンドンが舞台になる可能性がある。

何より、ブレイドは半分吸血鬼のキャラクター。ミイラ男をモデルにしたムーンナイトとの相性は良さそうだ。アイアンマン、ドクター・ストレンジ、スパイダーマンらがいたニューヨークを中心に動いてきたアベンジャーズだが、ロンドンを拠点にダークヒーローチームが結成される事はあるのだろうか。

“ロンドン移転”には理由が

近年、MCUではニューヨークを舞台にした作品が多くなり過ぎたため、『ムーンナイト』ではロンドンとエジプトを舞台にしたという経緯がある。もともとマーベル・コミックスはニューヨークにあったため、ニューヨークを舞台にする作家が多く、自然と原作コミックのヒーローの拠点がニューヨークに集中したのだ。

映像部門のマーベル・スタジオはロサンゼルスに位置しているが、原作をベースにするとどうしてもニューヨークが舞台の作品が多くなる。フェーズ4でも2021年公開の『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』『ホークアイ』『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が、多かれ少なかれニューヨークを舞台にしている。

一方、パンデミックの影響もあり、最近はトム・ヒドルストンらイギリス出身の俳優が主演を務める作品はロンドンでプレミアを開催することもある。世界中にファンを持つMCUならではのマーケティング戦略だ。この機会にムーンナイトはロンドン拠点のヒーローとして運用していくのが吉かもしれない。

場所はどこであれ、マークとスティーヴンが幸せに暮らすことを願うが……。

ドラマ『ムーンナイト』はDisney+で独占配信中。

『ムーンナイト』(Disney+)

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Source
Marvel.com

『ムーンナイト』第6話のネタバレ解説はこちらから。

最終話でスカーレット・スカラベに変身したレイラについて、製作陣とキャストが語った想いはこちらから。

ポストクレジットシーンに登場したジェイクについて製作陣が語った内容はこちらから。

映画『エターナルズ』のポストクレジット解説はこちらの記事で。

 

ネタバレ注意!映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』ラストの解説はこちらから。必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

6月8日(水)からはドラマ『ミズ・マーベル』の配信が始まる。予告編の解説はこちらから。

 

『ムーンナイト』第5話のネタバレ解説はこちらから。

第5話で描かれたマークの過去について監督らが解説した内容はこちらの記事で。

第4話のネタバレ解説はこちらから。

第4話のラスト15分についての製作陣による解説はこちらから。

第4話で登場したアレキサンダー大王と映画『ソー:ラブ&サンダー』の繋がりはこちらから。

第3話のネタバレ解説はこちらから。

『ムーンナイト』に征服者カーンが絡んでいる可能性についての考察はこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

第2話のMr.ナイト登場シーンの裏側はこちらの記事で。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

アーサー・ハロウを演じたイーサン・ホークのこだわりはこちらの記事で。

アーサー・ハロウの設定変更について製作陣が語ったエピソードはこちらから。

『ムーンナイト』シーズン2の可能性についての情報はこちらから。

 

映画『ソー:ラブ&サンダー』特報映像の解説&考察はこちらから。

ネタバレ注意! 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ラストのネタバレ解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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