ドラマ『ホークアイ』衝撃の展開
MCUドラマ最新作『ホークアイ』は、スクリーンに登場してから10年来のヒーローであるホークアイことクリント・バートンを主人公に据えた物語。一方で、MCUに新たな風を吹き込む役割も果たしており、特に第5話の展開は驚きを持って迎えられた。そして、第3話から第5話まで監督を務めたバート&バーティが、第5話で起きたあの展開について口を開いた。そしてそれは、今後のMCUの方向性にも影響を与える重要なものだった。
以下の内容は、ドラマ『ホークアイ』第5話の結末に関するネタバレを含みます。
ドラマ『ホークアイ』第5話で起きたこと
ドラマ『ホークアイ』第5話のラストシーンで起きたこととは、舞台となっているニューヨークの影で暗躍していた“大物”の正体がキングピンであると判明したことだ。それも、Netflixドラマ『MARVEL デアデビル』(2015-2018) でキングピン役を演じたヴィンセント・ドノフリオが同じ役を演じていた。
これは、マーベル・スタジオが展開するMCUと、かつてマーベル・テレビジョンが製作したDisney+以前のドラマシリーズに繋がりがあることを示唆するものだった。『ワンダヴィジョン』(2021) から始まったマーベル・スタジオ製作のドラマシリーズ(映画と相互に影響を与え合う)と、『エージェント・オブ・シールド』(2013-2020) をはじめとするマーベル・テレビジョンのドラマシリーズ(映画の影響は受けるが、映画に影響は与えない)の違いと、これまでの経緯についてはこちらの記事に詳しくまとめている。
問題は、ヴィンセント・ドノフリオが演じるキングピンが『MARVEL デアデビル』の世界線と同じキャラクターなのかどうかということだった。仮にそうだとすれば、『ジェシカ・ジョーンズ』(2015-2019) や『ルーク・ケイジ』(2016-2018)、『アイアン・フィスト』(2017-2018)、『パニッシャー』(2017-2019) といった作品のストーリーがMCUの“正史”として認められる可能性が生まれる。
同時に『デアデビル』の歴史などはすでに存在しているものになるため、過去のドラマ作品については、『ブレイド』や『ファンタスティック・フォー』のようなリブートやリメイクは作られないということになる。Netflixシリーズを観てこなかったMCUファンは過去作をチェックする必要にも駆られるというもの。
ドラマ『ホークアイ』第5話でのキングピンの登場は、MCUは過去のドラマシリーズと正式につながるのか、つながるとすればその塩梅は、など多くの疑問を呼ぶことになった。そして、これらの問いに『ホークアイ』第3話から第5話までの指揮をとった監督ユニットのバート&バーティが答えを示している。
過去作からMCUに合流へ
アメリカ時間の12月16日に公開された米Polygonのインタビューで、監督のバーティは以下のように話している。
皆さんがどう感じるかというのは、ファンの皆さんにとってと同じように私たちにとってもワクワクすることでした。「なんてことでしょう。これらの世界が融合できるようになって、今まで別々だったMCUに新たなレイヤーが加わるんだ」って。
あのキングピンはやはり、ドラマ『MARVEL デアデビル』のキングピンだったのである。一方で、マーベル・スタジオからはそのデザインについて一貫性を持たせるようにとの指示はなかったと言い、「『デアデビル』と『ホークアイ』を融合させるような要求や必要性は全くありませんでした」とも語っている。
『ホークアイ』でのキングピンの扱いについても、その名声と存在感に合わせて演出を行ったとバートは語っている。
キングピンは大きな存在です。巨大なね。物語が進むにつれて、彼の立場はより難しいものになっていきますが、彼は大きなままの自分で登場し、大きな手で全てを掌握します。あの(第5話ラストの)写真には、象徴的な(白の)スーツが写っていますよね。彼をどのように撮るかということは、私たちのユニバースを過去の作品に合わせるというよりも、このキャラクターはどういう立場にあるかというところから考えました。
ドラマ『ホークアイ』では、マヤの父の死やケイトの母エレノア、クリントを狙うエレーナらの背後でキングピンが暗躍していることが次第に分かってくる。第5話ラストでキングピンが登場する頃には、バート監督の言う通りキングピンは難しい立場にあるはずなのだが、恐ろしさが上回るほどの存在感を放っている。
それはあくまで、ヴィンセント・ドノフリオが演じたキングピンというキャラクターの立場を踏まえた演出だというのがバート監督の説明だ。一方で、配信プラットフォームの異なるドラマ『デアデビル』のスタイルを完璧に踏襲しなければならないということではなく、本作では新たにステッキを持つ姿も捉えられている。
MCUは今後、マーベル・テレビジョンの作品でファンに馴染みのある俳優を起用し、緩やかに設定を共有する路線を取ると見られる。確かに複数シーズンにまたがる過去のドラマシリーズと厳密に整合性をとることはかなり骨の折れる作業である。引き継ぐところもあれば、改変するところもあるという程度の繋がりを維持していくのかもしれない。
最後に、バートは以下のようにも話している。
私たちは、彼女ら/彼らが来たユニバースについて扱うのではなく、キャラクターの物語を扱います。キャラクターたちが私たちの世界に入ってくるんです。
これまでMCU映画から一方的に影響を受けていたマーベル・テレビジョン作品。今度はマーベル・テレビジョンのキャラクター達が一方通行でMCU正史へと参戦してくることになる。コロナ禍を経ての2年ぶりのMCU再始動、フェーズ4の幕開けの年に怒涛の展開を見せるMCU。末恐ろしくも感じるが、一層目が離せない。
マーベル・テレビジョンとマーベル・スタジオの関係についての解説はこちらの記事で。
原作コミック『ホークアイ』はKindleで日本語訳版が発売中。
ドラマ『ホークアイ』は2021年11月24日(水)より、Disney+で独占配信中。
Source
Polygon
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