ドラマ『ホークアイ』第4話の秘話明らかに
Disney+で独占配信されているドラマ『ホークアイ』は、Disney+オリジナルで製作されたMCUドラマとしては『ロキ』(2021) に続く第4作目。クリスマスシーズンのニューヨークを舞台に、アベンジャーズを辞めたいホークアイことクリント・バートンと、ヒーローに憧れるケイト・ビショップの出会いが描かれる。
一方で、単独シリーズの配信が決定しているエコーことマヤ・ロペスや、物語の裏側で暗躍する大物ヴィランの存在など、注目すべきキャラクター達は枚挙にいとまがない。フェーズ3までの「インフィニティ・サーガ」のキャラクターであるホークアイを中心に置きつつも、魅力的な新キャラ達をMCU世界に紹介してくれているのがドラマ『ホークアイ』の特徴でもある。
そんな中、『ホークアイ』第4話ではあるサプライズが用意されていた。そして、週末のSNSを騒がしているあのカメオの製作秘話を番組製作陣が語っている。
以下の内容は、ドラマ『ホークアイ』第4話の内容に関するネタバレを含みます。
プロデューサーが「頼み込んだ」
ドラマ『ホークアイ』第4話のビッグサプライズといえば、2021年7月に公開されたばかりの映画『ブラック・ウィドウ』で初登場を果たしたエレーナ・ベロワの参戦だ。第4話では、クリントとケイトの前に登場したエレーナがクラシカルなブラック・ウィドウのムーブを見せて、二人とエコーことマヤ・ロペスを翻弄。ブラック・ウィドウの武器であるウィドウ・バイトも使って見事な戦いぶりを見せた。
『ホークアイ』へのエレーナの登場は、『ブラック・ウィドウ』の時点で示唆されていた。同作のポストクレジットシーンでホークアイを狙うよう依頼を受けるエレーナの姿が描かれていたからだ。気になるのは、この『ブラック・ウィドウ』から『ホークアイ』へと繋がる展開は誰から出てきた案なのかということだ。
ドラマ『ホークアイ』のプロデューサーを務めるジョナサン・イグラは、米Varietyのインタビューで「これはマーベルからの案ですか、それともあなたの案ですか」と聞かれ、以下のように答えている。
あの(ポストクレジット)シーンの案はマーベルからのものです。しかし、それはエレーナが私たちのストーリーの中で重要になる理由を作ってくれないかと(私が)頼み込んで、それに応えてくれる形で生まれたんです。
『ブラック・ウィドウ』のポストクレジットシーンを『ホークアイ』へと繋げる案はマーベルからのものだったが、それはジョナサン・イグラが『ホークアイ』にエレーナを登場させる口実を作って欲しいとマーベルに依頼した結果だったのだという。MCU作品の間では、こうした調整が常に行われているのだろう。映画『エターナルズ』もクロエ・ジャオ監督は単独作品として完結する結末を用意していたというが、ケヴィン・ファイギの提案で別シリーズへと繋がるポストクレジットシーンが導入されたことを明かしている。
しかし、ドラマシリーズに一人のキャラクターを良い形で登場させるために、シリーズ全体に影響を与えるシーンを挿入するとは、流石MCUである。映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021) でもウィドウの一人がカメオ出演することで、『ブラック・ウィドウ』に登場したウィドウ達のその後を示唆することに成功している。
監督も苦労を明かす
ローレンス・ピュー演じるエレーナが『ホークアイ』のどのエピソードで登場するのかという問いは、ドラマ『ホークアイ』において重要な秘密の一つだった。第4話でエピソード監督を務めた監督ユニットのバート&バーティは米Coliderのインタビューに登場。「ドラマの一つのエピソードを成立させながら、重要なキャラクターを潜ませること」の大変さについて、バーティが以下のように話している。
特に第4話は(エレーナが登場することが)予想できないようになっています。示唆がないんですよね。ずっとナターシャについて話をしているので。私たちは「クリスマス・モンタージュ」と呼んでいるのですが、ケイトとクリントが友人として近い関係になっていく様子を見せることで、この覆面の人物の登場を偽装しているんです。
見ている人が原作コミックを知っていれば、覆面についてる暗視ゴーグルなどで「これって、もしかして」と気付くファンがいたかもしれません。でも、このシーンではとにかくアクションをしっかり見せて、そして然るべきタイミングで正体が明らかになるという形にする必要がありました。
バーティは、Varietyでエレーナを登場させるにあたっての演出の機微についても語っている。
『ホークアイ』は基本的に登場人物の視点を通して世界を描いています。エピソード4のラストでは、ケイト・ビショップの視点から彼女(エレーナ)を見ることになるので、彼女が誰なのか、物語にどのように組み込まれるのかが全くわかりません。しかし、そこには(『ブラック・ウィドウ』との)繋がりがあり、視聴者はこの新しいキャラクターの存在感を感じとることができます。見る人がどう感じるかとケイトがどう感じるかのバランスが、あのエンディングを特別なものにしています。
一方のバートは以下のように語っている。
(エレーナ役の)フローレンスや(ケイト役の)ヘイリーのような俳優を監督すると、彼女らは非常に多くのことをもたらしてくれます。二人の間にはすぐに自然な化学反応が生まれて——それ以外に言いようがないのです。彼女らが与えてくれるものはギフトで、私たちはそれを大切に扱って、ゆっくりと包みを開けていきます。
俳優達から受け取った大切な贈り物を、ゆっくり開いていくと話すバート監督。ドラマ『ホークアイ』では、エレーナとケイトの物語はまだまだ描かれるようだ。
映画『ブラック・ウィドウ』は11年前に初登場のナターシャが、ドラマ『ホークアイ』は10年前に初登場のクリントが主人公に据えられた作品。そして、『ホークアイ』第4話で描かれたエレーナとケイトの遭遇は、二代目ブラック・ウィドウと二代目ホークアイの出会いでもある。『ブラック・ウィドウ』と『ホークアイ』が連動して制作が進められることは必然だったのだろう。
そしてクリントはどのように過去にケジメをつけるのか…新時代を作っていくケイトとエレーナの姿と共に注目しよう。
原作コミック『ホークアイ』はKindleで日本語訳版が発売中。
ドラマ『ホークアイ』は2021年11月24日(水)より、Disney+で独占配信中。
Source
Variety / Colider / Variety 2
エレーナの登場で明らかになった4つの事実はこちらから。
第4話に登場したウェンディ・コンラッドは、原作コミックで“ボムシェル”という名のヴィランとして登場する。ウェンディに関する詳しい解説は、こちらの記事にまとめている。
第4話のネタバレ解説はこちらから。
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第3話に隠されていたカジの過去についてはこちらの記事で。
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第2話で判明した、ケイトがウエストコースト・アベンジャーズのリーダーになる可能性についての考察はこちらの記事で。
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スパイダーマンが本作に登場するかどうかの考察はこちらから。
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