最終話 第6話ネタバレ解説『オビ=ワン・ケノービ』エピソード4にどう繋がる? あのセリフの意味は あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

最終話 第6話ネタバレ解説『オビ=ワン・ケノービ』エピソード4にどう繋がる? あのセリフの意味は あらすじ&考察

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ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』最終回

2022年5月27日(金)から配信を開始したドラマ『オビ=ワン・ケノービ』が遂に最終回を迎えた。全6話で構成された本作は、『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005) から10年後、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977) の9年前を舞台にした作品。ユアン・マクレガーヘイデン・クリステンセンが17年ぶりにオビ=ワン役とダース・ベイダー役として共演し、注目を集めた。

オビ=ワンの未来は決まっているが、ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』はシーズン2製作の可能性も排除されていないというのが興味深いところ。まずは「スター・ウォーズ」シリーズのドラマ作品では初めてジェダイを主人公に据えた本作がどのような着地点を見せたのか、今回も各シーンの解説しながら見ていこう。

以下の内容はドラマ『オビ=ワン・ケノービ』最終回第6話のネタバレを含むため、必ず本編をDisney+で鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』最終回 第6話の内容に関するネタバレを含みます。

『オビ=ワン・ケノービ』最終回 第6話ネタバレ解説

オーウェンを覚えていたリーヴァ

第5話でダース・ベイダーの手から逃れたオビ=ワン・ケノービ。一方でダース・ベイダーへの復讐を果たそうとしたリーヴァは失敗するが、タトゥイーンに重要な“子ども”がいることを知る。最終話の注目ポイントは、オビ=ワンとリーヴァという、アナキンに並々ならぬ思いを持つ二人の動向だ。

第6話の冒頭では、早くもタトゥイーンに到着したリーヴァの姿が描かれる。ダース・ベイダーに貫かれた腹部には布を巻いているが、それほど重症ではなかったようだ。ダース・ベイダーが慈悲を見せたのだろうか。リーヴァは「オーウェンという農民を探している」と言っている通り、第1話で自分が尋問したオーウェンのことを覚えていたらしい。

通信機でベイル・オーガナが「オーウェン……男の子を救う」と言っていたのを結びつけたのだろう。おそらくリーヴァは尋問官として他にも多くの人物を尋問しており、データを結びつけることができたのではないだろうか。

ダース・ベイダーの乗るスター・デストロイヤーは、ジャビームから脱出した反乱分子の一行を追っていた。圧倒的なパワーの差に加えてシップも破損しており、逃げ切るのは厳しい状況。難民となった人々を見て、オビ=ワンはある民衆を説得し、ダース・ベイダーを引きつけるおとりになることに。一方でハジャにはレイアを家へ送る届けることを約束させる。ジェダイを語る詐欺師だったハジャは、本物のジェダイとの出会いを通して変化したように見える。

ラーズ夫妻の愛

一方、オーウェンはルークを連れて買い物に出ていた。最終話ではオーウェンの親らしい側面が描かれることが示唆されている。リーヴァがルークを探していることを知ったオーウェンは、ベルにそれを知らせるが、ベンがいなくなったことを責められる。オビ=ワンはいざという時のためにルークを見守っていたが、オーウェンはそれを冷たくあしらっていた。

ベルとオーウェンは武器を手にとり、二人でルークを守ることに。二人は単にルークを預かっていただけではなく、命をかけてルークのために戦っていたという貴重な歴史を垣間見ることになる。

オビ=ワンは拗ねるレイアにターラのホルスターを手渡す。二人を助けてくれたターラは第5話で命を落としたが、ローケンがホルスターを拾っていたという。帝国と戦ったターラのホルスターを受け継いだことが、後にレイアがブラスターを主な武器として使うようになるきっかけだったのかもしれない。

オビ=ワンは師のクワイ=ガン・ジンに語りかけるが、これは第3話以来のこと。オビ=ワンは「どちらが死んでも今日で終わる」と呟いている。イエス・キリストのような自己犠牲の姿を見せるオビ=ワンだったがローケンの言う通り、一方でどうしてもアナキンとの決着をつけたがっていた。人々を救うことも本望だろうし、アナキンから逃げ続けることもしたくないというのが本音だろう。

新たなリーダーとなったローケンに、オビ=ワンは「立ち止まるな」と告げ、ローケンは「まだこれからだ」と答える。8月31日(水)配信開始のドラマ『キャシアン・アンドー』は、『オビ=ワン・ケノービ』の4年後を舞台に反乱軍の戦いを描く。ローケンの再登場もあるかもしれない。

リーヴァが迫り来る中、オーウェンはルークにタスケン・レイダーが農家を襲っていると伝える。まだ、ルークを追っているものがいるとルークに知らせるわけにはいかない。しかしここで名前を使われるタスケンの民もたまったものではない。ドラマ『ボバ・フェット』(2021-2022) で汚名が返上がされたタスケンだが、タトゥイーンではこうしてあることないこと含めてタスケンへのステレオタイプが増長していたのだろう。

一方で、ルークを守ろうとするオーウェンとベルの姿は勇ましく、ルークへの心からの愛情を感じる。改めて二人のルークへの愛が描かれる良い機会になったといえる。

エピソード4につながるセリフ

復帰した大尋問官の忠告をよそに、ダース・ベイダーは反乱分子を放っておき、一人でオビ=ワンを追う。ダース・ベイダーをおびき寄せたオビ=ワンは、再び一対一の勝負に挑む。そして「使命を果たす」と言ったオビ=ワンが見せたのは“ソレス”の構え。ソレスはライトセーバーの守備型の構えで、左手の二本指を前に出すのがオビ=ワンの構えの特徴だ。

ファンには涙もののオビ=ワンの本気の構えに、ダース・ベイダーも本気で挑む。ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』では、ダース・ベイダーは一貫して片手でライトセーバーを操ってきたが、この場面では遂に両手でライトセーバーを振るう。ダース・ベイダーは『エピソード4』でオビ=ワンと交戦した時には両手でライトセーバーを振るっているが、それはこの時の戦いの記憶があったからなのかもしれない。

なお、第5話の考察でも触れた二人がムスタファーで交戦するコンセプトアートは、やはりリーク対策のビジュアルだったようだ。決戦の舞台は、ムスタファーのような不安定な地形ではなく、二人の実力がはっきりと分かる静かな惑星になっている。

オーウェンとベルがルークを守ろうとリーヴァに応戦する中、オビ=ワンとダース・ベイダーはシリーズでも屈指のバトルを繰り広げている。フォースを操るオビ=ワンに対し、ダース・ベイダーは「力が戻ったようだな (Your strength has returned.)」とその力を認める。この経験が、9年後を舞台にした『エピソード4』の決戦におけるダース・ベイダーの「力が衰えたな (Your power is weak oldman.)」というセリフに繋がったのだろう。

なお、ダース・ベイダーは「何回やってもお前は勝てない」とオビ=ワンに言っているが、『エピソード4』では逆にオビ=ワンから「お前には勝てない」と言われている。ダース・ベイダーは強大なフォースの力でオビ=ワンを生き埋めにすると、「とんだ思い違いだ、マスター」と告げてその場を離れようとする。

これも『エピソード4』に繋がるセリフと見ることができる。『エピソード4』では、オビ=ワンと再会したダース・ベイダーは「最後にあった時、私はまだ弟子だった。今は私がマスターだ (When I left you, I was but the learner. Now I am the master.)」と言っている。“最後に会った時”というのは『エピソード3』での対決ではなく、この『オビ=ワン・ケノービ』最終話での決戦だったということだ。

このシーンでダース・ベイダーはオビ=ワンをなおも「マスター」と呼び、9年後には「あの時はまだ弟子だった」と認めている。そう考えると、『エピソード4』での「今は私がマスターだ」と改めて宣言したセリフが、ダース・ベイダーがどうしても言いたかったことのように思えて、なんだか愛おしく感じられる。

一方、リーヴァはオーウェンがルークを「我が子のように愛しているようだ」と言い、オーウェンは「私の子だ」と言い返す。この時点でリーヴァはルークがアナキンの息子だと知っているのだろうか。求めているのは「正義」だと言うが、リーヴァの目的はアナキンの息子を殺して復讐するという方向以外には考えにくい。

オビ=ワンが伝えたかったこと

オビ=ワンは間一髪フォースで瓦礫を食い止めていた。苦しむオビ=ワンを突き動かしたのは、「お前が今の私を作った (You made me.)」という第3話でのセリフを含むアナキンの憎しみの言葉ではなく、レイアとルークという自分が守りたい存在だった。

復活したオビ=ワンはまたもダース・ベイダーに戦いを挑むと、圧倒的なライトセーバーとフォースのコンビネーションでベイダーを追い込んでいく。ライトセーバーの柄で胸部の装置を損傷させると、背中を切って勝負あり。とどめに、オビ=ワンは岩を蹴って二段ジャンプをすると左手に持ったライトセーバーでダース・ベイダーのマスクを叩き割る。

そして顔を覗かせたのはヘイデン・クリステンセン演じるアナキン・スカイウォーカーだ。今回は左半分が割れているが、アニメ『スター・ウォーズ 反乱者たち』(2014-2020) のシーズン2では、ダース・ベイダーはかつての弟子アソーカ・タノと再会を果たし、この時はアソーカの一撃でマスクの右側が割れてその目が露出する。

その素顔が見え、「アナキン」と語りかけるオビ=ワンに、ダース・ベイダーは「アナキンは死んだ」と答える。ジェームズ・アール・ジョーンズが当てていた変声機の声が徐々にヘイデン・クリステンセンのものに変わっていく。ダース・ベイダーは「私はその残骸だ」と話すが、4年後に『反乱者たち』でアソーカと対面した彼は、同じように「アナキン・スカイウォーカーは弱かった。故に私が葬った」と言うことになる。

こうして並べてみれば、ダース・ベイダーはオビ=ワンやアソーカら、自分を信じてくれている人々に「アナキンはもういない」と伝え続けているように見える。何も感情がないのなら、有無を言わさず殺そうとすればよいだけであり、逆説的だが、ダース・ベイダーの中にアナキンがまだ生きていることを示しているともいえる。

そのダース・ベイダーに、オビ=ワンはなおも「アナキン」と呼びかける。「すまないアナキン、何もかも (I’m sorry Anakin, for all of it.)」。涙目で振り絞ったこの言葉が、オビ=ワンがずっとアナキンに伝えたかった言葉だったのだろう。オビ=ワンがアナキンと決着をつけるということの意味は、アナキンを殺すことではなく、謝罪の気持ちを伝えることだったのだ。

ダース・ベイダーの“選択”

オビ=ワンのこの言葉に逡巡したダース・ベイダーは、「お前のせいではない (I am not your failure.)」と言うと、アナキンを殺したのはオビ=ワンではなく自分自身だと告げる。このセリフが重要なのは、アナキンは誰のせいでもなく自分自身の意思でこの道を選んだという宣言でもあるからだ。オビ=ワンは「自分のせいで」という自責の念にかられていたが、それはアナキン自身の主体性を軽視することでもある。

アナキンはあくまで自分の意思でダース・ベイダーになったのであり、だからこそ『エピソード6/ジェダイの帰還』(1983) では自分自身の意思でジェダイとして帰還することができたのではないだろうか。

これ以上立ち入ることができない一言を言われたオビ=ワンは、「我が友は死んだようだ」と言い、「さようなら、ダース」と別れを告げる。この時からオビ=ワンの「ダース」呼びが始まったようだ。『エピソード4』では、オビ=ワンはルークにアナキンは死んだと伝え、ダース・ベイダーと出会った時には「アナキン」ではなく「ダース」と呼んでいる。

リーヴァの“選択”

ルークを追い詰めたリーヴァは、遂に手を下そうとするが、フラッシュバックしたのはかつてアナキンに追い詰められた幼い頃の自分の姿だった。真のダークサイドに落ちるかどうかの瀬戸際で、リーヴァは自分を押し留めると、倒れたルークをラーズ夫妻のもとへと返す。

ルークの危機を感じ取ったオビ=ワンもタトゥイーンに戻り、涙するリーヴァに寄り添う。「皆んなの仇を打てなかった」と、アナキンに虐殺されたかつてのヤングリンクスの代表としての自分を責めるリーヴァは、一方で自分がダース・ベイダーと同類になったのではないかと危惧していた。

そのリーヴァにオビ=ワンは、リーヴァは違う道を選んだこと、そして「何になるかは自分次第だ」というDisneyの「スター・ウォーズ」が大事にしてきたメッセージを伝える。これはダース・ベイダーがオビ=ワンのせいではなく自らシスの道を選んだという宣言の裏返しの言葉でもある。続三部作ではレイが自らの生きる道を宣言したタトゥイーンの砂漠で、リーヴァは尋問官のライトセーバーを葬るのだった。

闇に堕ちる選択をする者もいれば、闇から抜け出す選択をする者もいる。だから選択には意味があるのだ。

パルパティーンは「弱さ」を見抜いていた?

オビ=ワンを逃したダース・ベイダーは、今後の方針を説明していた。その相手は……またパルパティーンだ。パルパティーン・サーガは終わったと思っていたのに。演じたのはもちろんイアン・マクダーミド。「スター・ウォーズ」シリーズでは6度目の登場、ドラマ作品では初登場になる。日本語吹き替えの声は『スター・ウォーズ エピソード9/スカイウォーカーの夜明け』(2019) から同役を担当している青森伸が演じている。

「動揺が見られる」「迷いがあるのでは?」「かつてのマスターに抱いている感情が弱さの元」と畳み掛けるパルパティーンに、ダース・ベイダーは「ケノービは私にとって何でもありません」と答える。しかし、もうツンデレにしか聞こえない。

『エピソード6』では、ダース・ベイダーはその弱さ(=残された善の心)をルークに指摘される。そして今回パルパティーンは「かつてのマスターに抱いている感情が弱さの元」と、ダース・ベイダーの弱さの根拠がオビ=ワンにあると指摘していた。

実は、パルパティーンを演じたイアン・マクダーミドは、『オビ=ワン・ケノービ』配信初週に開催されたスター・ウォーズ セレブレーションのイベントに登場。続三部作でのパルパティーンの復活について、「死ぬには利口すぎるわけで、プランBを用意していたはず」と話した。

『オビ=ワン・ケノービ』最終話では、パルパティーンがこの時点でダース・ベイダーの中の弱さを感じ取っていたことが明かされた。この頃からダース・ベイダーが反旗を翻しても復活できるようにプランBの準備を始めたのだとすれば、続三部作におけるパルパティーン復活の唐突さも若干和らぐというものだ。

改めて皇帝に忠誠を誓うダース・ベイダーのバックでは、おなじみの「帝国のマーチ」が流れる。ビジュアルもかつてないカッコよさを漂わせるカットになっている。

レイアとの約束

ハジャは約束どおり、レイアをオルデランに送り届けたらしい。ハジャの再登場にも期待したい。レイアは髪を結い、手袋にブーツ、そしてターラのホルスターという格好で客を迎える。ブレアとベイルはそのスタイルを受け入れている。そのレイアの前に現れたのは、ローラを返しに来たオビ=ワン・ケノービだった。ベイルは帝国の危機を感知しているがその通りで、9年後にはオルデランはデス・スターの餌食になってしまう。

そしてオビ=ワンは両親を知る人物として、レイアに、賢く鋭敏で心優しいところは母に、情熱的で大胆で真っ直ぐなところは父に似ている、二人とも特別な人で、レイアも特別だと伝える。その母と父がアミダラとアナキンであることは伝えられないが、レイアは今の両親の方を見て「それで十分」と返答している。

最後にオビ=ワンはあるメッセージを伝えるが、これが『オビ=ワン・ケノービ』と『エピソード4』を繋ぐもう一つの重要な要素になっている。「いつの日か、くたびれた年寄りが力を貸そう」と約束しながら、「用心せねば。人に知られたら危険だ」と忠告する。

『エピソード4』では、帝国の襲撃を受けたレイアがR2-D2にオビ=ワンへ助けを求めるメッセージを残した。その時、レイアは「クローン戦争であなたは父に仕えてくれました」と、『オビ=ワン・ケノービ』での二人の大冒険を無視したセリフを残している。本作のストーリーが進むにつれて「これは矛盾では」という指摘が起きていたが、この矛盾は最終回で回収されることになった。

レイアはこの後、なるべく一連の出来事やオビ=ワンとの出会いを伏せて生きるようにしてきたのだろう。それはオビ=ワンに危険が及ばないようにという意図もあったはずだ。そしてオビ=ワンの肉体が滅び、帝国も滅びた頃には、自分の息子にベンという名前をつけたのだ。

レイアがベン・ソロの名付け親だったという設定は、『オビ=ワン・ケノービ』の配信中に脚本家が認めている。

最後に登場したのは?

オビ=ワンは、レイアに「フォースと共にあれ」と言い残し、再びタトゥイーンに帰還する。オビ=ワンはかつて着ていた/後に着ることになるジェダイの服を身にまとい、ルークの家が見える洞窟をあとにする。自分がいなくても、ラーズ夫妻はルークを命がけで守った。オビ=ワンは早くルークを訓練したいという欲求を捨て、ルークを夫妻に委ねる。

そんなオビ=ワンに、オーウェンはルークと話す機会をあげるのだが、そう言われたオビ=ワンはとても嬉しそう。第1話でオーウェンに突き返されたが、『エピソード4』でルークが部屋で遊んでいたT-16スカイホッパーの模型を持ってルークのもとへ向かう。そして、オビ=ワンが口にした言葉は「Hello, there.」だった。

「Hello, there.(やぁ)」は、もはやミームになっているオビ=ワンのセリフで、『エピソード3』でグリーバス将軍の軍勢に飛び込んだ時や『エピソード4』での初登場シーンで発している。『オビ=ワン・ケノービ』第3話では、レイアに「挨拶は?」と促され、「Hello.」で止めるというフェイントを見せており、最終話の終盤で遂に登場するというネタになっている。

最後に、砂漠を行くオビ=ワンは師匠クワイ=ガン・ジンの霊体を目撃する。演じているのはリーアム・ニーソン。声の出演以外では、『エピソード1/ファントム・メナス』(1999) 以来23年ぶりにクワイ=ガンを演じている。日本語吹き替えはこれまで通り津嘉山正種が演じている。

『エピソード3』のラストでは、ヨーダがオビ=ワンにクワイ=ガンと交信できる方法を教えると言っていたが、『オビ=ワン・ケノービ』ではまだ習得できていない様子だった。クワイ=ガンはずっとここにいたと言い、オビ=ワンの中で変化が起きたことで見えるようになったようだ。二人は、『エピソード4』でオビ=ワンが住んでいた峡谷地帯へと向かっていくのだった。

ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』最終回 第6話考察

オビ=ワンが去った理由は?

これまでやや不安な部分もあった『オビ=ワン・ケノービ』だが、最終話はキレイな終わり方だったのではないだろうか。オビ=ワンに必要だったのは、『エピソード3』でのアナキンとの別れを乗り越えることであり、それがなければ『エピソード4』の仙人然とした姿には結びつかない。本作はそのギャップを埋める作品になったと言える。

一方で、アナキンが後にジェダイとして帰還することになる背景も垣間見えた。『オビ=ワン・ケノービ』でオビ=ワンが、『反乱者たち』でアソーカが対話を試みた事実は、アナキンの心の中に積み重なっていったはず。

ダークサイドに堕ちても師のオビ=ワンが語りかけ、弟子のアソーカが語りかけ、その度にダース・ベイダーは(律儀にも)「アナキンは死んだ」と返答した。そして、この積み重ねがあったからこそ、ルークとの出会いを経てアナキンはジェダイとして暗黒面から帰還することができたのではないだろうか。

なお、オビ=ワンがダース・ベイダーを追い詰めながらも殺しはしなかった理由も仮説を立てることができる。『反乱者たち』では、ダース・ベイダーから「アナキンは私が葬った」と言われたアソーカは、ならダース・ベイダーに復讐すると返答する。ダース・ベイダーは、ジェダイは復讐を禁じられていると指摘するのだが、アソーカは自分はもうジェダイではないと反論している。

つまり、ダース・ベイダーを殺すことはアナキンへの復讐を果たすことになるため、そもそもオビ=ワンはダース・ベイダーを殺すつもりはなかったと考えられる。オビ=ワンはあくまでアナキンと対話するためにダース・ベイダーを誘き出したのだろう。ルークも含め、ジェダイの誰もアナキンを殺していないのだ。

ちなみにアソーカはその後、仮面が割れたダース・ベイダーに対し「今度は置き去りにしない」と言い、逃げることはしなかった。それに対するベイダーの返答は「では死ぬしかない (Then you will die.)」であり、これもこの最終回で「使命を果たさねば」と言うオビ=ワンにベイダーが放ったセリフと全く同じである。

このように、最終話のオビ=ワンvsダース・ベイダーは、アニメ『スター・ウォーズ 反乱者たち』のアソーカvsダース・ベイダーのオマージュが散りばめられているので、未見の方はぜひチェックしていただきたい。

追記:ヘイデン・クリステンセンは最終話のこのシーンを撮影するために『反乱者たち』の該当シーンを何度も観なおしたことを認めた。詳しくはこちらの記事で。

選択の物語

同時に、オビ=ワンがルークへの執着をも一旦捨てることができたことも本作のポイントだ。「選択は自分次第」というテーマを、アナキンとリーヴァを通して打ち出し、「ルークを早く訓練しなければ」と考えていたオビ=ワンが、自然の成り行きに任せることを選ぶ姿が描かれた。

オビ=ワンのアナキンへの執着の延長線上にあったルークへの執着は、執着を否定するジェダイ・コードに反する。故にオビ=ワンはクワイ=ガン・ジンのフォースの霊体が見えなかったのではないだろうか。

『エピソード4』では、ルークはレイアからのメッセージを受け取った後、自らの意思でラーズ家を抜け出してオビ=ワンのもとに来る。進む道は他人が強いるのではなく、自分で選ぶこと——それは、ドラマ『ボバ・フェット』でもグローグーとルークを通して描かれたテーマだった。

自分で選ぶ道を得たのはリーヴァも同じ。ジェダイでもシスでもないフォースの使い手は、今後「スター・ウォーズ」の宇宙の中で、いつどこで登場するのだろうか。反乱分子のリーダーになったローケンと、レイアを送り届ける任務を果たしたハジャと共に再登場に期待したい。

初めてジェダイを主人公に据えた「スター・ウォーズ」のドラマシリーズは一旦終了。だが、本作の最終回後の展開については、ユアン・マクレガー、ヘイデン・クリステンセン、ゼン・チョウ監督が語っている。その内容はこちらの記事で。

『オビ=ワン・ケノービ』シーズン2についてのルーカス・フィルムトップのコメントはこちらから。

どのような形であれ、ユアン・マクレガーにはもうしばらくオビ=ワンを演じてほしいところ。次の「スター・ウォーズ」ドラマは8月31日(水) に配信を開始する『キャシアン・アンドー』で、舞台は本作の4年後になる。ドラマ『アソーカ・タノ(原題)』にもアナキン役で出演するヘイデン・クリステンセンの活躍も楽しみにしつつ、次のサプライズに期待しよう。

ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』は全6話がDisney+で独占配信。

『オビ=ワン・ケノービ』(Disney+)

今秋配信を開始するアニメ『バッド・バッチ』シーズン2の情報はこちらから。

同じく今秋配信のアニメアンソロジー『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』についてはこちらの記事で。

ドラマ『マンダロリアン』はシーズン4へ向けて動き出している。詳しくはこちらの記事で。

正史ではない“レジェンズ”に該当するアニメ『スター・ウォーズ:ビジョンズ』はシーズン2が2023年春の配信が決定している。詳しくはこちらから。

 

第5話のネタバレ解説はこちらから。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

第3話のネタバレ解説はこちらから。

第4話のネタバレ解説はこちらから。

 

ゼン・チョウ監督が語ったダース・ベイダー復活の理由はこちらから。

『オビ=ワン・ケノービ』を巡っては、一部ファンによるリーヴァ役モーゼス・イングラムへの人種差別が起きていた。オビ=ワン役のユアン・マクレガーはこれを強く批判するメッセージを出した。詳しくはこちらから。

この件についての「スター・ウォーズ」公式によるコメントはこちらから。

 

『オビ=ワン・ケノービ』の当初の脚本家が語った映画三部作構想についてはこちらから。

 

ドラマ『ボバ・フェット』最終話ラストについての解説&考察はこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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