『スター・ウォーズ:アコライト』第6話はどうなった?
ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』は2024年6月から配信を開始した「スター・ウォーズ」シリーズの最新作。映画『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999) の100年前を舞台に、ジェダイ暗殺事件に端を発する物語が展開される。
全8話で構成されるドラマ『アコライト』はあっという間にラスト3話に突入。衝撃の第5話を経て、第6話ではどんな展開が待っていたのだろうか。今回は『アコライト』第6話をネタバレありで解説&考察していく。以下の内容は本編のネタバレを含むので、必ずディズニープラスで本編を鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』第6話の内容に関するネタバレを含みます。
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ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』第6話「指導/堕落」ネタバレ解説
その名はザ・ストレンジャー
クライマックスへと動き出すドラマ『アコライト』の第6話は、「指導/堕落」という不穏なタイトルが付けられている。英語では第6話のタイトルは「Teach/Corrupt」になっており、「教えること」と「腐敗すること」という二つの要素が並べられている。
第6話の監督を務めるのはハネル・カルペッパー。これまで『GOTHAM/ゴッサム』(2014-2019) や『THE FLASH/ザ・フラッシュ』(2014-2023)、『SUPERGIRL/スーパーガール』(2016-2021) といった数多くの作品でエピソード監督を務めてきた。『アコライト』最終話もハネル・カルペッパーが監督を務めることになっているため、第6話は最終回の第8話に直接的につながる内容になることが予想できる。
前回、カイミールが敵のマスターの正体であることが明らかになり、戦いの中でジェキやヨードといった若いジェダイたちの命が失われてしまった。さらにメイはオーシャに成り変わってソルの船に乗り込み、逆にカイミールがオーシャを介抱するシーンで前話は幕を閉じた。第5話の配信後、「スター・ウォーズ」公式はカイミールの名前を“ストレンジャー (The Stranger)”と発表。第6話の吹き替えクレジットではマニー・ジャシントが演じる人物の名前は日本語で「ザ・ストレンジャー」と表記されている。
第6話は意識を取り戻したオーシャの姿から幕をあける。前回のラストでザ・ストレンジャーはオーシャにフォース・ヒーリングを使って傷を治癒しており、オーシャも傷が治っていることに驚いている様子。そこはわりかし生活感のある部屋で、着替えを手にして外に出たオーシャが知ったのは、自分がいるのは完全に孤立した小島ということだった。
「未知の惑星」と表記されたこの場所には、岩にカモフラージュする不思議な生き物の家族も生息している。拘束されているわけではないが、すぐに逃げ出すこともできない状況に立たされたオーシャだったが、すぐに海岸を歩くザ・ストレンジャーの姿を見つけるのだった。
コーファーではソルが船で飛び立ち、コルサントに緊急事態を報告するが電波が悪い様子。この時ソルは「エマージェンシーコードゼロ」と告げているが、レジェンズ設定では「エマージェンシーコードゼロ」は帝国が使用する緊急事態のコードとして登場している。
一方のメイは16年前にわざと失敗したジェダイのテストを思い出していた。メイとオーシャにとっての岐路となったテストだ。ソルは通信機をリセットするためにオーシャ(メイ)に操縦を任せて一人になると、多くの仲間を失ったことに対してだろう、感情を露わにして目を潤ませる。ソル役イ・ジョンジェの『イカゲーム』(2022-) でも見せたエモーショナルな好演だ。けれど、ジェダイとしてはこんなに感情的になってはいけない。このあたりから第6話のソルは綻びを見せ始める。
前回のラストでピップの頭部を拾っていたバジルはUSBポートみたいなところにピップの頭を挿して再起動に成功。第4話ではヨードがバジルの通訳を担っていたが、ヨードはバジルの言葉を「ニュアンスに富む言語」と発言しており、誰でも話せるわけではないことを示唆していた。嗅覚が強いバジルはメイの存在に気付いていそうだし、バジルが復活させたピップもメイがオーシャと入れ替わっていることに気付きそうだが、二人ともソルと話せそうにないのが欠点だ。
特別な関係……?
オーシャは服を脱いで水の中へと入っていくザ・ストレンジャーの姿を目にする。その背中には大きな傷が。背中の傷というのは「逃げ傷」といって、敵から逃げている時につけられたものであり、武士の世界では恥とされている。ちなみにこの傷はYの字の形になっているが、続三部作の主人公レイも右腕にYの字を組み合わせた形の傷がある。
このシーンではザ・ストレンジャー役のマニー・ジャシントがディズニープラスではギリギリの上半身裸を見せている。なお、『アコライト』では第1話でもヨード役のチャーリー・バーネットの上裸が披露されていた。
このシーンの意味は、オーシャがジェダイの教義に従って文字通り丸腰で丸裸の相手を攻撃できないことを示すことにある。ザ・ストレンジャーは自分のライトセーバーを奪って構えるオーシャに構え方を指導したり、戦闘中ではなく後で殺せばそれは“復讐”になるというオーシャの葛藤を言い当てたりする。
マスター然とした態度でオーしゃに向き合うザ・ストレンジャーに対し、オーシャの心配事はソルとメイの安否だ。ザ・ストレンジャーは、オーシャがメイよりも先にソルが生きているかを聞いたことを指摘すると、オーシャにとってのソルの存在が師匠以上のものであり、二人が“特別な関係”であると予測する。
ちょっと待って、何その展開!? ともすればそこに恋愛感情があるかのような物言いだ。もちろん人間の関係というのは恋愛感情とそれ以外で二分できるわけではなく様々なグラデーションがあるものだが、何その思わせぶりな言い方!?
ソルが幼かったオーシャをマインドコントロールして自分に好意を持たせるように仕向けたということなのだろうか。オーシャがソルを一方的に好きになったという可能性もあるが、それでも権力勾配が非対称な中で幼い相手が自分に本気の好意を抱かないように適切な距離感を保ったり、それはいけないことだと教えてあげるのも大人の責任であるはずだ。ジェダイマスターなら尚更。第6話はこの時点で気が気でなくなった方も多かっただろうが、とりあえず先を見ていこう。
後回しのソル
そのソルはメイを急に抱きしめると、「お前は私を救った。あの男はお前の姉を堕落させた」と告げる。“特別な関係”のくだりがあるのでちょっと怖い。ハグする手つきも気になる。こんな感じでオーシャを洗脳したのだろうか。ここでソルは「あの男は私に過去の記憶を……」と言っているが、英語を見ると「He pushed me to a place I—」となっているので、「思い出させた」と続くものと思われる。
ソルは「今こそ過ちを正す時」として、最高評議会と向き合って全てを話すと告げる。ここでもソルはすぐにオーシャ(メイ)に話そうとせず後回しにしているのが気になる。それにしてもジェダイの最高評議会に告白しなければならないほどの過ちがあるということなのだろう。ここでコルサントからの通信が一時的に入り会話が妨げられると、続いて船の電源が落ちてしまう。えらくソルに都合よく物事が運んでいるようにも見える……。
コルサントでは、ジェダイマスターのヴァーネストラ・ロウがある議員から連絡を受けている。レイエンコート議員という人物がジェダイ・オーダーの外部審査実施を推進しているようで、ロウは「あの男はジェダイを敵視し恐怖を喧伝している」と、レイエンコート議員がジェダイの敵対者であることを示唆している。通信の相手も「野心的な議員を権力を求めているだけ」と話している。オーダーが崩壊する100年以上前からジェダイは政争の最中にあったということだ。
そこに現れたのはジェダイのモグ・アダナ。ソルチームの全滅と通信が途絶えたことをヴァーネストラ・ロウに告げ、二人はコーファーへ救助に向かうことになる。ここでロウが認めている通り、ソルたちをコーファーへ送ったのはロウの判断であり、今回の事件の責任はロウが負うことになりそうだ。
オーシャの力
オーシャはザ・ストレンジャーの過去を聞くと、大昔にジェダイだったと明かす。オーシャがジェダイに加わったのが16年前なので、それより以前にジェダイ・オーダーにいたということだろう。ザ・ストレンジャーは見た目よりも長生きしているのかもしれない。
さらにオーシャを「みんなが欲しがる娘」と特別な力があることを認めると、ソルのフォースの力については「あれはお前のフォースだ」と告げる。ソルには大した力はなく、オーシャが近い者に力を与える能力を持っていたということなのだろうか。
「教えが必要」としつつも逃げるための船の位置も教えるザ・ストレンジャーの姿は、あるあるな主人公のマスターそのもの。気になることを言われたオーシャは結果的に自分の選択でザ・ストレンジャーの住まいに戻ることになる。
電力を復旧させようとしたメイはバジルから襲撃を受けるが、なんせバジルは弱い。というかちっちゃい。船に繋がれたピップも船から液体を出したりして戦うが、メイはピップを初期設定に戻してしまい、ピップはメイのものになる。目に当たる部分が赤くなるのは、ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』(2022) でレイアのドロイドL0-LA59(ローラ)がリーヴァに制御ボルトを取り付けられてハッキングされた時と同じ演出だ。
「解釈の問題」
オーシャは、ソルのフォースを「お前の力だ」と発言したザ・ストレンジャーに「訓練しないとフォースは消える」というジェダイの教えを盾にして詰め寄っている。だが、ザ・ストレンジャーからすればそれはジェダイの言い分であり、別の方法もあると主張する。
このシーンでは、フォースに続く「道は一つ(There is only way)」というジェダイの考えに対し、「別の道もある(There is another way)」という主張がなされている。ドラマ『マンダロリアン』(2019-) 以降の「スター・ウォーズ」フランチャイズが積極的に掲げている銀河の多様性に通じる発想だ。もちろん、アニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』 (2008-2020) などでもフォースはジェダイとシスだけのものではないことは繰り返し示されている。
ザ・ストレンジャーは、フォースの根源として「怒り・恐怖・喪失・欲望」という要素をあげる。それは「ダークサイドへの道」だとするオーシャに「それが?」と返しているが、英語では「解釈の問題だ(Semantics)」と言っている。つまり、「怒り=ダークサイド」という表面的な解釈、すでに決められた方程式に従う議論に意味はないと主張しているのだ。
それでも、ジェキを殺したと怒るオーシャに、ザ・ストレンジャーは、ジェダイは心を開かないからオーシャの一方通行、ソルとの関係と同じだと突き放す。ジェキを演じたダフネ・キーンは、ジェキがオーシャに恋愛感情に近い感情を抱いていたと明かしている。だが、ジェダイである以上はそれが成就することはない。“オーシャの一方的な愛”というあまりに残酷な指摘だ。
オーシャが「私が堕ちることはない」と反論するのも、結局はジェダイの掟の中でしか会話ができない証拠だ。けれど、オーシャが求めていたのはジェダイの掟を超えたところにあるものだったのだろう。
ザ・ストレンジャーからライトセーバーで自分を殺すよう迫られるが、オーシャはここでもジェダイの掟を守ろうとする。ザ・ストレンジャーは、オーシャが抱える怒りや痛みを「それがお前だ」と肯定しながらも、それが理由でジェダイから追放されたと指摘する。オーシャがジェダイから離れざるをえなかったのは、愛の強さも含め、オーシャが非常に人間的な存在だったからなのだろう。
この指摘を受けたオーシャは、『アコライト』で初めて刃の出たライトセーバーを持つことになる。オーシャが持っているのは、ザ・ストレンジャーの赤い刃のライトセーバーだ。そしてザ・ストレンジャーに「自分も同じ、全てを失うと自由になれる」と告げられ、刃を納める。オーシャはこのままダークサイダーになってしまうのだろうか。
ソルはいつ気づいた?
バジルはメイから奪ったライトを使って船の床下を進んでいる。メイはそれに気づいたがソルに呼び出され、第2話の惑星オレガでカイミールと出会った時になぜその正体を感じ取ることができなかったのかと相談を受ける。ソルはやはりそれほど強力なフォースの力を持っておらず、そのせいでカイミールの正体に気づくことができなかったのかもしれない。
ソルはピップは「ただの機械」なのにオーシャが愛情を費やしていることを指摘する。メイはジェダイになるために自分らしさを犠牲にしたとソルを責め、16年前のことを全て話すよう迫るがここで電力が復旧。ソルはまたも話をする機会を逸する。しかし、ここでソルはメイにスタンを当てて気絶させる。ソルは相手がオーシャではなくメイであることに気づいていたのだ。
ソルはどのタイミングでメイだと気づいたのだろうか。ピップを「機械」と言われて反論しなかったからだろうか。あるいは、ピップの目が赤くなっており、初期化されたことに気づいたか。少なくともハグの時点では気づいていなかったと思われるが。
電源は復旧したが、ソルは通信機を切ってハイパースペースジャンプしてしまう。おそらくヴァーネストラ・ロウと合流すれば、ジェダイではないオーシャを助けに行く許可は降りないと考えたのだろう。幸い、ロウ側は通信がつながりにくい状況だと捉えているはずなので、このまま寄り道してオーシャを連れ戻しても問題ないと考えているのだろう。
二つの力とコルトシス
惑星コーファーについたロウとモグが森に向かう中、ザ・ストレンジャーはメイが自分のように復讐以上のものを望んでいるかと見誤ったと話す。ザ・ストレンジャーが望んでいるのは「二つの力(Power of two)」だという。『マンダロリアン』のディン・ジャリンとグローグーを指す「二人の氏族(Clan of two)」を想起させる言葉でもあるが、これは第3話で魔女たちが儀式唱えていた「一つの力、二つの力、数多の力」という掛け声の一部である。
儀式では「数多の力」が信奉されていたようだが、「2」という数字にこだわるのは、シスの「二人の掟」を想起させる。二人の掟とは、シスは内紛を避けるためにマスターと弟子の二人しか同時に存在してはいけないという決め事で、1,000年ほど前にダース・ベインという人物によって作られたルールだ。オーシャとメイも「二人で一つ」と紹介されていた。フォースの力を真に引き出すには二人の力を合わせる必要があるのかもしれない。
また、新三部作ではレイとカイロ・レンが「フォースの一対」として、二人で一つの存在として登場した。パルパティーンによると、フォースの一対は数世代に渡って登場しておらず、『アコライト』の時代にも登場していないと思われる。
背中の傷について聞かれたザ・ストレンジャーは、「何の傷だと思う?」と質問に質問で返す。うっとおしくはあるが、これはこれでマスターの問答っぽい。ザ・ストレンジャーは「俺を捨てた奴」に斬られたと答えるが、「ジェダイマスター?」という問いは無視する。ずっと思わせぶりだ。
それにしてもこのシーンのザ・ストレンジャー、ずっと目が座っていて、カイミール役を演じていた時のマニー・ジャシントとは表情が全然違う。第5話とはまた違った形でマニー・ジャシントの見事な演技力が披露されている。
ザ・ストレンジャーは、自分のマスクを指して「コルトシス」だと説明する。前話の解説記事でも書いたが、配信後に公式サイトでマスクの素材がコルトシスであることが明かされていた。レジェンズで登場した際には「コートシス」と表記されることもあったが、正式な日本語表記は「コルトシス」になるようだ。
コルトシスはライトセーバーを防ぐ(一時的にショートさせる)ことができ、感覚も遮断できるという。「訓練で使っただろ?」と聞いているが、これはかなり昔にジェダイがコルトシスを利用していたということだろうか。『アコライト』を指揮したレスリー・ヘッドランドは、この時点でコルトシスは希少な鉱物であり、後の時代の作品に登場しないことにも理由があるという旨の説明をしている。
このマスクを被れば自分とフォースだけが残るといい、ザ・ストレンジャーは「自分を信じろ」とマスクを被るよう勧めるのだった。
サイコメトリーとライトウィップ
そしてコーファーの森でジェキやヨードの遺体が映し出されるショッキングなシーンが。俳優たちの名前がクレジットされて、第6話分もギャラをもらえるので良いことではある。ロウはここで起きた出来事の声を聞き取っているが、これはフォースによるサイコメトリー(またはフォースエコー)を使ったものだと考えられる。ドラマ『アソーカ』(2023-) でもアソーカ・タノが使っていたが、これが使えるジェダイは限られている。
ロウとモグは現場検証を進めるが、ここで第6話唯一のライトセーバーアクションが披露される。飛んできた蛾(ダンゴムシ)に対してロウがライトウィップをふるうのだ。レジェンズの『スター・ウォーズ:ビジョンズ』(2021-) シーズン1の「THE TWINS」にも登場したライトセーバーの亜種で、刃の部分が鞭のようにしなる仕様になっている。
モグは、今回の事件を「堕ちたジェダイ」の仕業だとして、マスター・ソルによる反抗を疑う。ロウは「均衡を崩す何か」が犯人だとしている。例えばソルは第4話の会議のシーンでメイの標的となっているジェダイに自分を数えていなかったり、今回の出動を熱望したり、ロウからしてもソルには怪しいところがあった。ソルが姿をくらましていることが事態をややこしくする可能性もあるだろう。
エンディングの意味は?
船内で目を覚ましたメイは、ソルに拘束されている状態であることに気づく。そして、ソルはメイのマスターを探してオーシャを救うと言う。これはザ・ストレンジャーがオーシャに対してやったことと真逆の振る舞いであり、二人のマスターが対比されている。相手を自由にさせて自分も無防備で、オーシャの内面を問い続けたザ・ストレンジャーとは違い、ソルは拘束したメイに16年間考えていたことを「心して聞いてくれ」と告げるのだった。
ドラマ『アコライト』第6話のラストシーン。コルトシスのマスクと向き合ったオーシャは、ついにそのマスクを被る。そして第6話は、マスクを被ったオーシャの呼吸音で幕を閉じる。この終わり方は、映画『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』のラストと同じ演出だ。
同作のエンドロールでは、ダース・ベイダーのテーマ曲である「帝国のマーチ」が流れた後、最後にダース・ベイダーの呼吸音が流れる。アナキン少年がダース・ベイダーへの道のりを歩み始めたことを示す演出で、同じパターンであればオーシャはダークサイドに堕ちることになるが、果たして……。
ドラマ『アコライト』第6話ネタバレ考察&感想
二人のマスター
ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』第6話は、オーシャ&ザ・ストレンジャー、ソル&メイという二組を描いていく回だった。すでにメイに未練がないザ・ストレンジャーに対して、ソルはオーシャを追い求めている。オーシャもまたソルに対する愛着を捨てきれずにいて、けれどザ・ストレンジャーがそのオーシャの心を徐々に開いていく。
前話でザ・ストレンジャーは自由を求めていると主張したが、第6話ではジェダイをやめてもなおジェダイ・オーダーの掟に縛られているオーシャを解放するような見事な誘導を見せている。さまざまなルールから解放されることがダークサイドの魅力であり、オーシャの場合は“愛情”という本来肯定されるべき欲求も抱えている。ザ・ストレンジャーは理論面でも対抗するには厄介な相手である。
アナキン・スカイウォーカーがパドメ・アミダラへの愛がきっかけでジェダイを離れたように、オーシャもまたソルやジェキへの愛情によってジェダイでいることができないのだろう。それはジェダイ・オーダー自体の限界でもあるのだが、それでもやっぱりソルの責任もあるように思う。幼くして家族と故郷を失ったオーシャをどのようにケアしたのか、それがオーシャのルーツを知るための重要な鍵になる。
一方で、“去る者追わず”なザ・ストレンジャーの姿勢は魅力的ではあるが、“預かる者の責任”という観点ではソルと同じ課題があるようにも思う。「弟子」と「二つの力」が欲しいと語るザ・ストレンジャーは、あくまで自分の目的を果たすために他者を求めているだけで、他者を手段としか考えていないのではないかという疑念も出てくる。もっとも、ザ・ストレンジャーには「それがどうした」と言われてしまいそうだが……。
ダース・プレイガスに繋がる?
ちなみに「スター・ウォーズ」では、オビ=ワンとアナキン、レイとベン・ソロ、ディン・ジャリンとグローグーなど、二人が対になる物語が多い。「二つの力=Power of Two」がこの時代にあっても存在感を示すのだとしたら、オーシャとザ・ストレンジャーは「スター・ウォーズ」史にどんな影響を及ぼすことになるのだろうか。この二人の動きは、パルパティーンへと繋がるシスの文脈に加わるのだろうか。
『アコライト』の時点でパルパティーンは生まれていないが、第6話ではザ・ストレンジャーが「大昔にジェダイだった」という発言から、かなり長寿である可能性が示唆された。ザ・ストレンジャーがパルパティーンことダース・シディアスの師匠であるダース・プレイガスだとしたら、オーシャとの関係もどこかで切れることになりそうだ。あるいは、オーシャがザ・ストレンジャーを倒してダース・プレイガスになる可能性もあるかもしれない(一応プレイガスの代名詞はHe(彼)だが)。
残り2話なのにまだまだ解決しなければいけないことが残されている『アコライト』。とりあえずソルと同船しているバジルが心配ではあるが、一応全てを見ている目撃者の一人なので、バジルの更なる活躍にも期待したいところ。最終話目前となる第7話は過去回だった第3話と同じコゴナダが監督を務める。次も過去回になることが予想されるが、一体どんな過去が明らかになるのか、配信を楽しみに待とう。
ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』はディズニープラスで独占配信中。
『エピソード1』の200年前を舞台にした正史小説「ハイ・リパブリック」シリーズは講談社より発売中。
『アコライト』第7話のネタバレ解説&考察はこちらから。
第5話のネタバレ解説&考察はこちらから。
ザ・ストレンジャーのコルトシスとライトセーバー戦の型についての解説はこちらから。
『アコライト』で存在感を見せているバジルについての解説はこちらから。
第4話のネタバレ解説&考察はこちらから。
第3話のネタバレ解説&考察はこちらから。
第3話で示唆されたアナキン誕生の秘密について、これまでの経緯をまとめた記事はこちらから。
第2話のネタバレ解説&考察はこちらから。
第1話のネタバレ解説&考察はこちらから。
『アコライト』時系列の解説とパルパティーン登場の可能性についての考察はこちらの記事で。
マスター・ソルについての紹介はこちらの記事で。
アニメ『バッド・バッチ』シーズン3フィナーレのネタバレ解説はこちらから。
ドラマ『アソーカ』シーズン1最終回のネタバレ解説はこちらから。