第1話ネタバレ解説『スター・ウォーズ:アコライト』ジェダイ崩壊100年前の事件、続三部作にもつながる? 考察&感想 | VG+ (バゴプラ)

第1話ネタバレ解説『スター・ウォーズ:アコライト』ジェダイ崩壊100年前の事件、続三部作にもつながる? 考察&感想

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『スター・ウォーズ:アコライト』第1話配信開始

「スター・ウォーズ」ドラマ最新作となる『スター・ウォーズ:アコライト』の第1話が2024年6月5日(水) よりディズニープラスで独占配信を開始した。2023年に配信された『アソーカ』以来となる「スター・ウォーズ」ドラマ最新作となる『アコライト』は、実写作品では初めて映画『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999) より前の時代を舞台にした作品だ。

ドラマ『アコライト』では『エピソード1』の100年前、ジェダイ全盛の時代を舞台に、こちらも実写化作品では初めてシスのサイドに焦点を当てる作品になるとされている。今回は、初回に第2話と共に配信を開始した『アコライト』シーズン1第1話をネタバレありで解説&考察していこう。以下の内容には本編のネタバレを含むため、必ずディズニープラスで第1話を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『アコライト』第1話の内容に関するネタバレを含みます。

ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』第1話「失って/見つけて」ネタバレ解説

舞台は『エピソード3』の100年前?

ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』第1話の冒頭では、「帝国誕生の100年前」にジェダイ・オーダーと共和国が数世紀=何百年にもわたり平和を謳歌していたと紹介されている。字幕では省略されているが、この「平和」というのは「without war」ということで、戦争すら起きていなかったということらしい。

『アコライト』の舞台は『エピソード1』の「100年前」か「50年前」とされていたが、厳密には「帝国誕生の100年前」ということのようだ。つまり、『アコライト』は『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』の100年前の119 BBYが舞台で、32 BBYが舞台の『エピソード1』から数えると約87年前、41 BBYのアナキン・スカイウォーカー誕生の78年前ということになる。→この字幕の原文は「A hundred years before the rise of the Emire」となっており、「帝国が起こり始めた時期から100年前」という意味のようで、公式サイトはやはり『エピソード1』の100年前と記載されている。詳しくはこちらの記事にまとめたのでチェックしていただきたい。

そんなジェダイ全盛の時代に、銀河の片隅で少数の者がフォースの扱い方を会得し、その中の一人が復讐を企んでいるという。『アコライト』では「復讐」がテーマの一つになりそうだ。そして、映し出されたのはガッツリ日本苗字の“ウエダ”という場所。海には厳島神社のような海に浮かぶ鳥居を想起させる岩も見える。

最初に登場したのはアマンドラ・ステンバーグ演じるメイ。1998年生まれ、映画『ハンガー・ゲーム』(2012) のルー役やドラマ『ジ・エディ』(2020) のジュリー役などで知られ、映画『ブラックパンサー』(2018) のシュリ役を勝ち取ったが、ルーツの観点から自分よりも適任者がいるとして辞退したという逸話がある。ノンバイナリーであること、フェミニストであることも公表している。

なお、第1話と第2話の監督を担当するのはレスリー・ヘッドランドで、映画『バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!』(2012) やドラマ『ロシアン・ドール:謎のタイムループ』(2019-) を手がけたことで知られている。同監督はレズビアンで、『ロシアン・ドール』にも出演したレベッカ・ヘンダーソンと結婚しており、レベッカ・ヘンダーソンは『アコライト』にも出演している。

マスター・インダーラ vs メイ

ジェダイを探すメイは酒場へ向かう。『アコライト』は「スター・ウォーズ」実写作品では最も過去を描くということもあってか、より時代劇のような西部劇のような雰囲気が強くなっているように思える。そこにいたのはマスター・インダーラだった。

インダーラを演じているのはキャリ=アン・モス。映画「マトリックス」シリーズのトリニティー役、ドラマ『ジェシカ・ジョーンズ』(2015-2019) をはじめとする〈ディフェンダーズ〉シリーズのジェリ・ホガース役などで知られている。大物俳優の「スター・ウォーズ」参戦、それもジェダイマスター役での登場だ。

メイはインダーラとの決着をつけにきたと言うが、戦う理由がないとするインダーラに対し、メイは周囲の人間を攻撃し始める。ようやくインダーラはメイを止めるために対峙するのだが、インダーラには圧倒的強者感が漂っている。武器を使わずフォースを使ってメイをいなすと、2階から突き落とされた客を強力なフォースの力で助けている。同時に、ひと蹴りでテーブルを吹き飛ばし、驚異的な跳躍を見せたメイがフォースの使い手であることも見抜いている。

インダーラはメイを認識すると、「こんな道を歩んではいけない」と忠告するが、メイは「武器を手にしたジェダイは人殺し」と言い放つ。二人は過去の因縁があるようだ。ここまではさながら忍者と合気道家の戦いのようだったが、インダーラがライトセーバーを抜くと、忍者 vs 侍の様相に。しかし、メイは逃げ遅れていた酒場の店主を標的とすると、それを助けるために気を逸らしたインダーラの胸に短刀を命中させて勝利するのだった。

メイは目撃者である店主の目の前まで行くが、店主には子どもがおり、メイは見逃すことに。この描写から、メイの復讐には親子の物語が絡んでいることが示唆されている。いずれにせよ、一人のジェダイマスターが殺され、『アコライト』の物語は幕をあける。

通商連合も登場

シップの中で目を覚ました人物は、ピップという名の手のひらサイズのドロイドと話をしている。ルーク・スカイウォーカーのようにドロイドの言葉を理解できるようだ。メイと同じ見た目をしているこの人物は、ここではオーシャと呼ばれている。フィリックという仲間から昨夜は「ナー・シャダー行きを逃した」と言われているが、ナー・シャダーというのはハット・クラン(ジャバ・ザ・ハットらの一族)が支配する犯罪都市がある衛星で、小説作品に登場している。

この船内には通商連合の人々の姿が。通商連合は星間貿易を担う企業連合で、後にダース・シディアスに加担してナブーの戦いを勃発させた。後にドゥークー伯爵の独立星系連合に加わり共和国とクローン戦争を戦ったが、闇堕ちしたアナキン・スカイウォーカーにトップを殺害され、新たに勃興した帝国に吸収されている。『アコライト』はその時点から100年前ということで、まだ通商連合もそれほど力を持っていない時期だと考えられるが、本作の中でシスとの結びつきを持つようになった経緯が描かれるのだろうか。

船の修理に出たオーシャは、機体から上がる炎を見て母が関係するトラウマがフラッシュバックする。炎といえばドラマ『オビ=ワン・ケノービ』(2022) でも『エピソード3』の反復としてオビ=ワンとダース・ベイダーの戦いで強調して用いられた演出だ。“復讐”と“炎”は、アナキンと共通する要素とも言える。

そんな中、船の中ではジェダイのヨード・ファンダーとパダワンのタシ・ロワが登場。ヨード・ファンダーを演じるチャーリー・バーネットは『シカゴ・ファイア』(2012-2015) のピーター・ミルズ役や『ロシアン・ドール:謎のタイムループ』のアラン役で知られる。“レスリー・ヘッドランド監督組”と言っても過言ではない。タシ・ロワを演じているのはThara Schöön(読み方不明)。ロンドン出身の俳優だ。

二人はオーシャ・アニセヤという名の元ジェダイを探しているという。オーシャは個人契約のメカニックとして生計を立てているらしい。『マンダロリアン』(2019-) のディン・ジャリンのように個人事業主ということだ。シラを切るキャプテンに対し、ヨード・ファンダーがフォースを使おうとすると、もう一人が居場所を伝える。武装していない民間人に対する態度としてはやや強引で、ジェダイ全盛期の驕りも感じられる。

オーシャの過去

オーシャとヨードは旧友らしく、2年前にナイトになったというヨードを祝福している。オーシャはジェダイ・オーダーを去って6年が経つというが、ジェダイのスキルは外の世界じゃ役に立たないと厳しい現実を明かしている。それもそのはず、銀河の各地で帝国の圧政とそれに対抗する反乱が起きていた帝国の時代とは違い、平和な時代には戦うための力は必要とされないのだ。

再会を喜ぶオーシャを横目に、ヨードとタシ・ロワはオーシャへの尋問を進めていく。オーシャは8歳でジェダイ・オーダーに拾われたといい、その年齢がオーダー入りの懸念材料になったという。これはアナキン・スカイウォーカーの設定をそのまま踏襲したものだ。アナキンもクワイ=ガン・ジンに拾われたのは9歳の時だった。

アナキンも訓練をするには遅すぎると言われていたが、その苦言はジェダイ・オーダーの過去の記録も参照しての判断だったのかもしれない。また、オーシャの場合は、更に村ごと燃えて家族全員を失い、喪中でもあったという。そんなオーシャをマスター・ソルが引き受けて訓練したが、オーシャは亡くした者への愛着を捨てきれなかったという過去が語られている。

そして、ウエダでインダーラが殺されたこと、オーシャとよく似た人物の目撃証言があったことが明かされる。インダーラはオーシャの訓練停止を評議会に進言していたということで、オーシャには動機があると指摘されるが、オーシャは自分で決めたことだと反論する。元ジェダイとオーダーの微妙な関係は、アナキンの弟子だったアソーカ・タノの来歴の反復でもある。

そして、目撃者だった店主が登場。オーシャは容疑を否認しており、この時点ではオーシャとメイが別人である可能性を感じさせる。二人が別人だとすれば、メイはオーシャが捕まることを見越して目撃者の店主を殺さなかったとも考えられる。

ミステリー要素も提示され、オーシャは逮捕されて連行されていく。護衛しているのは旧式のドロイドで、結構ゴツい。オーシャの手のひらドロイドのピップは最低限の機能しかつけられない時代を表していて、ゴツい護衛ドロイドは逆にスリム化がまだできていない時代を表しているのかもしれない。過去の「スター・ウォーズ」世界をビジュアルとして垣間見ることができるのは『アコライト』の楽しいところだ。

マスター・ソルとヴァーネストラ・ロウ

マスター・ソルはパダワンになる前にヤングリングたちに教えを与えている。マスター・ソルを演じるのは、韓国ドラマ『イカゲーム』(2021-) での主演で知られるイ・ジョンジェ。『アコライト』がハリウッドデビュー作品になる。そこに入ってきたのはヴァーネストラ・ロウ。演じるのは先に触れたレスリー・ヘッドランド監督の結婚相手であるレベッカ・ヘンダーソンだ。

こう見ると、Netflixシリーズだった『ジェシカ・ジョーンズ』からキャリー=アン・モス(インダーラ)、Netflixドラマ『ロシアン・ドール』からレベッカ・ヘンダーソン(ヴァーネストラ・ロウ)とチャーリー・バーネット(ヨード・ファンダー)、『イカゲーム』からイ・ジョンジェと、『アコライト』のジェダイ達はNetflix組で固められていると言える。

そして、注目はヴァーネストラ・ロウという人物だ。小説の「スター・ウォーズ ハイ・リパブリック」シリーズに登場するミリアランのジェダイで、『アコライト』で初めて実写化されることになった。これまでは『エピソード1』の200年前を舞台に活躍を見せており、『アコライト』の時点では100歳を超えていると思われる。口ぶりからしてソルのヤングリンク時代も知っているようだ。

ソルが教えを与えているヤングリンクの一人は、瞑想で何もかもを飲み込む火が見えると話す。動揺がソルの顔に現れており、やはりトラウマを抱えるオーシャをジェダイナイトに育てることができなかった過去が、6年経ってもソルの心に重くのしかかっているようである。

ヴァーネストラ・ロウは、ソルの友人だったインダーラ殺しの容疑者として、かつてソルのパダワンだったオーシャを逮捕したと告げる。ソルはかつてオーシャを“ブレンドクの火災”から救ったと話しており、キーワードが紹介されている。かつてブレンドクで何があったのかということが一つの謎として提示されているのだ。

ヴァーネストラ・ロウは、ジェダイが元身内に殺されたとなれば、政敵から攻撃されると主張。「秘匿が重要」だとして世間に対して事件を隠蔽することを求める。「愛着は置いて支持してほしい」というのは、愛着が悪とされているジェダイには効く説得だ。流石は100歳を超える経験豊富なジェダイマスターだ。

ジェダイの性(さが)

輸送されるオーシャは、ディビュックという口を塞ぐ寄生生物について他の収監者から紹介されている。収監者たちは脱走を計画しているようだが、オーシャは「ジェダイを信じる」として話に乗らない。やはりメイとオーシャは別人であることが示唆されている。

パイロットドロイドと護衛ドロイドを機能停止させて脱走に成功した収監者たち。ここで紹介されるイスと一体型のパイロットドロイドがクールだ。なぜ100年後には廃れてしまったのだろうとも思うが、こんなに簡単に機能を停止させられてしまうからかもしれない。

取り残されたオーシャはフォースでピップを手繰り寄せようとするが失敗。これと似た演出は、ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』や『アソーカ』でも、ジェダイから距離を置いたオビ=ワンやサビーヌ・レンがぶつかる壁として描かれていた。結局、オーシャは船が傾いたことでピップを手にして牢を出ることに成功。ここではピップはピッキングツールとして活用されており、便利ツールとして重宝しそうだ。

オーシャは残されたポッドで脱出できるかと思いきや、取り残された別の囚人を助けようとして逆に自分が取り残されてしまう。人助けをしてしまうのがジェダイの性というのは『オビ=ワン・ケノービ』でも描かれており、尋問官たちはその習性を利用してジェダイ狩りを進めていた。

「過去を考察せねば過ちが繰り返される」

一方のソルは、パダワン時代のオーシャのホロを見つめている様子を、現在の弟子であるジェキ・ロンに見られていた。ジェキ・ロンを演じたのはダフネ・キーン。マーベル映画『LOGAN/ローガン』(2017) でミュータントの少女ローラを演じたことで知られる。ルーカス・フィルムと同じディズニー系列となった20世紀スタジオの作品からの起用となるが、なんとも豪華なキャスト陣だ。

ジェキが感傷に浸るのは危険では、と指摘しかけたところで、ソルは「記憶は教訓」だと諭す。その後の「過去を考察せねば過ちが繰り返される」という言葉は非常に重要な教訓だ。どの業界の不祥事もなぜそれが起きたのかということが省みられることは少なく、「なかったこと」にしてしまって同じ過ちが繰り返される。『アコライト』が実写作品でもこれまでで最も過の話を描く作品とあって、説得力もある。「過去を考察せねば過ちが繰り返される」、これは『アコライト』の裏テーマなのかもしれない。

ポッドを使って脱走を試みた収監者達はあっさりとジェダイに捕えられていた。しかし、こいつらはジェダイ殺しが脱走を企ててそれに巻き込まれたと逆の主張を行なっている。オーシャが乗る護送船は惑星カーラックに不時着したらしい。カーラックは雪の惑星で、アニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) にマンダロリアン過激派のデス・ウォッチの野営地として登場した。ドラマ『マンダロリアン』でお馴染みのボ=カターン・クライスもカーラックを訪れている。

先ほどシップ助けてもらったのにオーシャを置いて逃げた人物は、ソルのフォースの力で実際に起きたことを明かす。これを聞いたソルは自らがカーラックに赴き、オーシャを連行することをヴァーネストラ・ロウに主張。それでもヴァーストラは「生きてはいない」と事勿れな姿勢を見せている。

しかし、ソルは元弟子に対する責任があると引き下がらない。その言葉に、ヴァーネストラは少人数の部隊での派遣を認めると、『アコライト』のシリーズで初めて「フォースと共にあらんことを」というフレーズを口にする。最初にこれを言うのがヴァーネストラ・ロウというのは粋なファンサービスだ。

ソルはジェキとヨードをカーラックに連れていくことに。ジェキはこれが初任務になるという。ヨードはオーシャが逃げたことに対する責任を感じている様子。また、ジェダイマスターであるソルをかなり畏怖しているようでもある。個人崇拝は危ないよ!

なお、このシーンではヨードは上半身裸の姿を見せているが、演じているチャーリー・バーネットはドラマ『ロシアン・ドール:謎のタイムループ』でも何度かヌードを見せている。前述のように、『ロシアン・ドール』と『アコライト』は共にレスリー・ヘッドランド監督が手掛けている。Netflix配信の『ロシアン・ドール』では他の俳優のヌードも多かったが、『アコライト』のこのシーンは、割とディズニープラスとしてはギリギリかもしれない……。

フォースの絆?

カーラックのオーシャは、人影を目にしてその後を追うが、その先で見たのは幼い頃の姉のメイだった。つまり、冒頭のシーンでマスター・インダーラを殺したのはオーシャの姉のメイで、オーシャは無実の罪でジェダイから追われていたのだ。

メイは、二人は元々一つだったが生まれて二つになったと話す。つまり、オーシャとメイは双子だったのだ。オーシャはメイがブレンドクの火災で死んだと思っていたが、実は生き延びており、メイはインダーラを殺したことを認め、この後も「全員」を殺すと宣言するのだった。

そこでオーシャは目を覚ますが、あれはおそらく夢ではなく「フォースの絆(フォース・ボンド)」によるヴィジョンだと思われる。フォース・ボンドが大々的に扱われたのは「スター・ウォーズ」続三部作でのこと。フォースの感応者同士はフォースを通じて強い絆で結ばれることがあり、フォース・ヴィジョンを共有して同じ映像を見ることができる。映画『スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』(2017) では、フォースの絆を通してレイとカイロ・レンは遠く離れた場所にいてもお互いの姿を見て会話することができた。

『エピソード8』ほどの強いフォースの絆の設定は、“便利機能”としてシリーズに唐突に導入された感じもあった。多くのディズニープラスの「スター・ウォーズ」作品が「パルパティーンのクローン」「新共和国の堕落」「ルークの変節」といった説明不足だった要素にフォローを入れているのと同じように、『アコライト』も続三部作で導入された新設定に説得力をもたらそうとしているように思える。

それはさておき、レイとカイロ・レンの例を考えれば、メイとオーシャはライトサイドとダークサイドを代表する人物であると予想できる。「二人で一つ」という言葉も、カイロ・レンがレイに二人は“フォースの一対”であり、「ふたつでひとつ」だとした言葉と重なる。また、 フォースはライトサイドとダークサイドの二つで一つだというフォースの解釈とも一致する。メイはなかなか手強い戦いになりそうだ。

それを裏付けるかのように、マスター・ソルはジェキにオーシャの過去について話をする。曰く、16年前のブレンドクで、オーシャの双子の姉のメイが火事を起こし、オーシャだけが生き残ったという。ソルはメイが死ぬのを見たと言い、メイが犯人であるという説を暗に否定する。

メイが、フォースの霊体(フォース・スピリット)として自我を保っており、フォースの絆を通してオーシャの身体を操ったという合わせ技も考えられる。しかし、フォースの霊体になれるのはライトサイドの者だけであり、習得できた人物はヨーダやクワイ=ガン・ジン、オビ=ワンにアナキンと、錚々たるジェダイの騎士のみ。訓練を受けていない幼いメイが霊体になれるというのは考えにくい。

カーラックに降り立ったソルはオーシャのフォースを感知しながら後を追う。照明代わりに出したヨードの黄色いライトセーバーがかっこいい。崖まで追い詰められたオーシャは、自分はやっていない、信じてくれとソルに訴えかける。オーシャはメイが生きているとソルに告げると、ソルはオーシャを信じると答え、オーシャはソル達に合流するのだった。

ラストはどうなった?

『アコライト』第1話のラストシーンでは、そのメイが登場。オーシャがソルらに身柄を確保されているので、メイ=オーシャではないということを印象付けるタイミングでの登場となっている。そのメイに、ダース・ベイダーやカイロ・レンのように変声機で声を変えた人物が「ジェダイは夢の中で生きている」と批判的に語り始める。どうやらメイのマスター的存在のようだ。

確かにメイはマスター・インダーラとの戦いで見せたようにフォースを操る力を会得しており、マスターを持って修行していたことが示唆されていた。この人物はジェダイを武器で攻撃しても失敗する、アコライト(侍者)なら武器を持たずに殺せる、アコライトは夢を殺すと語る。その人物がシスの象徴たる赤いライトセーバーを出したところで『アコライト』第1話の幕が下される。

『アコライト』第1話ネタバレ考察&感想

『アコライト』第1話では、ラストで本作のタイトルである『アコライト』の意味が明らかになった。Acolyte=侍者とは、偉い人などに付き添う者のことで、弟子や雑用、付人と言い換えることができる。確かに、権力を持つ者のすぐそばにいる者は、武器を使わずともその人物を破滅に追いやることができる。

『アコライト』第1話の冒頭ではメイは武器を使ってインダーラを殺している。もちろん民間人を利用し、正面からぶつからないという戦い方ではあったが、「全員殺す」と宣言するメイは、謎の人物が話した通り、武器で戦う以外の方法でもジェダイを追い詰めていくことになりそうだ。

実際のところ、この100年後にはジェダイ・オーダーは滅びる。さまざまな要因があったが、最も大きな失敗はアナキン・スカイウォーカーという若きジェダイをダークサイドに堕としてしまったことだった。パルパティーンはジェダイが組織に対して抱く猜疑心や不満、ジェダイの傲慢さを理解していたからこそアナキンを引き摺り込むことができたと言えるし、ジェダイとの戦い方は『アコライト』の時代から試されていたのかもしれない。

なんにせよ、『アコライト』第1話はミステリー、サスペンス、SF、アクション、全てが揃った見事なスタートだった。続三部作をケアするような描写もあり、今後の展開が非常に楽しみだ。オーシャ/メイ役のアマンドラ・ステンバーグ、ソル役のイ・ジョンジェら、俳優陣の演技もお見事。早くも全8話で終わってしまうのが勿体ない感じがするが、取り急ぎ、同時配信の第2話も観ていこう。

第2話のネタバレ解説&考察はこちらから。

ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』は2024年6月5日(水) より、ディズニープラスで独占配信。初回は第1話と第2話が同時配信されている。

『スター・ウォーズ:アコライト』(Disney+)

第3話のネタバレ解説&考察はこちらから。

『アコライト』の時系列の解説はこちらから。

 

『アコライト』のマスター・ソルについての紹介はこちらの記事で。

アニメ『バッド・バッチ』シーズン3フィナーレのネタバレ解説はこちらから。

ドラマ『アソーカ』シーズン1最終回のネタバレ解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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