最終話 第8話ネタバレ解説&考察『アソーカ』ラストの意味は? シーズン2につづく? | VG+ (バゴプラ)

最終話 第8話ネタバレ解説&考察『アソーカ』ラストの意味は? シーズン2につづく?

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『アソーカ』ついに最終回

2023年8月からディズニープラスで配信を開始したドラマ『アソーカ』は、アニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) と『スター・ウォーズ 反乱者たち』(2014-2018) で活躍を見せたアソーカ・タノを主人公に据えた作品だ。ドラマ『マンダロリアン』(2019-) から実写版アソーカを演じるロザリオ・ドーソンが主演を務めている。

『マンダロリアン』と同じく全8話で構成される『アソーカ』は、10月4日(水) の配信でついに最終回を迎える。アソーカ・タノらとスローン大提督はどんな結末を迎えるのか、そしてシーズン2への更新はあるのか、今回も各シーンをネタバレありで解説していこう。

以下の内容は本編の重大なネタバレを含むので、必ずディズニープラスで『アソーカ』最終回を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『アソーカ』最終回第8話の内容に関するネタバレを含みます。

ドラマ『アソーカ』最終話 第8話「ジェダイと魔女と大提督」ネタバレ解説

タルジンの剣とは

別の銀河でエズラ・ブリッジャーとスローン大提督と再会した一行は、いよいよ次は元の銀河に帰れるのかという局面を迎えた。墓からの“貨物”の運搬を終えたスローンは念を入れてアソーカの船を攻撃するよう指示。モーガン・エルズベスに対し、帝国軍による反乱者たちへの過小評価を戒め、「私もジェダイ一人の行動にしてやられた」と、『反乱者たち』ラストのエズラの“道連れ”を回顧している。

グレート・マザーたちはモーガンに“闇の贈り物”と称した力を授ける。その代わり、ナイトシスターの絆と闇の魔術、古の道を受け入れ、古い命を捨てて新たな命を生きることを誓わせている。質問形式にはなっているがほぼ強制だ。音楽はかっこいい。

力を手に入れたモーガンの顔にはナイトシスター特有の模様が入り、さらに“タルジンの剣”が授けられる。タルジンとは『クローン・ウォーズ』に登場したマザー・タルジンのことで、ナイトシスターのリーダーとして“マザー”の称号で呼ばれていた。タルジンも最終的にはグレート・マザーとして称えられるようになっている。

タルジンの剣は『クローン・ウォーズ』シーズン6第9話に登場したもので、タルジンがジェダイマスターのメイス・ウィンドゥと戦う時に召喚した剣だ。タルジンはこの剣でライトセーバーを操るメイス・ウィンドゥと対等以上に渡り合ったが、爆発に巻き込まれて剣の行方は分からないままだった。

『アソーカ』第8話の描写を見るに、おそらくどこでも召喚したり消したりできる代物ののようで、ライトセーバーとも渡り合えるのだから相当良い武器だ。なお、モーガンはドラマ『マンダロリアン』ではベスカーの槍を所有しており、武器運に相当恵まれていると言える。

新しいライトセーバー

最終話となる『アソーカ』第8話のタイトルは「ジェダイと魔女と大提督」。監督は『マンダロリアン』最終話と同じくリック・ファミュイワが手がける。何故かノティたちとゆっくり移動しているアソーカたち。エズラはヒュイヤンのラボを借りてライトセーバーを作っており、「体系とは全く違う」とヒュイヤンから指摘されながらも、師匠がケイナン・ジャラスであったことから二人は意気投合していく。

ヒュイヤンはヤングリング時代のケイナン・ジャラスにライトセーバーの作り方を教えていたのだ。アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(2020-) では、パダワンのケイナンがオーダー66に巻き込まれる様子も描かれた。ヒュイヤンにとってはエズラはいわば孫のような存在だ。

『アソーカ』の巧い点は、ジェダイの物語をもう一度やるという時に、ジェダイ全盛の時代からもスカイウォーカー家からも離れたところでストーリーを展開していくにあたって、ジェダイ・オーダーを知るドロイドのヒュイヤンというキャラクターを置いた点だろう。今後「スター・ウォーズ」が過去と未来に物語を拡張していくにあたって、ドロイドやグローグーのように人間より長生きする存在は、歴史を知るものとしてより重要になっていくだろう。

年齢を聞かれたヒュイヤンは「師弟関係は難しいが意義深いものだと十分悟っている歳」と答える。エズラがケイナンが使ったパーツの予備を用いてライトセーバーを完成させると、その刃は青色に。ケイナンが使っていたライトセーバーと同じ色だ。

一方で、ヒュイヤンの「優秀な弟子のようだ」という言葉を聞いたサビーヌはその場を離れてしまう。エズラはアソーカとサビーヌの微妙な関係に気づいており、ヒュイヤンはマンダロアの一件が影響していることを危惧している。

もちろんこれは『マンダロリアン』で繰り返し触れられているマンダロアの大粛清のことで、今回はサビーヌの家族も全滅したとヒュイヤンの口から改めて説明されている。アニメ『反乱者たち』では、エズラはサビーヌと共に一族とマンダロリアンを助けており、エズラにとってもショックな話だ。サビーヌの家族は、マンダロリアンとジェダイが共闘した貴重な歴史を知る人たちでもあった。そしてヒュイヤンは、アソーカはサビーヌの力を解放するのは状況的に危険だと感じたと気になる発言をしている。

師弟の和解

船の上でサビーヌと話すアソーカは、「決断は吉と出た」と、エズラを追ったサビーヌの決断を支持する。サビーヌが「知ってるんだね」と驚いているのは、アソーカがサイコメトリーの力を使って記憶を辿ったことを知らないからだろう。

アソーカは、過去に何度も難しい決断をしたと振り返る。もちろんそれにはジェダイを去った時のことも含まれているはずだ。師匠以外から理解は得られなかったが、師匠のアナキンはいつも自分の味方でいてくれたと話すアソーカは、だから何が起ころうとアソーカはサビーヌを支えると告げるのだった。

ここに来るまではサビーヌを「正しい道に導かないと」と話していたアソーカだったが、大局を見るとかどうとかいう方法論の前に弟子に寄り添い、師匠が一番の味方でいてやるという基本に、アナキンとの再会を通して気づいたのだろう。そしてアソーカは、ジェダイの真価はセーバーの上手下手ではない、心と体を鍛えた上でフォースを信じることと語る。信仰こそがフォースの極意なのだ。

一同はタイ・ファイターの攻撃を受けるが、パイロットの射撃がうまくなくて助かった。流石にスローン大提督の側も人材不足なのだろう。落ちそうになる船をフォースの力で支えるエズラとアソーカの共闘は胸熱。約10年、ライトセーバーのないところでフォースの力を研ぎ澄ませてきたエズラと、マスターになったアソーカのフォースの力は近いところにあるのではないだろうか。

サビーヌはタイファイターを特攻で撃墜するも、アソーカの船も飛行できなくなってしまう。この結果を受けて、スローンはパイロットに軍功の記録を残すよう指示する。きっちりしているなとも思うのだが、帝国軍がもう存在しないことを考えれば滑稽でもある。だがスローンには、この記録が自分たちの“ごっこ遊び”では終わらないという自信があるのだろう。

モーガンがまとめた志願兵は地上でアソーカらを迎え撃つ。トルーパーたちには「スローン大提督のために全員が身を捧げる覚悟」があると話すモーガンに対し、スローンは「帝国のためだ」とやはり帝国の力を信じてやまない。独立すればいいのにとも思うが、大義を掲げる方が人がついてきやすいという打算もあるのかもしれないい。

エズラは、10年前にここに来たスローン大提督を「魔女を目覚めさせて宇宙船を再建」、自分を「徒手空拳(何も持っていないこと)」とサラッと説明する。やはりスローンは企業やチームマネジメントに長けていることが分かる。

現代最強チーム

スローン大提督のスター・デストロイヤー、“キメラ”ごとシオンの目を抜けて元の銀河に帰ろうとする敵陣を見て、アソーカらは正面突破を敢行。アナキンの弟子に容赦はしないと話すスローンにはアナキン、またはダース・ベイダーとの確執がありそうだ。

上空からの集中砲火を馬で避けて駆け抜けるというド派手なアクションシーン。この中でも、アソーカはエズラとフォースを使って門を開けるのだが、サビーヌに手伝わせることによって、サビーヌもフォースを使うことができていたのかもしれないと“信じさせる”ことを実践している。戦場の最中での素晴らしい判断だ。

一方のスローンは“ナイト・トルーパー”の出動を指示。ナイトシスターとストームトルーパーを組み合わせた命名だろう。ストームトルーパーにはデス・トルーパーやインペリアル・ショック・トルーパー、スカウト・トルーパーといったバージョンがあったが、ここに来て新たなトルーパーが紹介されている。

サビーヌが緑の、エズラが青の、アソーカが白のライトセーバーでブラスターの攻撃を弾くシーンは圧巻。三人のブラスターの色にはそれぞれルーツがあり、サビーヌはエズラと繋がりがある、エズラはケイナンと繋がりがある、そしてアソーカは自分自身で選んだライトセーバーで戦う。

ちなみにアソーカの白いライトセーバーは、ジェダイ時代に使っていたものをクローン戦争終結時に死を装うために捨て、帝国時代に尋問官のライトセーバーからカイバークリスタルを奪って作ったものだ。赤いクリスタルを自分の力で白く浄化させたもので、苦しい時代を自分自身の力で切り開いていく象徴のようなアイテムでもある。

加えてサビーヌはマンダロリアンの装備とブラスターも操る。エズラがこの10年で鍛えたフォース合気道でトルーパーを吹き飛ばすと、アソーカの二刀流でそれを仕留め、ブルース・リーのようなキメ顔を見せていっちょ上がり。ジェダイ&マンダロリアンの3人はこの時代における最強チームと言っても過言ではないだろう。

「最後のジェダイ」オマージュも

だが、グレート・マザーたちの闇の魔術はここから発動する。闇の魔術とは、やはり死者蘇生の魔法だった。『反乱者たち』ではアソーカ救出のために“タイムスリップ”をやった。『アソーカ』では違うユニバース(宇宙)に行くということで、“マルチバース”をやったと解釈してもいいだろう。しかし、ここに来てスター・ウォーズ実写版で“ゾンビ”をやったことになる。

だが、「スター・ウォーズ」のゾンビはこれが初めてではない。『クローン・ウォーズ』シーズン4第19話ではヴェントレスを援護するためにマザー・タルジンが長老のダカに要請し、魔術を用いてナイトシスターの死者を蘇らせて戦力とした。死者の軍団を作ったわけだが、この魔術はどうやらナイトシスター以外にも使えるようだ。

それでも、ゾンビトルーパーたちはあまり強くはなく、アソーカたちは船に近づいていく。扉のスイッチをライトセーバーで破壊すれば扉が降りるという物理法則がこちらの銀河でも通用することも幸運だった。危機感を抱くスローンは、モーガンに出動するよう言外の圧力をかけ、モーガンが決心するや「帝国万歳」と言い、帝国の責任に転嫁する狡猾さを見せる。なんか日本の会社っぽい。

しかし、モーガンは小声で「ダソミア万歳」と故郷の名前を口にする。ナイト・シスターズが住んでいた惑星ダソミアはドゥークー伯爵らによって破壊されており、ナイトシスターにとってシスは仇でもある。モーガンは帝国のためではなく、ナイトシスターのために戦うという意志を見せたのだろう。そして、グレート・マザーたちもスローンと共に船に乗り込む。

モーガンとアソーカの戦いも圧巻だ。タルジンの剣は最強のジェダイとも目されるメイス・ウィンドゥとも渡り合った武器だ。伝説のマザーとジェダイマスターの戦いを彷彿とさせる名勝負が繰り広げられる。一方のサビーヌとエズラはスローンを置い、頑丈装甲のトルーパーと対峙。追い詰められたサビーヌはついにフォースの力を使ってライトセーバーを手元に引き寄せることに成功する。

思えば『マンダロリアン』シーズン3のラストでもグローグーがついに自在にフォースの力を操れるようになった。時を同じくしてサビーヌもフォースを操れるようになってということで、二人は新時代のフォースの使い手としては同期で、そしてマンダロリアンとしても同胞ということになりそうだ。仲良くやってほしい。

ちなみに、ライトセーバーの柄をキャッチした後、刃を出して敵の頭部を貫くというのは、映画『スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』(2017) でレイからのパスを受けたカイロ・レンがエリート・プレトリアン・ガードの頭部を貫いたシーンのオマージュだろう。

勝利宣言

艦船が去り行く中、エズラのフォースジャンプとサビーヌのフォースでの後押しを組み合わせてエズラは乗船に成功。ライトセーバーを使わなくても、アソーカが言った通り、フォースの力を「信じる」ことが重要なのだ。次はサビーヌの番、しかしサビーヌはアソーカと共にいることを選んだ。これはヒュイヤンの「共にいた方が強い」という教えを聞いた結果だ。アソーカが常にサビーヌの側にあると手を差し伸べたことで、サビーヌも心を開いて教えを実践することができたのだ。

アソーカはモーガンと接戦を繰り広げるも、トルーパーに囲まれて絶体絶命のピンチに陥る。ライトセーバーの一つも失ってしまった。それでも、モーガンとの戦闘中はブラスターを撃たないというトルーパー側の気遣いにも助けられ、アソーカが敗れる前にサビーヌが到着。師弟の共闘により形勢が逆転すると、アソーカはタルジンの剣を奪ってモーガンに勝利を収めるのだった。

意外な形の二刀流の完成だが、失ったライトセーバーは短いタイプのショートー・ライトセーバーだったのでちょうどよく、アソーカはタルジンの剣を逆手持ちで使用している。

モーガンの死を知りつつ、スローン大提督とグレート・マザーたちは帰還を続行。船に乗れてしまったエズラはトルーパーの無線を拾ってお得意の“なりすまし”で対応している。『反乱者たち』で何度も見たシーンであり、アニメファンへのサービスシーンになっている。

トルーパーと戦っているアソーカとサビーヌは通信の音を聞いて崖から飛び降りると、そこにはヒュイヤンが船で二人を迎えに来ていた。しかし、時すでに遅し。艦船を追うアソーカにスローンは通信を入れると、敵ながらアソーカを称えた上で、「君のマスターのことは知っていた」と明かす。それはダース・ベイダー時代のことを指しているのだろうか。

さらにスローンは「戦術は師匠に似ていたが、どこまで似ることになるのか」「君のような浪人にはここがふさわしい」と嫌味を述べ、「勝利は私のもの」と宣言するのだった。「Ronin」主人(マスター)を持たない人物という意味で英語でも使われる。アソーカとアナキンの絆も愚弄するセリフだ。そして、本作の決め台詞は「フォースと共にあらんことを」ではなく、スローンの「帝国に栄光あれ」に。スローンの勝利である。

ベイラン・スコールの目的は…

この銀河に取り残されたアソーカ、サビーヌ、ヒュイヤンはエズラが仲良くしていたノティたちの元へ。そこでアソーカは“モライ”という鳥を目にする。モライは『反乱者たち』に登場したフクロウのような生き物。そのルーツはモーティスという場所にある。

『クローン・ウォーズ』ではアナキンとオビ=ワンと訪れた惑星モーティスでアソーカが命を落とすが、古の女神ドーターに助けられた。『反乱者たち』では壁画に描かれたドーターの肩にモライが乗っており、エズラが“はざまの世界”へ行ったときにモライがエズラを導いてダース・ベイダーと戦う過去の世界のアソーカを助けるよう促した。『アソーカ』では、アソーカは“はざまの世界”のような場所でアナキンと再会している。

スローンも去り、孤独のシン・ハティはライトセーバーを掲げて武士の集落にジョイン。一方、ベイラン・スコールは前方を指差す巨大な石像の上に来ていた。おそらくこの像は、先述の惑星モーティスにいたファーザーだ。モーティスには、ファーザー(父)、ドーター(娘)、そしてサン(息子)の三人からなる「ザ・ワンズ」と呼ばれる一家が住んでおり、ファーザーらはジェダイでもシスでもない純粋なフォース使いとされていた。

アソーカを救ったドーターはフォースのライトサイドの、サンはフォースのダークサイドの化身で、二人の父であるファーザーは二人が世界に破壊をもたらすことを危惧してモーティスに閉じ込めていた。サンはアナキンを誘惑して外の世界に出ようとしており、そのゴタゴタの中でドーターを殺してしまった。しかし、それ以降、ドーターはモライを通じてアソーカのことを見守っているようで、『アソーカ』のラストがザ・ワンズにつながるというのは不思議な話ではない(アニメを見てない人には大変不親切だが……)

やはり気になるのは、グレート・マザーたちがいた場所にザ・ワンズの石像があったということで、父・娘・息子で構成されていたザ・ワンズの“母”がナイトシスターズの“マザー”であったことが示唆されたことになる。というのも、ナイトシスターズはシスではないがフォースのダークサイドと親和性を持つ部族であり、ファーザーは逆に光属性ぽかったからだ。つまり、光属性の父と娘、闇属性の母と息子という構成になる。

(ちなみに非正史扱いのレジェンズ設定ではザ・ワンズの“マザー”であるアベロスが登場するのだが、ここでは省こう)

ジェダイやシスといった派閥よりも原初的なフォースの力を宿した存在……『アソーカ』では、“ジェダイを去ったフォースの使い手”であるアソーカと共にそのルーツに辿り着いたということなのだろう。

全く説明がないものの、ベイラン・スコールはジェダイやシスという党派性を超えて、純粋にフォースの力に魅了されているものと考えられる。ベイランが目指すのは、ザ・ワンズのようなフォースの使い手なのだろうか。ちなみにこの石像は向かって右手のサンの石像は形が残っているが、左手のドーターのものと思われる石像は頭が取れてしまっている。これは、ドーターがモライになっているからなのか、それともフォースのライトサイドが失われていることを示しているのだろうか。

見守っていたのは…

スローン大提督は元の銀河に帰還。大量の棺と共にグレート・マザーの三人もやってきてしまった。ダソミアを新たな拠点にするようだ。しかし、それと同時に一人のトルーパーがヘラたちの元へやってくる。それは、トルーパーになりすまして脱出に成功したエズラ・ブリッジャーだった。これも『反乱者たち』ではお馴染みの展開で、大抵エズラはトルーパーのアーマーを着ている。

そのトルーパーがエズラであることに最初に気づいたのはエズラとよく喧嘩していたチョッパーで、ヘラとの感動の再会を果たす。サビーヌが言っていたことは本当だったのだ。これで議会の疑念も晴れることになるだろう。しかし一難去ってまた一難だ。サビーヌとアソーカは取り残されたままなので、今度は二人の奪還計画を進めることになるのだろう。行ったり来たりで大変だ。

取り残されたアソーカは、スローンの帰還を許したことよりも、エズラの帰還を喜ぶ。「前に進む時」と二人での時間を前向きに捉えているようだ。そして、サビーヌもアソーカも、空から降る光と共に何かを感じとる。笑顔を見せたアソーカとサビーヌを遠くで見守っていたのは、フォースの霊体になったアナキン・スカイウォーカーだった。

霊体としてのアナキン登場は、映画『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1983) のラストシーン以来となる。この時は息子のルーク・スカイウォーカーを見守っていたが、10年後には別の銀河でアソーカ・タノを見守っていたことになる。アナキンが見守ってくれていれば、ルークはジェダイ・オーダーの再建に失敗しなかったかもしれないが……。

それでも、ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』(2022) のラストでもクワイ=ガン・ジンの霊体がオビ=ワン・ケノービの前に現れた。なんだかんだジェダイ・マスターの弟子に対する思いは強いのだろう。

それにしても、明らかにシーズン2へと続く最後だった。まだまだ謎は残されているし、新たな問題も浮上している。デイヴ・フィローニ監督の長編映画も控える中、今後のアソーカはどうなっていくのか、最後に考察していきたい。

『アソーカ』最終回 第8話ネタバレ考察&感想

取り残されたアソーカとサビーヌ

ドラマ『アソーカ』最終回のラストの結果は、前回考察した、①ドタバタしつつスローン組とアソーカ組が一緒に帰る(スローン帰還ルート)と、③スローン組がアソーカ組を置き去りにして帰る(スローン帰還ルート)の合わせ技で、スローン、グレート・マザーとエズラが帰還するという結果になった。

アソーカとサビーヌは別の銀河に取り残される結果になったが、二人が訓練を積む時間はたっぷりありそうだ。何より、ずっと戦いに身を投じてきたアソーカにとっては久しぶりの休暇にもなるだろう。“師匠と弟子の休息”という意味では、『マンダロリアン』シーズン3のラストにも通じる。

ポイントの一つは、アソーカがライトセーバーの一つを失ったことではないだろうか。ヒュイヤンが一緒にいることで、カイバー・クリスタルさえあれば新しいライトセーバーが作れるということは、第8話でエズラがライトセーバーを作ったことで示された。アソーカとサビーヌはこの地で訓練を積み、ライトセーバーを作るインターバルの時間を過ごすのではないだろうか。

二人は同時に、マンダロアの大粛清についても対話することになりそうだ。結局、マンダロアを巡ってアソーカがサビーヌにしたことというのは明かされることはなかった。最終回ではアソーカがサビーヌの力を解放することをその時は危険だと感じたということが明かされた。結果的に『アソーカ』ではサビーヌのフォースの力が目覚めることになったが、アソーカが危険視したサビーヌの力とは、どのようなものなのだろうか。

そして、まさか続三部作におけるアソーカやサビーヌの不在を“別の銀河にいました”ということにはしないだろう。別の銀河に飛ぶ巨大なハイパースペース・リングというのは新共和国なら作れそうなものだが、その座標を割り出すためにはナイトシスターの魔術と“地図”が必要なのかもしれない。

その問題を解消するのは、アソーカがやったようにパーギルの群れを頼ることだろう。幸い、それが可能なエズラが元の銀河に帰ったという伏線が敷かれている。それでも、そのやり方が通用すると証明されているのは片道分だけで、パーギルで元の銀河に戻って来れるかどうかは不透明だ。デイヴ・フィローニがこのシチュエーションをどのように解決するのかに注目したい。

ベイラン・スコールとシン・ハティ

最大の謎はベイラン・スコールとシン・ハティについて。二人とも魅力的なキャラクターだったが、いまいちルーツも未来も掴めないまま幕を下ろした。最終回配信前に公開したこちらの記事では、スコールとハティという名前のルーツが北欧神話にあることを紹介した。

北欧神話ではスコルは太陽を追いかける狼、ハティが月を追いかける狼で、それぞれ違う目標に向かっていくが最後には災厄をもたらす、というお話がヒントであるかに思われた。ベイラン・スコールが行き着いた場所を考えれば、この北欧神話の内容はさらに深掘りされると想像できる。なぜなら一同が辿り着いた場所は、フォースのライトサイドとダークサイドのルーツがある場所と考えられ、ハティとスコルの月と太陽というコンセプトに合致するからだ。

シン・ハティが月=ダークサイドを追いかけ、ベイラン・スコールが太陽=ライトサイドを追いかけるとすれば、ベイランは意外といいやつだったのかもしれない。組織としてのジェダイ・オーダーに失望し、それよりも上位にあるフォースのライトサイドを探究する宗教者というのがベイランの正体だったのではないだろうか。であればアソーカよりも遥かに大局を見て傭兵をやっていたということになる。

残念ながらベイラン・スコール役のレイ・スティーヴンソンは別の作品の撮影先で2023年5月21日に急逝してしまった。ベイランが再登場することになれば、代役が立てられることになるだろう。シン・ハティ役のイヴァンナ・ザクノと共に素晴らしい演技を見せていただけに残念ではあるが、レイ・スティーヴンソンが基礎を築いたベイラン・スコールが息の長いキャラクターになることを願おう。

スローン大提督の帰還

そして元の銀河に戻ったのはスローン大提督だ。最後には墓場から持ってきた大量の棺も描かれた。グレート・マザーの三人も同行しており、死者蘇生の魔術を使えば帝国の残党が大量の兵力を得ることになる。それに惑星ダソミアというダークサイドに親和性を持つ新たな拠点を手に入れたことも大きい。

『マンダロリアン』のメインヴィランだったモフ・ギデオンはクローンやベスカーのアーマーを使った部隊を作ろうとしており、帝国の残党の科学班という印象だった。一方でスローンは魔術に頼ることになりそうで意外な気もするが、民族芸術にも造詣が深かったので相性はいいのだろう。

『マンダロリアン』シーズン3第7話では、帝国の残党によるシャドー評議会が登場。さながら政権交代で野党になった政治家たちのように、生き残った幹部たちで草の根の運動の報告会をしていた。この中で、パレオン艦長がスローン大提督の帰還によって帝国軍が復活し、ハックス司令官の蘇り計画が進められると発言している。この時はクローン計画かと話題になったが、グレート・マザーの登場によって、本当の死者蘇生の可能性も出てきた。

なお、『マンダロリアン』シーズン3第7話は、ショー全体の脚本を手がけるジョン・ファヴローに加えてデイヴ・フィローニが共同脚本として加わった回でもある。これらの発言が『アソーカ』シーズン2や長編映画につながっていくことは間違いだろう。『マンダロリアン』シーズン3ではモフ・ギデオンはマンダロリアンに敗れた。新たな脅威として申し分ないスローン大提督が銀河に解き放たれたことは、マンダロリアンにとっても凶報だと言える。

再評価したいあの作品

それから、あえて再評価したいのはドラマ『オビ=ワン・ケノービ』だ。同作ではアナキンに謝りたい師匠オビ=ワンの旅路とけじめが描かれ、『アソーカ』ではアナキンを忘れられない弟子アソーカの葛藤と師匠との和解が描かれた。アナキンやその周囲の人々が救われる展開が続いており、これはデイヴ・フィローニの意向もあるのだろう。

一方で『オビ=ワン』ではアナキンに虐殺されたヤングリングたちの生き残りとしてリーヴァが紹介された。アナキンを単に可哀想な人として描くだけでなく、被害者側の立場も描いたことでシリーズ全体のバランスが取れたように思える。ドラマ『キャシアン・アンドー』(2022-) でもダース・ベイダーが基礎を築いた帝国の非道さ、帝国時代の苦しさが丁寧に描かれており、こうしたバランス感覚が現行の「スター・ウォーズ」に対する信頼にも繋がっている。

シーズン2はある?

気になるのは今後について。『アソーカ』のシーズン2は最終話配信時点で発表されていない。だが、主演のロザリオ・ドーソンは4月のスタオー・ウォーズ・セレブレーションで「うまくいけばシーズン2もあり得ます」と発言している。脚本家組合と映画俳優組合のストライキ中の配信開始になったが、あのラストを見れば、製作陣が次に進める気満々なのは明らか。シーズン2が発表されるのは時間の問題だろう。

しかし、別の道もあり得る。『マンダロリアン』はシーズン4を予定しており、シーズン3で一通りやることがなくなったので、ボ=カターン・クライズと交流があったエズラの要請でマンダロリアンでもあるサビーヌを助けに行く展開もあり得るだろう。ディン・ジャリンはグローグーに別の銀河も見せてあげたいだろうし、グローグーにとってもパーギルとの旅行は楽しいはずだ。

もう一つの可能性は、『アソーカ』を手がけたデイヴ・フィローニが監督を務めることが発表されている「スター・ウォーズ」の新作長編映画でこの物語に決着をつけるというものだ。ディズニーは2026年に2本、2027年12月に1本の「スター・ウォーズ」映画を公開すると発表していたが、ストライキの影響もあり、どのタイミングで映画が公開されるのかは不透明だ。

デイヴ・フィローニ監督の長編映画作品は『マンダロリアン』『アソーカ』の時代を舞台にドラマ版のキャラクターが登場するものになるとされている。『アソーカ』シーズン2からその映画に繋げるのか、あるいは『アソーカ』シーズン1が直接映画版に繋がるのかどうかは分からない。もしシーズン2を経て映画版に繋がるのであれば、シーズン2の制作が遅れることで映画版の公開も遅れるということになる。

追記:『アソーカ』はシーズン2への更新が正式に発表された。詳しくはこちらから。

全米脚本家組合のストライキは『アソーカ』最終話配信の前週に組合の勝利で終結したばかり。映画俳優組合のスタジオ側と交渉は『アソーカ』最終話配信週に予定されており、スタジオ側がプラットフォーム配信の収益分配などに対して公正な回答ができるかどうかに注目が集まる。その結果によって、現在未定となっている次の「スター・ウォーズ」作品の配信時期も決まってくるだろう。クリエイターたちが現実の戦いに勝利してこそ素晴らしい作品は生まれるというもの。まずはそちらの結果を注視しよう。

ドラマ『アソーカ』は全8話がディズニープラスで独占配信中。

『アソーカ』(Disney+)

スローン大提督の今後、『マンダロリアン』との繋がりについての考察はこちらから。

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ジェダイ・オーダー離脱後のアソーカを描く小説『スター・ウォーズ アソーカ』( E.K.ジョンストン 著, 村上清幸 訳) は発売中。

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「スター・ウォーズ」映画の新三部作についての発表の詳細はこちらの記事で。

『アソーカ』第7話のネタバレ解説&考察はこちらから。

第6話のネタバレ解説&考察はこちらから。

グレート・マザーとギリシャ神話の繋がりに関する考察はこちらの記事で。

第5話のネタバレ解説&考察はこちらから。

第4話のネタバレ解説&考察はこちらから。

第3話のネタバレ解説&考察はこちらから。

第2話のネタバレ解説&考察はこちらから。

第1話のネタバレ解説&考察はこちらから。

クワイ=ガン・ジンと同じくライトセーバーで腹部を貫かれたサビーヌが生きていた理由の考察はこちらの記事で。

ドラマ『アソーカ』の時系列についてはこちらの記事で。

マロックの正体についてはこちらから。

 

『マンダロリアン』シーズン3最終話のネタバレ解説はこちらから。

ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト(原題)』の情報はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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