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クライムサスペンスとしても人気の『GOTHAM/ゴッサム』
二作連続で刑事役に
「バットマン」シリーズの前日譚として、またクライムサスペンスドラマとしても人気を博しているドラマ『GOTHAM/ゴッサム』(2014-)。のちのバットマンとなるブルース・ウェイン少年の両親が殺される場面からスタートするこのドラマの主人公は、「バットマン」シリーズでもおなじみの刑事、ジム・ゴードンである。ゴードン刑事を演じたベンジャミン・マッケンジーは、『The O.C.』(2003-2007)終了後に主演を務めた『サウスランド』(2009-2013)に続き、二作連続で刑事役での主役起用となった。
BTS: #SouthLAnd Season 3. @ben_mckenzie almost seems comfortable. Season 4 starts Jan. 17 on TNT. pic.twitter.com/2alk8Zj
— Southland (@Southland_TNT) 2011年9月1日
シーズン3 第16話に注目!
初の監督業に挑戦
そんなベンジャミン・マッケンジーだが、『GOTHAM/ゴッサム』では新たな試みに挑戦している。シーズン3の第16話「ペンギンの復活」で、彼のキャリアで初となるエピソード監督を務めたのだ。このエピソードは、ジム・ゴードンが自身と組織の接点を知る重要なエピソードだ。
シリーズ初のワイヤーアクション
注目すべきは、第16話の終盤に見られるブルースのアクションシーン。攻撃を受けて吹き飛ばされたブルースの姿が見られる。実はこのシーン、『GOTHAM/ゴッサム』シリーズで初めてワイヤーが使用されたアクションシーンなのだ。なぜ、ベンジャミン・マッケンジーが監督を務めたこのエピソードでワイヤーアクションが解禁されたのか。その理由は意外なところにあった。
ジム・ゴードン役ベンジャミン・マッケンジーのこだわり
ワイヤーアクションを使用しなかった理由
意外なことに、『GOTHAM/ゴッサム』でワイヤーアクションを使用しないということを最初に求めた張本人は、ベンジャミン・マッケンジーなのだ。彼は、ジム・ゴードン役を引き受ける際に、「演出としてワイヤーアクションを用いないこと」を製作総指揮のダニー・キャノンとブルーノ・ヘラーに確認していたというのだ。ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューでは、「人が空を飛ぶなんていう馬鹿げたことがないように」確認したと述べている。そしてそこには、彼なりのあるこだわりがあった。
「これはバットマンなんだ」
前述のニューヨーク・タイムズ紙で、ベンジャミン・マッケンジーはこう語っている。
「これはバットマンなんだ。他の作品より、地に足のついた作品でなきゃいけない。クリストファー・ノーラン映画のような雰囲気であるべきだ」
by ベンジャミン・マッケンジー
バットマンと言えば、スーパーパワーを持たないスーパーヒーローの代表格。「地に足のついた作品であるべきだ」という彼の主張は、納得のいくものである。結果、『GOTHAM/ゴッサム』という作品は、主人公のジム・ゴードン警部を中心としたクライムサスペンスドラマとしても高い人気を得た。『GOTHAM/ゴッサム』は、ただのコミック原作のヒーロードラマではない、一つ上のレベルの作品に引き上げられたのだ。
ワイヤーアクションを取り入れた理由
自らの手で解禁
ベンジャミン・マッケンジーは、シリーズを通して「ワイヤーアクションを使わないこと」を求めていた。しかし、彼が監督したエピソードで、シリーズ初のアクションシーンにワイヤーを使用した。その理由について彼は、「(自分が言い出したこと) だからこそ、僕が最初にワイヤーを使う監督だったんだ」と語っている。
『GOTHAM/ゴッサム』の移り変わり
『GOTHAM/ゴッサム』のシリーズが終盤に近づくほどに、ゴッサムの街にはスーパーヴィランが溢れるようになる。バットマンがヴィジランテとして戦わざるを得ない状況が整っていくこと、それがこの作品が辿らなければならない宿命だ。ジム・ゴードン警部だけで対処できる世界のままではいられないのだ。そうした作品の“移り変わり”について、マッケンジーはこう語る。
視聴者はまず、このドラマが“どんな作品ではないか”を知ることになる。白いタイツに身を包み、光よりも速く走る“スーパーヒーロー”のドラマにはしたくなかったんだ。そういう作品は既にたくさんあるよね。このドラマが“どんな作品か”が明らかになった今、僕らが自分たちで決めたルールを少しだけ破る番だ。
by ベンジャミン・マッケンジー
まずは『GOTHAM/ゴッサム』という作品に対する偏見や先入観を取り除き、その上で次の展開に必要なエッセンスを取り入れたという。だからこそ、シーズン3の第16話という、シリーズも後半に差し掛かったタイミングで、彼は自らワイヤーアクションを取り入れることを決めたのだ。役者でありながらシリーズ全体のイメージと構想を捉えた彼の視野の広さが伝わるエピソードだ。
ベンジャミン・マッケンジーは、「他のドラマが何をやってるかは関係ないんだ」と語る。主役のジム・ゴードンとして、またエピソード監督としてもこだわりを持って作り上げてきた『GOTHAM/ゴッサム』は、紛れもなく彼のキャリアを代表する作品の一つとなるだろう。
Source
The New York Times