ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』配信中
「スター・ウォーズ」ドラマとしては初めて『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1983)以前を描く『オビ=ワン・ケノービ』では、ユアン・マクレガー演じるオビ=ワンが復活。『エピソード3/シスの復讐』(2005)の10年後、『エピソード4/新たなる希望』(1977)の9年前を舞台に、オビ=ワンの知られざる冒険が描かれる。
ルーク・スカイウォーカーを見守るために10年間姿を隠していたオビ=ワンだったが、レイア・オーガナの存在がタトゥイーンから旅立つきっかけを与える。オビ=ワンとアナキン・スカイウォーカーの再会は言わずもがなだが、“ベン”を名乗って隠居していたオビ=ワンと、10歳になるオルデランの王女である二人の関係性も本作の注目ポイントの一つだ。
幼少の頃から弟のように接していたアナキンがダークサイドに堕ちることを止められなかったオビ=ワンは、レイアと接する際にもそのトラウマが残っているように見える。レイアもなかなか正体を明かさないベンに対して心を開くのか……という、今までルーク中心に描かれてきたオビ=ワンのカノン(正史)とは違う視点で物語は展開していく。
ルークの名付け親は?
本作におけるレイアとベンことオビ=ワンの出会いは、続三部作(シークエル・トリロジー)にまで影響を与えていたようだ。ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』の製作総指揮であり、脚本を担当したジョビー・ハロルドは、米The Hollywood Reporterで「スター・ウォーズ」史における重要な設定を明かしている。『新たなる希望』における二人の関係をどのように調整したのか、という質問に以下のように話している。
“なぜ彼なのか?”という疑問に答えるものになるので、二人の行く末が分かっていたことはとても助けになりました。「助けて、オビ=ワン・ケノービ。あなただけが頼りです」という言葉は、二人が共に歩んだ歴史の深さを知ると、単なる気まぐれな選択ではなかったということが分かります。レイアが『新たなる希望』でそのように言った文脈は今カノンになり、明確になりました。
それはドラマが進むにつれて明確になっていくのですが、それにより既に存在するジグソーパズルの小さなピースを補強し、クリアにしていくのに役立ったという点が気に入っています。今、『スター・ウォーズ』の物語を全て並べて観てみれば、「当然、彼女はオビ=ワンのところに行くよね」ってなると思うんです。
それに、彼女は自分の息子にベンと名付けることになる。ですから、これまでのルークの人生においてそうであったように、彼女の人生においても彼(オビ=ワン)が大きな存在であったという事実は気に入っている点です。アナキンとその二人の子どもに起きた出来事の後に、彼が両方の子どものためにそこにいたという物語は、これまでのカノンと同程度に存在するにふさわしいと思ったんです。
これまで、ベン・ソロの名付け親はベン・ケノービを慕っていた伯父のルークという説もあったが、今回、製作の側からベン・ソロの名付け親は母のレイアであると明言されることになった。今までルークがベン・ソロの名付け親だと思われていた理由は、設定上「ベン」という名に思い入れがあるのはルークだけで、レイアか父のハン・ソロが息子に「ベン」と名付けるには説得力が欠ける、ということだった。
これまでの「スター・ウォーズ」シリーズでは、ルークとレイアは双子であり、同じフォース・センシティブであるにもかかわらず、オビ=ワンはルークを贔屓しているようにも見えた。アナキンの姿をルークに重ね合わせていたとも考えられるが、ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』では、「ルークを見守らなければ」という言い訳をして外の世界に出ていこうとしない苦しむオビ=ワンの姿が描かれると共に、オビ=ワンはレイアのために自らの殻を破って再び宇宙へと飛び出す。
オビ=ワンはアナキンの子どもであるルークとレイアの二人共と関係を築いており、故に、『エピソード4』でレイアはオビ=ワンを頼ったという流れがはっきり示されることになった。そしてこの事実は、ジョビー・ハロルドが言うように、後にカイロ・レンとなる息子のベン・ソロにレイア自身が「ベン」という名前をつけたという設定にも説得力を与える。
明確にされてこなかったベン・ソロの“名付け親問題”は、ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』脚本家の発言で決着を見ることに。ここから更にどんな事実が明らかになっていくのか、今後の展開にも期待しよう。
ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』はDisney+で独占配信中。
Source
The Hollywood Reporter
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