『バッド・バッチ』第14話に注目
2021年5月に配信を開始した『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』は、全16話で構成されるシーズン1も残るはラスト3話。クローン兵のエリート分隊であるバッド・バッチがクローン戦争後の混乱の中をオメガという名の少女と共に旅する物語は、いよいよクライマックスを迎える。
第13話ではバッド・バッチを雇っていたシドが窮地に立たされ、一行が手を貸す展開に。組織には属さないが困っている人を助ける正義のフリーランスとして活躍するバッド・バッチ。第14話ではどのような出会いが待っているのだろうか。今回もあらすじとネタバレ解説をお届けする。
以下の内容は、アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』第14話の内容に関するネタバレを含みます。
第14話「ウォー・マントル」あらすじ&ネタバレ解説
動き出すウォー・マントル計画
第14話のタイトルは「ウォー・マントル」。ここに来て過去の「スター・ウォーズ」シリーズで登場した重要な要素がタイトルに置かれた。「ウォー・マントル」とは第3話で言及された、ランパート中将が推進していた計画の名前だ。
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016) でその名前だけが登場していたが、この計画の内容は「クローン戦争を戦った経験のあるクローン兵に人間の兵士を訓練させて新たな軍を作ること」だということが『バッド・バッチ』第3話の中で明らかになっていた。
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第14話の冒頭は追われるクローン兵の姿から幕を開ける。捕らえられた人物はレックスの旧友で、レックスはバッド・バッチに救助を依頼する。この場面では、レックスもレックスで追われている様子が窺える。救難信号の発信者はCC-5576、場所は惑星ダロだという。ダロはシリーズで初めて登場する惑星だ。
CC-5576ことグレガーは、『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) で登場したクローン兵。キャプテンに上り詰めるほど優秀だったが、戦場での敗北をきっかけに記憶喪失に陥るなど紆余曲折あった人物だ。クローン戦争後にはキャプテン・レックスらと共に惑星シーロスで余生を過ごすことを決めていたはずだが……。
シドから受けた任務の途中だったバッド・バッチだったが、オメガは友人の友人の危機は報酬よりも重要と主張し、ハンターはグレガーを助けに行くことを決断する。
一方、惑星カミーノではクロスヘアーがランパート中将に「進捗は予定以上」と伝えていた。ウォー・マントル計画のことだろう。クローン供給の契約を反故にされた惑星カミーノの首相ラマ・スーは、「力を与えたことが徒となる」と帝国に協力したことを後悔し、生き延びるためにカミーノを立ち去るという道を選ぼうとする。
クローンvsストームトルーパー
バッド・バッチ一行は惑星ダロに到着。だが救難信号の発信地にあったのは発信機だけ。さらわれた痕跡をたどった先にあったのは巨大な軍事基地、というよりも軍事要塞だった。バッド・バッチ一行はそこにいた兵士達を「新型のクローン兵」だと考えているが、この姿は紛れもなくストーム・トルーパーだ。つまりクローンではない帝国の新たな兵士たちが誕生したのだ。
厳重な警備を前にハンターは尻込みするが、エコーはスカコ・マイナーで自分が助けられた経験から、囚われた兵がいるなら助けると主張する。ハンター、エコー、テクの3人でグレガーを救出すると、次は要塞からの脱出を目指す。この要塞のデータを見たテクは、新たな兵士たちが「TKトルーパー」と呼ばれていることに気づく。TKはストームトルーパーに割り当てられる識別番号の一種だ。
クローン戦争後に引退したはずだったグレガーは仲間達とここに送り込まれ、ストームトルーパーを訓練する役割を担っていたようだ。帝国に忠誠を誓うストームトルーパーは能力ではクローンに劣るが、供給は尽きないとグレガーは解説する。人間の兵士の忠誠心の強さはランパート中将も主張していた点だ。『バッド・バッチ』第1話では、帝国は予算削減のためにクローン兵の廃止を思案していることが明らかになっていた。
能力に劣ると言われたストームトルーパー達は、確かにバッド・バッチのスモークグレネードからの狙撃という単純な作戦の前に繰り返しやられてしまっている。一行はシップに残っていたオメガとレッカーに迎えを要請して脱出を図る。
ハンターにまさかの展開
オメガは見事な操縦の腕前を披露する。ハンターはこれを信じてオメガをシップに残したのだろう。ドッグファイトにおいても圧倒的なスキルの高さを見せるテクとレッカー。ドンキーのエネルギーを活用してパワーを供給するという機転を利かせたオメガの対応で、バッド・バッチは窮地を脱したかに思われたが、寸前のところでハンターが落下してしまう。ハンターは5人に自分を置いて逃げるよう指示を出し、一行は止むを得ずハンターを置いてダロを脱出するのだった。
一方のカミーロでは、帝国がラマ・スー首相らが脱出しようとしていることを嗅ぎつけていた。科学者のナラ・セを裏切ろうとしたラマ・スーだったが、ランパート中将からは「科学者は有用だが政治家は無用」と、逆に自分の方が切り捨てられる。
そして、捕らえられたハンターの前にクロスヘアーが現れるシーンが『バッド・バッチ』第14話のラストシーンに。遂に1対1の面会を果たした二人だが、ハンターはクロスヘアーと同じく施術によって帝国の忠実な兵士になってしまうのだろうか。
「スター・ウォーズ」シリーズを補完していく『バッド・バッチ』
第14話「ウォー・マントル」は、遂に帝国の兵士がクローントルーパーからストームトルーパーへと切り替わる場面が描かれた。「スター・ウォーズ」シリーズの時系列としては、初めてストームトルーパーが登場した瞬間ということになるだろう。
気になるのは、帝国がカミーノを“潰し”ながらも、科学者であるナラ・セだけを利用しようとしていることだ。クローン兵は作らないが、クローンの技術を活用しようとしているとすれば、その用途はパルパティーンのクローン製造以外にないだろう。
このように、クローントルーパーからストームトルーパーへの転換や、帝国によるクローン戦争後のクローン技術の活用(パルパティーンのクローン計画?)など、「スター・ウォーズ」シリーズで描かれてこなかった細かな設定を描写していく点が『バッド・バッチ』の魅力の一つだ。ハンターやオメガの行く末と共に残り2話でどのような事実が明かされるのか、引き続き楽しみに観ていこう。
『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』はDisney+で独占配信中。
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