ネタバレ解説『バッド・バッチ』第2話 チェーンコードとは? スター・ウォーズ世界で抑圧される市井の人々 あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『バッド・バッチ』第2話 チェーンコードとは? スター・ウォーズ世界で抑圧される市井の人々 あらすじ&考察

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『バッド・バッチ』が「スター・ウォーズ」に新たな系譜

2021年5月4日(火)、“スター・ウォーズの日”に配信を開始した『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』は、待望の「スター・ウォーズ」シリーズ最新作。クローンのエリート部隊である“不良分隊”ことバッド・バッチを中心に据え、アニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) と映画『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005) のその後を描く。

第1話では、同じくDisney+配信のオリジナルシリーズとして配信された『マンダロリアン』(2019-) との繋がりや、帝国がクローン兵を廃止した意外な理由も明らかに。本編のストーリーは勿論、スター・ウォーズ史に加わる小ネタも楽しみなポイントだ。

『バッド・バッチ』は、5月7日(金)には早くも第2話の配信を開始。今回は第2話「脱出」の解説をネタバレありでお届けしよう。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』第2話の内容に関するネタバレを含みます。

第2話「脱走」あらすじ&ネタバレ解説

バッド・バッチが頼ったのは…

第1話のラストでカミーノから脱獄、ターキン提督とクロスヘアーの手を逃れたバッド・バッチとオメガは、ある人物を頼ってJ-19に向かっていた。子どもであるオメガの扱いに苦慮するメンバーだったが、そうこうしているうちにシップは惑星サルーカマイに到着。サルーカマイは『エピソード3/シスの復讐』に登場した惑星で、『クローン・ウォーズ』では脱走したクローン兵のカット・ロクウェインが農家暮らしを始めた場所でもある。

前回の考察通り、バッド・バッチは自分たちと同じ“異端のクローン”であるカット・ロクウェインを頼ったのだ。妻のスーとカットに迎え入れられた5人は、キャプテン・レックスがこの惑星を訪ねてきていたことを知る。キャプテン・レックスとは、『クローン・ウォーズ』に登場したクローン兵で、アナキン・スカイウォーカーやアソーカ・タノらと行動を共にした。第1話に登場したソウ・ゲレラもキャプテン・レックスから訓練を受けた人物だ。カット・ロクウェインは『クローン・ウォーズ』で負傷したキャプテン・レックスを助けており、レックスと入れ替わりでバッド・バッチが到着したようだ。

なお、第2話「脱走」の英題は「Cut and Run」。「cut and run」という言葉には「急いで逃げる」という意味があり、これに登場人物の「カット」の名前をかけたタイトルになっている。

ハンターはクローンに埋め込まれた機能抑制チップの存在を知る一方で、カミーノを出たことがなかったオメガは、初めて見る外の世界の光景、友人との交流に感動している。カットはオメガを作り出したカミーノ人の目的を勘ぐりながらも、ハンターへの協力を惜しまない。サルーカマイは既に帝国の管理下にあり、カットと一家もこの星を離れようとしているところだった。カットはハンターに「姿を消したいなら、戦いを捨て、新たな人生を歩め」と助言する。

“チェーンコード”で始まる支配

帝国の支配下となった街は異様な雰囲気に包まれており、船が押収されている。星を出る船を予約しようとするカットだったが、クレジット使用のためのチェーンコード提示を求められる。旧通貨を換金するために必要なのだという。チェーンコードを提出しなければ船に乗ることもできない。人流を把握しようとしているのだろう。ハンターとカットは、帝国が住民全体を管理しようとしていることを知る。

ここで登場した“チェーンコード”は、『マンダロリアン』シーズン1の第1話から登場したアイテム/制度で、身分を証明するために使われている。日本でいうマイナンバーのようなものだが、帝国の支配下ではチェーンコードを通してより厳重な管理が行われているようだ。チェーンコードは、スター・ウォーズの宇宙を生きる個々人に焦点を当てたDisneyのスピンオフシリーズならではの新要素だと言える。

チェーンコードについての公式による解説と『マンダロリアン』での登場シーンのおさらいは、こちらの記事で。

なお、第2話の街中の描写から、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977) でジェダイの存在が伝説となってしまった要因が見えてくる。詳細はこちらの記事で解説している。

ボールを追って柵を越えたオメガは、ネクスーに襲われて危険な目に遭う。ネクスーは『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002) でアミダラを襲った生物だ。なんとか難を逃れたオメガを叱りつけるハンターだったが、兵士として生きてきたハンターは子育ての方法を知らない。カットの対応を見て子どもとの向き合い方を知るが、同時に「オメガに必要なこと」と、カットとスーにオメガを預けることを決意する。

絆を深めるオメガとハンター

カットとバッド・バッチは強硬手段を取ってでも惑星を離れることを画策。チェーンコードを偽装するためにわざとシップを押収させ、偽装に必要なデータとディスクを盗み出す。オメガは汚名返上とばかりにストーム・トルーパー(とR2-D2そっくりのドロイド)の中をすり抜けてコードをカットへ届ける。一家と共に星を離れるようオメガに諭すハンターだったが、「ハンターと一緒にいたい」と言うオメガは納得いっていない様子だ。

第1話ではカミーノに残るよう告げるハンターに従ったオメガだったが、ここでは自身の意思でハンターのもとに戻ることを決意する。前回同様、銃撃戦をすり抜けた一同はシップに乗り込み、カットとその家族が無事にサルーカマイを脱出したことを見届けて再び宇宙に飛び立っていくのだった。

オメガとハンターは、互いに知らないことを学んでいくことを確認し、ハンターはオメガに、いたければバッド・バッチとずっと一緒にいていいと話す。『マンダロリアン』では孤独に生きてきたマンドーことディン・ジャリンが、ザ・チャイルドことグローグーとの交流を通して、親のように“守るべき他者”を見つけるストーリーが展開された。『バッド・バッチ』でも似た展開となっているが、違いがあるとすれば、ハンターとオメガは同じクローン同士で、対話が可能ということだろう。

第2話はあまり物語が進まなかった気もするが、帝国による新たな秩序が形成されていく中で、市井の人々が管理統制下に置かれていく様子が描かれた。第1話ではターキン提督が徴兵制を導入することで軍事費の抑制をはかっていることが明らかになるなど、『バッド・バッチ』はクローン戦争終結後の暗転していく銀河の様子を具体的に描いている。

『バッド・バッチ』が舞台にしたのは“帝国の始まり”。その起こりを丹念に描くことで、その28年後、“帝国崩壊後”を舞台にした『マンダロリアン』の時代に残されているものが、いつどのように始まったのかを確認できる作りになっているのだ。

スカイウォーカー家の外から見る銀河はまだまだ広い。バッド・バッチとオメガの冒険を引き続き見守っていこう。

『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』はDisney+で独占配信中。

『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(Disney+)

『バッド・バッチ』第3話のネタバレ解説はこちらの記事で。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

『バッド・バッチ』第1話で見えた帝国がクローンを廃止した理由はこちらから。

第1話に登場した『マンダロリアン』への布石はこちらの記事で。

『マンダロリアン』シーズン3についての情報はこちらから。

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