『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』配信中
Disney+で2021年5月4日(火)より配信を開始したアニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』は、5月7日(金)に第2話の配信を開始。クローン・トルーパーの“不良分隊”ことバッド・バッチとクローンの少女オメガを中心に据えた物語を展開し、語られることが少なかったクローン戦争後のスター・ウォーズ史に新たな側面をもたらしている。
第1話では帝国がクローン・トルーパーの製造を中止した背景が語られ、ドラマ『マンダロリアン』(2019-) につながる要素も登場した。そして第2話では、スター・ウォーズの“民衆史”とも呼べる新たな側面が語られている。
不良部隊 “バッド・バッチ”
彼らの冒険が始まったー。本日(5/7)第2話配信開始‼️#ディズニープラス オリジナル
『#スターウォーズ:#バッドバッチ』毎週金曜16時より新エピソードを日米同時配信中! pic.twitter.com/cNvmcc6iub
— ディズニープラス公式 (@DisneyPlusJP) May 7, 2021
以下の内容は、アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』第2話の内容に関するネタバレを含みます。
帝国の計画的な支配描く
『バッド・バッチ』第2話では、『マンダロリアン』で初登場を果たしたチェーンコードが登場。チェーンコードは身分証のことだが、チェーンコードを提示しなければ通貨の換金も乗船もできない。銀河中の人々の動きを徹底して管理・監視しようとする帝国の姿勢が窺える。また、民間のシップは次々に押収され、ブラスターを持った帝国のストーム・トルーパーが街中を闊歩している。帝国のランパート中将がホログラムで登場し、「戦争は終わりました。平和が希望と繁栄をもたらします」と、プロパガンダのメッセージを発信している。『バッド・バッチ』では、帝国の成立と共に民衆が管理統制下に置かれていく様子が地に足の着いた視点で描かれているのだ。
特にオーダー66の発動からほとんど時間が経っていない時点で惑星サルーカマイでもチェーンコードが実用化されているスピード感には目を見張るものがある(日本のマイナンバーと比べると浸透度は段違いだ)。『バッド・バッチ』第1話「余波」では、初代モフである帝国のターキン提督が登場し、クローンの製造拠点であった惑星カミーノに製造中止を告げている。クローン利用の代替策として挙げられているのが“徴兵制”であり、そのスピード感から、パルパティーンは帝国樹立後の動きまでかなり練った上で行動に出たことが分かる。
徴兵制とクローン廃止についての詳細はこちらの記事で。
ジェダイが忘れられた理由がここに
そして、これらの描写は旧3部作と新3部作を繋ぐ重要な架け橋になりうる。「スター・ウォーズ」ファンにとっての長年の疑問は、新3部作で栄華を極めたはずのジェダイとフォースの力は、旧3部作ではほとんど忘れ去られた存在になってしまっていることだった。
ジェダイは希少で人目に触れずに活動していたと思っていたファンにとっては、(映画上の演出という目的はあるにせよ)新3部作で大活躍を見せるジェダイの姿は衝撃的なものだった。一体どうしてこのジェダイの歴史を闇に葬ることができたのか、という疑問には映画制作上のご都合主義と結論づける他なかったのだ。
だが、『バッド・バッチ』は、オーダー66の発動によるジェダイが壊滅、帝国成立のその瞬間から帝国が尋常ではないスピードで銀河の支配を固めていく様子を明らかにした。そこでは人流の掌握や徴兵だけでなく、情報の統制も行われたはずだ。クローン戦争の終結から『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977) までの19年間、ジェダイがやがて伝説となり、忘れ去られていく過程には帝国による人為的な(それも徹底した)統制と歴史修正が行われていたことは明らかだろう。
そう考えれば、ジェダイマスターであったオビ=ワン・ケノービがどれだけの思いをしてその19年間を生き延びたのか、ということにも想像が及ぶ。Disney+ではユアン・マクレガー演じるオビ=ワン・ケノービを主人公に据えたドラマ『オビ=ワン・ケノービ』が配信される。
『スター・ウォーズ:オビ=ワン・ケノービ(原題)』
ヘイデン・クリステンセンが、ダース・ベイダーとして復活!
『#スターウォーズ エピソード3/シスの復讐』から10年後の世界を舞台にしたオリジナルシリーズ
#ディズニープラス で配信決定 pic.twitter.com/ClOPVIr6en— スター・ウォーズ公式 (@starwarsjapan) December 11, 2020
同作の舞台は『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005) の10年後。つまり『バッド・バッチ』の10年後、『エピソード4』の9年前ということになる。『バッド・バッチ』で描かれるヒストリーは、そのままドラマ『オビ=ワン・ケノービ』へと繋がっていくはずだ。
Disney+で配信されているスピンオフシリーズの『マンダロリアン』や『バッド・バッチ』は、ジェダイではない人々の視点をスター・ウォーズ史にもたらす重要な役割を果たしている。ミクロの視点に立たなければ見えないものもあるのだ。『バッド・バッチ』は引き続き、帝国がその強権的な支配と抑圧を広げていく様を民衆の視点で映し出しながら、バッド・バッチとオメガの旅を描いていくだろう。
『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』はDisney+で独占配信中。
なおスター・ウォーズ公式は、チェーンコードの登場によって帝国時代が急激に加速したと解説としている。詳細はこちらの記事で。
『バッド・バッチ』第2話のネタバレ解説はこちらの記事で。
第1話のネタバレ解説はこちらから。
第3話のネタバレ解説はこちらの記事で。