ネタバレ解説『バッド・バッチ』シーズン3第6話 ジェダイ認識と新共和国との繋がりも? あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『バッド・バッチ』シーズン3第6話 ジェダイ認識と新共和国との繋がりも? あらすじ&考察

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『バッド・バッチ』シーズン3第6話はどうなった?

2021年に配信を開始したアニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』がシリーズフィナーレとなるシーズン3を迎えている。『バッド・バッチ』では、アニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) に登場したクローンの“不良分隊”ことバッド・バッチを中心に、設立まもない帝国の時代が描かれる。

全15話で構成される『バッド・バッチ』シーズン3は、2024年3月13日(水) 配信の第6話を迎えて早くも残り3分2という時期に差し掛かっている。シーズン3第6話ではどんな展開が待っていたのか、今回もネタバレありで解説および考察していこう。以下の内容は本編のネタバレを含むため、ディズニープラスで鑑賞したのちに読んでいただきたい。

なお、米国でサマータイムが始まった関係でシーズン3第6話からは16時配信開始となっている。また、第6話と第7話は同日配信されているのでご注意を。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『バッド・バッチ』シーズン3第6話の内容に関するネタバレを含みます。

『バッド・バッチ』シーズン3第6話「侵入」あらすじ&ネタバレ解説

進み出した反帝国の連携

第7話と同時配信となったシーズン3第6話は、いつもよりもシネマティックな雰囲気で幕をあける。第6話の冒頭では、クローンのキャプテン・レックスアヴィ・シン元老院議員を護衛している。アヴィ・シンはシーズン1第10話に登場し、惑星ラクサスで帝国を批判する演説をしたところ拘束され、今回も登場しているドロイドのGS-8がバッド・バッチに救助を要請してラクサスを脱出した。

また、レックスの仲間として、シーズン1第11話第12話に登場したハウザーも登場。ハウザーはドラマ『アソーカ』(2023-) で実写化されたヘラの故郷である惑星ライロスにいたが、帝国の指示に納得いかず謀反を呼びかけ逮捕されていた。シーズン2第14話ではバッド・バッチと別れたエコーが輸送されているハウザーたちを助け出している。他にもグリアーやサムソンという名の仲間もおり、レックスは着実に仲間を増やしているようだ。

アヴィ・シンが極秘に面会したのはライヨ・チューチー元老院議員だった。チューチーは『クローン・ウォーズ』から登場しているキャラクターで、『バッド・バッチ』ではシーズン2第7話から何度も登場している。チューチー議員は惑星パントラ出身。アヴィ・シンが「クローン戦争時は敵同士」と言っているのは、チューチーのパントラが共和国側で、アヴィ・シンのラクサスが分離主義勢力の拠点だったからだ。

帝国の時代においては、旧共和国勢力も分離主義勢力も共に弾圧されている。チューチーは皇帝パルパティーンは、星系が団結して反旗を翻すことを憂慮していると話すが、アヴィ・シンは指導者がいないことが課題だと語る。また、帝国は世論も気にしないとも嘆くが、それでもラクサスのためであれば立ち上がると、協力を受け入れるのだった。

『バッド・バッチ』の約13年後、帝国崩壊の9年前を舞台にしたドラマ『キャシアン・アンドー』(2022-) では反乱軍の形成もかなり進んでいた。『バッド・バッチ』シーズン3第6話では、この時期に動き出した反帝国の連携がレックスら元クローン兵の援護により実現していたことを示している。

新たな暗殺者

しかし、ここで両議員の暗殺を狙う侵入者が登場。シーズン2では「信じる者」と名乗った帝国に忠実なクローン兵の暗殺者が登場していた。この暗殺者も捕まるが、こいつもやはりクローンだった。シーズン2第7話では、「信じる者」は口を割らずに自死する忠誠心の高さを見せていた。

そこで、レックスたちは暗殺者が持っていた暗号化されたデータ・パックを解析することに。また、歯に取り付けられた電撃カプセルを取り出して自死できないようにすると、レックスは暗殺者にクローンである以上は仲間だと呼びかける。

帝国側は捕えられた暗殺者を捜し出して殺そうとする一方、レックスは暗殺者がタンティスに囚われていたことに勘づいていた。つまり、クロスヘアーとオメガがいたタンティスのラボはネクロマンサー計画のほかに、従順なクローン暗殺者を作り出す研究にも取り組んでいたということだろう。

そして、暗殺者が持っていたデータに入っていた標的リストには、アヴィ・シン以外にもオメガの存在が記されていた。レックスはバッド・バッチをこの件に巻き込みたくないと話すが、ハウザーはクロスヘアーを尋問したいと主張する。ハウザーが強硬な姿勢を見せている理由は、惑星ライロスでクロスヘアーが帝国の兵士として戦っていたからである。

M値と「調整」

呼び出しを受けたバッド・バッチはレックスたちと合流。エコーはオメガに新しいエネルギー・ボウガンを授けると、一旦宇宙へと飛び立ってしまう。ここで登場するクローンたちの基地は惑星テスにあるボマーの修道院を改造したものと思われる。映画『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008) の舞台になった場所である。

レックスがタンティスの襲撃とクローンたちの救出を目指していると語る一方で、ハウザーはクロスヘアーが標的リストに載っていないことを訝しんでいる。「お前の部隊が信じても俺は信じない」とはキツい言葉だ。ハンターたちだって前話でやっと乗り越えた不信感を、今度は外部から向けられている。

オメガは、タンティスで行われていたことについて、ナラ・セがM値を調べる実験を強要されていたと話す。レックスはM値(ミディ=クロリアン値)について「耳にしたことはあるが詳しくは知らない」と話しており、ミディ=クロリアン値がジェダイ以外にあまり知られていなかったことが示されている。また、このようにしてジェダイの記憶というのは歴史から抹消されていき、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977) 以降の人々のジェダイ認識と繋がっていくのだろう。

ここでクロスヘアーは、タンティスには、ヘムロックのプログラムを受けた帝国に忠誠を誓うクローンの師団があり、特殊工作員として働いていると話す。プログラムでは「調整を施される」と言っており、『マンダロリアン』(2019-) シーズン3第3話で新共和国の医者がドクター・パーシングについて「調整は困難」と話したことが思い出される。

同エピソードは新共和国でも非人道的な処置が取られていたことを明らかにするものだ。帝国時代に行われていたものとは異なるという言い訳もされていたが、新共和国でのマインド操作技術はもしかするとドクター・ヘムロックがクローンを実験台にして行った研究の上に築かれたものなのかもしれない。ただし、「調整」という言葉の原文は『バッド・バッチ』では「conditioning」、『マンダロリアン』では「adjustment」となっており、直接的な匂わせではないことは留意しておきたい。

暗殺者の暗殺者

クロスヘアーは“調整”ができなかった個体であり、「欠陥があることが俺の本質」と、クローンの中でも特殊なバッド・バッチとしてのアイデンティティを示す。ここでハンターはコルサントで暗殺者と会ったと話しているが、これは前述のシーズン2第7話での出来事である。

一方、捕まった暗殺者の体内に埋め込まれたスキャンできない追跡装置を追って、レックスたちの基地には別の暗殺者が送り込まれていた。クロスヘアーが「帝国は黙っていない」と言う通り、暗殺者は侵入に成功すると、オメガが見つかったことで更に回収班が送り込まれることに。

そして、捕まっていた暗殺者がクロスヘアーに「兄弟」と呼びかけると、部屋の中は変な空気に。クローンたちがクロスヘアーに心を開いていないうちは、帝国側は簡単にクローンたちを動揺させることができる。

新たな暗殺者によって、捕まっていた暗殺者は始末されてしまう。映画のようなド派手な銃撃戦の中で、クローンたちが戦っているため誰が誰だかわからなくなるが、決死の突撃をしたのはハウザーだ。被弾しながらも火炎放射器と手榴弾で爆発を起こすことに成功。基地は崩壊を始め、この場をやり過ごすことはできたものの、オメガの回収班が向かっていることが示されて『バッド・バッチ』シーズン3第6話は幕を閉じる。

なお、回収班も司令官もまたクローン兵であり、クローン同士の戦いが繰り広げられることが示唆されている。

『バッド・バッチ』シーズン3第6話 考察&感想

クローン同士の戦いに

前話まででバッド・バッチ内の問題は解決し、シーズン3第6話からは、反帝国のために立ち上がったレックスら他のクローンたちとの物語が始まるようだ。しかも敵までクローンという展開だ。今の所、新しい暗殺者の正体は不明だが、暗殺者を暗殺するために送り込まれるとは、忠実になるよう調整を受けたクローンは、帝国にとって簡単に捨てられる捨て駒であることが示されている。

しかも、暗殺者は捕虜にされれば敵陣に潜入させられる発信機にもなる。今回のように反帝国勢力の拠点を叩くことも可能になるし、しかもそこにも洗脳されたクローン兵を送りこめば人間の被害を抑えることもできる。

帝国は恐ろしいことをやっているが、現実では政治家が同じ人間でそれをやっているのだからより恐ろしい。支配者/権力者は同じ属性の者同士を戦わせ、利益を得ようとする。『バッド・バッチ』で互いに銃を向け合うことになったクローンたちには、どんなラストが待っているのか、シーズン3第7話も続けて観ていこう。

アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン3はディズニープラスで配信中。

『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(Disney+)

『バッド・バッチ』シーズン3第7話の解説はこちらから。

シーズン3第5話の解説はこちらから。

シーズン3第4話の解説はこちらから。

シーズン3第3話の解説はこちらから。

シーズン3第2話の解説はこちらから。

シーズン3第1話の解説はこちらから。

 

『バッド・バッチ』シーズン2最終話の解説はこちらから。

シーズン1で明かされたクローン兵廃止の理由はこちらから。

 

ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』は2024年夏配信開始を予定している。詳しくはこちらから。

映画『マンダロリアン&グローグー』についての情報はこちらの記事で。

2024年公開予定の「スター・ウォーズ」作品についてはこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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