ネタバレ解説『バッド・バッチ』シーズン3第5話 ハンター&クロスヘアーの命運は 舞台はあの場所 あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『バッド・バッチ』シーズン3第5話 ハンター&クロスヘアーの命運は 舞台はあの場所 あらすじ&考察

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『バッド・バッチ』シーズン3第5話はどうなった?

「スター・ウォーズ」シリーズ最新作の『バッド・バッチ』シーズン3は、2021年に配信を開始した本作のファイナルシーズンとなる作品だ。『バッド・バッチ』ではクローン大戦を生き延びたクローンたちのその後が描かれ、特別なクローンの少女オメガと帝国のクローンをめぐる攻防が繰り広げられる。

今回は、新たなスタートとなる『バッド・バッチ』シーズン3第5話をネタバレありで解説&考察して行こう。以下の内容はネタバレを含むため、ディズニープラスで本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『バッド・バッチ』シーズン3第5話の内容に関するネタバレを含みます。

『バッド・バッチ』シーズン3第5話「帰還」あらすじ&ネタバレ解説

クロスヘアーのその後

独房では自作の人形を持っていたオメガだが、ここではレッカーが大事にしていた人形のルーラを抱いて眼を覚ます。オメガがバッド・バッチに帰ってきたことを示す演出だ。レッカーは「シェップとリアナから」と言ってオメガに果物を渡しているが、シェップ・ハザードは惑星パブーの島の町長で、リアナ・ハザードはその娘だ。二人は海賊フィーの親戚でもある。

「自由に慣れきってない」と言われているクロスヘアーは、けれどハウンドのバッチャーやドロイドのAZIといった非人間のメンバーと楽しんでいるように見える。特にAZIについてはシーズン1の最終話でAZIを助けようとしたオメガをクロスヘアーが助けたという背景があるため、仲良くするのもまんざらではないのだろう。

右手が思うように使えないクロスヘアーは、命中率が53%に低下していた。それでも、必要な力を「忍耐と状況を読む力」とオメガに教えを与えている。戦略に長けているオメガは、意外と狙撃手向きかもしれない。一方でクロスヘアーは、ハンターとレッカーが自分のことを監視していることを気にしていた。

エコーの帰還

合流したもののまだ距離があるバッド・バッチだが、ここでエコーが帰還。テクがいないのが寂しいが、それでも久しぶりに現存するバッド・バッチメンバーが揃った。オメガは、帝国がクローンを実験台にしているという情報を共有するも、クロスヘアーは囚人だったため提供できる情報がないという。他のメンバーから不信感を持たれる展開だ。エコーはといえば、レックスと共に対帝国の戦いに身を投じているため、戦況の見立てを聞くだけでも頼もしく感じる。

オメガは脱出する時に持ってきたナラ・セのパッドを出すが、これは帝国の暗号で保護されている。暗号のスペシャリストであるテクが不在という事実が重くのしかかる。クロスヘアーは帝国の端末からなら暗号なしでアクセスできる、人員が少ない遠隔の基地を知っていると話すが、やはりハンターは罠であることを疑っているのだろう。ハンターは自分とクロスヘアーとエコーでこの任務に就くと決めるのだった。

オメガはクローンたちを置き去りにしたという自責の念に駆られており、同行することを望む。クロスヘアーは意外とハンターはオメガが心配なだけだとハンターのことを庇ってやっている。そしてレッカーはクロスヘアーに昔のアーマーを渡す。ハンターたちはクロスヘアーの装備を処分することなく残していたのだ。クロスヘアーと別れた後のバッド・バッチは、一時は借金生活をしている時期もあった。それでもハンターたちはクロスヘアーの装備を売ったりすることもなく、守り抜いていたということだ。

結局、オメガとレッカー、それにバッチャーも任務に同行。現時点でのバット・バッチのベストメンバーが揃っている。そして、クロスヘアーが久しぶりにバッド・バッチの装備を着て登場。印象的なモーメントだ。共に任務に臨むバッド・バッチだが、ハンターとクロスヘアーはやはり反りが合わない。だが、エコーがちょうどいい仲介役になっている。もちろん元の性格もあるのだろうが、反帝国の戦いの中でより鍛えられている感じがする。

あの惑星が再登場

そして一向がついた惑星はバートン4だった。この惑星は『バッド・バッチ』シーズン2第12話の舞台となった場所だ。クロスヘアーがクローン兵のメーデーと雪崩から生還したが、人間のノーラン大尉がメーデーを見捨て、クローンを「使い捨て」と切り捨てたことでクロスヘアーは激怒し、ノーラン大尉を殺してしまったのだ。この雪山に生息する大鳥の存在が、ここが同じ場所であることを告げている。

基地が無人であることに疑念を抱かれたクロスヘアーは、帝国がこの基地を「役割を終えたから捨てた」と主張するが、ハンターは「誰かのように」と嫌味を言うことを忘れない。クロスヘアーはバッド・バッチよりも兵士として帝国につくことを選んだが、帝国からお払い箱にされてバッド・バッチに戻ってきた。やはりその背景はハンターとクロスヘアーの間の大きな溝となっている。

しかし、クロスヘアーは廃棄されたクローン・トルーパーのヘルメットを並べて、それを弔う姿勢を見せる。ハンターとクロスヘアーの間に溝はあっても、二人は同じクローンであり兄弟、そんな事実を思い出させる場面だ。一方でハンターにとっては、かつてこの地でクロスヘアーに何かがあったと勘付くヒントにもなっている。

タンティスのデータにアクセスすることができたバッド・バッチだが、雪山から何かが迫っていることが示される。ハンターはクロスヘアーと二人きりになったタイミングで「何か隠してる」と問い詰める。これはハンターが疑り深いのではなく、ハンターは五感を強化されているため他者の変化や態度を敏感に感じ取ることができるのだ。

ハンターがクロスヘアーに問い詰めたのは、クロスヘアーが帝国を離れた理由についてだった。字幕で「また裏切ったのか?」となっているハンターのセリフは、英語では「Betray them, like you did with us?(俺たちにやったように帝国を裏切ったのか?)」と、より辛辣な言葉になっている。この言葉で右手に違和感を感じるクロスヘアー。人間を殺めたことが右手の不調の心理的な原因になっているのだろう。なお、このシーンではまたも大鳥が登場して、危険を知らせてくれている。

鉄板パターンへ

過去は不問で迎え入れられるわけはない、背景を説明しろと迫るハンターに、クロスヘアーは正直に背景を語る。一方で、ハンターが自分の警告を無視した結果オメガが捕まった、オメガが辛い目に遭ったのはハンターのせいだとハンターを責める。もうこの二人は性格的に仲良くなれないのではと思われるほど溝が深くなっている。

その時、雪山から現れたのは巨大なクリーチャーだった。クリーチャーを近づかせないためにセンサーに用いていた動力を基地に回したことで、クリーチャーが基地に近づけてしまったのだ。バッド・バッチは、クリーチャーを基地から遠ざけつつ、予備動力を作動させてセンサーを復活させるというチームワークが必要な作戦にドタバタで挑むことに。レッカーは「なんでいつもデカい怪物が出てくるのか」という視聴者の疑問を代弁してくれている。

ハンターはピンチに陥るも、クロスヘアーがバッチャーとの連携プレーで援護。戦略が得意なオメガはレッカーに的確な指示を出して予備動力を起動させる。ハンターらは間一髪のところで再起動したセンサー内に逃げ込んで帰還。やっぱりドタバタの任務の中で仲を深めるというのがバッド・バッチの鉄板だ。

過ちを正そうとすること

エコーは、タンティスの座標はわからないが、パッドの情報を得たことで、タンティスには確実に近づいていると語る。エコーの言い方が「クローンの解放に近づいている」なのは、エコーがより大きな目標に向かっていることの表れだ。さらにエコーは、オメガに脱出したこと自体が大仕事だと声をかけてやる。ハンターとクロスヘアーが自分たちのことで一杯一杯の時にエコーがオメガに声をかけてやってくれるのはありがたい。

そしてクロスヘアーは、帝国に従うのが正しい道だと思っていた、優秀な兵士のつもりだったと、ハンターに後悔を吐露する。しかし、ハンターは、あの時は誰も何が起きてるか理解できてなかったと、戦後の動乱でのクロスヘアーのミスを擁護してやる。自分の行動が間違いだったと認めたクロスヘアーに対し、ハンターは自らも後悔は多いとし、「過ちを正そうとしながら進んでいくしかない」と語るのだった。

「あの時代はそれが正解だった」などと言って開き直ったりしない、カッコいい中高年の姿だ。「過ちを正そうとする」という姿勢が大事なのだ。ハンターの中に甘えはなく、他者を赦しながら、自分もマシな道を歩めるように背筋を正す。そうすることで、自分たちにも希望が見えるかもしれない。クロスヘアーは、シーズン2第12話のあの時と同じように大鳥の声を聞いて旅立つ。今度は帰還を祝福する声のように聞こえる。

『バッド・バッチ』シーズン3第5話ネタバレ考察&感想

本当の帰還

『バッド・バッチ』シーズン3第5話は、ハンターとクロスヘアーの和解回だった。前回の考察では、「とりあえず一旦一緒に任務についてみたら、また元に戻れるような気がする」と記したが、やはりその通りの展開になった。「帰還」というタイトル通り、クロスヘアーは真の意味でバッド・バッチに帰還を果たしたことになる。

それに、一時的にかもしれないが、ハンターが戻ってきたことも良かった。次の動きとしては、反帝の動きを続けるレックスたちを頼る展開が考えられる。タンティスのクローンたちを解放し、オメガの遺伝子について知るものを一掃することが、バッド・バッチの大目標になるだろう。

シーズン3第5話ラストのハンターの言葉は、過ちがあるからといってそこで立ち止まったり、開き直ったりするのではなく、過ちを受け入れ、それを正すために動き続けろ、という意味だと捉えることができる。バッド・バッチに残されている道は行動あるのみ。全15話のうち、三分の一を終えた『バッド・バッチ』ファイナルシーズン。次の展開を楽しみに待とう。

アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン3はディズニープラスで配信中。

『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(Disney+)

『バッド・バッチ』シーズン3第4話の解説はこちらから。

シーズン3第3話の解説はこちらから。

シーズン3第2話の解説はこちらから。

シーズン3第1話の解説はこちらから。

 

『バッド・バッチ』シーズン2最終話の解説はこちらから。

シーズン1で明かされたクローン兵廃止の理由はこちらから。

 

ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』は2024年夏配信開始を予定している。詳しくはこちらから。

映画『マンダロリアン&グローグー』についての情報はこちらの記事で。

2024年公開予定の「スター・ウォーズ」作品についてはこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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