ネタバレ解説&考察 『ゴジラxコング 新たなる帝国』を彩った音楽を紹介! | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説&考察 『ゴジラxコング 新たなる帝国』を彩った音楽を紹介!

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ゴジラとコング、二大怪獣に相応しい楽曲が勢揃い

「ゴジラ」シリーズ70周年とモンスター・ヴァース10周年を記念して、2024年4月26日(金)より『ゴジラxコング 新たなる帝国』が全国公開された。『ゴジラxコング 新たなる帝国』はゴジラとコングの迫力溢れる戦いだけためだけではなく、ゴジラやコングなど話すことのできない怪獣たちの心情を表すためにも、往年の名曲たちが用いられている。

本記事では『ゴジラxコング 新たなる帝国』を彩る名曲たちを解説と考察を述べていこう。なお、本記事は『ゴジラxコング 新たなる帝国』のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ゴジラxコング 新たなる帝国』の内容に関するネタバレを含みます。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』を彩る名曲たち

ジム・リーヴス「Welcome to My World」

『ゴジラxコング 新たなる帝国』のはじまりを告げるのが、1950年代から1980年代にかけて活躍したジム・リーヴスの「Welcome to My World」だ。「Welcome to My World」は予告編にも使われており、印象的な楽曲となっている。その歌詞は自分の世界へ他者を招き入れるというものだが、それが人類未踏の地下空洞の世界にアンドリュース博士たちが足を踏み入れることとかかっていると考察できる。

予告編ではジム・リーヴスの「Welcome to My World」の歌詞は、人類未踏の地に足を踏み入れるアンドリュース博士たちに向けたものだと思われていた。しかし、『ゴジラxコング 新たなる帝国』では人類は地下空洞を5%しか開拓できていないと解説され、地下空洞の王であるコンも未知の領域が多かった。そのためスカーキングが支配する火の国など、コングにとっても未知の世界へ足を踏み入れることをジム・リーヴスの「Welcome to My World」は歌っていると考察できる。

グリーン・フロウ『I Got’Cha』

ヴォーカリスト兼トロンボーン奏者のアート・J・グリーンとその妹でヴォーカリストのエレノラ・グリーンによって、1975年に結成されたグリーン・フロウ。その楽曲である『I Got’Cha』は未知動物学者のトラッパーが仕事のときに、気合を入れるためにかける音楽だ。

グリーン・フロウの『I Got’Cha』の歌詞を口ずさみながら、トラッパーは獣医師としてコングの虫歯治療を行なう。抜歯から義歯の装着を行なう導入場面で流れる『I Got’Cha』は、『ゴジラxコング 新たなる帝国』がどのような映画になるのかを示してくれていると考察できる。

ゴールデン・イヤリング『Twilight Zone』

コングの麻酔がとけた後、異常事態を察したアンドリュース博士たちが地下空洞の世界に向かうときに流れるのが、ゴールデン・イヤリングの『Twilight Zone』だ。地下空洞へ行くには怪獣の誘導が必須であり、その道のりはサイケデリックで特殊な重力場により凄まじい重圧が探査艇ヒーヴとその搭乗者にのしかかる。『Twilight Zone』はその様子にぴったりの歌詞の楽曲だ。

ゴールデン・イヤリングは1961年にオランダで結成された伝説的なロック・バンドであり、『Twilight Zone』は1983年のBillboard Hot100で10位に輝いた。『Twilight Zone』は歌詞で「頭がすっ飛んでいるようだ」「今、俺はとてつもない場所に来てしまった」を歌うなど、人類未踏の地である地下空洞の世界に赴くにはぴったりの内容となっている。

ジョーダン・F『Hardwired』

古代怪獣シーモによる攻撃で右腕に神経に達するまでの深い凍傷を負ったコング。再起不能かと思われたが、『ゴジラvsコング』で発生したメカゴジラの攻撃を受け、モナークが秘密裏に計画を進めていたと解説される「パワーハウス計画」の再起動でコングは復活を果たす。コングが生体強化された解剖メカ型激震性サンダー・グローブを右腕に装着する際に流れるのがジョーダン・Fの『Hardwired』である。

実はジョーダン・Fの『Hardwired』は、トラッパーを演じたダン・スティーヴンスが主演を務める『ザ・ゲスト』(2014)の続編のために作曲された楽曲である。『ザ・ゲスト』は監督と編集をアダム・ウィンガードが務めていた。コング復活の際に、アダム・ウィンガード監督とダン・スティーヴンスの眠っていた映画のサウンドトラックが復活するという粋な演出となっていると考察できる。

ラヴァーボーイ『Turn Me Loose』

スカーキングのその配下のグレイト・エイプに対する攪乱作戦で、トラッパーが探査艇ヒーヴで放電翼竜ヴァータシーンを連れて来る際に流れるのがラヴァーボーイの『Turn Me Loose』だ。その歌詞では「クレイジーな男なのさ」と自分を称する歌詞など、ラヴァーボーイの『Turn Me Loose』はトラッパーの性格と作戦が反映された楽曲だと考察できる。

ラヴァーボーイは『Turn Me Loose』でデビューしたロック・バンドで、1979年にカナダ・カルガリーで結成された。カナダの生んだ極上のロック・バンドと称されるラヴァーボーイは現在、バンクーバーで活動しており、今もなお現役のミュージシャンである。

キッス『I Was Made For Lovin’ You』

ゴジラとコング、スカーキングと古代怪獣シーモが死闘を繰り広げ、それによってブラジルのリオデジャネイロに辿り着いたときにキッスの『I Was Made For Lovin’ You』が流れている。キッスと言えば派手な白塗りのフェイスペイントが特徴的なハードロック・バンドで、その姿を見たことない人はいないと言っていいほどポップカルチャーに影響を与えた。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』の舞台となっているのは『ゴジラvsコング』の2024年から3年後、つまり2027年の地球だと解説されている。一方、キッスの代表曲である『I Was Made For Lovin’ You』が発表されたのは1979年である。怪獣のいる世界でも、発表から48年経っていても、やはり名曲が廃れることはないということなのだろう。

バッドフィンガー『Day After Day』

スカーキングを倒し、ゴジラとコングなど怪獣たちが帰路につくときに流れるのがバッドフィンガーの『Day After Day』だ。この楽曲が流れる中、ゴジラはローマのコロッセオで眠りにつき、コングはスーコと古代怪獣シーモを連れてグレイト・エイプの王“キングコング”となる。地下空洞のイーウィス族の文明はモスラによって修復され、アンドリュース博士たちは地上に帰る。その雰囲気に『Day After Day』以上に合っている楽曲はない。

バッドフィンガーの『Day After Day』は家で愛する者の帰宅を待つ心情を歌った楽曲であり、怪獣たちも自分たちの棲み処に帰り、人類も家路につく。観客たちも『Day After Day』を聞きながら、怪獣たちがスクリーンに帰って来たことを実感して終わる。そのような意味が込められていると考察できる。

オルランヂーヴォ『Samba Toff』

『ゴジラxコング 新たなる帝国』のエンドロールで流れる楽曲がオルランヂーヴォの『Samba Toff』である。『Samba Toff』は愛する者が帰ってくることを願い、愛する者としか踊ることは出来ないと歌っている。そこで踊ろうと誘っているのがサンバだ。

そのため、オルランヂーヴォの『Samba Toff』はモンスター・ヴァースの世界を滅茶苦茶にしたスカーキングが倒された後の世界で、ゴジラとコングによって自然の調和が戻ったことを暗示していると考察できる。『ゴジラxコング 新たなる帝国』は様々な名曲が使われており、それによって怪獣同士の迫力ある戦いだけではなく、どこかポップな仕上がりになっていると考察できる。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』の日本だけの特別な楽曲にも注目

Yaffle×AI×OZworld『RISE TOGETHER feat. OZworld』

「ゴジラ」シリーズ70年を象徴する名曲、伊福部昭作曲の「ゴジラのテーマ」をサンプリングしたのが『RISE TOGETHER feat. OZworld』だ。Yaffleは藤井風の全曲をプロデュースしている小島裕規のソロプロジェクトで、AIはバラードとゴスペルのテイストの歌唱を得意とするシンガーソングライターである。OZworldはHIP-HOPアーティストで、AIもラップを得意とするため、この3人と伊福部昭の名曲の化学反応は素晴らしい。

映画本編だけではなく、最後の最後まで名曲揃いの『ゴジラxコング 新たなる帝国』。キャラクターの心情に寄り添った楽曲から、観客を映画の世界へ引き込むもの、更にはノスタルジックな気分にさせてくれるものなど、音楽のジャンルも様々だ。劇中で流れた音楽を知ってみると『ゴジラxコング 新たなる帝国』への印象も変わるかもしれない。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』は2024年4月26日(金)より全国公開。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』公式サイト

『ゴジラxコング 新たなる帝国』のサウンドトラックは発売中。

¥1,500 (2024/05/11 10:34:22時点 Amazon調べ-詳細)

『ゴジラvsコング』の完全数量限定生産4枚組Blu-rayも発売中。

 

『ゴジラxコング 新たなる帝国』のラストのネタバレ解説と考察はこちらから。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』の続編制作の可能性と、そこに登場する敵怪獣の考察はこちらから。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』に登場する怪獣の解説はこちらから。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』に登場する予定だった幻の怪獣の解説はこちらから。

ゴジラのピンク色へのパワーアップには「ドラゴンボール」シリーズの影響があると解説されている。詳しくはこちらから。

アダム・ウィンガード監督は『ゴジラxコング 新たなる帝国』を三部作の第二章としたいと解説されている。詳しくはこちらから。

アダム・ウィンガード監督が米IGNに『ゴジラxコング 新たなる帝国』について語った内容はこちらから。

モンスター・ヴァースは『ゴジラxコング 新たなる帝国』で10年の節目を迎える。詳しくはこちらから。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』は世界興行収入で5億ドルを突破した。詳しくはこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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