10年の歴史に区切り? 『ゴジラxコング:新たなる帝国』 新予告編考察&解説 | VG+ (バゴプラ)

10年の歴史に区切り? 『ゴジラxコング:新たなる帝国』 新予告編考察&解説

© LEGENDARY AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

モンスター・ヴァース10周年記念となる『ゴジラxコング:新たなる帝国』

『ゴジラ GODZILLA』(2014)からはじまったモンスター・ヴァース。それから10年が経った2024年に、モンスター・ヴァース最新作である『ゴジラxコング:新たなる帝国』が公開される。その新予告編が2024年3月14日に公開された。そこではモンスター・ヴァース最新作ということで、これまでのモンスター・ヴァース作品の映像が用いられたものとなっていた。

予告編の中で『GODZILLA ゴジラ』に『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)、『ゴジラvsコング』(2021)の映像が引用されている。そこでは『GODZILLA ゴジラ』で登場したジョー・ブロディ博士の「先が思いやられる。石器時代に逆戻りだ」という台詞からはじまり、これまでのモンスター・ヴァースの歴史を振り返るものとなっていた。

そして、コングとスカーキングとの戦いや、ゴジラの氷山から復活、コングの斧に冷凍光線を浴びせる怪獣などの映像が流された。モンスター・ヴァースも第1作『ゴジラ GODZILLA』から10周年だ。もしかすればレジェンダリーと東宝は『ゴジラxコング:新たなる帝国』をモンスター・ヴァースの一つの節目とするのだと考察できる。

『ゴジラxコング』サーガから次のサーガに?

シェアード・ユニバースの先駆け的存在とも言えるMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)はフェーズごとに作品群を分け、10年単位でサーガという区分にしている。シェアード・ユニバースでゴジラとコングが中心となって物語が進んでいたモンスター・ヴァースも『ゴジラxコング』サーガに終わりを告げ、次のフェーズやサーガがはじまると考察できる。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の監督を務めたマイケル・ドハティ監督は、東宝の怪獣映画シリーズはシェアード・ユニバースを開拓した作品の1つだという発言を米Comicbook.comで語っている。

前に話題になったかも知りませんが、ユニバーサル・クラシックの怪獣映画以外では、東宝はシェアード・ユニバースのアイデアを開拓した最初の会社のひとつです。彼らはマーベルよりもずっと前からそれをやっていた。モスラはゴジラとは全く別の映画でした。ラドンも同じです。一周回って、物事が丸く収まるように感じています。

現在のモンスター・ヴァースではゴジラが地上の怪獣の王、コングが地底の怪獣の王という位置づけになっている。そのため、ある意味では2体の世界的に有名な怪獣王は人類相手に暴れまわる時期から、支配者として安定期に入ったとも言えるのだ。それを利用して、2体の怪獣王のもとで他の怪獣たちが何をやっているのかを描く作品が制作される可能性が考察できる。

モスラ、ラドンの単独作もあり得る?

東宝は怪獣たちを単なるキャラクターとして扱うのではなく、その権利を尊重して扱っている。そのため、モンスター・ヴァースでは容易に東宝怪獣を登場させることができなかった。しかし、裏を返せばしっかりと許可取りを行なえば『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のように東宝怪獣の登場もあり得るということだ。

今後、モンスター・ヴァースでモスラやラドンの単独作がつくられる可能性は高いと考察できる。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』にモスラとラドンが登場した際には、2体の怪獣は単なる添え物ではなく、細かな設定がモスラとラドンに与えられた。

モスラは中国雲南省の密林の奥地の寺院に眠る怪獣であり、ゴジラと対をなす怪獣の女王だ。その生態は鳳凰や不死鳥などを想起させるもので、卵から幼虫、繭、そして成虫へと変態を繰り返し、死亡すると卵に戻り輪廻転生をするという神秘的な存在として扱われていた。東宝映画でもモスラは最珠羅という名称で『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001)で鳳凰のモデルとなった怪獣とされていた。

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一方、ラドンはメキシコの火山島イスラ・デ・マーラの活火山に棲息する怪獣で、その名前は現地の伝説に登場する「炎の悪魔」から来ているとされていた。ラドンは初登場作品である『空の大怪獣 ラドン』(1956)以降、名前がタイトルに入った映画作品が無いため、モンスター・ヴァースで久方ぶりのラドンというタイトルの単独作が制作されるのかもしれない。他にもアンギラスやガイガンなどの東宝怪獣の登場にも期待したい。

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東宝怪獣たちが次々にハリウッドデビューする可能性も?

『ゴジラVSコング』と『ゴジラxコング:新たなる帝国』の監督を務めたアダム・ウィンガード監督は、「ゴジラ」シリーズの中でも昭和後期の作品に対して深い愛を持っていることを公言している。昭和後期の「ゴジラ」シリーズ作品では、モスラやラドン以外にも多くの東宝怪獣がゴジラと共演を果たしたことで有名だ。米Total Filmでは以下のような発言をしている。

私は全シリーズの大ファンで、昭和後期をいつもとても楽しんでいます。大きなアイデアがたくさんあり、大物キャラクターを使った壮大な楽しみがあります。『ゴジラxコング:新たな帝国』では、その壮大な伝統に敬意を表し、筋金入りのファンのためにイースター・エッグをいくつか用意しました。

このことから、今後のモンスター・ヴァース作品で東宝怪獣が登場する可能性があり、いくつかの単独作が制作される可能性があることが考察できる。米Screen Rantはモンスター・ヴァースと「パシフィック・リム」シリーズのコラボレーションについても検討されたことがあると報道されている。そのため、モンスター・ヴァースの宇宙は開かれているとも考察できる。

「パシフィック・リム」シリーズの原点にはフランケンシュタインの怪物の子孫をテーマにした『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966)が存在している。もしかすれば『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』や『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965)もハリウッドで映像化されるかもしれない。

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現在、「パシフィック・リム」シリーズの生みの親であるギレルモ・デル・トロは『フランケンシュタインの怪物』の映画化に取り組んでいることが米Screen Rantが報じている。今後のレジェンダリーと東宝の動向について注目していきたいところだ。

『ゴジラxコング:新たなる帝国』は2024年4月26日より全国劇場公開。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』公式サイト

Source
Comicbook.com/Total Film/Screen Rant/Screen Rant

アダム・ウィンガード監督が米IGNに『ゴジラxコング 新たなる帝国』について語った内容はこちらから。

アダム・ウィンガード監督は『ゴジラxコング 新たなる帝国』でスカーキングがモンスター・ヴァース最大の脅威になると語っている。詳しくはこちらから。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』が『リーサル・ウェポン』や香港映画に影響を受けたと語っている。詳しくはこちらから。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』に登場する冷凍怪獣に関する考察はこちらから。

滅んだはずのコング族とイーウィス族に関する考察はこちらから。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』にはモスラが再登場する可能性がある。詳しくはこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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