ネタバレ解説『バッド・バッチ』シーズン3第7話 アノ人は誰?『反乱者たち』に繋がる展開も あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『バッド・バッチ』シーズン3第7話 アノ人は誰?『反乱者たち』に繋がる展開も あらすじ&考察

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『バッド・バッチ』シーズン3第7話はどうなった?

アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(2021-) は、クローンの“不良分隊”であるバッド・バッチを中心に、クローン戦争後の銀河の行方を描いた作品だ。帝国の陰謀や「スター・ウォーズ」の知られざるバックストーリーも明らかになる重要な作品でもある。

今回は、ファイナルシーズンとなるシーズン3の第6話と同時配信された第7話について、ネタバレありで解説&考察していきたい。以下の内容は本編のネタバレを含むので、必ずディズニープラスで鑑賞してから読んでいただきたい。なお、米国がサマータイムに入った影響で、シーズン3第6話と第7話から配信時間が水曜日の16時となっているのでご注意を。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『バッド・バッチ』シーズン3第7話の内容に関するネタバレを含みます。

『バッド・バッチ』シーズン3第7話「救出」あらすじ&ネタバレ解説

他に道はある

『バッド・バッチ』シーズン3第7話は、第6話に続いてシネマティックな映像から幕を開ける。爆風に吹き飛ばされた新たな暗殺者は生きており、ハンターらは基地からの脱出を試みる。逃げ道について聞かれたレックスの「常に他の道がある(There’s always another way.)」という回答は、ドラマ『キャシアン・アンドー』(2022-) でキノ・ロイがナーキーナ・ファイブ脱出の標語にした「道はひとつ(One way out.)」と真逆の言い回しになっていて面白い。

帝国のオメガ回収班であるクローン部隊が到着。しかし、いきなり倒れているクローンたちを見て「反乱分子じゃないぞ」と困惑している。このクローン部隊は調整前のクローンたちであり、クローン兵廃止を決めた帝国にとっては単に“在庫”のような扱いなのだろう。クローンにクローンの問題を処理させる卑劣なやり方だ。

暗殺者は司令官に極秘の部隊に所属していると返答。小型船を見つけると、下層から追い詰めるという部隊の方針を無視して塔の上階からレックスらを追う。反抗的だが優秀な暗殺者の姿は、どこか昔のクロスヘアーを見ているようでもある。当のクロスヘアーは身体を張って暗殺者を引き離すことに成功。チームへの忠誠心を見せている。

一行はハイパードライブのない小型船に到着。逃げ出すことに成功するが、暗殺者がエンジンを狙撃して船は墜落してしまう。それでも、エコーに墜落地点を通信することには成功している。墜落した一行だったが全員無事で、クロスヘアーはハンターのようにオメガを心配する父親のような顔を見せている。“二人の父親”のやつだ。

クロスヘアーの忠誠心

ハウザーは、クロスヘアーのオメガへの接し方を見てクロスヘアーを見直していた。そして、クロスヘアーはなぜ変わったのかを問われ、自分にとっては忠誠心は大事だったが、帝国にとっては自分は使い捨てだったと吐露するのだった。おそらくクロスヘアーにとっては“忠誠心”は大事にしたいものだったが、それを向ける先は帝国でなくてもよかったのだろう。クロスヘアーは今、自分を助けたオメガと仲間に対して忠誠心を向けているのだ。

エコーとの合流前に待ち伏せされたバッド・バッチらは、クローン部隊と交戦。ここでもクロスヘアーは「側にいろ、低い姿勢で」とオメガに助言している。また、クロスヘアーはクローン相手に使うブラスターを非殺傷のスタンモードにしている。しっかりバッド・バッチの方針に則る忠誠心を見せているのだ。

ネメックが撃たれ、一人暗殺者に挑んだクロスヘアーは滝から落ちてしまう。クロスヘアーは水中で首を絞められて追い込まれるが、すんでのところでハウザーが援護して救出。暗殺者がさらに高い滝から落ちていく一方で、クロスヘアーはハウザーの手を借りて生き延びたのだった。クロスへアーを疑っていたハウザーも、クロスヘアーのチームへの忠誠心を目の当たりにして、考えが変わったのだろう。

ウォルフの決断

脱出地点に到着した一行だったが、そこに現れたのはエコーではなく、ウォルフだった。ウォルフはアニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) から登場しているクローンで、『スター・ウォーズ 反乱者たち』(2014-2018) ではレックスと共に惑星シーロスで引退生活を送っている姿が描かれている。アソーカ・タノが助力を求めて惑星シーロスにエズラを送ったが、レックスと違いウォルフは帝国に反乱者の存在をタレ込んでいた。

その後改心するのだが、ウォルフが帝国側の兵士として『バッド・バッチ』に登場したことで、ウォルフが帝国に親和的だったことへの理由づけが行われている。帝国がタンティスでクローンを実験台にしていることを信じられないウォルフは、「お前はそんなやつじゃない」というレックスの説得を受け、レックスたちを見逃すことに。

単純な敵味方という話だけではなく、帝国の時代では、いくつかの場面で「最悪」になることを踏みとどまった人々はいたのだろう。現実社会に生きる私たちにとっても、大きな力に従わざるを得なかったとしても、一線を越えずに踏みとどまることができるかということは大事なことだ。

バッド・バッチらはエコーに拾ってもらい、ウォルフは「裏切り者だがクローンであり兄弟だ」と、クローンたちの死体回収を指示。立場は関係なく、同胞を思うことができるのがウォルフであり、『反乱者たち』で帝国にタレ込んだのも、反乱活動よりも同胞であるレックスたちとの平穏な暮らしを求めたからこその判断だったのだろう。

お互いの助言

脱出に成功したレックスは、「戦争が終われば兄弟は失わないと思っていた」と吐露。ハンターは帝国との戦いに「勝ち目はない」と話すが、確かにレックスは『反乱者たち』の時点で隠居している。レックスの目的はあくまでクローンの解放であり、それを達成した後はハンターの助言に従うことにしたのだろうか。

一方で、レックスもハンターに、オメガを守るためにも、なぜオメガが重要なのかを突き止めるようアドバイスを授ける。確かに追われるばかりではいられない。クロスヘアーや他のクローンたちとの絆を深めて、『バッド・バッチ』シーズン3は全15話の後半戦へと向かって行く。しかし、一方で滝から落ちた暗殺者はまだ生き延びていたのだった……。

『バッド・バッチ』シーズン3第7話 考察&感想

クロスヘアーの贖罪と暗殺者

『バッド・バッチ』シーズン3第7話では、第5話でのハンターに続き、敵対していたハウザーからもクロスヘアーは信頼を取り戻した。そう考えれば、シーズン3の前半はクロスヘアーの贖罪の物語でもあった。罪を受け止め、開き直らず、行動で示すことで周囲の人々の信頼を回復していくことの大切さを改めて提示している。そうした内容も、複数話に跨るシリーズものだからこそ説得力のあるものになる。

一方で、最後に暗殺者が生き延びていたことは気になるポイント。第6話では「なぜ私を起動した?」ともったいぶった話し方をしていたし、3人目の暗殺者だからただの敵役ならここで退場でも問題はないはず。声も変声機を使っているような感じがするし、生き延びていたということは、その中身が重要な人物である可能性を示唆していると考えられる。

暗殺者単位で考えると、シーズン2第7話では最初の暗殺者はカミーノ滅亡の真実を知ったチューチー議員を抹殺しようとしていた。この時のカミーノ滅亡の責任についてはパルパティーンがランパート中将をトカゲの尻尾切りにすることで乗り切っている。シーズン3第6話の二人目の暗殺者もまたチューチー議員を狙っており、パルパティーンにとってはチューチー議員がかなり目障りな存在であることが分かる。

レックスらはチューチーに潜伏するよう助言しており、残されたターゲットはオメガということになる。バッド・バッチの前に立ちはだかるのはどんな敵になのか、シーズン3後半戦の配信も楽しみに待とう。

アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン3はディズニープラスで配信中。

『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(Disney+)

『バッド・バッチ』シーズン3第8話の解説はこちらから。

シーズン3第6話の解説はこちらから。

シーズン3第5話の解説はこちらから。

シーズン3第4話の解説はこちらから。

シーズン3第3話の解説はこちらから。

シーズン3第2話の解説はこちらから。

シーズン3第1話の解説はこちらから。

 

『バッド・バッチ』シーズン2最終話の解説はこちらから。

シーズン1で明かされたクローン兵廃止の理由はこちらから。

 

ドラマ『スター・ウォーズ:アコライト』は2024年夏配信開始を予定している。詳しくはこちらから。

映画『マンダロリアン&グローグー』についての情報はこちらの記事で。

2024年公開予定の「スター・ウォーズ」作品についてはこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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