『バッド・バッチ』シーズン3第11話はどうなった?
2021年にシーズン1の配信が始まったアニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』はフィナーレとなるシーズン3が配信されている。シーズン3第10話と第11話は本シーズン最後の2話同時配信回になる。
2話同時配信回は、2エピソードで一つの中編映画のような形になっている。第11話ではどんな展開が待っていたのだろうか。今回も『バッド・バッチ』シーズン3第11話をネタバレありで解説していこう。
以下の内容は、アニメ『バッド・バッチ』シーズン3第11話の内容に関するネタバレを含みます。
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『バッド・バッチ』シーズン3第11話「覚悟の時」あらすじ&ネタバレ解説
最後の時間
『バッド・バッチ』シーズン3第11話の冒頭では、バッド・バッチを助けている宇宙海賊のフィーが登場。フィーはドロイドのメルに「いつも直してやってるだろ、スカラ・ナルでも」と言っているが、スカラ・ナルはシーズン2第5話に登場した古代兵器だ。バッド・バッチとフィー、メルはスカラ・ナルとの激しい戦いを繰り広げて生還した。
そのフィーに忍び寄るのは第10話で海賊の情報を手に入れたとヘムロックに報告していたクローンの工作員だ。工作員はフィーのナビから情報を手に入れると、バッド・バッチが拠点にしている惑星パブーへと向かう。ここで工作員は「暗号を破った」と気になるフレーズを口にしている。
バッド・バッチの面々はというと、シーズン3第9話でのアサージ・ヴェントレスの忠告通り、ぱぶーの人々に危害を及ぼさないためにここを離れようとしていた。オメガはパブーの町長シェップの娘リアナと最後の時間を過ごしている。
オメガはテクの遺品であるゴーグルと、レッカーが大事にしていたトゥーカ人形をここに置いていくことに。パブーは「初めてホームと感じられた場所」だとして、自分たちの一部をここに残すというのだ。クローンとして生まれ、故郷のカミーノを破壊され、新天地に故郷を見出したバッド・バッチだが、早くもパブーを離れることになっている。
「正当化できんぞ」
しかし、そこにクローン工作員が到着。バッド・バッチ未登場回だったシーズン3第10話から一転して、第11話はバッド・バッチがフルコミットする回になっている。そして、第五感が優れているハンターは嫌な気配がしたと語る。バッド・バッチはパブーを離れる直前だったが、工作員に船を爆破されてしまい、荷物を運び込んでいたレッカーが負傷。ここでクロスヘアーの指示を受けて動いている少年たちは、シーズン3第2話でヘムロックの研究所跡地からパブーに連れてきた少年クローンたちだ。
船は破壊され、レッカーが倒れ、さらに帝国から援護の師団が到着。工作員は全ての船やボートを破壊し、全ての家を封鎖し捜索するよう指示する。パブーは日本をモデルにしていると考えられており、シーズン2では2023年3月11日の配信日に津波に襲われながらも復興に臨むパブーの姿を描くエピソードが配信された。しかし、災害から立ち直った後に帝国から侵略を受ける今回のパブーは、現在イスラエルから侵攻を受けているパレスチナを想起させる。
そして、ハンターは悪いのは自分ではなく帝国だとオメガに言い聞かせる。町長のシェップは、この市民への攻撃を「絶対に正当化できんぞ」と抗議。それでもオメガを引き渡さなければ街を焼き払うと主張する工作員の姿勢は、ハマスの掃討を理由にガザを焼き尽くそうとしているイスラエル政府の姿勢と重なる。
振り出しに
ハンターは一人獅子奮迅の活躍を見せるが、工作員はハンターが乗り込んだ船の操縦士を容赦無く狙撃して船ごと落としてみせる。仲間の命も気に留めないとんでもない兵士だ。オメガは自分が人々を苦しめているとして、通信機を身につけてわざと捕まることに。オメガが口にした「大局を見る」「私はその一部」とは、元々はクロスヘアーの考えだ。
シーズン2のラストに続き、オメガがタンティスに連行されることに。発信機を取り付けることになっていたクロスヘアーは寸前のところでこれに失敗してしまう。残り4話となったところで全てが振り出しに戻る絶望的なラスト。ここからオメガはどうなってしまうのだろうか。
『バッド・バッチ』シーズン3第11話ネタバレ考察&感想
残された希望
『バッド・バッチ』シーズン3第11話では、またもオメガがタンティスに連れて行かれることに。しかも、発信機を忍ばせて、外部から取り付けるという二重の策が失敗してしまった。クロスヘアーはおそらくシーズン2のラストでハンターがオメガを行かせてしまったことを知らないのだろうが、その後の苦難を知っているハンターはクロスヘアーになぜ行かせたと激怒することになるかもしれない。
しかし、シーズン3第10話で希望は示されている。それは他ならぬエメリーの良心が揺らいでいることだ。もっともオメガに近いエメリーがオメガと協力してタンティスの位置をハンターらに伝えれば、レックス達と共にバッド・バッチはタンティスを襲撃することができるだろう。
また、今回レッカーが負傷したことで、タンティス戦はハンター&クロスヘアーのバディを中心とした戦いが見られる可能性もある。二人は新たに信頼関係を築いていけるのだろうか。
工作員の正体は?
気になるのは、容赦ない姿勢を見せてこの任務を成功させた工作員の正体だ。やはり、暗号を破ったと発言していた点が気になるところ。シーズン3第5話では、テクの不在により、バッド・バッチが暗号解読に支障をきたしているシーンが描かれた。暗号が解読できるということは、やはり工作員の正体はテクなのではないだろうか。
テクはシーズン2の最後に谷底へと落ちていったが、死体は見つかっていないと報告されていた。その後生きて発見され、ヘムロックの施設で“矯正”を受けていたとしたら、帝国に従順なクローン兵士として生まれ変わった可能性もある。何よりこの工作員がシーズン3の難敵として何度も登場していることから、替えのきかない人物であると考察できる。
ただ、シーズン3第11話もテクのメガネが登場するなど、かなり分かりやすくリードを入れている点も引っかかる。視聴者のミスリードを誘っている可能性もあるので、ネタバラシに注目していこう。
ディズニーは『バッド・バッチ』を見たか
最後に触れておきたいのは、今回『バッド・バッチ』で市民を襲う軍の姿が描かれたことで、イスラエルによるパレスチナ侵攻を想起させるシーンがあったという点だ。「スター・ウォーズ」という戦争を扱う作品においては、こうしたシーンが入ること自体はいつも通りのことだ。だが、登場人物に「絶対に正当化できない」と主張させたことには意義がある。
ウォルト・ディズニー社は、イスラエルの被害にコメントと寄付を発表したが、パレスチナでの被害については沈黙を守っている。一方で制作の現場では、これまでにもドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) や映画『ウィッシュ』(2023) など、パレスチナの人々が置かれている状況に寄り添うような作品がディズニーからは登場している。
『バッド・バッチ』シーズン3第11話もその例の一つだと言える。ドラマ『マンダロリアン』(2019-) のディン・ジャリン役であるペドロ・パスカルは自身のInstagramでパレスチナへの寄付を呼びかける投稿を行い、MCU映画『ファンタスティック・フォー』への出演が発表された。2023年のハリウッドにおける大規模ストライキも記憶に新しいが、上層部はクリエイター達の声をどう受け止めるのか。シェップ町長のように即時停戦を求めながら、ディズニー社の動向にも注目しよう。
アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン3はディズニープラスで配信中。
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