アニメ『ダンジョン飯』第10話 感想&考察 レッドドラゴンと大カエル ネタバレ解説 | VG+ (バゴプラ)

アニメ『ダンジョン飯』第10話 感想&考察 レッドドラゴンと大カエル ネタバレ解説

©九井諒子・KADOKAWA刊/「ダンジョン飯」製作委員会

『ダンジョン飯』の世界の構造が明らかに

アニメ『ダンジョン飯』第9話「テンタクルス/シチュー」では『ダンジョン飯』の世界でのシビアな金銭問題や、「誰かを救出するためのパーティー」でも「ダンジョンを攻略するためのパーディー」でもない「ダンジョンを研究するパーティー」が登場した。2024年3月7日に放送と配信が開始するアニメ『ダンジョン飯』第10話「大カエル/地上にて」では、ダンジョンの構造を知るだけではなく、その深層にいる炎竜〈レッドドラゴン〉に近づくことになる。

そうしてダンジョンの深層と真相に近づくほど、ファリンを襲った炎竜〈レッドドラゴン〉にも迫っていくことになるライオスたち。第10話「大カエル/地上にて」で、ダンジョンに潜る目的であるファリン救出の最終局面に立たされたライオスたちはどのような行動を取るのだろうか。

本記事はアニメ『ダンジョン飯』第10話「大カエル/地上にて」の考察と解説、感想を述べていこう。なお本記事はアニメ『ダンジョン飯』第10話「大カエル/地上にて」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『ダンジョン飯』の内容に関するネタバレを含みます。

炎竜〈レッドドラゴン〉に迫るライオス一行

テンタクルスと罠

タンス夫妻によるマルシルの治療もあり、第4階層から第5階層へと下るライオス一行。オークたちから教わった第5階層に行く地図は刺胞生物の魔物テンタクルスだらけだった。テンタクルスたちは空洞に根ざすため、テンタクルスが多いということは壁に空洞が多い、つまり罠がそこら中にあることを示していた。

テンタクルスを薙ぎ払いながら進むライオスたちだったが、大カエルがその行く手を阻む。オレンジ色の体色に白い横縞の入った大カエルは知能が高く、ライオスの剣のケン助やマルシルの杖のアンブロシアを奪い取る。

マルシルは自分が世界樹の孫株を編んで作った杖にアンブロシアという名前を付けているが、アンブロシアはギリシャ神話で不死を意味する単語だ。マルシルはダンジョン全体が「死自体を禁じられている」ことに強い興味を示していたため、不死など寿命に関することに強い関心があることが考察できる。

大カエルとカクレクマノミ

ケン助もアンブロシアも奪われ、センシの斧も奪われようとしている中、チルチャックは大カエルたちがテンタクルスに触れても無傷なことに気が付く。大カエルの皮を利用してチルチャックはテンタクルスによって動かなくなった罠を動かそうとするが、チルチャックは大カエルに食べられかけてしまう。チルチャックを飲み込もうとしている大カエルの目の瞬膜が動いているのが細かい。

オレンジ色に白い縞模様、刺胞生物との共生と聞けば自ずと大カエルのモチーフがカクレクマノミであることが考察できる。刺胞生物であるイソギンチャクとの共生で知られるカクレクマノミはその分泌液により、イソギンチャクの刺胞の影響を受けないのではないかと考察されている。

ライオスたちが大カエルの皮でカエルスーツを作っているが、コミック巻末の「モンスターよもやま話」で、大カエルの分泌液が乾いてしまってはテンタクルスの刺胞を無効化できないことが語られている。マルシルはカエルスーツが血で服にへばり付いていたことを嫌がっていたが、おそらく簡単に脱げるほど皮を乾かして鞣してしまってはテンタクルスの毒を無効化できなかったと考察できる。

ダンジョンを巡る政治問題

その頃、タンス夫妻はカーカブルードの権力者である島主のもとにダンジョンの異常を報告しにいっていた。島主はダンジョンの発生の原因はドワーフによる地下採掘だと考えているが、ドワーフ式ダンジョンと呼ばれる「ブードーの縦穴」「ブルード迷宮群」は石切り場のように四角く掘られており、都を飲み込むようなものではない。そのため、島主の考えは無知から来る一種の陰謀論に近いと考察できる。

また、ドワーフとノームは近縁種であり、エルフとドワーフの間で激しい戦争が起きた際にはノームたちはドワーフ側について戦ったと解説されている。そのため、ドワーフに対する差別的発言をノームであるタンス夫妻の前ですることは失礼極まりない行為だと言えよう。

西のエルフたちがダンジョンを自分たちの遺産だとして返上を求めているが、ノームであるタンス夫妻はエルフたちに対して反抗的な態度を取っている。それには前述の通り過去の戦争の影響が大きいと考察できる。西方大陸やその周辺国はエルフ文化が根強い地域であり、現在もエルフの王国が存在し、黒曜石の肌と銀の髪の毛を持った女王ヘイメアによって統治されている。

ナマリが語る「死」

転移酔いで倒れていたナマリはキキによって看病されていた。目覚めて報酬を受け取ったナマリが最初に向ったのは蘇生所だった。やはり、ナマリはナマリなりにファリンのことが心配らしく、蘇生所でファリンと思わしき死体が回収されていないか尋ねるのだった。漫画『ダンジョン飯』ではナマリは、ここでキキとカカに長い間ダンジョンに潜っていると生と死の感覚が麻痺してくることを注意している。

『ダンジョン飯』の世界では体の13分の1を失う、もしくは炭化すると蘇生率はぐんと下がることがナマリの口から解説されている。それ以外にも石化は術の仕組みが解明されているため治療は容易だが、砕けると欠片を集めるのに苦労することも語っている。

更に浅い階層でも幽霊に憑依されると蘇生したときに人格が混ざる危険性を挙げている。他にもナマリは体験談として、どの階層で死亡したとしても死体回収屋に死体が発見されなかったら終わりだと語っている。蘇生屋がいる『ダンジョン飯』の世界でも、死が危険極まりないことに変わりはないのだ。

炎竜〈レッドドラゴン〉対策

地下5階の廃墟にいるライオス一行は炎竜〈レッドドラゴン〉からオークたちが逃げ出した跡を見つける。そこには小麦などが残されており、オークたちが急いで炎竜〈レッドドラゴン〉から逃げ出したことがうかがい知れる。更にはそれを裏付けるようにオークと共生関係にある魔狼〈ワーグ〉の焼死体も残されていた。

マルシルは休眠期にあるべき炎竜〈レッドドラゴン〉が活動期にあり、それによってファリンが既に消化されてしまったのではないかと心配する。ライオスはマルシルを宥め、作戦を立てようと語る。マルシルが心配していた通り、以前のライオスのパーティーなら兎も角、現在のライオスのパーティーでは休眠期の炎竜〈レッドドラゴン〉なら倒せたかもしれないが、活動期となれば勝率はぐっと下がるのは火を見るよりも明らかだった。

これまでのドラゴンの倒し方は、まずファリンが加護の呪文を皆に施し、ライオスとナマリ、シュローが注意を惹き、マルシルが爆破魔法で弱らせて、最後は隙をついてシュローがとどめを刺すというものだった。しかし、現在のライオスのパーティーではそうはいかない。魔法も武器も効きにくいドラゴンを倒すために新しい作戦を立てなければならなかった。

弱点である首元にある逆鱗を一突きする作戦を立てるライオスだったが、鈍らの斧を持ったセンシと動く鎧から奪った剣のライオスではドラゴンに刃が立つかは怪しい。そこでライオスの立てた作戦は炎竜〈レッドドラゴン〉に気絶するほど爆破魔法をかけるのではなく、崩壊寸前の建物の下まで炎竜〈レッドドラゴン〉をおびき出して建物ごと爆破するというものだった。

ここでライオス一行はセンシの鍋をドラゴンの炎を防ぐものだと勘違いしているが、ナマリがアダマントについて言っていたことは「武器となれば竜の骨を砕き、防具となれば竜の牙をも通さない」だ。ドラゴンの炎に関しては言及していない。

最後の晩餐

ライオスたちが逃げ回るルートを探している間、センシはオークの残した小麦からパンを作っていた。最初は料理を作っていることに文句を言うチルチャックだったが、ライオスは一度空腹が原因で炎竜〈レッドドラゴン〉に負けたのだから、今回は満腹で行こうと言うのだった。

食卓を囲み、結束力を高めたとき、皿が揺れ、炎竜〈レッドドラゴン〉が現われた。この炎竜〈レッドドラゴン〉の脚を見ると第1話の爬虫類のような蟹股ではなく、直立四足歩行になっており、恐竜の竜盤目に近い骨格になっている。『ダンジョン飯』の世界では爬虫類と竜類は明確に分けられているので、それを反映した描写だと考察できる。

本日のレシピ

カエルスーツ

1. 大カエルを解体する。
2. 皮を肉から剥す。
3. 軽く乾かして鞣す。
4. 1人1人採寸する。
5. 大きさに合わせて裁縫する。

テンタクルスのニョッキ

1. テンタクルスの皮を剥く。
2. テンタクルスの先端の細い部分はまとめてとっておく。
3. テンタクルスを茹でる。
4. 茹で上がったテンタクルスを潰して小麦粉とよく混ぜる。
5. 棒状に成形して適当な大きさに切る。
6. 茹で加減に気を付けながら再び茹でる。
7. オリーブオイルを熱し、にんにくと鷹の爪を入れる。
8. 大カエルの腿肉を加えて炒める。

レッツ炎竜〈レッドドラゴン〉にカツレツ

1. パンをおろし金で細かくする。
2. 大カエルの肉に塩と胡椒をまぶし、水に溶いた小麦にくぐらせる。
3. すりおろしたパン粉をまぶす。
4. オリーブオイルを熱し、揚げる。
5. 赤ワインに醤油と砂糖、玉ねぎ、にんにくを入れて煮詰めてソースを作る。

第10話の感想と炎竜〈レッドドラゴン〉の最終話となる第11話

アニメ『ダンジョン飯』第10話「大カエル/地上にて」では駆け足になったが、炎竜〈レッドドラゴン〉にライオス一行が迫る展開となった。そこにダンジョンを巡る政治問題など、『ダンジョン飯』の世界全体の構造も明らかになっていくという、ライオスとタンス夫妻の2つの視点からダンジョンを掘り下げるエピソードとなっている。

第11話ではいよいよ炎竜〈レッドドラゴン〉との決戦となる。ファリン救出こそライオス一行の目的であり、そのためには絶対に炎竜〈レッドドラゴン〉を倒さなければならない。これまでの魔物の比ではない巨躯を誇り、怪獣に近い炎竜〈レッドドラゴン〉に対して装備も人員も充分ではないライオス一行だが、センシの手助けによって前回の失敗の理由である空腹だけは免れた。満腹で炎竜〈レッドドラゴン〉に挑むライオス一行に注目していきたい。

アニメ『ダンジョン飯』第10話「大カエル/地上にて」は2024年3月7日22:30より放送と配信が開始。

『ダンジョン飯』公式サイト

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アニメ『ダンジョン飯』第1話「水炊き/タルト」のネタバレ感想と考察はこちらから。

アニメ『ダンジョン飯』第11話「炎竜1」のネタバレ感想と考察はこちらから。

アニメ版『ダンジョン飯』のオープニングのBUMP OF CHICKENの新曲「Sleep Walking Orchestra」と主要キャストはこちらから。

アニメ版『ダンジョン飯』のエンディングの緑黄色社会の新曲「Party!!」と追加キャストはこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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