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アニメ『呪術廻戦』第2期20話放送
アニメ『呪術廻戦』は2020年から放送および配信を開始した、芥見下々による同名漫画を原作とした作品だ。2023年からは第2期が放送および配信されており、「渋谷事変」編も残すところあと4話に迫っている。
今回は第2期20話／44話の感想をネタバレ有りで書いていく。以下の内容は、アニメ『呪術廻戦』第2期20話／通算44話のネタバレを含むが、アニメでまだ扱われていない範囲の原作漫画のネタバレは行わない。アニメの方を視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、アニメ『呪術廻戦』第2期20話／通算第44話の内容に関するネタバレを含みます。
アニメ『呪術廻戦』第2期20話／44話「理非-参-」ネタバレ感想＆解説
平和な頃
アニメ『呪術廻戦』第2期20話／44話「理非-参-」は、虎杖・釘崎・伏黒が高専の教室で伊地知から預かった五条悟の高級シャツをコーヒーで汚してしまった時の回想シーンから幕をあける。野薔薇の血が虎杖の頬につき、その描写が溢れたコーヒーにの描写につながるというのはアニメオリジナルの演出だ。
現在封印されている五条悟は、回想という形で久しぶりの登場を果たしている。恵の服から引っ張り出されるシャツを見て驚く五条の姿もオリジナルの演出である。まだ幸せな時代。こんな時だからこそ、なんでもない平凡な時間のありがたみが分かるというものだ。
前話では真人の無為転変によって釘崎野薔薇の顔が破裂。アニメ版では釘崎野薔薇の穴の空いた左眼から虎杖の姿を捉える描写が挿入されている。それまでに脹相戦で破れ、宿儺による殺戮を許し、ナナミンを失っていた虎杖悠仁の精神が限界を迎えていた。その事実は、原作漫画ではナレーションで説明されるのだが、アニメ版では声優の榎木淳弥による見事な演技で表現されている。
東堂登場
“ゾーン”に入った真人は黒閃を発動。これは正しさを押し付け合う戦争であり、呪いの本能と人間の理性／尊厳の戦いだと宣言する。術師は何も考えずに助け、呪いは何も考えずに殺す。この現実を前に、精神が限界を迎えた虎杖は動けない。真人がとどめを刺そうとしたその時、そこに現れたのは東堂葵だった。
東堂葵は第1期で登場した京都校の3年生。当初は宿儺の器である虎杖悠仁を抹殺しようとしていたが、虎杖との相性の良さから二人は「親友」となり、虎杖は東堂から黒閃の使い方を学んだ。第2期20話／44話のこの場面では、東堂は術式の「不義遊戯（ブギウギ）」を使って虎杖を助けている。不義遊戯は手を叩くことで一定の呪力を持つ対象を入れ替えることができるという術式だ。
そして始まったオープニングは第2期20話／44話から変更が加えられている。ラスト5話ということで、日本地図上の東京が黒に染まり、釘崎野薔薇の退場に伴ってか渋谷のビルの前に術師が全員集合するシーンは術師が誰もいなくなっている。その直後に映る虎杖からは真の孤独を感じさせる。
だが、そんな虎杖を助けに来てくれたのが呪術高専京都校の面々だった。渋谷駅に降り立った東堂と京都校1年・新田明のシーンは、原作漫画ではかなり後に出てくるのだが、アニメ版では先に紹介されている。この駅で一般の人々が動けなくなっているのは、五条悟が0.2秒の無量空処を発動したからだ。床が凹んでいるのは、五条悟を封印した獄門疆がそこにあったこと、それを夏油傑がすでに持ち去ったことを示している。
ちなみに新田新の姉は補助監督の新田明で、新田新はアニメ第16話のメカ丸の回想にも登場している。この場面では東堂が虎杖を「ブラザー」と呼んでいることから、二人が本当の兄弟だと思っているようだ。
託されたものと、「あのこと」
現在に戻り、真人は東堂のことを花御を追い込んだ術師として認識している。京都姉妹交流会の時に東堂は虎杖と共に花御と対峙。二人で協力して花御を瀕死状態に追い込んでいた。新田新は釘崎野薔薇に術式を使って応急処置を施したと言っているが、「多分死んでますよ」と留保をつけている。
助けられた虎杖は自分を「ただの人殺し」と責め、信念だと思っていたものは言い訳だった、自分のことが許せないと吐露する。だが、それに対して東堂は、野薔薇やナナミンも含め、仲間全員で呪術師であり、自分たちが生きている限り死んだ者にも敗北はないと宣言するのだった。この考え方は漏瑚の「100年後の荒野で笑うのは儂である必要はない」という思想と同じものだ。
東堂は「お前は何を託された？」と虎杖に問いかけ、答えを出すまで歩みを止めないことが生きている術師に課された罰だと言うのだった。この後、東堂は「あのこと」を「今の虎杖」に言う必要はないと心の中で確認しているが、「あのこと」とは五条悟を封印した獄門疆が持ち去られたことだと考えられる。
新田新は虎杖に術式を施して痛みや傷を“停止”。これによって虎杖の怪我が治るわけではないが、これまでの傷が悪化することはないという状況になった。また、「あっちの子」＝釘崎野薔薇にも同じ処置を施したと話し、野薔薇と共に離脱するという。虎杖は一人ではない。それを思い出したように、虎杖は強く頷くのだった。
ナナミンの分まで
そして始まった東堂vs真人戦。ここでも見事な作画が披露されている。真人もまた黒閃を連続して発動している状態の中で、「魂の本質」に近づこうとしていた。だが、この戦いに虎杖が復帰し、戦いは東堂＆虎杖vs真人の形に。虎杖はナナミンの「後は頼みます」という言葉を思い出して、真人に黒閃を決めるのだった。
罪を言い訳にせず、「ナナミンの分までちゃんと苦しむ」と決心した虎杖。ここ3話は本当に涙なしでは観ることができない。また、思えば虎杖はいつも誰か他の術師といる時に黒閃を発動している。最初は東堂と共闘した時に、次は野薔薇と、そして今回も東堂と共に戦っているが、同時に心の中には「後」を託されたナナミンの存在があったことも確かだろう。
三輪への言葉
その頃、新幹線では京都校の三輪霞たちが渋谷に向かっていた。原作漫画では普通席に座っていた三輪だったが、アニメ版ではグリーン車に改変されている。そして三輪の手にはミニメカ丸が。メカ丸は真人の無為転変で自由に動けるようになる代わりに、内通者として呪いに協力するという縛りを結んでいた。渋谷事変が起きることを知っていたメカ丸は事前に東堂と新田を渋谷に送り込んでいたのだ。
三輪はその中に自分が入っていなかったことに失望するが、メカ丸は自身の弱さのせいでこうなったと言い切る。メカ丸は三輪を守りたかったが、三輪はメカ丸に守られたいと思っていたわけではない。そこから始まった間違いを突き通すこともできなかったというメカ丸は、最後に三輪に「幸せになってくれ」という言葉を遺す。
同じ新幹線に乗っているのは庵歌姫、禪院真依、加茂憲紀、西宮桃の京都校メンバー。一足遅れて術師たちが渋谷に集結することになる。前々回のナナミンの「後は頼みました」、前回の野薔薇の「皆に伝えて、悪くなかった」、そして今回のメカ丸の「幸せになってくれ」。呪術師たちは呪いの言葉を引き継いで前に進んでいく。
東堂覚醒
東堂＆虎杖vs真人の戦いは、やはりかなりの改変が加えられている。3人は渋谷駅をところ狭しと駆け抜け、シャープで洗練された戦いを繰り広げている。真人は、それぞれの魂のHPを東堂10：虎杖1：真人4と分析。真人には野薔薇の共鳴のダメージが蓄積しているようだ。
この戦いの中で、東堂は“無生物との位置換え”を披露。虎杖が呪力を込めて投じた石と入れ替わると、アニオリのスペシャル演出で東堂の覚醒が描かれる。過去に東堂が虎杖に言った「そのレベルで満足していると、俺とお前は親友ではなくなってしまう」という言葉を回想し、東堂は今の自分が一番遅れをとっていると自覚する。
「再びブラザーを一人にする気か、東堂葵」という自問の演出は常軌を逸したキラキラでド派手なシーンに。アニメ『呪術廻戦』第2期のハイライトの一つと言っていいだろう。東堂が黒閃を発動する時には、またもアニオリの演出で東堂の推しであるアイドル・高田の「たんたかたーん☆」という声が入る。これは高田の「高たんビーム」という芸で、東堂が握手会で高田にやってもらっていたものだ。
そして東堂の黒閃の光は黒いキラキラ混じりのものに。真人の魂にダメージを与えることはできなかったが、東堂・虎杖・真人の3人が120%のポテンシャルを引き出すことに。ギアが上がった真人が多重魂で入れ替え不可能な物量攻撃を仕掛け、3人は渋谷の地上に飛び出す。真人が「俺とお前、最後の呪い合いだ」と宣言したところでアニメ『呪術廻戦』第2期20話／44話「理非-参-」は幕を閉じる。最後の真人の表情もアニメオリジナルの恐ろしいものとなっている。
京都校の面々も渋谷に向かい、いよいよクライマックスを迎える『呪術廻戦』第2期。どんなラストが待っているのか、ラスト3話も見逃せない。
アニメ『呪術廻戦』第2期は2023年7月6日(木) より、毎週木曜23:56～、MBS/TBS 系列全国28局にて放送中。配信先は公式サイトで。
『呪術廻戦』第2期のBlu-rayは予約受付中。
『呪術廻戦』コミックス最新刊第25巻は2024年1月4日(金) 発売で予約受付中。
今回の原作である第15巻は発売中。
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