【ネタバレ解説】『BNA ビー・エヌ・エー』第6話 アイドルと宗教、偶像になったなずな【あらすじ・レビュー・感想】VG+ (バゴプラ) | VG+ (バゴプラ)

【ネタバレ解説】『BNA ビー・エヌ・エー』第6話 アイドルと宗教、偶像になったなずな【あらすじ・レビュー・感想】

©️2020 TRIGGER

圧倒的人気アニメ『BNA ビー・エヌ・エー』

フジテレビ「+Ultra」で放送され、Netflixでも配信されているアニメ『BNA ビー・エヌ・エー』。『SSSS. GRIDMAN』(2019)で知られるTRIGGERの最新作、豪華な声優陣とアニメーターをはじめとする製作陣、音楽にmabanuaと、圧倒的な布陣で人気を集めている。

『BNA』では、各話ごとに社会的なテーマが扱われ、コミカルでポップな演出と共に重厚なストーリーが展開されている。

これまで差別や貧困といった社会問題を扱ってきた『BNA』、折り返し地点となる第6話では、どのような物語が描かれたのだろうか。そのあらすじと共に解説しよう。

第6話「Fox Waltz」のあらすじ

銀狼伝説となずな

第5話「Greedy Bears」でのジャッキーおよびベアーズとの共闘を経て、主人公みちるは平穏な生活に戻っていた。そんな中、みちるは世話になっているジェムから、獣人の危機に現れて獣人たちを助ける救世主・銀狼様の存在について教わる。1,000年もの間、獣人たちは銀狼様にその危機を救われてきたのだという。

大神士郎と共に外に出かけたみちるは、士郎に自分の自慢の親友である日渡なずなについて話す。なずなは公園で「どこから見ても全方位アイドル」というキャッチフレーズで自己紹介を決めて、みちるを喜ばせていた。

みちるはなずなに本物のアイドルになるよう勧めるが、なずなは「誰かに選ばれるなんてやだ」と嘯く。共に事故に巻き込まれて傷を負った二人だったが、みちるは「何にだってなれる」となずなを励ましていた。だが、なずなはある日、みちるの目の前で誘拐されてしまったのだった。

と、みちるは突然現れたミンク獣人の伊丹からスマホの通信料を稼ぐために貧民街で浄水器を売ってくるよう命令される。第5話で登場し、『BNA』ファンに強烈な印象を残したジャッキーの再登場だ。またもリボ払いで浄水器を購入したというジャッキーは、借金取りのギャングから見せしめのために吊るし上げられる。

銀狼教団現る

ジャッキーは丸焼きにされそうになるが、そこに海から船で現れたのは、銀狼教団だった。銀狼教団のボリスは、獣人を「ケモノビト」と呼び、「誇りを忘れてはいけない」と教える。そして登場した教祖のデェス・ルゥヴは銀狼に姿を変え、ギャングに火をつけられたジャッキーを助け出す。

獣民は歓喜し、デェス・ルゥヴを拝み始めるが、みちるはその正体がなずなであることを見抜いたことで、教団に捕らえられてしまう。だが、みちるはなずなの一声で解放され、二人は再会を喜ぶ。なずなは、自分は銀狼ではなくキツネ獣人であり、今は銀狼に化けていることを明かす。

その頃、士郎は市長のロゼと銀狼教団について話していた。銀狼を奉じて獣人の自由を求めるこの宗教団体、教祖が銀狼であることを士郎はよく思っていない。ロゼは銀狼教団を受け入れるかどうか判断するために、直接会うことを決める。

なずなと居たいみちる

みちるの家に招かれたなずなは、研究機関に連れて行かれた後にクリフ・ボリスに助けられたことを明かす。ボリスがなずなに訓練を与え、共に銀狼教団に入ったのだという。修行長であるボリスを訝しみ、「キモくない?」と問いかけるみちるに、なずなはボリスは恩人であると説明する。

みちるは、自分たちが「獣人病という病気にかかった」と思っていることをなずなに話し、「治療法を見つけるから人間に戻るまで一緒に頑張ろう」と語りかける。

そして、みちるは士郎になずなを一緒に住まわせたいと頼むが、士郎は教団もなずなも信用できないと、それを断る。怒ったみちるは家を出て教団に入信し、再びなずなに接近。「教団から逃げよう」と迫るみちるだったが、なずなは「ここに私の居場所はない」と答える。ロゼ市長となずなが会えるよう段取りをつけ、「これでなずなといられる」と安堵の笑みを浮かべるみちるだったが、これに対し、なずなは複雑な表情を浮かべていた。

ロゼ市長のもとになずなを連れてきたみちるだったが、なずなは銀狼教団教祖のデェス・ルゥヴとしてロゼ市長にかしこまった挨拶と教団受け入れの申し入れを行う。なずなは自分が人間だったことを認めるが、銀狼などいるはずはない、ウソの存在にすがらなければいけないほどに獣人は抑圧されていると主張する。なずなはアニマシティの獣人達に必要な希望を示しているという主張をロゼは受け入れ、教団の定住手続きを進めることを約束する。

なずな「変わってないね」

なずなが無理やり教祖として祭り上げられたと思っていたみちるは、「かわいそうだから助けてあげようとした」と、なずながロゼと会うためにみちるを利用したことを咎める。だが、なずなは教団の受け入れは既に決めっていたことであり、みちるが絡んでいなくても結果は変わっていない、そもそもみちるに頼んでもいないと突き放す。

確かに、なずなは銀狼教団の教祖をやめたいなどとは一言も言っていない。なずなにとって教祖とは人々が夢と希望を求める“アイドル”であり、教団を通してやっとアイドルになることができたのだ。

熱く詰め寄るみちるになずなは「変わってないね」と告げる。みちるは目の前で何かが起きると突っ走っていく——どうやら二人が巻き込まれた交通事故においても、みちるはなずなを助けるために自らトラックの前に飛び込んでいったようだ。

なずなはみちるに対し、勝手に「かわいそう」と決めつけ、自分が助けたと思い込む、それは自分が気持ちよくなりたいだけではないかと、『BNA』を通して描かれてきたみちると獣人達との物語を全否定する言葉をぶつける。

そして、なずなは「夢のためなら何でもするって決めた」と、教祖として生きていくことを表明する。みちるは「私の友達にデェス何ちゃらなんていないから」と首飾りを投げ捨てて、二人は喧嘩別れする。

第6話では、初めてエンディングのアニメーションが差し替えられている。『BNA』という作品がターニングポイントを迎えたということを示唆して、第6話「Fox Waltz」は幕を閉じる。

第6話「Fox Waltz」の解説

テーマは宗教

第6話「Fox Waltz」では、遂にみちるの親友であるなずなが登場。銀狼教団の教祖という意外な形でアニマシティに移り住む。これまで、ジェンダーや人種差別、貧困といったテーマを各話で描いてきた『BNA』だが、今回の社会的なテーマは「宗教」と捉えていいだろう。

昔からアイドルになりたかったなずなは、銀狼教団の教祖として崇められることで、偶像=アイドルとなっていた。今やなずなは、抑圧された他者に (例えそれが偽りでも) を希望を与えられる存在だ。

そして、なずながロゼ市長に突きつけたように、人類から抑圧されてきたアニマシティの人々は、崇拝できる希望=偶像を必要としていた。銀狼教団がまずは貧民街に現れ、獣人達の支持を集めたのは偶然ではないのかもしれない。誰かの希望=アイドルになりたいというなずなの欲望と、何かにすがりたいという社会の欲望は、宗教という形で具現化したのだ。

人々を「騙している」という批判も、アイドル (教祖) に「祭り上げられている」という擁護も、抑圧され阻害された者同士の利害が一致した時点で無意味なものになる。ここにきて、みちるの“正義”が通用しない関係性が登場したのだ。

「変わってない」の残酷さ

加えて、第6話のポイントは、なずながみちるを「変わってないね」と突き放す場面だ。「変身」がテーマとなっている『BNA』という作品において、「変わっていない」という否定の言葉は、大きな意味を持つ。なぜなら、みちるはこれまで変えなければいけないアニマシティの現実に次々直面しながらも、そこに住む一人一人の獣民の意識や生き方を少しずつ変えてきたからだ。

何よりもみちる自身が“変わっていない”、そして、なずなはみちるが知るなずなではなく、もう“変わった”のだということ、アニマシティに来て以来、他者のために奔走してきたみちるにとって受け入れがたい事実だ。

“宗教”という否定できない閉じた関係性と、“変身”という物語のテーマを問い直し、『BNA』は折り返し、前半の6話を終えて後半の6話に入っていく。「変わらない」みちるは、変わってしまったなずなとどのように決着をつけるのだろうか。

アニメ『BNA ビー・エヌ・エー』はフジテレビ「+Ultra」にて放送中。

Netflixでは第12話までを先行配信している。

『BNA ビーエヌエー』(Netflix)

『BNA』第7話のあらすじは以下の記事から。

『BNA』全体のあらすじについては以下の記事に詳しい。

『BNA』で使用されている音楽については以下の記事から。

『BNA』に出演している声優陣については、以下の記事から。

齋藤 隼飛

1991年生まれ。
社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。
編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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