アニメ『呪術廻戦』第2期10話放送
芥見下々原作のアニメ『呪術廻戦』は第2期も第10話に突入。もうすぐ全24話の半分に到達しようとしているが、衝撃的な展開が続いている。
今回もアニメ『呪術廻戦』第2期10話、通算34話を原作マンガとの違いの解説も含めてネタバレありで振り返っていこう。以下の内容はアニメ『呪術廻戦』第2期10話／通算第34話のネタバレを含むが、アニメでまだ扱われていない範囲の原作漫画のネタバレは行わない。アニメの方を視聴してから読んでいただきたい。
アニメ『呪術廻戦』第2期10話／34話「昏乱」ネタバレ感想＆解説
獄門疆 閉門
第2期9話／33話ではついに夏油が偽物であることが明らかになると共に、五条悟が封印されてしまう展開に。現代最強の呪術師の封印という大ピンチに、第2期10話／34話では呪術師たちが力を合わせてこの難局に挑むことになる。
冒頭では起動した小型のメカ丸によって、五条悟の封印が虎杖悠二に告げられる。ちなみにアニメ版では虎杖はミニメカ丸を思い切り叩きつけているが、原作漫画版では握力で握りつぶそうとしている。
一方、封印直前の五条悟は偽夏油ではなく、その身体を操られている夏油傑に語りかけていた。「いつまでいいようにされてんだ、傑」という呼びかけに身体が反応し、夏油の手が偽夏油の首を絞め始める。五条と夏油は異なる道を進むことになったが、夏油の肉体をその意思に反して好き勝手させたくないという点においては一致していた考えることができる。また、偽夏油はこの出来事により肉体と魂は不可分のものだと気づくことになる。
そしていよいよ獄門疆の閉門。漫画では描かれていなかったが、捕えられている時の五条悟の両手は後ろで縛られているようにクロスしていることが分かる。ついに五条悟の封印が完了。五条悟のいない世界が幕を開ける。
アニメ『呪術廻戦』第2期10話／34話のタイトルは「昏乱」。「意識がない」という意味の「昏」に「乱れる」という字を当てた造語で、五条悟が戦闘不能になった世界での混乱を予期させるタイトルになっている。
メカ丸の懺悔
ミニメカ丸は、すでに死んでいる自身の“保険”である傀儡の発動条件が“五条悟の封印”だったことを明かす。ミニメカ丸が起動しているということはすなわち、五条悟が封印されたということなのだ。
ミニメカ丸によると渋谷には4枚の帳が降りており、それぞれ、A. 一般人を閉じ込める帳、B. 五条悟を閉じ込める帳、C. 術師を入れない帳、 D. Aと同じ一般人を閉じ込める帳、となっている。虎杖と冥冥らは明治神宮前駅から線路を通って渋谷駅を目指していたが、この先はCの帳が降りているため五条悟には近づけないというのだ。
そこでミニメカ丸は虎杖に五条悟の封印を術師全体に伝達する役目を、冥冥には臨機応変に対応できるよう役目を与える。メカ丸の口座が生きていることを確認する冥冥は、死者からも金を搾り取る徹底ぶりを見せている。
メカ丸は三輪霞の顔を思い浮かべるが、これは漫画版になかった演出だ。メカ丸は真人と取引することで肉体を得て三輪たちに会いに行くことを最大の目的としていた。ゆえに五条悟が消えて社会がひっくり返ったとしても構わないとすら思っていたのだ。
一方の特級呪霊たちは寝ぼけた顔を見せているが、これは前話で五条悟が0.2秒だけ無料空処を発動したからだ。一瞬だが無限の情報を脳内に流し込まれたため一時的に意識を失っていたのである。偽夏油が次の行動に移ろうとしたその時、五条を封印した獄門疆が地面に落ちてのめり込んでいく。封印されても五条悟だ。
五条悟は虎杖、恵、釘崎、自分の生徒たちの顔を思い浮かべて助けを待つ。自分だけが強くてもダメ、夏油と別れた時にそう思った五条は、今度は生徒たちの助けを待つことになる。なお、この場面で五条悟が「物理的時間は流れてないっぽいね」と語っているのは、五条は時空間を支配する力を持っているからだろう。
ナナミンが知る真人
帳の外にいた禪院直毘人はビールを飲んでいる。漫画版にはなかった描写で、直毘人が事態をあまり深刻に捉えていないことが分かる。ナナミンは真人の顔を思い浮かべて「無策で挑んでくるタイプではない」と分析しているが、ナナミンは過去に虎杖と共に真人と戦っている。
その時の真人は、虎杖が改造人間を殺せないと予想して子どもの改造人間を用意していたり、領域展開・無為転変でナナミンを閉じ込めたりと戦略的な戦い方を見せていた。結局宿儺の登場によって形勢は逆転したが、ナナミンは真人が強敵であることを認めているのだろう。
補助監督の伊地知は携帯2台を駆使して連絡係を担うも、呪詛師の重面春太に背後からメッタ刺しにされて倒れてしまう。伊地知のスマホの画面には「酒井、三角、瓜単」という3名を現場に向かわせるというメッセージが届いているが、これらの人物は本作には登場していない。重面春太は交流会編以来の登場になる。
獄門疆が五条悟という情報を処理しきれておらず、獄門疆を動かせないという情報をメカ丸が傀儡を通してキャッチ。虎杖にその理由を「五条悟だからダ!!」とする名台詞が飛び出す。メカ丸の作戦は、術師が入れない帳を上げる作業と帳が上がった時に突入できるように術師の移動を並行して行うというもの。各線の地下鉄路線から五条悟が封印されている渋谷駅ホームを目指すというのだ。
異なる呪い観
渋谷にナナミンがいることを思い出した虎杖は、ナナミンと一緒に真人と戦った時のことを思い出している。改造された人間に「殺して」と懇願された時のことだ。虎杖は迷いなく改造人間たちを始末すると、とんでもないスピードでビルを登って屋上に到達。ナナミンに“大声”で五条悟封印を伝えるという荒技で連絡を取ることに成功する。「封印が本当なら終わり」とする七海は五条悟への信頼はもちろん、直属の先輩だった夏油傑への別の意味での信頼もあったのだろう。
特級呪霊たちは宿儺の扱いについて揉めていた。漏瑚は虎杖を宿儺にしたかったが、弟を殺された脹相は虎杖を始末したがっている。それに真人も宿儺の復活なしで呪いの勝利が可能だと主張するのだが、その背景には七海＆虎杖vs真人戦で宿儺に一撃で瀕死の状態に追いやられた記憶があったのかもしれない。宿儺と対峙した者にしか分からない感覚というものがある。
一方で、漏瑚は自分が死のうと呪いが生き残ればそれでいいという考えを持っている。漏瑚が求めているのは自己犠牲も厭わない「呪いの時代」。しかし、真人は「欲求の赴くままに行動するのが呪い」だと主張する。呪い観の違いだ。
菜々子と美々子
結局誰が虎杖と先にエンカウントするかで虎杖をどうするのかを決めることに。獄門疆を見張るために残された偽夏油は、菜々子と美々子の存在に気づく。二人は「懐玉・玉折」編で夏油が助け出した双子の少女で、ある村で呪力があるという理由で虐待を受けていたところに夏油が出会し、夏油は村人を全員殺して逃走することになった。
その後の菜々子と美々子は『劇場版 呪術廻戦 0』(2021) の百鬼夜行に登場し、非術師たちを吊るしていた。伊地知に「善悪の区別もついていない」と言われてブチギレたが、五条悟の戦いに巻き込まれてノーコンテストになっている。
渋谷事変の菜々子と美々子は、夏油の身体を返してもらうという約束で偽夏油に協力していたが、偽夏油は縛りを結んでいないとしてこれを拒否。「夏油様の身体をこれ以上弄ぶな」とする菜々子と美々子には、先程夏油傑に呼びかけた五条悟の姿が重なる。やはり夏油は愛されている。
ナナミンと合流した虎杖は、ナナミンが一級術師でしか通せない要請を行なっている間に、猪野・恵・虎杖で帳を解くことを指示される。憧れのナナミンに「二人を頼みます」と言われて有頂天の猪野は、五条悟封印で起きる二つの問題として、①五条家の失墜による術師界の内輪揉め、②五条悟の影で大人しくしていた呪霊や呪詛師が始動するという問題を挙げている。
人間の時代が終わるかもしれないという大ピンチに、「五条悟を助ける」という任務のために術師たちが立ち上がってエンディングを迎えるが、2期第10話／34話にはポストクレジットシーンが待っている。登場すのは嘱託式の帳を警護する粟坂二良（61歳）とオガミ婆だ。次回はこの二人との戦いを示唆して2期第10話／34話は幕をおろす。
二人の実力のほどは。そして、虎杖と最初にエンカウントするのは誰なのか。次回の放送と配信を楽しみに待とう。
アニメ『呪術廻戦』第2期は2023年7月6日(木) より、毎週木曜23:56～、MBS/TBS 系列全国28局にて放送中。配信先は公式サイトで。
『呪術廻戦』第2期のBlu-rayは予約受付中。
『呪術廻戦』コミックス第23巻は発売中。
『呪術廻戦』コミックス最新刊第24巻は2023年10月4日(水) 発売で予約受付中。
今回の原作である第11巻は発売中。
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