ネタバレ解説『ゴジラ-0.0』キングギドラとは何か? 衝撃の〇〇と世界観を考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『ゴジラ-0.0』キングギドラとは何か? 衝撃の〇〇と世界観を考察

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『ゴジラ-0.0』は「神殺し」から「神々の戦い」へ

第96回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞し、日本映画として初、アジア映画としても初の快を成し遂げた『ゴジラ-1.0』(2023)。そこで描かれた元特攻兵の天才パイロット・敷島浩一たちによる海神(わだつみ)作戦によってゴジラを倒すという「神殺し」には続きがあった。それが2026年11月3日(火・祝)公開の『ゴジラ-0.0』だ。

『ゴジラ-0.0』は以前から、ゴジラ単独の作品ではなく、敵として別の東宝怪獣が登場することが明かされていた。そして、予告編では電子音のような鳴き声が流れ、山崎貴監督自身の口から、「ゴジラ」シリーズ最強の怪獣の一体、キングギドラが登場することが語られている。

『ゴジラ-0.0』に登場するキングギドラとはどのような存在なのだろうか。本記事では、『ゴジラ-0.0』に登場するキングギドラと、その登場によって明らかになった『ゴジラ-1.0』と『ゴジラ-0.0』の世界観について解説と考察を述べていく。なお、以下の内容は『ゴジラ-0.0』のネタバレを含むため、本編鑑賞後に読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ゴジラ-0.0』の結末に関するネタバレを含みます。

『ゴジラ-0.0』のキングギドラについてネタバレ解説&考察

ドラゴンと戦闘機の空中戦「ギドラ」

『ゴジラ-0.0』において、衝撃的な幕開けとなったのは1本首のドラゴン型怪獣であるギドラの登場だろう。首もまだ短く、尻尾も1本しかなく、サイズもまだ成長しきっていない。この姿は東宝の市川南氏が提案した「途中で首が3本に増えたら面白いんじゃないですか」というアイデアをもとにしたものだ。また、ギドラにより、ドラゴンvs天才パイロット操る戦闘機の空中戦が実現した。

また、ギドラはもともとドラゴンの姿をした怪獣ではないことが村上教授たちの記録映像で判明している。本来は長野県松本市の北アルプスで発見された隕石だったが、周囲の生物を捕食し、その遺伝情報をもとに変化したのがギドラである。そのため、名前は生物学で細胞分化の代表例とされるギリシャ神話のヒドラとキメラの混成語である。両者は細胞分化と異なる遺伝子を持つ細胞集団を表す際に用いられる名称でもある。

ギドラの色は青っぽい黒色である。これはキングギドラが初登場した『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)で、もともと青い体だったのを、スチール写真の撮影直前にスクリプター・鈴木桂子が円谷英二特技監督に「金星から来る怪獣なので、金色かと思った」と話したことで金色に塗装された背景があると考察できる。

もちろん、山崎貴監督が『三大怪獣 地球最大の決戦』の制作逸話を意識したかどうかは定かではない。しかし、青黒いギドラが金色のキングギドラへと変貌する過程は、初代キングギドラの誕生を連想させる。村上教授の恰好も同作の研究者の村井そっくりな上、鳥居越しにキングギドラというショットも存在する。そのため、山崎貴監督は『ゴジラ-0.0』という映画内を通して、キングギドラという怪獣が生まれるまでのメタ的な工程を描いたのではないだろうか。

鳴神作戦から不死鳥の如く復活「キングギドラ(2026)」

米軍から燃料気化爆弾の投下による華氏5,400度で焼き尽くす案を提案されるも、核攻撃を耐え抜いたゴジラの存在から不安が残る対策班。そこで、プランBとして天才気象予報官の青山眞琴が考えたのが鳴神(なるかみ)作戦である。雷神の別名である鳴神の名を冠したプランBは空中からギドラに避雷針を落とし、落雷によって焼殺するというものだった。しかし、その作戦の失敗が新たな怪獣――キングギドラを生み出す。

ギドラの両肩から新たな首が出現し、青黒い皮膚を脱ぎ捨てて金色の鱗が姿を見せ、尻尾が翼膜のある2本に分岐するなど、 歴代のキングギドラを思わせる姿に、神秘性が加わったものになっている。『ゴジラ-0.0』のキングギドラは人類側の作戦失敗の象徴であるとともに、不死鳥がモチーフになっており、この再生は『ゴジラ-1.0』でゴジラを殺すのを「神殺し」と呼んだように怪獣を一種の神と見立てるものだと思われる。

首が3本に増えた理由については、鳴神作戦で避雷針が突き刺さった位置が関係しているのではないだろうか。避雷針が突き刺さったのは、首の付け根にあたる頸椎と胸椎の境界付近だった。この部位への落雷がギドラの急激な進化を促し、3本の首や、避雷針を思わせる背びれ・棘を形成したのではないかと考えられる。

2011年に公開された東京エレクトロンの科学記事では、NASAの研究者たちが、光ソレノイドビームやベッセルビームを用いたトラクタービームの研究案を紹介している。微粒子を対象とする技術であり、キングギドラのように巨大な物体を浮かせる技術とは大きな隔たりがある。

しかし、『ゴジラ-0.0』のキングギドラは落雷を克服したことで、想像もつかないほど莫大な電力を吸収できるようになった。それにより、電磁場や電磁気効果を使い、人類の科学のはるか先を行く巨大建造物さえも持ち上げる強力な引力光線を獲得することができたと考察できる。

キングギドラの目的は何だったのか

鳴神作戦の失敗により、雷を吸収することを覚えたキングギドラ。そこで獲得した引力光線により、日本各地を蹂躙していくが、作中では隕石の頃に鹿や鳥を取り込んだのにもかかわらず、キングギドラになってからは人間を捕食している描写は確認できない。過去作では人間の子どもの生命エネルギーを取り込むなどしていたが、そういった超自然的な要素はない。

そのため、引力光線で日本各地を蹂躙していく行動は、単なる捕食や破壊ではなく、自分にとって都合のよい環境を作り出すための「地ならし」ではないだろうか。キングギドラの根源である細胞は、隕石として生命体のいる星に飛来。周辺の動物の遺伝情報を取り込み、その星の環境に適応する。その最後の仕上げとして、自分にとって住みやすい環境――『ゴジラ-0.0』でキングギドラは、自らが優位に立てる環境へと地球を変えようとしていたと考察できる。

つまり、『ゴジラ-0.0』のキングギドラの目的は生命が存在する星に飛来し、その星の生態系の頂点に立つという、究極の侵略的外来種なのではないだろうか。キングギドラはデビュー作の『三大怪獣 地球最大の決戦』で金星の文明を3日で滅ぼしたとされており、ハリウッドデビュー作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)ではゴジラの玉座を奪おうとする宇宙怪獣とされた。そのため、『ゴジラ-0.0』のキングギドラも先人に倣って行動していると考察できる。

しかし、『ゴジラ-0.0』のキングギドラは大きなミスを犯した。それは飛来する星に地球を選んだことだ。ギドラとしての最初の目覚めに呼応して地球最強の生物であり、怪獣王・ゴジラが復活。これは、地球という巨大な生命体の免疫機能ではないだろうか。

もしゴジラを地球の免疫機能にたとえるなら、人類の核実験によってゴジラが誕生したという『ゴジラ-0.0』の設定も、地球が人類の行為に反応した結果であり、そして今度は、外部から侵入してきたキングギドラに対抗する白血球のような存在としてゴジラが立ちはだかったのではないだろうか。

『ゴジラ-0.0』のキングギドラについてラストネタバレ解説&考察

ゴジラ細胞を取り込んで生まれた史上最強の怪獣「Gギドラ」

ゴジラとキングギドラの対峙――それにともなう危険は、都市の破壊だけではない。『ゴジラ-0.0』のキングギドラは隕石の頃から周囲の動物の遺伝情報を吸収し、それを反映させることで地球の環境に順応してきた。そんなキングギドラの前に、地球最強の生物が現れたのだ。

激戦の末、キングギドラはゴジラを捕食し、その細胞を取り込むことで、ゴジラを思わせる頭部と背びれを獲得した。こうして誕生したのが、人類にとって悪夢のような合体怪獣「Gギドラ」である。しかし、『ゴジラ-1.0』と『ゴジラ-0.0』の人類にとっては悪夢のような合体怪獣「Gギドラ」も、メタネタとしては子どもたちの夢を叶えた怪獣だと考察できる。

まず、『ゴジラ-0.0』のゴジラとキングギドラの戦いそのものが、これまで二大怪獣が紡いできた歴史を象徴するものとなっている。ゴジラの体に首を巻き付ける姿は『ゴジラvsキングギドラ』(1991)のポスター、首切断から復活するのは『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』でも描かれた展開だ。そして、ゴジラとキングギドラの合体怪獣は、キングギドラが初登場してから多くの児童誌で最強怪獣として描かれてきたものとなっている。

実際、山崎貴監督自身も「『ゴジラ化するギドラ』というアイデアには、僕自身もめちゃくちゃワクワクしました」とパンフレットのインタビューで語っている。あまりにも荒唐無稽で、あまりにも強すぎるが故に叶わなかったゴジラとキングギドラの合体怪獣。『ゴジラvsビオランテ』(1989)などでゴジラ細胞という設定が積み重ねられ、さらに映像技術が進歩したことで、かつて児童誌などで描かれてきた夢の合体怪獣が、ついに実写映画の中で描かれることになったのではないだろうか。

キングギドラが示す『ゴジラ-0.0』続編の可能性

最新のVFX技術と溢れんばかりの情熱により、ゴジラとキングギドラの戦いが描かれた『ゴジラ-0.0』。周囲の生物の遺伝情報を取り入れて進化する設定から、予告編では一切姿を現さなかったキングギドラだが、その存在はあるものを示唆している。それは『ゴジラ-0.0』続編の可能性だ。

『ゴジラ-0.0』のキャッチコピー「三度目はない」は、核攻撃を示唆する言葉とも受け取れる。山崎貴監督は、ゴジラが完全に人類の味方になる展開は避けたかったとパンフレットのインタビューで語っているため、ゴジラという核兵器の被害を象徴する存在の視点から、この言葉を読み解くこともできる。続編の製作が決まっているわけではないが、キングギドラの登場によって世界観が大きく広がったことは確かだ。

また、キングギドラの登場は「大戸島の伝説の怪物が、放射線を浴びて怪獣になる」という展開から、「宇宙には他にも生命が存在し、神にも等しい怪獣が存在している」という形で、文字通り『ゴジラ-0.0』の世界を大きく拡張した。さらには前述の通り、ゴジラが地球の免疫機能のように出現したことから、人類の環境破壊などによっては地球が免疫機能として怪獣を生み出す可能性も考察できる。

それこそ、インファント島の守護神であり、小美人とのつながりを持つモスラや、高度経済成長期の環境汚染を象徴するヘドラなど、自然と人間の関係を映し出してきた怪獣たちも、本作の世界観に登場する余地はあるのではないだろうか。キングギドラが拡張した山崎貴監督の『ゴジラ-0.0』の世界の今後に期待していきたい。

映画『ゴジラ-0.0』は2026年11月3日(火・祝) より全国の劇場で公開。

『ゴジラ-0.0』公式サイト

Source
東京エレクトロン『SFが現実になる!物体を引き寄せるトラクタービームをNASAが研究中』

山崎貴監督作『ゴジラ-1.0』のBlu-rayは発売中。

山崎貴監督が手がけた『ゴジラ-1.0』の小説版は発売中。

『ゴジラ-1.0』オリジナル・サウンドトラックのLP盤は発売中。

 

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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