ネタバレ解説『バッド・バッチ』シーズン3第9話 サプライズ回! フォースが帝国の時代に目を覚ます あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『バッド・バッチ』シーズン3第9話 サプライズ回! フォースが帝国の時代に目を覚ます あらすじ&考察

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『バッド・バッチ』シーズン3第9話はどうなった?

『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』は2021年から配信を開始した「スター・ウォーズ」のアニメシリーズ。クローン大戦後のクローンたちの行方と、クローン技術をめぐる帝国の思惑を同時に描き出す重要作だ。

2024年配信のシーズン3で、『バッド・バッチ』はシリーズフィナーレを迎える。全15話で構成されるシーズン3もラストに向けて折り返しを過ぎている。一体どんなラストが待っているのか、今回はシーズン3第9話をネタバレありで解説していこう。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン3第9話の内容に関するネタバレを含みます。

『バッド・バッチ』シーズン3第9話「前触れ」あらすじ&ネタバレ解説

アサージ・ヴェントレス登場

前回、オメガが狙われている理由に繋がる情報をフェネックから待つことにしたハンターたちは、パブーに戻って生活を営んでいた。クロスヘアーもすっかり馴染んでいる様子だし、パブーも復興が進んでいるようだ。

しかし、バッチャーとオメガはパブーの洞窟で宇宙船を発見すると、フェネックが送った“ツテ”と出会う。なんとその人物とはアサージ・ヴェントレスだった。アサージ・ヴェントレスは、『バッド・バッチ』の前作にあたる『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) で活躍を見せたキャラクター。ドゥークー伯爵の弟子としてジェダイの脅威となったが、力の増長を恐れたパルパティーンの指示でドゥークー伯爵に裏切られている。

その後はフリーで活動してアソーカ・タノと共闘することもあった。しかし、正史に組み込まれている小説『ダーク・ディサイプル(原題)』(2015) では、ジェダイ・マスターのクインラン・ヴォスを助けて命を落としたとされていた。

アサージ・ヴェントレスは惑星ダソミアの出身で、ドラマ『アソーカ』ではダソミアのナイトシスターの先祖が登場したばかり。『アソーカ』は新共和国時代を舞台にした作品だが、「スター・ウォーズ」はここからまた新たにアサージ・ヴェントレスのストーリーラインを作り出していくつもりなのだろうか。『バッド・バッチ』シーズン3第9話のアサージ・ヴェントレスの登場シーンは、ヴェントレスが影の中でバッド・バッチが日向で喋るという象徴的な演出がなされている。

フォース=ジェダイじゃない

アサージはM値について、血の中にあるもので、その多寡に応じてフォースの資質が決まると信じられているもの、と説明。ハンターは「ジェダイってことか」と聞くが、フォース=ジェダイではなく、ジェダイになるには訓練が必要という基本を改めて解説している。『マンダロリアン』(2019-) 以降の視聴者にも分かりやすい説明だ。

そもそもアサージ・ヴェントレスが所属していたナイトシスターはフォース感応者の魔女の集団だ。『クローン・ウォーズ』や『スター・ウォーズ 反乱者たち』(2015-2018) ではジェダイとシス以外にもフォースを司る存在がいることが繰り返し示されている。

一方で、アサージはオメガがM値を理由に追われていることを見抜き、クローンがフォース感知者になれるということに驚いてもいる。オメガにM値の高さが理由で帝国から追われているという推察を与えるアサージ・ヴェントレスに、オメガは「誰も答えを教えてくれない。自分が何者か知りたい」と懇願する。

アサージにはその気持ちが理解できたのだろう。『マンダロリアン』でアソーカがグローグーにやったように、フォースの資質を試す試練を与えるのだった。アサージが先生のような役割を担うとは意外な展開だ。

それに、『マンダロリアン』でディン・ジャリンがグローグーの試練を見守っていたように、ハンターらもオメガから目を離さずに見守っている。アサージとアソーカ、オメガとグローグー、ディン・ジャリンとハンターたちと、対になっている関係性が面白い。

バッド・バッチvsアサージ・ヴェントレス

アサージ・ヴェントレスはジェダイのやり方を知っていると話しているが、クローン大戦時代にはアナキンやオビ=ワンらジェダイ相手にも戦ったし、ジェダイと共に戦ったこともある。ジェダイがほとんど滅んだ時代にあって、フォースの知識や実践がジェダイ以外の人々によって伝えられていたというのは新鮮な事実だ。

そんな中、クロスヘアーはアサージの正体を見抜く。レッカーからは「分離主義者の殺し屋」と言われているが、これはアサージが分離主義勢力のドゥークー伯爵の弟子だったという過去からだ。

次にアサージはオメガに白い花を日没までに取りに行くというミッションを与え、オメガがいない間にハンターたちに「ろくな結果に終わらない」と警告を与える。バッド・バッチとアサージの険悪なムードは戦いに発展。フォースも近接格闘も操るアサージの前に、ハンターらは太刀打ちできず。前話でハンター・レッカー・フェネックがサイラー・サリスを一方的に追い込んだのとは対照的な結果だ。

しかし、今回はクロスヘアーがいる。スナイパーライフルを向けてチームワークを披露すると、アサージ・ヴェントレスはついにライトセーバーを抜くのだった。この黄色いライトセーバーは小説版で登場したもので、『クローン・ウォーズ』時代のシスの赤いライトセーバーとは違うものになっている。

「人は変わる」

アサージがバッド・バッチを圧倒する中、白い花を持ったオメガが帰還。踏みとどまったアサージは、「時代は変わった」「同じ戦争でどっちも駒だった」「私たちは全員負けた」「善人ではないが敵ではない」と告げてその場を去るのだった。分離主義勢力とクローンは戦争で敵同士として戦ったが、いずれもパルパティーン=帝国から切り捨てられた。戦争が利するのは権力者だけであるということを指摘するかのようなシーンだ。

アサージ・ヴェントレスを毛嫌いするハンターらに対し、オメガは「時を経れば人は変わる」と主張する。確かに、バッド・バッチがクロスヘアーを信じ、許すことができたのは、クロスヘアーが変わったからだった。

オメガは単独でアサージの元へ行くことに。アサージにとってはこうして頼られることも少ないし、表情には出さないがちょっと嬉しいのではないだろうか。アサージは微笑みかけるオメガに冷たい態度をとるが、まぁ、ディン・ジャリンも最初はグローグーに対してそうだったからな。

アサージの最後の試験は、オメガの自然との親和力を確かめることだった。うまくいかないオメガに、アサージは「兵士になる訓練とは別物」と言い、クローン部隊の訓練はフォースには役に立たないと話すのだった。この流れもマンダロリアンとジェダイの違いを明確にする『マンダロリアン』に近いテーマを感じる。

力を疑われたアサージは、フォースの力で海の生き物たちを集めてみせる。しかし、巨大な海獣も呼び起こしてしまい、ハンターらも思わず船を出す。それでも、アサージはフォースの力でその海獣と心を通わせることでこのピンチを脱する。このシーンは、ドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(2021-2022) 最終話でグローグーが怯えて暴走したランコアを眠らせた場面を想起させる。

船が転覆しているため、ハンターらはシップでオメガを迎えに行く。そして、クロスヘアーが手を貸してアサージを船内へ招き入れるのだった。オメガを守ってくれたことに対し、アサージを信用してみようという結論に至ったのだろう。この役目をクロスヘアーが担っている点も泣ける。

オメガの試験結果

訓練を終えて、アサージはオメガのM値は高くないと告げる。今回の三つの試練の内、クリアできたのは確かにバッチャーの力を借りた二つ目だけだった。確かにオメガが追われているのはクローンを作った時にM値の低減が見られないからだったはず。それでも、嘘を疑われたアサージは、オメガに資質があるなら訓練で伸ばす必要があると話す。オメガに資質があるのかないのか、どちらとも取れる発言だ。

いずれにせよ、アサージはオメガが訓練を受けるためにはバッド・バッチから離れなければならないと話す。この展開も『マンダロリアン』でグローグーがジェダイの訓練のためにディン・ジャリンから引き離された展開に通じる。あるいは、ジェダイ・オーダーでなくとも、フォースの訓練のためにその環境を作らなければならないのだとすれば、幼い子を家族の元から連れ去るというジェダイの悪いイメージが若干マシになるかもしれない。

アサージは、自分がバッド・バッチを見つけることができたからだろう、ここを離れた方がいいと助言しつつ、自分については帝国に「追えばいい」と余裕のコメントを残す。そして、その理由を「命がいくつか残ってる」と話すのだった。小説『ダーク・ディサイプル』でのアサージの死が「なかったこと」にはなっていないことを示唆して、『バッド・バッチ』シーズン3第9話は幕を閉じる。

『バッド・バッチ』シーズン3第9話 考察&感想

アサージの再登場は?

ついに予告編で姿を見せていたアサージ・ヴェントレスが登場。ジェダイがほとんど全滅した時代で、フォースのストーリーを持ち込むには最適の人物だったと言える。最後には去っていったが、「猫の命は9つある」という伝説みたいなことを言って新たな謎を残していった。

アサージはナイトシスターの一員なので何があってもおかしくないが、気になるのはアサージのバックストーリーがどこで明かされるかという点だ。2024年配信を予定している『テイルズ・オブ・ジェダイ』シーズン2はその筆頭だ。同作では幼い頃のアソーカやジェダイ時代のドゥークーなど、『クローン・ウォーズ』で活躍したキャラクターたちの知られざるオリジンが描かれた。

あるいは、アサージ・ヴェントレスを主人公としたスピンオフドラマの制作や、『アソーカ』シーズン2でのアサージの登場を目指しているのかもしれない。『バッド・バッチ』シーズン3での再登場はあるのか、そしてグローグーのような立場に置かされつつあるオメガはどんな道を歩むのか。残り6話、まだまだ目が離せない。

アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』シーズン3はディズニープラスで配信中。

『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(Disney+)

『バッド・バッチ』シーズン3第8話の解説はこちらから。

シーズン3第7話の解説はこちらから。

シーズン3第6話の解説はこちらから。

シーズン3第5話の解説はこちらから。

シーズン3第4話の解説はこちらから。

シーズン3第3話の解説はこちらから。

シーズン3第2話の解説はこちらから。

シーズン3第1話の解説はこちらから。

 

『バッド・バッチ』シーズン2最終話の解説はこちらから。

シーズン1で明かされたクローン兵廃止の理由はこちらから。

 

ドラマ『アコライト』の特報予告はこちらから。

映画『マンダロリアン&グローグー』についての情報はこちらの記事で。

2024年公開予定の「スター・ウォーズ」作品についてはこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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