第8話ネタバレ解説『シー・ハルク』アノ人が登場! ソコヴィア協定とヴィブラニウムの謎 あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

第8話ネタバレ解説『シー・ハルク』アノ人が登場! ソコヴィア協定とヴィブラニウムの謎 あらすじ&考察

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『シー・ハルク』第8話はどうなった?

2022年8月18日(水) に配信を開始したドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』も、あっという間にクライマックスを迎える。弁護士のジェニファー・ウォルターズを主人公に据えた本作は、ジェニファーが従兄弟のブルース・バナーの血液を体内に取り込んだことからハルクの力を得てしまい、シー・ハルクとしてのアイデンティティとジェニファー・ウォルターズとしてのアイデンティティの間で揺れ動く姿が描かれる。

他のMCUドラマシリーズとは異なり、『ワンダヴィジョン』(2021) と同じくコメディシリーズということもあって全9話の構成となった『シー・ハルク』。『ワンダヴィジョン』ではラスト2話はすっかりコメディ要素のない展開となったが、残る第8話と第9話ではどんな展開が待っているのだろうか。今回も第8話の各シーンをネタバレありで解説していく。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』第8話の内容に関するネタバレを含みます。

ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』第8話「ケロケロ ジャンプ」ネタバレあらすじ&解説

リープフロッグ登場

前回までのあらすじでは、第1話のブルース、第4話のデートアプリで出会ってシー・ハルクを「すごい標本だ」と言ったトッド(第5話ではマロリーのクライアントとして登場)、スーパースーツを作ってくれたルーク、ミソジニーサイトであるインテリジェンシアのメンバーだったジョシュらが登場。第7話ラストでエミルが言った「出会いには意味があり、傷つけられた人でも学びがある」という言葉で冒頭のあらすじは締められる。

いよいよ全てがつながっていく予感の中幕を開けた第8話では、家電泥棒を退治しようとするリープフロッグが登場。中の人物はユージーン・パティリオで、スーツの足元についたジェットを噴射して脱出する「ケロケロ〜ジャンプ (Ribbit and rip it)」を使ったところ、スーツは不良品で足に大火傷を負ってしまったという。

リープフロッグは原作コミックにも登場するヴィラン。リープフロッグが『シー・ハルク』の予告編に登場した際には、リープフロッグの息子でヒーローを目指すフロッグマンではないかとコミックファンの間で大きな話題になった。実際にはリープフロッグという名前だったが、本名のユージーン・パティリオというのは、父ヴィンセントの息子でフロッグマンになる人物の名前である。なお、リープフロッグのコミック初登場は1996年の『デアデビル #25』でのことだ。

スーツの製造業社に損害賠償請求をしたいというリープフロッグだったが、その相手はなんと、ジェニファーにスーツを作ってくれたルーク・ジェイコブソン。ジェニファーはクライアントであるためパグへの担当変更をホリウェイに直訴するが、父が大口顧客とのことで断られてしまう。父とはコミック版のリープフロッグであるヴィンセント・パティリオのことだろう。

マット・マードック登場

ジェニファーは、ガラ(パーティ)のドレスもルークに頼んでいたため、ここはことを荒立てないように和解に持ち込むことに。ガラに行くのは、第7話で最優秀女性弁護士にノミネートされていることが明らかになったからだ。しかしジェニファーはルークを激怒させてしまい、和解交渉は決裂。ヒーローコスチュームの不備をめぐる訴訟という第8話の最初のテーマが設定される。

そして裁判当日、ルーク・ジェイコブソンが弁護人として召喚したのは、チャーリー・コックス演じるマシュー・“マット”・マードックだった。チャーリー・コックスはNetflix配信作品として制作されたドラマ『デアデビル』(2015-2018) から同役を演じており、2021年にドラマ『デアデビル』の全ての権利がマーベル・スタジオに戻ったことから、映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) に弁護士役でサプライズカメオ出演していた。

なお、ドラマ『デアデビル』でマット・マードックの宿敵として描かれたキングピンことウィルソン・フィスクも、ヴィンセント・ドノフリオが続投する形でドラマ『ホークアイ』(2021) に登場している。これらNetflix系のドラマ作品との繋がりについてスタジオ側は、世界観は共有しないが、キャラクターを共有するとしている

マット・マードックは、『ノー・ウェイ・ホーム』では自身の拠点であるニューヨークでスパイダーマンことピーター・パーカーを弁護していたが、『シー・ハルク』では西海岸のロサンゼルスに登場。ニューヨークでは腕利きの弁護士だが、西海岸では知られていないようで、ジェニファーは「あいつ誰?」と言っている。

ジェニファーとマットはこれまでにない冷静かつ的確な舌戦を繰り広げる。顧客リストの開示を請求するジェニファーに対し、マットはスーパーヒーロー専門の仕立て屋だから顧客名を伏せるのは当然と反論。それは、世間に対して正体を明かしているシー・ハルクと、正体を隠しているデアデビルの立場の違いでもある。

ソコヴィア協定、廃止されていた

するとマットは「ソコヴィア協定は廃止された」と付け加える。ソコヴィア協定はスーパーヒーロー(アベンジャーズ)を国連の管理下に置く協定で、ヒーローたちは国連が認可した場合のみ合法的に活動ができるというものだった。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) では、民間人への被害を抑えようとこれを推進するトニー・スタークと、権力者に管理された正義に反発するスティーブ・ロジャースの対立が描かれた。

「ソコヴィア協定は廃止された」というマットの証言は非常に重要なポイントになる。なぜなら、ソコヴィア協定はサノスの指パッチンと初代アベンジャーズの自然消滅でうやむやになってなくなったのかと思いきや、MCUフェーズ4においてもしっかり存続していたからだ。

2023年11月を舞台にしたドラマ『ワンダヴィジョン』では、S.W.O.R.D.のヘイワード長官はヴィジョンの死体を利用した兵器を作ろうとしたが、これはソコヴィア協定違反になるためワンダに罪を着せようとした。2024年4月が舞台のドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) では、スティーブ・ロジャースの亡命を手助けしたシャロン・カーターが今もソコヴィア協定違反で逃亡生活を送っていたことが明かされた。

『シー・ハルク』は映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021) よりも後の話なので2024年4月以降が舞台になっており、今回のマットの発言によって、ソコヴィア協定が廃止されたのは2024年4月以降であることが分かる。それはもしかすると、亡霊に憑かれたようにソコヴィア協定の影響を受け続けていたシャロン・カーターの一件が理由だったのかもしれない。

ジェニファーは正体を明かしたが違う者もいる、と言うマットの主張は自分自身のことを言っていると同時に、身バレで大変なことになったスパイダーマンの一件も踏まえているのかもしれない(もっとも本作は時系列的にはそれより前である可能性が高く、後でもピーターの記憶は消えているだろうが)。結果、マットの主張通り、証拠の開示請求は認められず。

さらにマットはスーパーパワーの一つである超人的な嗅覚を使って、リープフロッグが用法を守らずにブースターにジェット燃料を使用したことを暴き出す。リープフロッグは咄嗟にこれを否定するが、相手がウソをついていることが分かるのもマットの能力の一つだ。超人的な聴覚で呼吸や心拍音から相手がウソを言っているかどうかが分かるのだ。

両面あって、素晴らしい

結果、賠償請求は却下され、ジェニファーはルークとも決別してしまう。そんなジェニファーにバーでアップルティーニを差し入れたのはマットだった。なお、このシーンでジェニファーはマットが席を移動している間にアップルティーニの匂いを嗅いでいる。ドラッグが仕込まれていないかを確認したのだろう。この社会にあっては、女性は飲み物ひとつ飲むにしても危険と隣り合わせなのだ。

ジェニファーはなぜマットがわざわざニューヨークから来たのかを訊ねると、マットは正直にルークに新しいスーツを作ってもらった借りがあると答える。「新しいスーツ」と言っていることから、第5話ラストで登場した黄色いヘルメットの前にもスーツを使っていたことが分かる。ドラマ『デアデビル』ではキングピンの防刃スーツを作っていたメルヴィンにスーツを作らせたが、その辺りの設定も踏襲されているのだろうか。

お馴染みの“目が見えないジョーク”をかますマットに対し、ジェニファーはマットが開業したことを聞きながら打ち解けていく。マットは「やりがいか、稼ぐためか」と言いながら、自身はほとんどプロボノで仕事を受けていると話す。プロボノは第2話でも出てきた通り、弁護士費用が払えない人のために無償で弁護を行う活動のこと。ホリウェイはエミル・ブロンスキーの弁護を「宣伝効果だけでもプロボノでやる価値がある」と、プロボノさえ損得勘定で語っていた。

今回のは稼ぐための仕事だというマットに、ジェニファーは「秘密の二重生活?」と聞くが、逆にマットはジェニファーが特殊なポジションにいて弁護士とシー・ハルクとして人を救えると話す。「ジェンは社会から見放された人を法律で救える。シー・ハルクは法律から見放された人を救える」というマットの言葉は、自分自身が法律で裁けない人間をデアデビルとして裁いていることから、本心で出た言葉だろう。

ここ数話は「魅力的なシー・ハルク」と「ありのままのジェン」の狭間で揺れ動いていたジェニファーだったが、ここに来て「両面持っていることが素晴らしい」という考えに触れることに。なんだか良い感じになった二人だったが、マットの方にもジェンの方にも連絡が入り、二人はここで別れてジェニファーはトッドの法律相談に乗ることになる。

なぜヴィブラニウムを?

トッドはマロリーのクライアントだったはずだが、デートアプリで知り合って連絡しやすかったのか、ジェニファーに相談を持ちかける。オークションで出品されたワカンダの槍を100万ドル、1億円超で競り落としたのだという。ちょうど1ヶ月後の11月11日(金) 公開を予定している映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の要素が登場した。

ドーラ・ミラージュが使っているワカンダの槍といえば、キャプテン・アメリカの盾と同じヴィブラニウムを素材にしている。気になるのは、第4話でトッドがシー・ハルクの肌の硬度に関心を持っており、「地球のものでは傷つかない」と言ったジェニファーに対し、トッドは真顔になり「ヴィブラニウムでも?」と聞いたことだ。ジェンの「もしかして今持ってる?」というジョークに対し、「あればいいけど (I wish.)」と不穏なセリフも吐いている。トッドはシー・ハルクを傷つけるためにヴィブラニウムを手に入れたのだろうか。

トッドはワカンダ政府が槍の返還を求めてきたことについてジェニファーに相談したかった様子。ワカンダ政府も王を亡くしたであろう大変な時にこんな案件も処理しなかければいけないのだから大変だ。しかし、必要以上に距離を詰めてくるトッドを前にジェニファーは相談を打ち切るのだった。

シー・ハルクvsデアデビル

疲れ切って帰宅したジェニファーに電話をかけてきたのはリープフロッグ。何者かに襲撃されている。リープフロッグが居場所を伝える場面は、リープフロッグが「友達を捜す」と言うとジェニファーが「この近くね」と応答するなんだかよく分からない状況になっている。これは、iPhoneの「友達を探す (Find My Friends)」機能のことを言っており、この機能を使うと相手に自分の位置を知らせることができる。

そしてジェニファーは第5話ラストでルークにもらったスーツを着用。やはりオマケは結婚式用のワンピースだけではなかったようだ。駐車場の屋上でリープフロックの車を止めると、そこにいたのは、黄色と赤のコスチュームに身を包んだデアデビルだった。両手には武器のスティックを持っている。マットにあらゆる術を教えた師匠スティックの設定も生きているのかもしれない。

シー・ハルクとデアデビルは戦闘になるが、やはりここはシー・ハルクに分がある。すばしっこいデアデビルに対して、シー・ハルクは地割れを起こすハルクスマッシュ車投げ、突風を起こすサンダークラップという遠距離攻撃で着実に追い込んでいく。

なお、このシーンで写っているスタジアムの看板には、ドラマ『ホークアイ』と映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にも登場した「ロジャース・ザ・ミュージカル」のポスターが見える。『シー・ハルク』も両作の舞台となった2024年12月に近い時期が舞台なのかもしれない。もっとも、ツアーをしているとすればLA公演は時期が違うかもしれないが。

そしてシー・ハルクはあっさりデアデビルのマスクを取ると、その正体がマットだったことが明らかになる。登場からわずか10分足らずでの身バレ。マットが目は本当に見えないと説明する中でジェニファーが言う「エコロケーション」とは、コウモリやクジラが超音波の反響で物体の距離や大きさを把握することである。

マットは「耳がものすごくいいんだ」と言った後に「少なくとも前までは」と付け加えているのは、『ザ・ディフェンダーズ』(2017) で大怪我を負って右耳が聞こえなくなった経験を踏まえているのだろう。

マットはリープフロッグがルークを誘拐したため追っていたのだという。同じ弁護士であるマットがスーパーヒーローであることに喜ぶジェニファーだったが、「ゴールド・デビルとか?」と名前を尋ね、「デアデビルだ」と返される。この時のBGMはドラマ『デアデビル』の懐かしのメインテーマ曲が流れている。

シー・ハルク&デアデビル

一緒にルークを助けることにしたジェニファーとマットは、リープフロッグの隠れ家であるリリー・パッドに到着。リリー・パッド (Lily pad) とは水に浮かんだ睡蓮の葉のことで、カエル男らしいネーミングになっている。

突入に備えている場面では、マットは「子分は信念があり、ゴロツキはカネ目当て」と『デアデビル』っぽい哲学をぶっている。また、ビル内の人数と配置を心臓の鼓動で把握するお馴染みの技も披露。一方ではジェニファーとの早口で軽妙なやり取りでマウントを取り合う新鮮な姿を見せている。この二人、なかなか相性が良さそうだ。

容赦ないデアデビルの“潜入作戦”と、シー・ハルクの“一撃”で二人は突入すると、あっさりルークを解放。戦いながら法律の助言をするマットに、ジェニファーは「マジでイケてる」とハマっている様子。結局リープフロッグは窓から飛び降りて自滅し、この件は一件落着となる。ルークはジェニファーを許し、ドレスを作ってくれることに。この場面で流れている曲は、Ela Minus「Dominique」(2020)。「日が昇るまで寝たくない」と歌われている。

やっと二人になったマットとジェン。マットは「警察とは仲良くしない」と言っているが、ヘルズキッチンの警察はキングピンことウィルソン・フィスクの息がかかっていて大変だったのだ。どちらが今日の主人公か、微笑ましくマウントを取り合う二人。明日にはニューヨークに帰るというマットをお持ち帰りしたジェニファーは、コスチュームを脱ぎ捨てて一夜を過ごす。朝帰りするマットは着替えの服がないのでデアデビル姿で帰路についている。

まさかのラスト

翌朝、画面の前の視聴者にジェニファーは「まだ見てたの? (You guys are still here.)」と言うが、これは映画『デッドプール』(2016) のポストクレジットシーンでデッドプールが視聴者に向かって「まだいたのか (You still here.)」と言う演出と重なる。マーベル実写作品では“第四の壁破り”の先輩にあたるデッドプールを踏襲した格好だ。

そこに登場したのはニッキ。ジェニファーにガラへ行く準備を促すと、ジェンは視聴者に向かって最終回の予想を始める。「赤いハルクが現れるとか」と、多くのコミックファンが期待しているレッド・ハルクの登場を先に予想してしまう。

ガラでのシー・ハルクの入場シーンで流れている曲はWest Rose「Next Big Thing」(2022)。「私の名前を言いなさい。もっとあげるから」という歌詞がクローズアップされている。

両親と合流したジェニファーは父からジャケットを貸すと言われるが、ニッキは「ズハイル・ムラドとルークの服が隠れちゃう」と言う。ズハイル・ムラドはレバノンのファッションデザイナーで、今回のジェニファーの衣装はルークとズハイル・ムラドのコラボ服という設定のようだ。

会場で上司のホリウェイと話すトッドの姿を見つけて不安がよぎるジェニファーだったが、無事に南カリフォルニア賞年間最優秀女性弁護士賞を受賞……かと思いきや、マロリーを含む6名が同時受賞という結果に。受賞スピーチでは「女性弁護士とは?」という司会からの質問にマロリーが「仕事は2倍、評価は半分、常に『女性弁護士とは?』と聞かれる」と皮肉をかます。

一方、ジェニファーは周囲に感謝を述べる一般的なスピーチを始めるのだが、ここで後ろのスクリーンがハルク・キングのものに変わる。音声もインテリジェンシアにジャックされると、「パワーはハルクから盗んだ」とフェイクニュースが流され、前回ジョシュが盗んだと思われるデートアプリの情報が晒される。

そしてジョシュが盗撮したセックステープが流される事態に。怒ったジェニファーはスクリーンを破壊すると、会場はパニックに。しかも外で待っていたのはダメージ・コントロール局だった。完全に嵌められたジェニファーは、カメラの向こうのこちら側を見つめて第8話は幕を閉じる。この場面で流れている曲は、Shygirl「Rude」(2018)。「あんたちょっと失礼だぞ」と囁かされている。

ドラマ『シー・ハルク』第8話ネタバレ感想&考察

残された謎、誰が犯人?

デアデビル登場、そしてジェニファーにようやくイイ人が現れた! と思いきや、ドン底に突き落とされるラストに。最終回となる第9話でどのようにまとめるのだろうか。ジェニファーがあのまま捕らえられた場合、弁護を担当するのはマロリーだろう。マットが戻ってきてくれれば更に心強いが……。

状況が状況なだけに拘留されることはないと願いたい(あんな場面、誰だってブチギレるだろう)が、『ミズ・マーベル』で明らかになったように、ダメージ・コントロール局の取り締まりはかなり恣意的だ。今回の件だってテロ行為に対する防衛と容疑者の拿捕と捉えられるが、第8話で明らかになったようにソコヴィア協定が既になく、どこまでが許容されるヒーロー活動なのかということが曖昧である点も問題だ。

ソコヴィア協定廃止の余波は、ダメージ・コントロール局にとどまらない。アイアンハートやサンダーボルツ、ホワイトヴィジョンに及ぶ影響はこちらの記事で詳しく考察している。

また、残されている謎は多い。まず早々に宇宙へと旅立ってしまったハルクことブルース・バナーの存在。本シリーズではもう登場することはないのだろうか。ジェニファーのピンチに現れるとすれば心強い存在だ。

一方のアボミネーションことエミル・ブロンスキーの怪しさいっぱいの演出はハッタリだったのだろうか。第3話ラストで登場したレッキングクルーのリーダー・レッカーとエミルの繋がりが第7話で示されただけに、ハルク・キングとの関係を疑わずにはいられない。

もちろん明らかに怪しいのはトッドだ。シー・ハルクの肌の硬さを気にしていたトッドは、地球上の物質では傷つけられないことを確認した上でヴィブラニウムを手に入れている。また、レッキングクルーは注射針を刺そうとした針が曲がってしまい、目的が達成できなかった。ということはヴィブラニウムでできた注射針を使えばシー・ハルクの血液を採取できるのではないだろうか。トッドがハルク・キング、またはインテリジェンシアのメンバーという可能性もあるだろう。

その意味では、ジェニファーが捕らえられたとしても、ハルク・キングはまだ目的を達成していない。血液を採取して何かに活用することがその真の目的のはずだからだ。そしてその目的とはレッド・ハルクの誕生かと思われていたが、私たちがそう思っていることを見透かすように第8話ではジェニファーの口から「(最終回では)赤いハルクが出てきたり?」というセリフが飛び出した。もう何が起きてもおかしくない。

どうなる『デアデビル:ボーン・アゲイン』

衝撃の胸糞ラストとちょうどバランスが取れるくらい良い演出だったのが復活したデアデビルことマット・マードックだ。チャーリー・コックス演じるマットは2023年夏の配信を予定しているドラマ『エコー(原題:Echo)』にも登場予定。こちらにはドラマ『ホークアイ』でエコーの養父という設定で復活したヴィンセント・ドノフリオ演じるキングピンことウィルソン・フィスクも登場する。

更に、2024年春には新たな「デアデビル」ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン(原題:Daredevil: Born Again)』がDisney+で配信される予定だ。こちらは2023年2月にニューヨークで撮影を開始するとされている。本作についてチャーリー・コックスは「シーズン4ではなくシーズン1ですから、完全に新しいものです」と語っていた

しかし、今回の『シー・ハルク』第8話でのマットを見る限り、かなりNetflixで配信されていたドラマ『デアデビル』の設定を踏襲していたようでもある。積極的にそれを匂わせるセリフを散りばめており、元のファンを大切にしながら新たなデアデビルの物語を作っていこうという気概が感じ取れる。また、マット・マードックのキャラクターはそのままでありながら、コメディシリーズである『シー・ハルク』の空気感に寄せた絶妙なバランス感は、チャーリー・コックスの演技力のなせる技だろうか。

お話として気になるのは、マット・マードックの今後である。LAで新コスチュームを手に入れたが、今後もこのコスチュームで活動するのだろうか。ドラマ『デアデビル』では偽デアデビルにスーツを悪用されており、イメージを刷新するには良い機会でもある。しかし、やはりあの深紅のデアデビルの姿を見たいというファンも多いはず。どのタイミングで登場するのかは楽しみにしておこう。

また、マットのロマンスのお相手はジェニファーで決定したのだろうか。ジェニファーもマットも(もう大人だし)西海岸と東海岸で気ままにやりそうではある。だが、『デアデビル:ボーン・アゲイン』でマットの新たなロマンスが描かれるとすれば視聴者の頭にジェニファーの顔がチラつくことは必至だろう。

ともあれ、今回はジェニファーにイイ人が見つかったので良かった。あとはインテリジェンシア&ハルク・キングがどのようにシバかれるのかに期待して、最終回の配信を待とう。

ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』はDisney+で独占配信中。

『シー・ハルク:ザ・アトーニー』

シー・ハルクのコミック作品は、『シーハルク:シングル・グリーン・フィメール』のケン・U・クニタによる日本語訳が発売中。

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ドラマ『ウェアウルフ・バイ・ナイト』のネタバレ解説はこちらから。

MCU入りする『デッドプール3(原題)』の情報と復活するヒュー・ジャックマン版ウルヴァリンのこれまでの作品についての解説はこちらから。

ドン・チードル主演の『アーマー・ウォーズ』はドラマから映画への変更が発表された。詳細はこちらから。

『ザ・マーベルズ』でのキャプテン・マーベルの変化についてブリー・ラーソンが語った内容はこちらから。

コミコン2022で発表された映画『サンダーボルツ』、ドラマ『デアデビル ボーン・アゲイン』を含むMCUフェーズ5全作品のまとめはこちらから。

 

『シー・ハルク』第9話の解説はこちらの記事で。

第7話の解説はこちらの記事で。

第6話の解説はこちらの記事で。

第5話の解説はこちらの記事で。

第4話の解説はこちらの記事で。

第3話の解説はこちらの記事で。

第3話で明かされたウォンの過去について、脚本家が語った内容はこちらから。

第3話配信後にブロンスキー役のティム・ロスが示唆したアボミネーション再登場の可能性についてはこちらから。

第2話の解説はこちらの記事で。

第1話の解説はこちらの記事で。

第1話のキャプテン・アメリカのくだりについて主演のタチアナ・マスラニーが語った内容はこちらから。

 

11月11日公開の映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』予告編の解説&考察はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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