最終回第9話ネタバレ解説&感想 ドラマ『THE LAST OF US』シーズン1完結、明かされる原作の謎 あらすじ・考察【ラスアス実写版】 | VG+ (バゴプラ)

最終回第9話ネタバレ解説&感想 ドラマ『THE LAST OF US』シーズン1完結、明かされる原作の謎 あらすじ・考察【ラスアス実写版】

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ドラマ『ラスアス』シーズン1最終回

ドラマ『THE LAST OF US』シーズン1は2023年1月に配信を開始。全9話で綴られる物語はついに日本時間3月13日(月) 配信界で最終回を迎える。世界的なヒットを記録したゲーム『The Last of Us』の実写ドラマ化となる本作は、各話ごとに高い評価を受け、視聴数の記録を更新し続けたままフィナーレを迎えることになる。

ドラマ『ラスアス』は、第3話の配信前にシーズン3への更新が発表されている。ゲーム『The Last of Us Part.2』(2020) の実写化になるシーズン2へ向けて、シーズン1最終回はどんなエンディングを迎えたのか、今回も各シーンをネタバレありで解説していこう。

以下の内容は、ドラマ『ラスアス』シーズン1最終回第9話の内容のネタバレを含むため、必ずU-NEXTで本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『THE LAST OF US』シーズン1最終回第9話の内容に関するネタバレを含みます。

ドラマ『ラスアス』シーズン1最終回第9話「光を探せ」ネタバレ解説&あらすじ

アンナ登場

ドラマ『THE LAST OF US』シーズン1の最終話となる第9話のタイトル「光を探せ」は、第1話のタイトル「闇の中にいる時こそ…」に続く言葉だ。「闇の中にいる時こそ光を探せ」は反乱分子のファイアフライの標語で、ジョエルの運び屋としての仕事は、エリーの抗体からワクチンを作ろうとしているファイアフライの病院にエリーを連れていくことだ。

なお、最終回の第9話も、第8話に引き続き映画『ボーダー 二つの世界』(2018) のアリ・アッバシ監督が指揮をとっている。アリ・アッバシ監督は『ラスアス』でドラマ監督デビューを果たしたが、2話連続で監督を務めているため、実質1時間半の作品を監督したようなものだ。アリ・アッバシ監督作品では、イランでのフェミサイド(女性を標的とした殺人)をテーマにした映画『聖地には蜘蛛が巣を張る』が2023年4月14日(金) から日本で公開されるので、こちらも要チェックだ。

『ラスアス』最終話の冒頭は、エリーの母アンナが出産が迫り、破水する中で感染者から逃れる様子から始まる。エリーの母アンナは原作ゲームには登場せず、名前のみ言及されるキャラクター。ドラマ版で登場を果たすことになったが、アンナを演じているのはアシュレー・ジョンソンで、原作ゲームではエリーの声を演じている。

第8話にはゲームのジョエル役を務めたトロイ・ベイカーがエリーに殺されるジェームズ役で登場したが、最終話ではエリーを演じたアシュレー・ジョンソンがエリーの母アンナを演じるという粋な演出となっている。

感染者を退けながら一人で出産したアンナだったが、すでに太ももを噛まれており、へその緒を通しての感染を恐れてエリーのへその緒を急いで切っている。原作ゲームではアンナはパンデミック前はナースだったという設定になっており、この場面でも出産に落ち着いて対応できたと考えることができる。

発症が迫る中、アンナは生まれたばかりの娘との“残りの時間”を過ごす。このシーンは第7話でのライリーとエリーが過ごした最後の時間を想起させる。その時間は貴重で美しいものだが、別の視点では、エリーは生まれた直後から、“残されたもの”として人生を生きてきたということでもある。

アンナとマーリーン

オープニングクレジットを挟んで登場するのは若き日のマーリーン。エリーの年齢を考えると14年前の姿だと思われる。ゲームの追加エピソード「Left Behind -残されたもの-」では、アンナとマーリーンは喧嘩も多かったが仲は良かったとライリーが話している。また、ゲーム版ではエリーのバックパックの中にアンナからの手紙が入っており、「マーリーン以上に信頼できる人はいない」と、自身がエリーをマーリーンに預けた理由が記されている。

アンナはいつ発症してもいいように、エリーをあやしながら自分の首元にナイフを突きつけていた。感染の可能性があるためお乳もあげることができず、アンナは感染者に噛まれる前にへその緒を切ったとマーリーンに嘘をつく。赤ん坊に感染の疑いがあれば殺されてしまうかもしれないからだ。

アンナは赤ん坊にエリーという名前をつけ、ナイフと共にマーリーンに預ける。このナイフは劇中でエリーが眺めていたものだ。マーリーンはそれを拒もうとしたが、エリーを引き取って自分を殺すよう告げるアンナの固い意志を前に、最後はエリーを引き取り、アンナの息の根を止めたのだった。

あの名シーンを再現

舞台は現在に戻り、ゲームと同じくラストステージ前のフリーウェイが舞台に。ジョエルの怪我はすっかりよくなったようで、ゲーム版と同じく既に冬を越えて春を迎えているように思われる。つまり、第7話のラストからはしばらく時間が経過していることになる。

エリーが心ここにあらずでジョエルの声に気づかないのも原作と同じだが、ゲーム版ではジョエルの視点で進んでいくのに対し、ドラマ版では第7話の展開も込みでエリーの心情がよく分かるようになっている。むしろ明るく振る舞うジョエルが呑気に見えるほどだ。

ジョエルがいつかギターを教えると提案するのも原作通り。フリーウェイの看板には「ソルトレイクシティ」という字が見え、ファイアフライの病院が近いことを示している。すっかりサバイバルの思考を身につけたエリーに「いや、今回は爆破する」とジョークで強がるジョエルと、エリーのテンションとの落差が大きい。なお、ジョエルはこの廃ビルのシーンで、軍が感染者殲滅のために爆撃したために世界が荒廃していることに改めて言及している。

エリーが何かを見つけてハシゴを落としてしまうシーンもゲームの再現で、ここでゲームのあの名場面も再現される。そう、エリーとジョエルがキリンと遭遇する場面だ。荒廃した世界の旅の中でプレイヤーにも癒しを与えてくれる。ゲームでは撫でるだけなのだが、ドラマ版では二人はキリンに葉を与えてエリーに笑顔が戻っている。エリーのセリフの「こいつ最高だね」という字幕は原作を踏襲したものだ。

ソルトレイクシティのど真ん中を歩くキリンの群れを眺めながら二人が話すシーンも原作と同じ。ここでジョエルは、ファイアフライがいる病院に行くのをやめて弟のトミーがいるジャクソンシティに戻ることも手だと提案する。だが、エリーは「これまでの全てを無駄にできない」と、前に進むことを決める。

これはゲームのセリフを踏襲したものだが、エリーの母アンナの意志を見せられた後では、エリーの言葉の重みが違う。エリーはアンナがあそこまでして生きながらえさせた存在であり、アンナの死から始まったエリーの旅路は、ライリーやテス、サムの死の上に成り立っているものでもある。ジョエル視点では伝わりにくかったエリーの「終わらせないと」という決意がドラマ版ではよく表現されている。

なお、「これを終わらせたら好きなところに行こう」というセリフは、ドラマ版では「トミーの町でも、羊牧場でも、月でも」とエリーが具体例を挙げている。第6話では、治療薬ができたら、ジョエルは羊の牧畜がやりたいと話し、エリーは宇宙に行きたいという意思を示した上で、お気に入りの宇宙飛行士として月面着陸に成功したニール・アームストロングとバズ・オルドリンの名前を挙げていた。

また、ゲーム続編の『THE LAST OF US Part II』(2020) では、回想シーンでエリーの誕生日に宇宙博物館を訪れ、ジョエルが月へ行ったアポロ11号の発射アナウンスのカセットテープをプレゼントする。

大事な人を失うこと

冒頭のアンナのシーン以外は順当にゲーム版の展開を追っている『ラスアス』最終話。荒廃したキャンプでは、20年前のサラの死後にキャンプに入ったことを話した上で、ドラマオリジナルの展開になる。このシーンのジョエルの言い回しが複雑で分かりにくいのだが、ジョエルはサラの死後に拳銃で自らを撃って命を絶とうとしたことを明かしている。なぜか手元がブレて一命を取り留めたといい、エリーはそれを喜ぶのだった。

この場面の二人は、共に大事な存在を失った者同士として対話している。エリーは多くの人を失い、ジョエルはサラという最愛の存在を失った。エリーは自分を守ろうとした人が死んでいくのを見てきたし、ジョエルは自分が守りたかった存在を守れなかったことがトラウマになっていた。そして今、二人は長い旅を経て、互いを失いたくないと思っている。

なお、ゲーム版ではサラについての話を聞いたエリーが「そんなに大事な人を亡くすなんて想像できない」とジョエルに言うのだが、この発言は後に発売される追加エピソード「Left Behind」の内容と矛盾している。そのせいか、ドラマ版ではカットされている。

感染者と戦うトンネルシーンもドラマ版最終話ではカットされ、二人はジョークブックを読んでいるときにファイアフライに拘束されてしまう。ゲーム版ではエリーが水に溺れて蘇生している時に拘束される展開になっている。

エリーの免疫の謎

目を覚ましたジョエルはマーリーンと合流。ようやく第1話からの「エリーをファイアフライの元へ届ける」と言うクエストを達成したジョエルは、ゲーム版にはなかった「借りができた」という人間的な言葉をマーリーンから受け取っている。だがここからはゲームと同じで、ワクチンの生成とエリーの死はセットであることが語られる。

このシーンで注目したいのは、エリーと寄生菌、そしてワクチンの関係が改めて理論的に説明し直されている点だ。ゲームでは、エリーに寄生した菌は突然変異で免疫があり、それを脳から切り取って解析すればワクチンができるという話だった。エリー自体に免疫があるということではなく寄生菌が特別だったということで、プレイヤーとしてはそれならちょっと他を当たってくれ……という気持ちになったものだ。

だが、ドラマ版では、エリーが寄生菌と共に成長したことがキーであると語られる。アンナが感染した時にへその緒で繋がっていたエリーは、赤ん坊にして感染者になったのだろう。しかし、エリーと寄生菌は共に育っていったことで、寄生菌は伝達物質を出して他の寄生菌にエリーが仲間だと教えているのだという。

大元を摘出して細胞を培養し、伝達物質を入手して人間に投与すれば治療薬になる、というのがマーリーンの説明だ。なるほどそうであれば「エリーでないといけない」という説明がつく。再現性がないこともないが、子を産んだ母が犠牲になる上に、そこから数年〜十数年待たなければならないとすれば、事実上再現性はないに等しい。

冒頭にアンナが犠牲になったシーンを入れることで、エリーの決断に重みをもたらし、さらにマーリーンの判断にも科学的な根拠をもたらしている。同時に、アンナからエリーを託されたマーリーンの決断にも重みが生まれている。一人を犠牲にしてより多くの人を救うべきかという単純なトロッコ問題ではなく、残されたものの託されたものとの向き合い方というテーマが深掘りされているのだ。

なお、原作では、マーリーンは「(人類が)もっと大切だから、あの子よりも」と言ってしまうのだが、ドラマ版ではそのセリフはなくなっており、苦渋の決断を下したことが強調されている。

また、ドラマオリジナルの要素として、マーリーンはエリーのナイフを釈放する前のジョエルに渡す。アンナからエリーへ、エリーからジョエルへ。全てを見てきたマーリーンの視点では、このナイフは“残されたもの”に託されていくことになる。そしてマーリーンは、そのナイフは自分ではなく、ジョエルが持つべきだと考えたのだろう。ここにもマーリーンの複雑な心境が見て取れる。

ラストステージ「医療施設」

病院の外に連れて行かれる道中で、ジョエルはもちろん反撃。ラストステージ「医療施設」が幕をあける。ゾンビものの要素がありながら、最後の敵が同じ人間というのが、『ラスアス』の見どころの一つだ。ゲームと同じ激しい銃撃戦が繰り広げられるが、ドラマでは敢えて暗い音楽とゆったりとしたカメラワークで、人類を犠牲にしてでも大切な人を助けに行くジョエルの悲壮な戦いが描かれる。

ドラマの全9話を通して観ると、ジョエルは最初に軍人からサラを助けることができず、そのトラウマからエリーの危機に動けなくなることもあった。だがこの場面では、同じ過ちを繰り返すまいと、立ちはだかる人々をすべて排除して突き進んでいく。第1話で兵士を殺したことを引きずっていたジョエルの姿はもうない。

鬼と化したジョエルの“虐殺”がダイジェストで描かれると、ジョエルは小児外科へと辿り着き、医者をも排除してエリーを助け出す。麻酔を投与されるシーンが入っているのがミソで、エリーはしばらく起きるないということが示されている。

そして駐車場でマーリーンと出くわすのだが、ゲーム版ではエリーはこの荒廃した世界では遅かれ早かれ死ぬと説得するのに対し、ドラマ版では「エリーは成長する。あなたは死ぬか、去られる」と、エリーとジョエルの関係に言及している。シーズン2への布石になるであろうセリフだ。

また、マーリーンは「きっとエリーは正しい行いを望む」とも言うが、ここでゲームと同じように、ジョエルが車を運転するシーンに切り替わる。元々ゲームでもこのシーンは非常にシネマティックな演出になっており、ジョエルの嘘をバックに起きた現実が映像で流れていく。

ジョエルは、検査の結果、免疫を持つ人間が他にも何十人もいたが誰の免疫も活用できず、治療法の開発をやめたと話す。「誰の免疫も活用できず」という部分がドラマオリジナルの説明になっている。円満で別れたはずなのに服が手術衣のままという点についても、盗賊が来たという設定を付け加えている。

また、エリーの「マーリーンは大丈夫?」というゲームにはなかった問いには答えず、「今は帰り道だ。すまない」という原作通りのセリフに戻っている。その後のエリーを車に乗せ、命乞いをするマーリーンに「また追ってくるだろ」と言い発砲するシーンはアングルまでゲームの完全再現になっている。

嘘と誓い

トミーの町があるワイオミングまで来たが車が故障し、二人は歩くことに。エリーは感染者に噛まれた腕の傷跡を見ているが、このシーンは続編の制作が決定していなかったゲーム版では傷口が悪化しているという演出になっている。せっかくエリーを助けたのに、症状がゆっくりと進んでいることを示唆するラストだったのだが、ドラマ版ではこの描写は無くなっている。エリーはただ傷跡を指でなぞるだけだ。

ジョエルは、娘のサラが山登りが得意だったこと、エリーと気が合ったであろうと話すのは原作を踏襲しているが、「なぜ」を説明して、サラ愛を爆発させるのはドラマオリジナルのセリフだ。ジョエルは、全てを犠牲にしてでもエリーを助けたことによって、サラを失ったトラウマから解放されたと見ることができる。今まで自ら触れることのなかった過去を笑顔で語ることができるようになったのだ。

二人がジャクソンシティの近くに辿り着くと、最後の会話シーンが始まる。エリーはライリーのことを明かし、「一緒におかしくなろう」と約束し、発症したライリーを殺したことを明かす。ゲームでは自ら手を下したとは言っていなかった。旅の途中で亡くなったテスとサムの名前も挙げるが、これを遮るようにジョエルは、「全てが終わったように感じて何をすべきか見失う」こともあるとした上で、「進み続ければ戦う目的が見つかる」と諭す。

これはジョエル自身の経験であり、サラを失っても生き続けたことでエリーと出会い、エリーという戦う目的ができたということを言っているのだ。大事な人たちの死を乗り越えても大きな目的を達成できなかったエリーに、その教訓を伝えようとしているのだが、エリーからすれば、そう言えるのは「どうしようもない現実」が本当に存在してこそだ。

だからエリーは、事実を知らなければならない。ファイアフライの話は全部本当だということを誓うよう求め、ジョエルがこれに「誓う」と答えると、エリーのまっすぐな瞳と「分かった」という言葉でドラマ『THE LAST OF US』シーズン1最終回第9話は幕を閉じる。エンディングで流れる曲は、原作ゲームと同じくグスターボ・サンタオラヤが作曲した「The Path (A New Beginning)」になっている。

ドラマ『ラスアス』シーズン1最終回第9話感想

ドラマ版が明確にした立場の違い

ドラマ『THE LAST OF US』シーズン1が完結。ゲームと同じくなんとも言えないラストを迎えた。しかし、ゲームでは一部を除いてジョエル目線で進むため、ジョエルの最後の決断に感情移入しやすい作りになっていたように思える。一方でドラマ版では、エリー目線の物語も多く描かれており、「残されたもの」として何も達成することができなかったエリーの抱える痛みもよく分かる作りになっていた。

それに、第3話ではビルとフランクという「残されたもの」ではなく、「去ったもの」の視点も描かれた。テスやアンナも「去ったもの」だが、同時に彼女らは「残されたもの」に自分が果たせなかったことを「託したもの」でもある。

「THE LAST OF US=残された私たち」の物語を描くにあたって、「残されたもの」に何かを託した側のストーリーも描くことで、「託されたもの」としての個々のキャラクターの立場が鮮明になっていく。『ラスアス』の登場人物たちは、死と隣り合わせのポストアポカリプスの世界で、誰もが“なんとなく”ではなく、使命や思いを託し託され生きている。

だからこそ、最後にはジョエルとエリーの立場の違いが際立つのだ。ジョエルはサラと自分自身に向き合い贖罪を果たしたが、エリーにはアンナやライリーといったジョエルが知らない部分も含めて、背負っている過去がある。また、マーリーンの死というのは、エリーにとってはまたも自分を守るために誰かが死んだということを意味する。

皮肉にも、ジョエルは最後に「進み続ければ、戦う目的が見つかる」という言い方で、ファイアフライが掲げた「闇の中にいる時こそ、光を探せ」という標語を踏襲している。第9話タイトルの「光を探せ」に繋がる言葉だ。ジョエルの決断と嘘は、シーズン2の展開にどのような結果をもたらすのだろうか。エリー役のベラ・ラムジーは、シーズン2は「違うものになる」と撮影に向けての意気込みを語っている。

シーズン2は2023年中の撮影開始が見込まれており、2025年頃の配信が見込まれる。一方で、製作を担当ソニー・ピクチャーズ テレビジョンはドラマ作品の制作期間の短縮を表明しているので、思っているより早い時期に登場する可能性もある。

ゲーム作品実写化の一つの解

それにしても、ドラマ『THE LAST OF US』シーズン1の配信期間は、素晴らしい体験ができた9週間だった。ゲームプレイ済みで次の展開が分かっていても、毎週異なる監督によってハイクオリティに仕上がった映像作品を観る体験は何物にも代え難い。

ドラマ版『ラスアス』によって、ゲーム作品を実写作品として映像化することについて、一つの答えが提示されたと言える。それは、ストーリーテリングに10時間近く費やせるドラマとして実写化することが最適解だということだ。この点については、こちらの記事で詳しく解説している。

最終話でもアンナがナースだったという原作の設定をドラマで語ることなく流用することで、ドラマとゲームが相互補完の関係にもなっていた。今後もドラマ『ラスアス』のスタイルを踏襲する実写作品が登場することを願ってやまない。むしろそれに成功したニール・ドラックマンやクレイグ・メイジン、ソニー・ピクチャーズ テレビジョンが今後ゲーム実写の名手として活躍する展開にも期待したい。

唯一、ゲームファンが惜しんだかもしれない点は、クリッカーやブローターといった感染者の登場がほとんどなかった点だろう。人間ドラマ優先ということもあるのだろうが、予算上の都合もあると考えられる。報道では、1話あたりに10億円以上の制作費が費やされており、主演のペドロ・パスカルのギャラは1話あたり6,000万円以上とされている。

終末世界のセットに加えて、特殊メイクやVFXに投じる予算は残っていなかったのかもしれない。しかし、『ラスアス』は米国では毎週視聴者数が増えていく異例の大ヒットを記録した。シーズン2で予算が増えるとすれば、感染者の登場は多くなるかもしれない。人間中心に描かれたシーズン1のままでいい気もするが……。

一躍人気ドラマシリーズとなった『ラスアス』。シーズン2はどれほど完成度を見せてくれるのか、配信開始を期待して待とう。

なお、U-NEXTでは、山寺宏一をはじめとするゲーム原作の声優陣による日本語吹き替え版が順次配信中。字幕版の最終話配信開始時点で日本語吹き替え版は第5話まで配信されている。「ラスアスロス」に陥りそうな方は、こちらも楽しもう。

ドラマ『THE LAST OF US』シーズン1はU-NEXTで独占配信中。

原作ゲームの『The Last of Us』はPS5リメイク版が発売中。

『The Last of Us』と続編『The Last of Us II』はPS4でも発売中。

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ドラマ『THE LAST OF US』第8話のネタバレ解説はこちらから。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

第3話のネタバレ解説はこちらから。

第3話について監督が話した裏側はこちらの記事で。

公式からは第3話のイチゴのシーンが公開されている。キャストとプロデューサーが語った背景と合わせてこちらの記事で紹介している。

第4話のネタバレ解説はこちらから。

第5話のネタバレ解説はこちらから。

第6話のネタバレ解説はこちらから。

第7話のネタバレ解説はこちらから。

 

シーズン2決定の情報はこちらから。

シーズン2についてエリー役のベラ・ラムジーは、シーズン1とは「違うもの」として意気込みを語った。詳しくはこちらから。

シーズン2について製作陣が語った内容はこちらの記事で。

ジョエル役のペドロ・パスカルが主演を務める『マンダロリアン』シーズン3第1話のネタバレ解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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