『ザ・ボーイズ』『ラスアス』…新シーズンまでの期間を短縮へ ソニードラマ部門トップが宣言 | VG+ (バゴプラ)

『ザ・ボーイズ』『ラスアス』…新シーズンまでの期間を短縮へ ソニードラマ部門トップが宣言

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『ザ・ボーイズ』『ラスアス』制作会社の社長が重要発言

コロナ禍による劇場閉鎖などをきっかけに、全盛期を迎えている配信ドラマ市場。日本ではU-NEXTで、北米ではHBO Maxで配信されているドラマ『THE LAST OF US』(2023-) は、第3話が「ドラマの頂点」と称されるほどの高い評価を得た。

ディズニープラスでは次々とマーベルドラマや「スター・ウォーズ」ドラマが配信される中、Netflixでは『コブラ会』(2018-)、Amazonプライムビデオでは『ザ・ボーイズ』(2019-) などが高い評価を得てシーズンを更新し続けている。

ディズニープラスオリジナルのドラマ作品は、マーベル・スタジオやルーカス・フィルムといったディズニー傘下のスタジオが自前で制作を担っている。一方、『THE LAST OF US』『コブラ会』『ザ・ボーイズ』といった各プラットフォームで人気を集めるドラマ群の制作を手がけているがソニー・ピクチャーズ・テレビジョンだ。

ソニー・ピクチャーズ・テレビジョンの前身はコロンビア・トライスター・テレビジョン。ソニーによるコロンビア買収後、『ブレイキング・バッド』(2008-2013)、『HELIX -黒い遺伝子-』(2014-2015)、『フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ』(2017-2018)といったドラマ作品を世に送り出してきた。

2023年現在、ソニー・ピクチャーズ・テレビジョンの社長を務めるのはキャサリン・ポープ。『ザ・ボーイズ』シーズン3配信開始翌月の2022年8月より現職に就いている。そのキャサリン・ポープが、スタジオトップとして今後のドラマ制作に関する新たな方針を打ち出した。

ドラマ制作のプロセスを見直し

Deadlineのインタビューに登場したキャサリン・ポープは、現在躍進を続けているソニー制作のドラマシリーズについて、シーズンの間隔を短縮すると表明した。

今年、私が私自身とチームに課したことは、ドラマの前のシーズンから新シーズンまでの間に2年もかかってしまうやり方——これをスリップページ[訳注:顧客の注文レートと企業の約定レートの価格の間にタイムラグが原因で差が生じること]と呼ぶ人もいます——について検討することです。

1シーズンの制作サイクル全体が16ヶ月から2年に及ぶこともあり、これは8話〜10話の場合の話です。そうした番組は大作で、中には全エピソードが大作映画のような場合もありますが、同時にそれほどまで長い期間が開くことはファンにとっては良いことではありません。

プラットフォームにとっても、前のシーズンから2年も経ってから再度マーケティングを行わなければならないので不便ですし、プロデューサーとしても、まとまったタイムラインで物語を描けない番組を持つことは良いこととは言えません。クリエイターにとっても、各シーズンに多くの時間を費やすことになり、それは良いこととは思えません。

キャサリン・ポープは、シーズン間の時間短縮はあくまでも番組とクリエイター達を守るためだと付け加えている。クリエイターの労力と時間を一つのシーズンに費やし過ぎるわけにはいかず、クリエイターを失えば自分たちの基盤の部分を失うことになると、危機感も示している。

制作時間を短縮する方法としては、単に既存のスタッフの業務量を増やすのではなく、スタッフを増員して効率化を図り、キャストの待ち時間を短縮する方法も考えられる。果たしてソニーはどのような施作を取り入れるのだろうか。

メリットと懸念

Netflixの場合、ドラマの制作費と配信直後の視聴数/時間の比率をもとにシーズン更新を判断する。人気シリーズの打ち切りはもはや見慣れた光景になりつつある。だが、ソニーが手がけたHBOドラマ『THE LAST OF US』やAmazonドラマ『ザ・ボーイズ』では、最終話の配信を待たずに新シーズンへの更新が発表されている。

ルーカス・フィルム制作の「スター・ウォーズ」ドラマ『キャシアン・アンドー』(2022-) は、主演のディエゴ・ルナが「4本の映画」と称する通り、各話が「スター・ウォーズ」映画なみの力の入れようだった。同作は制作にじっくり2年をかけて良いものを作り出しているが、ソニーはディズニー傘下のスタジオとは異なる道を歩むようだ。

ドラマ制作が駆け足になることは、ストーリーテリングについては良い面もある。キャサリン・ポープが「まとまったタイムラインで物語を描けない」と指摘した通り、今のやり方ではシーズン毎に俳優の加齢に合わせて作中でも時間が経過したことにしなければならない。『ザ・ボーイズ』であれば、ホームランダーの息子ライアン役を演じるキャメロン・クロヴェッティの成長に合わせて物語を作らなければならないし、歳を取らない設定のストームフロントは人気キャラだったが早々に作品から退場している。

もちろん、クオリティ面やスタッフの過労などに懸念があることは確か。フェーズ4でハイペースで作品を配信したマーベル・スタジオから、VFX作業班の過労問題が噴出したことは記憶に新しい。ドラマ制作の時間管理にテコ入れするというキャサリン・ポープ体制下のソニー・ピクチャーズ・テレビジョン。新方針が吉と出るか凶と出るか、今後の経過を注視しよう。

『ザ・ボーイズ』はシーズン3までAmazonプライムビデオで独占配信中。

『THE LAST OF US』はU-NEXTで独占配信。

『ザ・ボーイズ』のスピンオフドラマ『GEN V(原題)』は2023年中に配信予定。詳しくはこちらから。

話題のドラマ『ラスアス』第3話のネタバレ解説はこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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