『マダム・ウェブ』からSSUはどのように変わっていく? ネタバレ考察&解説 | VG+ (バゴプラ)

『マダム・ウェブ』からSSUはどのように変わっていく? ネタバレ考察&解説

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スパイダーウーマン誕生の物語

『クレイヴン・ザ・ハンター』や『ヴェノム3』が公開される2024年。それらが属するSSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)の年とも言える2024年だが、その最新作の1つである『マダム・ウェブ』が2月23日(金・祝)に公開された。『マダム・ウェブ』ではスパイダーウーマンたちの前日譚が描かれることになる。

これまでヴィラン側を描くことが多かったSSUで、『マダム・ウェブ』はヒーロー側のキャラクターを描くことでSSUに新しい風を吹き込むことになる。本記事では『マダム・ウェブ』や今後のSSUの展開について考察していこう。なお、本記事は『マダム・ウェブ』のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『マダム・ウェブ』の内容に関するネタバレを含みます。

シニスター・シックス

ヴァルチャーによるチームアップ

『マダム・ウェブ』ではカサンドラ・“キャシー”・ウェブがマダム・ウェブとなり、スパイダーウーマンとチームアップするまでが描かれた。SSUにおいて、このチームアップは重要な意味を持つと考察できる。それは『モービウス』(2022)のポストクレジットシーンでヴァルチャーことエイドリアン・トゥームスがMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)からドクター・ストレンジの魔法でSSUにやってきた際の台詞から考察できる。

ヴァルチャーはマイケル・モービウスに対して「この件にはスパイダーマンが関係している」「チームを組めば面白くなる」と語った。ヴァルチャーの語るチームとはシニスター・シックスのことだと考察できる。シニスター・シックスはスパイダーマンを倒すためにヴィランたちが結成したチームで基本は6人組だが、シニスター・セブンやシニスター・トゥエルブ、果ては人数の制限を撤廃したシニスター・シンジケートと名乗っていた。

そのシニスター・シックスのメンバーがMCUとSSUで揃いつつある。1964年に結成された初代シニスター・シックスのメンバーはリーダーであるドクター・オクトパス、ミステリオ、エレクトロ、クレイヴン・ザ・ハンター、サンドマン、そしてヴァルチャーだ。

歴代「スパイダーマン」映画でのヴィランの実写化

『スパイダーマン2』(2004)でドクター・オクトパスことオットー・オクタビアスが、『スパイダーマン3』(2007)でサンドマンことフリント・マルコが登場した。サム・ライミ監督がメガホンをとった「スパイダーマン」三部作はアース96283での出来事とされる。『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)ではエレクトロことマックス・ディロンが登場している。この「アメイジング・スパイダーマン」シリーズはアース120703での出来事だ。

そしてMCUであるアース199999、もしくはアース616でヴァルチャーと、ミステリオことクエンティン・ベッグが登場した。SSUで2024年公開の『クレイヴン・ザ・ハンター』でクレイヴン・ザ・ハンターことセルゲイ・クラヴィノフが登場し、これによって初代シニスター・シックスのメンバーすべてが実写化された。他にもライノやカメレオン、ショッカーなどがシニスター・シックスに所属していた時期もあるが全員MCUとSSUで実写化されている。

アース96283、アース12070、MCUとそれぞれアースは異なっている。そこで重要になってくるのがソニーはスパイダーマンを「マルチバースを股にかけるヒーロー」にしたいという姿勢を取っていることだ。そのため、ヴィランがマルチバースを越えて『スパイダーマン:ノー・ウェア・ホーム』のときのように再集結する可能性がある。

『スパイダーマン:ノー・ウェア・ホーム』で治療されたヴィランや改心したヴィランはいる。だが、SSUはスパイダーマンのヴィランを主人公にした映画を撮影しているので、まだまだ再登場する可能性のあるヴィランは存在している。

スパイダー・ソサエティ

マダム・ウェブによるチームアップ

もし、シニスター・シックスが登場する場合、誰と戦うのかも重要になってくる。MCUのトム・ホランド版ピーター・パーカー/スパイダーマンが戦う可能性が高いが、『スパイダーマン:ノー・ウェア・ホーム』でトム・ホランド版ピーター・パーカーはすべてを失った。そのようなトム・ホランド版ピーター・パーカーがすぐにシニスター・シックスと戦うのは酷に思える。

そこで『マダム・ウェブ』で描かれたスパイダーウーマンたちの誕生がかかわってくると考察できる。キャシーは『マダム・ウェブ』で前述の通り、ジュリアたち3人のスパイダーウーマンとチームアップしており、キャシーの幻視を通してスパイダーウーマンたちが街の犯罪者と戦う未来が描かれた。つまり、キャシーがスパイダー・ソサエティを結成する可能性があるのだ。

実写版スパイダー・ソサエティ

スパイダー・ソサエティは『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2023)でも登場した次元を超えたスパイダーマンとスパイダーウーマンのチームで、蜘蛛のパワーをもったヒーローたちが所属している。『マダム・ウェブ』はマダム・ウェブとスパイダーウーマンの誕生を描いた前日譚というだけではなく、実写版スパイダー・ソサエティの前日譚でもあると考察できる。

ここでヴァルチャーの語っていた「この件にはスパイダーマンが関係している」「チームを組めば面白くなる」という言葉が効いてくる。キャシー率いるスパイダーマンの関係したチームがシニスター・シックスの暴走を止めるのかもしれない。

2003年の時点ではまだキャシーもジュリアたちもヒーローとして活動してはいないが、マイケル・モービウスがヴァルチャーと出会った2022年頃には既にヒーロー活動を開始していると考察できる。そのため、ヴァルチャー率いるシニスター・シックスとキャシー率いるスパイダー・ソサエティが衝突する可能性がある。今後のSSUではシニスター・シックスとスパイダー・ソサエティの戦いが描かれるのではないだろうか。

ヴェノムはどちら側か

リーサルプロテクター

そうなるとエディ・ブロックとヴェノムはシニスター・シックスとスパイダー・ソサエティのどちら側に立つのだろうか。おそらく、エディとヴェノムはスパイダー・ソサエティと同じ側に立つと考察できる。それはコミックでエディとヴェノムがリーサルプロテクターと名乗ってサンフランシスコでヒーロー活動をしていた時期があるからだ。この設定は映画「ヴェノム」シリーズの原案ともなっている。

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他にもヴェノムが寄生先をエディからピーター・パーカーの同級生で、従軍して足を失ったフラッシュ・トンプソンに変えた際には、ヴェノムは政府の命令で動くエージェント・ヴェノムというヒーローとなっていた時期もある。「ヴェノム」シリーズはSSUで唯一シリーズ化された作品だ。そのため、ヴェノムをヒーロー側に立たせることは容易に想像できる。

スパイダーマンは登場する?

ソニーとマーベルの意見の対立

シニスター・シックスとスパイダー・ソサエティが実写化されるとなれば、外すことが出来ないのがスパイダーマンの存在だろう。ここで問題になってくるのがソニーとマーベルの意見の対立だ。ソニーは『スパイダーマン:ノー・ウェア・ホーム』の成功を受け、スパイダーマンをマルチバースレベルのヒーローにしたいと考えている。それに対してマーベルは『エコー』(2023)の成功を受けてストリートレベルのヒーローに注力したいと考えている。

スパイダーマンはスパイダー・ソサエティなどマルチバースの設定を持つも、親愛なる隣人として貧しき人々を救うヒーローでもある。マルチバースレベルのヒーローであり、ストリートレベルのヒーローでもあるスパイダーマンはソニーとマーベルの間で揺れ動く状態になっているのだ。

アストラル体でマルチバースを繋ぐ?

『マダム・ウェブ』はピーター・パーカーの生まれ年をMCUでのトム・ホランド版ピーター・パーカーの2001年と異なる2003年に設定するなど、ピーター・パーカーの設定を曖昧にしていると思われる。それに加え、「ヴェノム」シリーズと同じユニバースだと明言された『モービウス』と異なり、『マダム・ウェブ』はSSUとされているが、ヴェノムとは時系列がことなるため、どのユニバースに属するのかは明らかにされていない。更に監督が独立した作品になる旨の発言をしたことを米Varietyが報じている。

もしかすると『マダム・ウェブ』は「ヴェノム」とは別のユニバースの作品なのかもしれない。そうなるとキャシーとスパイダーマンの繋がりが無くなってしまう。そこで活躍するのが、キャシーのアストラル体の分離(幽体離脱)の能力だと考察できる。

キャシーはアストラル体を分離させることで、複数の場所に同時に存在することが出来る。その能力を利用して別のユニバースや別の時間のスパイダーマンやピーター・パーカーと交信できる可能性が出てくると考察できる。トム・ホランド版ピーター・パーカー/スパイダーマンとアストラル体の関係はこちらが詳しい。

SSUの実写版スパイダー・ソサエティに期待

これまでSSUではスパイダーマンに登場するヴィランたちを中心に実写映画化してきた。十分なキャラクターを集めたことで、後はチームアップして戦うだけになったと考察できる。だが、戦うとなれば相手が必要だ。そのためヒーロー側も映像化することで善と悪の対立構造を描き、SSUを拡大していくのだと考察できる。

SSUは今後、Amazonプライム作品としてピーター・パーカーが放射性の蜘蛛に噛まれた日と同じ日に同じ蜘蛛に噛まれ、蜘蛛のパワーを持つようになったシルクの実写ドラマシリーズ『シルク:スパイダー・ソサエティ(原題:Silk: Spider Society)』が制作されること米Varietyが報じている。『シルク:スパイダー・ソサエティ』はそのタイトルからスパイダー・ソサエティがクローズアップされることが考察できる。

2024年にはまだ『クレイヴン・ザ・ハンター』と『ヴェノム3』の公開が控えている。特に『クレイヴン・ザ・ハンター』はヴィラン側の映画化作品であり、『アメイジング・スパイダーマン2』で実写初登場したライノと、クレイヴン・ザ・ハンターの弟であり初のスパイダーマンのヴィランであるカメレオンが登場する。スパイダー・ソサエティとSSUの拡大に期待していきたい。

『マダム・ウェブ』は2024年2月23日(金・祝)より劇場公開。

『マダム・ウェブ』公式サイト

Source
Variety/Variety

『マダム・ウェブ』ラストのネタバレ解説&考察はこちらから。

続編やスピンオフについての情報はこちらの記事で。

もう一人のシークレットキャラクター、メアリー・パーカーとその夫のリチャード・パーカーについての考察はこちらから。

マダム・ウェブの能力の解説と、スパイダーマンに繋がる要素の考察はこちらから。

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アーニャの背景と原作コミックの設定、今後についての解説&考察はこちらの記事で。

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映画『モービウス』ラストのネタバレ解説&考察はこちらの記事で。

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8月米公開予定のSSU映画『クレイヴン・ザ・ハンター』予告の解説&考察はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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