『マダム・ウェブ』で流れた音楽は? 2000年代を彩った名曲たち ネタバレ解説 | VG+ (バゴプラ)

『マダム・ウェブ』で流れた音楽は? 2000年代を彩った名曲たち ネタバレ解説

© 2024 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

アイコニックな楽曲によって鮮明になる『マダム・ウェブ』の世界観

SSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)の最新作である『マダム・ウェブ』が2024年2月23日(金)に全国公開された。そこでは時代設定に合わせた音楽が選曲され、『マダム・ウェブ』という作品の世界観を深めるものとなっていた。更にはその時代のアイコニックなミュージシャンの楽曲も登場し、観客をその時代へと引き込むものとなっている。

そのような『マダム・ウェブ』を彩った楽曲たちを紹介していこう。なお、本記事は『マダム・ウェブ』のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『マダム・ウェブ』の内容に関するネタバレを含みます。

2003年を彩った楽曲を紹介!

ヤー・ヤー・ヤーズ「マイルズ・アウェイ」(2003)

ダコタ・ジョンソン演じるカサンドラ・“キャシー”・ウェブが初登場した際に流れる楽曲がヤー・ヤー・ヤーズの「マイルズ・アウェイ」だ。「マイルズ・アウェイ」は劇中の時代設定が2003年ということを観客に印象付けている。また、ヤー・ヤー・ヤーズは2000年に結成されたニューヨーク市出身の3人組オルタナティヴ・ロック・バンドであり、舞台設定がニューヨークであることも観客に印象付けてくれる楽曲となっている。

「マイルズ・アウェイ」の歌詞では車の行き交う街の様子と、そこに現れた蜘蛛の眼差しを歌っている。「マイルズ・アウェイ」が流れた直後、キャシーは車ごと水中へと落下しているため、歌詞の内容とキャシーの置かれた状況がリンクしているのも選曲センスが光っている。

グラシエラ・オッドーネ「ラ・プルプラ・デ・ラ・ロサ: トゥ・エレス・ヴィーナス?」(2017)

タヒール・ラヒム演じるエゼキエル・シムズがNSA職員と知り合った劇場で流れていた楽曲が、グラシエラ・オッドーネの歌う「ラ・プルプラ・デ・ラ・ロサ: トゥ・エレス・ヴィーナス?」である。グラシエラ・オッドーネはアルゼンチンのクラシックソプラノ歌手で、1998年頃から活動している。そのため、録音されたのは2017年だがエゼキエル・シムズが2003年に鑑賞していたと考えられる。

「ラ・プルプラ・デ・ラ・ロサ」はトマス・デ・トレホン・イ・ベラスコが作曲したオペラだ。その内容はギリシャ神話の美の女神ヴィーナスとアドニスの愛の物語を歌っており、そこでは軍神アレスの嫉妬も歌われている。このオペラを鑑賞した後、エゼキエルは未来で自分を襲うことになる3人のスパイダーウーマンに恐怖とも、嫉妬とも取れる感情を抱いている。

ミスティーク「スキャンダラス(スターゲート・ラジオ・リミックス)」(2003)

シドニー・スウィーニー演じるジュリア・コーンウォールとセレステ・オコナー演じるマティ・フランクリン、イザベラ・メルセード演じるアーニャ・コラソンの3人がキャシーは帰ってこないと考えて、森から逃げ出すときに流れるのがミスティークの「スキャンダラス(スターゲート・ラジオ・リミックス)」だ。「スキャンダラス(スターゲート・ラジオ・リミックス)」は2018年の楽曲だが、リミックス元の「スキャンダラス」は2003年の楽曲である。

ミスティークは2001年から2005年までの間に活動したイギリスのガールズグループである。「スキャンダラス」はミスティークが発表した楽曲の中でもヨーロッパとオセアニアを中心にヒットした楽曲であり、イギリスでは19万5000枚を売り上げ、ミスティーク最大の売り上げを記録したシングルとなった。

メレディス・ブルックス「ビッチ」(1997)

ジュリアとマティ、アーニャの3人が4スター・ダイナーで食事をするときにメルディス・ブルックスの「ビッチ」が流れている。この4スター・ダイナーは『スパイダーマン』のコミックにも登場するダイナーであり、『マダム・ウェブ』における1つのイースターエッグとなっている。

他にも初めて3人をエゼキエルから救ったときはマティの口から叔父としてJ・ジョナ・ジェイムソンの名前が出ており、4スター・ダイナーでは後にピーター・パーカーの働くデイリービューグル紙を読んでいる男性も登場している。また、メルディス・ブルックスは1976年から2007年にかけて活動したアメリカのシンガーソングライターのギタリストである。「ビッチ」はグラミー賞にノミネートされ、多くの国のランキングでトップ10入りした。

ブリトニー・スピアーズ「トキシック」(2003)

ブリトニー・スピアーズの「トキシック」はダイナーで流れており、この楽曲に合わせて机の上でジュリアとマティ、アーニャの3人が踊っていた他、タクシーのラジオからも流れるなど2003年を代表するヒット曲として強く印象に残るようになっている。「トキシック」はその人気からブリトニー・スピアーズの4枚目のアルバム『イン・ザ・ゾーン』から2004年にシングルカットされている。

「トキシック」を踊る際にアーニャに対して「ブリトニーの歌詞全部知っているくせに」とマティが話している。「トキシック」とそれを歌うブリトニー・スピアーズが2003年のティーンエイジャーのアイコニックとして扱われている。

ティファニー「ふたりの世界」(1987)

キャシーがジュリアたち3人とモーテルに隠れ、心肺蘇生法や自身の出生の秘密について語ったときに流れるのがティファニーの「ふたりの世界」だ。原曲はトミー・ジェームス・アンド・ザ・ションデルズの「ふたりの世界」で、ティファニーが1987年にカバーしたことで人気が再燃した。

ティファニーの歌った「ふたりの世界」はビルボード・ホット・チャート100にて2週間連続で1位を獲得し、イギリスのシングルチャートでは3週間連続1位を獲得するなど絶大な人気を誇った。ティファニーの「ふたりの世界」をカバーしたのは15歳のときである。

クランベリーズ「ドリームス」(1993)

エンドクレジットで流されたのがクランベリーズの「ドリームス」で、歌詞の内容はキャシーの能力とその起源にぴったりのものとなっている。「ドリームス」はクランベリーズの代表曲であり、カバーしたミュージシャンも多数存在している。

クランベリーズは1989年に結成されたアイルランド共和国のロックバンドであり、政治色の濃い楽曲を発表することでも知られている。このように『マダム・ウェブ』は2000年代初頭にかけてヒットした楽曲を中心に構成されており、2003年のニューヨークが舞台であることがより伝わってくるセットリストとなっている。

また、ジュリアたち2000年代初頭のティーンエイジャーのアイコニックも多く登場し、当時を知る観客たちが懐かしい気分に浸れるようにもつくられている。楽曲に注目して『マダム・ウェブ』を観賞するのも面白いかもしれない。

映画『マダム・ウェブ』は2024年2月23日(金・祝) より劇場公開。

『マダム・ウェブ』公式サイト

映画『マダム・ウェブ』ラストのネタバレ解説&考察はこちらの記事で。

マダム・ウェブの能力の解説と、スパイダーマンに繋がる要素の考察はこちらから。

ベン・パーカー登場の意味と過去作での描かれ方の解説、今後についての考察はこちらから。

 

映画『モービウス』ラストのネタバレ解説&考察はこちらの記事で。

『ヴェノム3』と今後についてプロデューサーが語った内容はこちらから。

8月米公開予定のSSU映画『クレイヴン・ザ・ハンター』予告の解説&考察はこちらから。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』ラストの解説はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
お問い合わせ

関連記事

  1. ネタバレ解説 マダム・ウェブの能力とは スパイダーマンに繋がる伏線? ラストのアレの意味を考察

  2. 第三の目登場!『ドクター・ストレンジ MoM』から『ワンダヴィジョン』にもつながる新映像公開

  3. 『エターナルズ』エイジャックはどんな人?「能力は“ヒーリング”」演じたサルマ・ハエックが語る

  4. 『エターナルズ』セルシとイカリスが惹かれ合った理由とは “アップデート”の大切さを読み解く (ネタバレあり)