ネタバレ考察『ミズ・マーベル』第3話 『シャン・チー』との繋がりが示唆する『ザ・マーベルズ』への接続 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察『ミズ・マーベル』第3話 『シャン・チー』との繋がりが示唆する『ザ・マーベルズ』への接続

© 2022 Marvel

ドラマ『ミズ・マーベル』第3話冒頭に注目

ドラマ『ミズ・マーベル』はニュージャージ州ジャージーシティに住む16歳のカマラ・カーンを主人公に据えた作品。スーパーヒーローに憧れるカマラがスーパーパワーを手に入れ、ミズ・マーベルになっていく姿を描く。

カマラが最も憧れるのはキャプテン・マーベル。2023年7月28日(金) 米公開の映画『ザ・マーベルズ(原題)』は映画『キャプテン・マーベル』(2019) の続編で、カマラがメインキャラクターとして登場することも発表されている。

今後、MCUの中で中心的な役割を担っていくことが約束されているミズ・マーベル。第3話では他のMCU作品に繋がる決定的な描写が見られた。今回は、そのシーンをもとに、該当する過去作と『ザ・マーベルズ』へのつながりについて考察していこう。

 

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ミズ・マーベル』第3話、映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』の内容に関するネタバレを含みます。

『シャン・チー』との繋がり

もうご存知の方も多いかもしれないが、『ミズ・マーベル』がMCUの他作品と本格的にクロスオーバーしたのは第3話の冒頭でのこと。イギリス占領下にあった1942年のインドを舞台にした回想シーンで、ナジマ、ファリハ、サリーム、そしてカマラの曾祖母であるアイシャの4人がバングルを探す場面だ。

4人は、切断された右手にはめられたバングルを手に入れる。イギリス兵が近づいて来たところで映像が上空からの俯瞰に切り替わるのだが、4人の足下にははっきりとテン・リングスの紋章が刻まれている。

テン・リングスは、MCU第1作目の『アイアンマン』(2008) から登場しているテロ組織で、映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021) でテン・リングスの創始者ウェン・ウーが登場した。MCU初のアジア系単独主人公であるシャン・チーの父でもあるウェン・ウーは、1,000年以上前に不思議な力を持つ腕輪=テン・リングスを手に入れ、以降、その力を使ってテン・リングスという名の組織を結成し、闇社会からアジアを手中に収めていった。

『シャン・チー』までにMCUで描かれたテン・リングスの姿はこちらの記事にまとめている。

バングルとテン・リングスのルーツは同じ?

インドの遺跡のような場所にテン・リングスの紋章自体は不思議なことではない。紋章には中国語が記されており、ウェン・ウーが作った紋章であることは明白だし、アジアで勢力を広げていたテン・リングスはインドでもそのサインを残していたのだろう。

問題は、『ミズ・マーベル』でカマラに力を与えたバングルがテン・リングスに関連する場所で発見されたことだ。この事実は、バングルと『シャン・チー』でウェン・ウーに力を与えたテン・リングスのルーツが同じということを意味するのではないだろうか。勢力の拡大を目論むウェン・ウーは新たにテン・リングスのようなアイテムを発掘しようと、遺跡を縄張りにしていたのかもしれない。

『シャン・チー』では、アイテムの方のテン・リングスのルーツが明かされることはなかった。それでも、映画の冒頭では、ウェン・ウーがテン・リングスを見つけた場所は、1,000年以上前に火山で発見したとも墓から盗んだとも言われていると紹介された。『ミズ・マーベル』では、ナジマらは遺跡のような場所で青い右腕にはめられたバングルを見つけている。

クリー人の技術?

バングルのルーツに関するヒントは、この青い腕だけだ。明らかに地球人のそれではない。この青い皮膚が示唆するのは、バングルは元々クリー人のものだったという説である。

『キャプテン・マーベル』で登場したクリー人は、元々地球人だったキャロル・ダンヴァースと、ピンク色の肌を持つピンク・クリーである司令官のヨン=ログ(ジュード・ロウ)を除いて青い肌をしていた。

回想シーンの後、ナジマは自分がたちが元にいた世界を“ヌール・ディメンション”だと明かす。ヌールとは光のことで、ミズ・マーベルが“硬い光”を使えるのもカマラの中にあるヌールの力。バングルはあくまでその力を引き出すアイテムだが、クリー人の技術がそれを可能にしたのではないだろうか。

ター・ローとヌール・ディメンション

テン・リングスとバングルの使い手にはいくつかの共通点がある。ウェン・ウーが使いこなしていたテン・リングスは、息子のシャン・チーの方が適性があり、最終的にはシャン・チーが操るようになる。シャン・チーは母がター・ローの村の人物で、父が一般的な地球人だと考えられる。

一方、カマラは母方がヌール・ディメンションの血筋であることが明かされた。父方は一般的な地球人だと思われ、故にヌール・ディメンションを追放されたジンたちと違い、地球においてもヌールの力を発揮できると『ミズ・マーベル』第3話で説明されている。

つまり、シャン・チーもカマラ・カーンも別のディメンションと私たちのディメンションの双方のルーツを持つ人間であり、テン・リングスとバングルというアイテムによってその力がアクティブになったという共通点がある。

フェーズ3中盤まで白人男性のキャラを中心に進められて来たMCUだが、フェーズ4ではアジアにルーツを持つ二人をメインに立てて、より大きな物語を展開していく可能性は十分にある。その二人の力を引き出すテクノロジーが共にクリーにあったとしてもおかしくはないだろう。

キャプテン・マーベルが知らない技術

一方で、映画『シャン・チー』のポストクレジットシーンでは、解剖されたテン・リングスを見たキャプテン・マーベルは「こんな技術は見たことない」と言っている。このセリフは、英語では「Not like any alien tech I’ve seen.」となっており、「異星の技術でも見たことない」と言っていることがポイントだ。つまり、クリー人と共にいたキャプテン・マーベルでも見たことのない技術だということである。

このセリフは、ブルース・バナーの「ヴィブラニウムでもチタウリでもなさそうだ」というセリフを受けてのもの。ブルースは素材と技術の話をしているのだが、キャロルは技術の話しかしていないというのもポイントだ。

「異星の技術でも見たことない」と言った直後、キャプテン・マーベルはシャン・チーに「お父さんはいつこれを?」と尋ねる。「1,000年くらい前」という答えに、ウォンは「もっと古そうだ」と意見し、テン・リングスのルーツの“古さ”への言及が続く。

これらのやり取りから導き出せるのは、バングルとテン・リングスは共にクリーの技術だが、それはキャロルが知らない古代クリーの技術だという説だ。『シャン・チー』のポストクレジットにキャプテン・マーベルを登場させ、あえてテン・リングスについて「知らない」と言わせ、発見された時期を聞かせた理由があるとすれば、キャプテン・マーベルは知らないが、関係はある技術だと匂わせたと考えるのが理にかなっている。

答えは『ザ・マーベルズ』で?

以上の考察が合っているかどうかはまだ分からないが、ポイントをまとめると以下のようになる。

① バングルがテン・リングスの関連施設で発見されたこと
② ガジェットにより力を発揮したカマラもシャン・チーもルーツが別のディメンションにあること
③ クリー人に近いキャプテン・マーベルがテン・リングスの技術を見たことないと言いつつ、発見された時期を気にしていたこと

キャプテン・マーベルが最後に登場した『シャン・チー』は2023年4月が舞台。『ミズ・マーベル』の舞台は2024年6月と予測でき(『ミズ・マーベル』のタイムラインの解説記事は後日公開予定)、既に1年2ヶ月が経過している。『ミズ・マーベル』第1話ではキャプテン・マーベルは東京にも現れたとされており、精力的に活動していることもうかがえる。

この1年2ヶ月の間でキャプテン・マーベルがテン・リングスの調査を進めているところに、また新たに力を持つバングルが現れたのだとすれば、その物語は映画『ザ・マーベルズ』に繋がっていきそうだ。

また、キャプテン・マーベルとミズ・マーベルと共に『ザ・マーベルズ』に登場するモニカ・ランボーは、ドラマ『ワンダヴィジョン』(2021) でスーパーパワーを得て、今は宇宙にいるはず(『ワンダヴィジョン』最終話参照)。『ザ・マーベルズ』が古代クリーを巡る物語になっても不思議ではない。

同時に、『ザ・マーベルズ』はイギリスで撮影が行われていた。『ミズ・マーベル』ではもう一つのバングルをイギリス軍が略奪したと結論づけられていた。イギリスに眠るもう一つのバングルを巡る物語は、『ザ・マーベルズ』で描かれるのか、あるいは『ミズ・マーベル』で描かれるのだろうか。

また、テン・リングスの覚醒を察知したウォンや、ロンドンに拠点を置くムーンナイトらの登場にも期待したい。久しぶりにワクワクするクロスオーバーを見せてくれそうな『ミズ・マーベル』。今後の展開も注視しよう。

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ドラマ『ミズ・マーベル』は2022年6月8日(水) より、Disney+で独占配信。

『ミズ・マーベル』(Disney+)

Source
Marvel.com / Character Media

第4話では新監督と新キャストに注目。詳しくはこちらから。

第4話のネタバレ解説はこちらから。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

第3話のネタバレ解説はこちらから。

マーベル公式が明かしたブルーノとカマラの関係についてはこちらから。

撮影中にドラマ『ワンダヴィジョン』を観た主演のイマン・ヴェラーニをケヴィン・ファイギが注意した理由はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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