『ミズ・マーベル』第4話はアラミス・ナイトとパキスタンのフェミサイドを描いた監督に注目 | VG+ (バゴプラ)

『ミズ・マーベル』第4話はアラミス・ナイトとパキスタンのフェミサイドを描いた監督に注目

© 2022 Marvel

ドラマ『ミズ・マーベル』がアツい

ドラマ『ミズ・マーベル』はMCUドラマ最新作。ニュージャージー州のジャージーシティで暮らす16歳の主人公カマラ・カーンが、ある日バングル(腕輪)を手に入れたことをきっかけにスーパーパワーに目覚める。

マーベル初の女性でムスリムの主人公として知られるカマラ・カーンを演じるのは、2002年生まれのイマン・ヴェラーニ。オーディションを通して同役を勝ち取ったことで知られ、熱心なマーベルファンでもある。

第4話にはアラミス・ナイトとファラウト・アクタルが登場

そんな『ミズ・マーベル』は第4話より、全6話の後半戦に突入する。米マーベル公式は第4話の公式クリップを公開。その一端が明らかになっている。

「観光客は立ち入りを許されていない」という何かの施設に入るカマラと、赤いバンダナを口元に巻いた青年。カマラは第3話でブルーノに貰ったマスクをつけている。

バンダナを取った青年を演じているのは俳優のアラミス・ナイト。1999年生まれの22歳、ロサンゼルス生まれで、父がパキスタンとインドの家系で、2005年頃から子役として活躍している。映画『ダークナイト ライジング』(2012) には、セリーナ・カイルに助けられる少年の役で出演している。近年はドラマ『バッドランド〜最強の戦士〜』(2015-2019) にMK役でレギュラー出演していた。

『ミズ・マーベル』でアラミス・ナイトが演じるのはカリーム役とされている。本作の後半戦にどのような刺激をもたらしてくれるのか、注目しよう。

そして、動画の後半で「アイシャの子孫であれば別……」と語りながら入ってくる人物は「ワリード」と名乗る。演じるのはボリウッドで俳優・監督・プロデューサーとして活躍するファラウト・アクタル。映画『ガリーボーイ』(2019) のプロデュース、「ドン」シリーズの監督・脚本などで知られる。1974年生まれ、48歳のファラウト・アクタルは、『ミズ・マーベル』への出演でハリウッドデビューを果たす。

ワリードはカマラに「あなたの曾祖母の物語は伝説だ。用意ができたら話すことは山ほどある」と告げ、このクリップは幕を閉じる。

シャルミーン・ウベード=チナーイ監督に注目

舞台も新たに新キャストが登場する『ミズ・マーベル』第4話だが、エピソード監督にも注目したい。第1話はアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラー監督が、第2話と第3話はミーラ・メノン監督が手掛けてきたが、第4話と第5話はシャルミーン・ウベード=チナーイ(シャルミーン・オベイド・チノイ)監督が手がける。

パキスタン初のアカデミー賞受賞者であり、マーベル初のパキスタン系監督になるシャルミーン・ウベード=チナーイ監督。カラチは第3話のラストではカマラがパキスタンのカラチに招待されているが、同監督もカラチ生まれだ。

シャルミーン・ウベード=チナーイ監督は、Netflix配信の短編アニメ『シターラ:夢を抱け、少女たち』(2020) や、映画『ソング・オブ・ラホール』(2015) などの記録映画で知られ、『セイビング・フェイス 魂の救済』(2012) と『川の少女』(2015) で二度、アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞を受賞している。

『セイビング・フェイス 魂の救済』は、女性が男性から顔に酸をかけられるなど、顔を傷付けられる事件が多発するパキスタンで、ある医師が被害女性の治療にあたる姿を追ったドキュメンタリー。『川の少女』が題材にしたのは、「一家の名誉のために」と男性が女性を殺す“名誉殺人”が横行するパキスタンで、家出をした少女が父と叔父に銃撃され、袋に詰められて川に捨てられた事件。一命を取り留めた少女の姿が描かれる。

『川の少女』のアカデミー賞受賞によってパキスタンで横行する“名誉殺人”は国際的な批判を呼び、ようやくパキスタン議会は名誉殺人を重罪とし、殺人犯が無罪放免とならないよう法の抜け穴を閉ざす改革に乗り出した。人権団体のヒューマンライツ・コミッション・オブ・パキスタンの調査によると、『川の少女』が公開された2015年に親族に殺害された女性は1,100人にのぼる。

『ミズ・マーベル』最終話の第6話では、第1話のアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラー監督が再び指揮をとる。フェミサイド(女性を標的にした殺人)を含む女性へのヘイトクライムを題材に映画を撮ってきたシャルミーン・ウベード=チナーイ監督は、『ミズ・マーベル』第4話と第5話でどのような物語を描くのか、注目しよう。

『ミズ・マーベル』第4話のネタバレ解説はこちらから。

シャルミーン・ウベード=チナーイ監督はカマラが「アイデンティティを巡る旅」に出ると話している。詳しくはこちらの記事で。

『ミズ・マーベル』の原作コミック日本語版は、ヴィレッジブックスから発売中。

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ドラマ『ミズ・マーベル』は2022年6月8日(水) より、Disney+で独占配信。

『ミズ・マーベル』(Disney+)

第3話のネタバレ解説はこちらから。

第3話に登場した映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』

第1話のネタバレ解説はこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

 

マーベル公式が明かしたブルーノとカマラの関係についてはこちらから。

撮影中にドラマ『ワンダヴィジョン』を観た主演のイマン・ヴェラーニをケヴィン・ファイギが注意した理由はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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