『ミズ・マーベル』主演俳優のマーベル愛
ドラマ『ミズ・マーベル』が好調だ。2022年6月8日(水)より配信を開始した本作は、第2話までファンと批評家の双方から高い評価を受けている。その人気を牽引しているのはもちろんMCUの新たなスターになりつつある主演のイマン・ヴェラーニだ。
ニュージャージー州ジャージーシティに住むパキスタン系の高校生カマラ・カーンを演じるイマン・ヴェラーニは、2002年生まれの19歳。映画『ドクター・ストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス』(2021) でアメリカ・チャベスを演じて脚光を浴びた16歳のソーチー・ゴメスと並び、新時代のMCUを背負って立つ人物になるだろう。
イマン・ヴェラーニが『ミズ・マーベル』で演じるカマラは、根っからのスーパーヒーローオタクという設定。イマン・ヴェラーニ自身もマーベル・コミックスとMCUの大ファンであり、カマラのキャラクター造形はイマン・ヴェラーニ自身と重なる部分が多い。
イマン・ヴェラーニがケヴィン・ファイギに怒られた理由とは
そんなイマン・ヴェラーニについて、ドラマ『ミズ・マーベル』の撮影期間中の興味深いエピソードが米マーベル公式で明かされている。
『ミズ・マーベル』の収録が行われていた時期は、ちょうどDisney+配信のMCUドラマ第1弾『ワンダヴィジョン』(2021) が配信されている時期だったという。カマラの母ムニーバを演じたゼノビア・シュロフは、こんなエピソードを明かしている。
彼女は撮影の合間にiPadを使っていたんですが、『ワンダヴィジョン』の配信が始まり、観たものに興奮しすぎて大声で「えぇ!?」と言って床に倒れ込んでしまったんです。どのシーンだったのかは分かりませんが、私は彼女が作品を観るのを邪魔したくありませんでした。彼女は本当に興奮していましたよ。ファンガールなんです。
カマラの兄アーミルを演じたサーガル・シェイクは、その話にこんなエピソードを付け加えている。
秘密を言いましょうか。ケヴィン・ファイギは彼女がスマホで『ワンダヴィジョン』を観たと知って怒ったんです。「あれはスマホ用じゃない、テレビで観て!」ってね。
仕事が終わるのを待ちきれず、撮影の合間にタブレットやスマホのような携帯端末で『ワンダヴィジョン』を観ていたイマン・ヴェラーニ。マーベス・スタジオ社長のケヴィン・ファイギがそんな彼女を叱った理由は、“テレビ画面で観てほしかった”というものだった。いち早く観たい熱心なファンと、一番良い環境で観てほしい熱心な作り手の衝突という感じがする。
それにしても、クリストファー・ノーラン監督のように、映画は劇場で観てほしいと望む映画監督は珍しくないが、ケヴィン・ファイギはMCUのドラマシリーズをテレビ画面で観てもらいたいと思っていたようだ。それでも、イマン・ヴェラーニのようなZ世代がスマホやタブレットでドラマを楽しむと知り、考え方が少し変わったのではないだろうか。
ケヴィン・ファイギに72の質問
実はこのエピソードには前振りがある。オーディションでカマラ役を勝ち取ったイマン・ヴェラーニは、仕事を始める前にケヴィン・ファイギへ72の質問を4ページにまとめたリストを提出していたという。そしてリストが手渡された翌日のZoomミーティングでは、ケヴィン・ファイギはイマン・ヴェラーニにリストの最初の40問に回答したそうだ。
ケヴィン・ファイギは、イマン・ヴェラーニがMCUのナンバーワンファンであることを知っていたからこそ、『ワンダヴィジョン』のベストな視聴環境を助言したのだろう。彼女のMCUへの愛は、他のキャストと製作陣の話からも明らかだ。
マーベル公式によると、イマン・ヴェラーニは撮影が始まったばかりの時に、他のキャストに『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』と『アベンジャーズ/エンドゲーム』のどちらが好きかという質問をしていたという。カマラの兄アーミルを演じたサーガル・シェイクは「あれは私が彼女のお眼鏡にかなうかどうかのテストだったんです」と振り返っている。
一方で、イマン・ヴェラーニはファンの鏡ともいえる“規範”を持ってもいる。彼女は決して全てのMCU作品を観るよう他のキャストに強制することはなかったという。カマラの親友ナキアを演じたヤスミーン・フレッチャーは、こう語っている。
彼女は自分がどれだけMCUを愛しているかということに対して誇りを持っています。ですから、それを他の人に広める必要はないんです。その点はハッキリしていましたね。MCUについての知識の深さに確信があるんです。
製作陣が語るイマン・ヴェラーニ
イマン・ヴェラーニはただMCUのファンというわけではない。ドラマ『ミズ・マーベル』の製作にあたっては、MCUを深く知るイマン・ヴェラーニのアイデアが生かされているという。彼女はいつも現場に質問や提案を書き連ねたノートを持ってきていたそうだ。リード監督の一人であるアディル・エル・アルビは、マーベル公式にこう話している。
私達は彼女のアイデアに賛同しているので、必ずしも挑戦的だったというわけではありません。彼女がやりたいと思ったことは全てやりたかったんです。それよりもケヴィンが「落ち着いて、落ち着いて」という感じでしたね。“賢明な伯父さん”という立場で、「わかった、みんな落ち着いて。全部やるんじゃなくて、少しだけやろう」って(笑)
社長のケヴィン・ファイギが自らブレーキをかけるほど、『ミズ・マーベル』の制作の中心にイマン・ヴェラーニがいたことが明らかになっている。また、本作の脚本を手掛けて制作をリードしたビシャ・K・アリはイマン・ヴェラーニのことをこう評している。
実際には、それはマーベルに関することだけでなく、一般的に彼女にはクリエイティブなマインドがあったということです。彼女は成熟しているんです。彼女がこの業界にいたいと思っていて、それをうまく実行することができています。私たちにとって幸運だったのは、彼女がマーベルに夢中で、マーベルを愛していたということです。
その全てが彼女にこの役を演じ、体現する力を与えているのでしょう。それだけでなく、このキャラクターと共により大きなユニバースで未来をナビゲートする力も与えているのだと思います。彼女は本当にアーティストだと思います。アーティストが100万ものアイデアを持ってプロジェクトに参加するということは(普通は)ありえないのですが。
製作陣も一目置くイマン・ヴェラーニがリードするドラマ『ミズ・マーベル』。物語は2023年7月28日(金)米公開予定の映画『ザ・マーベルズ(原題)』に繋がっていくことは確定している。ビシャ・K・アリの言うとおり、より大きな世界で輝くニュースターの活躍に期待しつつ、『ミズ・マーベル』の今後の展開を見守ろう。
第1話と最終話で監督を務めるアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラーは、脚本にも若いキャストの意見を取り入れたことを明かしている。詳しくはこちらの記事で。
『ミズ・マーベル』の原作コミック日本語版は、ヴィレッジブックスから発売中。
ドラマ『ミズ・マーベル』は2022年6月8日(水) より、Disney+で独占配信。
Source
Marvel.com
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