『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』最終話第10話 ゴジラ再来 感想&考察 ネタバレ解説 | VG+ (バゴプラ)

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』最終話第10話 ゴジラ再来 感想&考察 ネタバレ解説

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モンスター・ヴァース映画作品へとつながる物語

「ゴジラ」シリーズ70周年記念作品である『ゴジラxコング:新たなる帝国』が全米公開日も当初の2024年4月12日(金)から2週間前倒しの2024年3月29日(金)に変更されるなど、ユニバース全体に注目の集まるモンスター・ヴァース。その中でも人間ドラマに主軸を置き、怪獣(タイタン)を再び災害や戦争の脅威として描き直したのがモンスター・ヴァースのドラマ最新作『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』だ。

2023年末からはじまった『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』だが、その最終話「論理を超えて」が2024年1月12日に配信開始された。そのような注目度の高い人間ドラマである『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』最終話「論理を超えて」について感想と考察をしていこう。なお、本記事では『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』最終話「論理を超えて」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』の内容に関するネタバレを含みます。

ゴジラと人間ドラマ

祖母との再会

地底世界へ迷い込んでしまったアンナ・サワイ演じるケイト。ケイトを小型の怪獣(タイタン)から救ったのは数十年前に死亡したはずの祖母の山本真理演じるケイコ・ランダだった。その姿は若々しく、ワイアット・ラッセル演じる若き日のリー・ショウが体験したのと同じく地底世界と地上世界の時間軸のずれを感じさせる。

ここでケイコがビリーも一緒かどうか尋ねるが、このときケイコが考えているビリーはアンダース・ホルム演じるウィリアム・“ビリー”・ランダだ。しかし、特別研究機関MONARCHの創成期メンバーで唯一地上に残ったビリーは年を取り、地球空洞説に取り憑かれたジョン・グッドマン演じるビルとなっている。それからビルは年を取ってもなお髑髏島の探索を続け、命を落としたことを考えるとケイトが何も言えなくなる気持ちが考察できる。

ヒロシの実験

2015年、東京のヒロシのオフィス。渡部蓮演じるケンタロウは父親である平岳大演じるヒロシに何故世界各地を飛び回っていたのか尋ねる。ヒロシの目的は怪獣出現時に生じる亀裂を介して地底世界と地上世界を繋ぎ、地球空洞説を立証することだった。

ヒロシにとって、この壮大な実験はケイコとビリーという両親の仮説を立証するには必要不可欠であり、ヒロシは何としても両親の仮説を証明したがっていた。ヒロシは地球空洞説とそれを介したネットワークが立証されれば、サンフランシスコにゴジラが襲撃したG-Dayを未然に防げたと解説する。

すべてを特別研究機関MONARCHの責任にし、ケイトを喪った悲しみも特別研究機関MONARCHの責任とするヒロシに怒りを覚えるケンタロウ。それでもヒロシはケンタロウに怪獣(タイタン)との共存により、怪獣(タイタン)災害を抑えようと語る。

しかし、ケンタロウは二重生活のことも他人の責任かのように振る舞うヒロシの姿に失望し、これは家族ではなく抜け殻と称してオフィスを後にした。それもそのはず、二重生活で二つの家庭を持っていたことは特別研究機関MONARCHのせいではないし、この問題は世界各地を飛び回る中でヒロシが撒いた種だ。

長すぎた別れ

ケイトのことを自身の信号を捕捉して救助しに来た特別研究機関MONARCHのメンバーだと思っていたケイコに、ケイトは自分のことを打ち明けようとする。その瞬間、木々が動く音がすると、そこにはカーシー・クレモンズ演じるメイがいた。メイとの合流を喜ぶケイト。だが、メイもまたケイコの姿をみて驚くのだった。

そこにカート・ラッセル演じる現代のリーも合流しようとするが、年月を経て変わってしまった容姿から姿を現せずにいる。ケイコの計算では地底世界に落ちてから57日経過したとのことだが、地上世界ではそれよりも遥かに長い時間が流れている。事実、ケイコが地底世界に落ちたのは1959年のカザフスタンだが、リーが偵察隊を率いて地底世界に侵入する砂時計〈アワーグラス〉作戦を実行したのは1962年のアメリカ合衆国カンザス州だった。

リーは自分が砂時計〈アワーグラス〉作戦で地底世界にわかっているだけで約1週間滞在しただけが、地上は1982年になっており20年間消息不明だったことを明かす。そしてケイコが穴に落ちてから地上世界では56年も月日が流れていることを伝えた。地底世界での約1日が地上世界の約1年に相当すると考察できる。ケイコは重力の歪みによる次元の歪みだと涙ながらに考察するが、頭で理解していても受け止めきれない。

そしてリーはケイコに再会し、ビリーがもう十数年も前に亡くなっていることを告げるのだった。混乱しているケイコにケイトは自分が孫だと告げる。その告白をケイコはすぐには受け止めきれなかった。

無視される叫び

2015年、アメリカ合衆国バージニア州特別研究機関MONARCHの本部。ジョー・ティペット演じるティムミレリー・テイラー演じるナタリア・ベルドゥーゴ副長官はガンマ線の数値の変動について話していた。エリサ・ラソウスキー演じるミッシェル・デュバルからの連絡を期待するティムだったが、ナタリア副長官に一蹴される。

ティムは地底世界からの救難信号を捕捉したのだから、救助すべきだと語る。地底世界の生存者であるリー、メイ、ケイトの3人こそ、70億人の人類の存亡のカギを握っているかもしれないとティムは訴えた。しかし、その訴えはナタリア副長官の語るいつ亀裂から怪獣(タイタン)が襲ってくるかもわからないという現実に押しつぶされてしまった。

ガンマ線シミュレーター

ケイコと共に地底野営地に向かうリー、ケイト、メイの3人。そこにはかつてレオ・アシザワ演じる鈴木博士が発明したガンマ線シミュレーターがあった。ケイコはガンマ線シミュレーターを改造し、それによって救援信号を発信していたと解説する。

ケイトはケイコにヒロシのことを聞かれ、咄嗟に幸せで家庭的だと嘘をつく。それもそうだ。息子との長い時間を失ってしまったケイコに対し、あなたの息子は2つの家庭を持つ二重生活を送っていましたなどと、口が裂けても言えるわけがない。

リーはガンマ線シミュレーターを利用し、それによって地下世界からの脱出を試みる。以前、リーが砂時計〈アワーグラス〉作戦で地上世界へと脱出した際にはイオン・ドラゴンが生んだ亀裂を利用しており、今回もリーは怪獣(タイタン)を呼び寄せて、それに乗じて脱出しようとしていると考察できる。

交わる時間

2015年、東京のケンタロウ宅ではヒロシが荷物を引き取りに来ていた。ヒロシはサンフランシスコでの離婚の手続きをするとのことだが、久藤今日子演じるエミコは今後のことについてヒロシに尋ねられると結婚指輪を返した。そしてヒロシはケンタロウの父親なのだからと言い、エミコはケンタロウにだけは連絡してくれと返すのだった。

2015年と思われる地底世界ではメイ、ケイト、リー、ケイコがガンマ線シミュレーターを運んでいた。そうしている間にも地上世界では凄まじいスピードで時間が経過していることを4人は危惧している。

4人が地底世界からの脱出を試みていた頃の東京では、ケンタロウは初めてメイと共に酒を嗜んだバーでヒロシの残した地図を眺めていた。そこにティムがやってくる。ティムはガンマ線バーストによる救難信号をケンタロウに伝え、4人の生存の可能性とそれを解決できるのはヒロシだけだと告げるのだった。

リーとビリーを心の支えにしていたケイコは、ビリーの最期についてリーに尋ねる。髑髏島への探索でケイコ、リー、ビリーの3人の学説を証明しようとして命を落としたビリー。その話を聞き、自分の失った時間の大きさを改めて痛感するケイコ。

ヒロシはオフィスでジョン・グッドマン演じる晩年のビリーが遺した映像を見ていた。そこに訪ねてくるティムとケンタロウ。2人は救難信号の存在をヒロシに伝えに来たのだ。ケイトの生存に関し、不確定要素が多すぎると突っぱねるヒロシ。そんなヒロシに対してティムは今回の救助のために特別研究機関MONARCHを辞めたと告げ、ケンタロウは怪獣(タイタン)との旅を終わらせるために協力しろと語るのだった。

接続点

何故地底世界が地上に似ているのかケイコに訪ねるケイト。確かに砂時計〈アワーグラス〉作戦で若き日のリーが降り立った地底世界や『ゴジラVSコング』での地底世界と異なり、ケイコたちのいる地底世界は地上世界の森林そっくりだ。ケイコはここを地上世界の一部だと考察しており、地上世界と地底世界の接続点だと解説していた。それこそが世界軸(アクシス・ムンディ)だったのだ。

ケイコ、リー、ケイト、メイの4人が向かっていた亀裂とは砂時計〈アワーグラス〉作戦でリーが乗って来たカプセルのある亀裂だった。リーの計画とはガンマ線シミュレーターで怪獣(タイタン)を呼び寄せ、その怪獣(タイタン)に便乗してカプセルにのって帰路につく作戦だと解説される。

ヒロシの成長にも立ち会えず、ビリーまで喪ったケイコは1人地底世界に残ると言い始める。しかし、ケイトがそれを制する。これまで怪獣(タイタン)や特別研究機関MONARCHに多くのものを奪われてきたケイト。だからこそ、もう何も奪わせないとケイトは語った。ここでケイトがこれまで家業と言ってきた特別研究機関MONARCHの仕事を呪いと言い切るのは、怪獣(タイタン)とのトラウマなどとの決別を意味していると考察できる。

ゴジラ襲来

ガンマ線シミュレーターを起動させるリー。そして怪獣(タイタン)を呼び寄せ、ガンマ線シミュレーターに食いつく寸前でガンマ線シミュレーターを切る算段だったが、その前に近くにいた別の怪獣(タイタン)イオン・ドラゴンに感づかれてしまった。更に亀裂からもう1体の怪獣(タイタン)もやってくる。

イオン・ドラゴンによってガンマ線シミュレーターの配線が外れてしまう。皆の制止を振り切り、配線をもう一度繋ぎ直しに向かうリー。そんなリーをイオン・ドラゴンが襲う。そうしている間にも亀裂から現れた怪獣(タイタン)の反応は薄れていく。配線を繋ぎ直したリーをイオン・ドラゴンが襲おうとしたとき、聞き覚えのある咆哮が響き渡る。ゴジラだ。

ゴジラはその膂力と放射熱戦でイオン・ドラゴンをねじ伏せる。当初、イオン・ドラゴンの立ち位置は東宝を代表する空の大怪獣(タイタン)ラドンでも良いように思われたが、ゴジラの頭に食らいつき、投げ飛ばされる姿を見るとイオン・ドラゴンの立ち位置はラドンではなく、『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966)に登場した大コンドルに近いものだと考察できる。

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イオン・ドラゴンは翼を片方むしり取られ、そのまま亀裂の中へと投げ込まれて絶命した。ゴジラに噛みつき、ゴジラに翼をむしり取られ、そして最後はゴジラに叩きつけられて絶命する姿は『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』と同じ1966年に放送された『ウルトラマン』第8話「怪獣無法地帯」でレッドキングに噛みつくも翼をもがれて絶命した有翼怪獣チャンドラーを想起させる。

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大コンドルはその後、同年に公開された『ウルトラQ』第1話「ゴメスを倒せ!」に登場した原始怪鳥リトラに改造されたため、モンスター・ヴァース全体が日本の特撮シリーズに対して敬意を払っていると考察できる素晴らしい演出だ。

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決着をつけるとき

ガンマ線シミュレーターを繋ぎ直したリーはカプセルに戻ろうとするが、そこでゴジラとイオン・ドラゴンとの戦いに巻き込まれる。何とかカプセルから伸ばしたケイコの手を掴むリー。

しかし、そのままではケイコも巻き添えになってしまうため、自ら手を放し、リーは地底世界へと落ちていった。ケイコとビリーを失い、孤独に過ごしてきたリー。そんなリーにとってはケイコと出会えた束の間のひと時がすべてであり、これまでのすべてに決着をつけたとも考察できる展開だった。

カプセルは次元の狭間を超えて地上世界へと帰還する。そこはどこかの秘密基地のようで、ケイトたちはケンタロウと再会する。ケイコたちがどこに出現するかを計算したのは他でもないヒロシだった。そしてヒロシは母親であるケイコとも再会する。

すべての決着がついたと思われたその時、特別研究機関MONARCHの後ろ盾を失ったティムたちにとって救助作戦の出資者であり、特別研究機関MONARCHと蜜月の関係で、かつてメイを追い詰めたドミニク・ティッパー演じるIT企業AETのブレンダ・ホランドが現われる。そして地上世界が2017年であることが告げられ、場所がメカゴジラを生み出したエイペックス社の保有する髑髏島の研究施設だと明かされる。おそらく、ここでメカゴジラの試験用のスカルクローラーを捕獲していたと考察できる。

そこにコングが現われ、コングの咆哮と共に物語は幕を閉じるのだった。このことから、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』が『ゴジラVSコング』(2021)へと直接繋がっていくと考察できる。

続編はあるのか

Apple TV+の制作陣は『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』の続編であるシーズン2の製作を望んでいることを度々海外メディアが報じている。それに加え、最終話である第10話「論理を超えて」のラストはコングが咆哮をして終わるというクリフハンガーで幕引きとなった。

地底世界へ取り残されたリーの再登場も時間軸の歪みという設定で回収できる上、ヒロシが何故二重生活を選んだのかなど、語るべき要素もまだ残されている『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』。だが、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』の最大の魅力は、怪獣プロレスに重点が置かれつつあったモンスター・ヴァースにおいて、怪獣(タイタン)と共存する人間たちのドラマを描いたことにあるだろう。

モンスター・ヴァースの怪獣(タイタン)と人間との関係性にはまだまだ語るべき物語がたくさんあり、それを描いていけるのが映画ではないドラマシリーズの『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』だと考察できる。『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』のシーズン2制作に期待していきたい。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』最終話「倫理を超えて」は2024年1月12日からApple TV+にて配信開始

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』公式サイト

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鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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